エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園   作:M.T.

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ごめん遅刻した





Chapter.6 序章(はじまり)の終わり
非日常編①(捜査編)


赤刎が死んだ。

ウチなんぞを庇って殺された。

やっと、今までクソみたいな人生を送ってきたウチなんかでも仲間やと思ってくれる奴に会えたと思たのも束の間、アイツはウチの目の前で殺された。

ウチはあの時、アイツを助けられへんかった。

…一度は、アイツに庇わせた自分を、アイツを助けられへんかった自分を殺そうと思た。

せやけど今は違う。

ウチにはまだ仲間がおる。

ソイツらの未来のためにも、ウチはアイツの分まで足掻く。

ウチは、ウチらをこないな目に遭わせた黒幕を絶対許さへん。

クマ公に一発叩き込んで全員で生きてここを出るために、何としてでも真実を明らかにせな。

 

「どうする…?まずはどこを調べれば…」

 

「普通に考えて第六区画だろ。」

 

「あとは、一さんが調べてくださった情報管理室がありますわよね。」

 

「僕は物理室を調べたいんだけど…」

 

「…すまん。ウチは、黒瀬の研究室を調べたいねんけど、それでもええか?」

 

「黒瀬さんの研究室を?どうして?」

 

「そんなとこ調べて今更何になるのさ?」

 

「…ウチは、アイツが犯人やったとは信じられへん。もう一度現場を見て確認したい事があんねん。」

 

「…わかった。じゃあ5人で手分けしてそれぞれ1ヶ所ずつ調べよっか。」

 

「おい、待てよ。