エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園   作:M.T.

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プロローグ⑤

俺達は、突然スピーカーから聞こえてきたダミ声に動揺する。

すると、札木は不安そうに持っていたタロットカードを見つめる。

 

「……………。」

 

「どうした?」

 

「… これから何か、良くない事が起こるらしいの…それが何かまではわからないけど…」

 

「…?」

 

得体の知れない不安に駆られていた、その時だった。

 

 

 

『えー、オマエラ、ちゅうもーく!!』

 

俺達は、声が聞こえてきた方へと顔を向ける。

そこには、スポットライトで照らされた小さな舞台のようなものがあった。

 

「…何もないけど?」

 

「ひぃいいいぃいい!!怖い怖い怖い!!ボクもうおうち帰る!!」

 

「随分と耳障りな放送だったな。」

 

その場がざわつき出した、その時だった。

 

 

 

 

 

『もう!耳障りだなんて失礼しちゃうよ!』

 

突然、舞台上に白黒の熊のぬいぐるみが出てきた。

 

「わぁ!?ぬ、ぬいぐるみが喋った!?」

 

「ぎゃあああああああ!!何これ怖い無理もう帰りたい…」

 

「何なのこれ、ゆめ怖いよー!!」

 

「クマちゃんだー。可愛い♪」

 

速水や一、宝条あたりが騒いでいる中、黒瀬は場違いな発言をしていた。

 

『ぬいぐるみじゃないクマ!ボクはモノクマだよ。この『希望ヶ峰楽園』の園長なのだ!!』

 

「希望ヶ峰…楽園?」

 

「ねえ、これどういう事!?何かのドッキリ!?」

 

「どうでもいいからゆめをここから出して!出しなさいよ!!」

 

「お前が俺達をここに連れてきた張本人なのか!?」

 

「ひぃいいいぃいい!!身代金目当てなら、ボクんちお金持ちじゃないから払えないよ!終わった!!ボクはここで死ぬんだぁああああ!!」

 

半ば予想はしていたが、やっぱみんな混乱してるな…

 

『うるさいなぁ、人の話は最後まで聞きましょうって習わなかった?』

 

「人じゃないでしょー!」

 

…黒瀬、ツッコむとこそこじゃないと思うぞ。

 

『えー、お遊びはこの辺にして…オマエラ、おはようございます!』

 

「おはようございますっ」

 

「おっ、おはようございます!」

 

「いや返事すんの!?」

 

黒瀬と仕田原が挨拶を返したので、思わずツッコんでしまった。

 

『ではまず、ボクとこのセカイの事を知ってもらおうね。このセカイは、やりたい事ならなんだってできる魔法のような国!まさに夢と希望に溢れた理想郷!その名も『希望ヶ峰楽園』!オマエラ【超高校級】という希望に満ち溢れた存在にはピッタリの場所でしょ?ちなみに、ボクはこのセカイの園長であり創造主、つまり神でもあるのだ!』

 

「フン、くだらん。」

 

「は?ちょっと待って、意味わかんない!希望ヶ峰楽園!?希望ヶ峰学園じゃなくて!?てか、入学式は!?」

 

『うわ速水サンてば、いきなり質問攻め!?でも、グイグイ攻められると逆に興奮しちゃう…って、お母さんそんな破廉恥な子に育てた覚えありません!』

 

一人…もとい一匹で何を言ってるんだコイツ。

 

『てゆーか、何が不満なわけ?似たような名前だし、希望ヶ峰学園に入学したつもりでエンジョイすればいいじゃん。』

 

「良くねーよ!これがどういう状況で、なんで俺達がここにいるのか説明しろって言ってんだよ誘拐犯!!」

 

「そうだよぉ…いきなりこんな所に連れて来られて…なんなのぉ…!?」

 

 

 

『誘拐?何言ってんの?オマエラは、自ら望んでこの楽園に来たんでしょ?』

 

…え?

 

「知るかよ!とにかく、俺達をここから出せ!」

 

「そうよ!ゆめ、おうちに帰りたいのぉ!!」

 

「ボクだけでもいいから帰してよぉ!!」

 

『あー、無理無理。ここに来たからには、この楽園のルールに従って貰わないとね。』

 

「ルールだと?」

 

『その一!オマエラには、この楽園で共同生活を送ってもらいます!あ、ちなみに拒否権なんて気の利いたものは無いからね?』

 

「はぁ!?ふざけんじゃねぇぞ!」

 

「何なのよコイツ!意味わかんない!!」

 

「み、みんな落ち着いて…」

 

 

 

「…いつまで。」

 

唐突に、枯罰が口を開いた。

 

「いつまでここにおればええんか?お前、さっきから偉そーな事ばっか言うてるけど肝心な事説明してへんやろが。」

 

『そーだ、期限の説明をするのを忘れてたよ。共同生活の期限は…ございません!』

 

…。

 

………。

 

……………。

 

……………は!?

 

『もうわかるよね?オマエラは、死ぬまでこの楽園で生活するんだよ!みんな、ルールを守って仲良くね!』

 

「はぁ!?何よそれ!!ふざけんじゃないわよ!!こんな所で一生過ごせるわけないでしょ!?」

 

「やだぁあああああ!!こんな所で生活するなんて無理だよぉおおお!!ボクもうおうち帰る!!」

 

『まあ当然そんな声もあるよね!だから、特別にここから出られるルールを設けてあるよ!この楽園は、ルールをきちんと守れる人だけが永住する事を許されるんだ。ここの絶対のルールを破るような輩には、ここから出ていってもらいます!その名も、『失楽園』ルール!』

 

「どーせ碌な事言わへんねやろ?」

 

『うわ、枯罰サンてば失礼しちゃうー!碌な事言わないなんてとんでもない!このセカイの絶対のルールを破る方法、それはね…』

 

 

 

 

 

『人を殺す事だよ。』

 

「!!?」

 

『殴殺刺殺撲殺斬殺焼殺圧殺射殺絞殺溺殺惨殺電殺呪殺毒殺爆殺扼殺凍殺轢殺病殺磔殺禁殺…手段は一切問いません!とにかく、誰かを殺せばここから出られるよー!』

 

「What!?jokeもいい加減にしやがれ、You bastard!!」

 

「いや!!ゆめをここから出してよぉ!!」

 

「やだやだやだぁああああああああ!!ボク死にたくないよぉ!!誰か助けて!!」

 

『だから、何度も言わせないでよ!ただ殺せばいいって言ってるでしょ?』

 

 

 

「…なるほどな、よくわかった。」

 

突然、今まで黙って聞いていた武本が口を開いた。

 

『おっ、早速殺る気になってくれたかい?武本クン!』

 

「よくわかったよ、貴様が打ち倒さねばならない悪党だという事がな!!」

 

武本は、拳を鳴らしながらモノクマに突進した。

 

「誰かを殺せば出られるだと!?ほざけ!!武の道を歩む者として、そのような外道な行いは許せん!!」

 

「ひぃいいいいいっ!!!」

 

「その調子よ武本!そんな気持ち悪いぬいぐるみ、ギッタンギッタンにしちゃいなさいよ!」

 

「…ド阿呆。」

 

武本がモノクマを引っ掴むと、一が悲鳴を上げて宝条が便乗し、枯罰は呆れ返っていた。

 

「今すぐこんなふざけた真似をやめろ!!」

 

『キャー、この楽園では神への暴行はルール違反だよ!?』

 

「何が神だ、貴様のような悪党、俺が成敗してくれる!!破アッ!!」

 

武本が拳を突きつけると、モノクマの顔はグシャッという音と共に粉々に砕け散る。

これで一件落着…と数名が安堵した直後だった。

 

 

 

「…おい、何の音だ?」

 

突然、弦野がそう言った。

 

「音…?」

 

「さっきから、このクマからタイマーみてーな音がすんだけど…」

 

「…まさか…!!」

 

「おい!!それ早う投げんかい!!」

 

弦野の発言を聞いた一が目を見開き、枯罰が突然大声を張り上げた。

 

「は?」

 

「投げろ言うてんねん!!早うせぇ!!」

 

枯罰の声で武本がモノクマを投げた瞬間…

 

 

 

バグォオオオオン

 

 

 

突然、モノクマの身体が爆発した。

 

「いやあああああああ!!?な、なな…なんなのよぉおおおお!!!」

 

「やだやだ怖いよぉ…家に帰りたいよぉお…!!」

 

「クソが…コイツ、マジでやりやがった…!!」

 

「おい!!大丈夫か武本!!」

 

「…………怪我、ない?」

 

「あ、ああ…すまない。」

 

宝条と一がパニックを起こし、漕前はさっきまでモノクマがあった場所を睨みつける。

とりあえず、俺と札木は武本の無事を確認した。

 

「…ね、ねぇ…でも、これでモノクマがいなくなったから、アタシ達は解放されたんだよね?」

 

 

 

『解放?何バカな事言ってんだかねー。』

 

「!?」

 

『とうっ!』

 

突然、天井がパカっと開いてモノクマが落ちてきた。

 

『忍法、分身の術ー!なんちゃって。』

 

「ぎゃあああああああああああああ!!!」

 

「何でもう一匹いんのよ!!」

 

「まあ、一筋縄っちゅうわけには行かへんよなぁ。」

 

『うぷぷぷぷ。今回は警告音だけで許すけど、次からは気を付けてよね?』

 

「警告音って…ふざけんなよ!弦野達が気付かなかったら、武本は爆発に巻き込まれてたんだぞ!?」

 

俺は、モノクマに対して怒りをぶつけた。

当然だ。一歩間違えれば死人が出ていたのだから。

 

『知ったこっちゃないよ。そもそもルールを破るのがイケナイんだよ。ちなみに、モノクマはこの楽園の至る所に設置されております!今みたいに壊そうとしたら、エクストリームでエキサイティングであっという間にイっちゃうオシオキをプレゼントしちゃうから。』

 

「オシオキ?おしりペンペンとか、デコピンとか?」

 

「今のを見て、よくそれだけだと思えるな。戯けが。」

 

黒瀬がすっとぼけた事を言うと、神崎が呆れた様子で返す。

 

 

 

「…なぁ。ガラッと話変わるんやけど、これ何なん?ウチの持ってたんとちゃうんやけど。」

 

そう言って、枯罰は背面に希望ヶ峰の校章が描かれたスマートフォンを取り出した。

 

『おぉっと、枯罰はんはお目が高いな〜。それはなぁ、この楽園のパスポートでおまんがな。』

 

「その喋り方やめぇや。イラッとするんじゃボケ。」

 

「で、そのパスポートっていうのは?」

 

『それはねぇ、この楽園生活を送る上で重要なアイテムなのだ!ある一部の区間に入るのに必要だったり、他にも色んな機能があったりするんだ!ちなみに、失くしたり壊したりしても替えは無いから十分注意してね?』

 

「ふーん…」

 

『それじゃあ一通り説明は終わったから、あとは自由行動って事で。そこの改札を抜けたら、楽園が広がってるから存分に楽しんでってね!じゃーね!』

 

そう言うと、モノクマはその場から去っていった。

 

 

 

「チッ、あの野郎…好き勝手言いやがって…」

 

「はーい、とりあえず解散する前にパスポートを確認するのがいいと思いまーす!」

 

「そうだな。このままじゃ何も始まらねぇしな。」

 

「そーだね…あたしも黒瀬ちゃんと漕前君に賛成。」

 

黒瀬の意見に漕前と筆染が賛成して、パスポートを確認する事になった。

 

 

 

ーーー

 

ー、住民はこの楽園だけで共同生活を送りましょう。共同生活の期限はありません。

 

二、夜10時から朝7時までを夜時間とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。

 

三、希望ヶ峰楽園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。

 

四、園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラ等楽園内の重要な物の破壊・窃盗を禁じます。

 

五、仲間の誰かを殺したクロは失楽園となりますが、自分がクロだと他の人に知られてはいけません。

 

六、ルールは随時追加されます。

 

ーーー

 

 

 

とりあえず、この6つを守れって事らしい。

 

「ねぇねぇ、校則の五つ目なんだけどさ。なんで自分がクロだって他の人に知られちゃダメなのかな?」

 

「何でって…そりゃあお前、殺しなんて堂々とやるもんじゃねぇだろ。後で負うリスクとか考えりゃあよ。」

 

「リスクって何?んー…お巡りさんに捕まるとかそういう事?」

 

「…殺して終わり、というわけではないのかもな。」

 

「フン、どうせ追加でペナルティが課せられるとかそういう事だろ。今それを話し合うのは時間の無駄だと思うが?尤も、この中に人を殺そうと企んでる奴がいるなら話は別だがな。」

 

神崎は相変わらずムカつくな…

 

「チッ、バカバカしい…俺はテメェらと共同生活送るなんてまっぴら御免だからな。」

 

「最初に死ぬ奴がよぉ言うセリフやのぉ。」

 

「んだとコラ!!」

 

枯罰の挑発に乗った弦野が、枯罰に向かって怒鳴りつける。

 

「大体よ、テメェは何なんだ?さっきから上から目線で偉そうだし、才能について何も言わねぇし、テメェが一番気持ち悪いんだよ。」

 

「才能か。別にここで役に立つ才能とちゃうし言わんでもええやろ。それとも何や、弦野はんはそないにウチの才能がわからへんのが怖いんかぁ?」

 

「テメェ…!!」

 

「おい、やめろよ二人とも。ここで言い争ってても何の解決にもならねぇだろ。」

 

「マドカの言う通りだぜ。オマエらcool downしようぜ!」

 

「チッ…」

 

俺とジョンが二人を止めると、弦野は不満そうな表情を浮かべつつも大人しく引き下がり、枯罰も呆れ顔を浮かべつつも神経を逆撫でするような発言の連発をやめた。

すると、漕前が手を挙げて発言する。

 

「あのさ。ここで話してても埒があかねぇし、楽園とやらに入ってみねぇか?」

 

「な…罠があるかもしれない場所に自分から行けっていうの!?アンタバカァ!?」

 

「………わたし達に何かしたいなら、とっくにそうしてる……………」

 

「うっ…」

 

宝条が漕前の発言に異議を唱えるが、札木が小さいが全員に聞こえるほどよく通った声で言うと、宝条は押し黙った。

 

「漕前と札木の言う通りだ。行こう、みんな。」

 

全員、それぞれ不安や不満を胸に抱きつつも改札を通り抜けた。

こうして、俺達は絶望の楽園へと足を踏み入れたのだった。

 

 

 

 

 

Prologue 絶望(おわり)の始まり ー完ー

 

 

 

《アイテムを入手した!》

 

『希望ヶ峰楽園の住民バッヂ』

 

プロローグクリアの証。

世界に16個しか無いものらしく、これが無いと希望ヶ峰楽園の住民とは認められない。

 

 

 

 

 


 

 

 

ー生存者ー

 

【超高校級の講師】赤刎円

 

【超高校級のカウンセラー】安生心

 

【超高校級の天才】神崎帝

 

【超高校級の香道家】聞谷香織

 

【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ

 

【超高校級の幸運】漕前湊

 

【超高校級の???】枯罰環

 

【超高校級のタロット占術師】札木未来

 

【超高校級の家政婦】仕田原奉子

 

【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカー

 

【超高校級の武闘家】武本闘十郎

 

【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律

 

【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳

 

【超高校級のランナー】速水蘭華

 

【超高校級の画家】筆染絵麻

 

【超高校級の収集家】宝条夢乃

 

ー以上16名ー

 

 

 

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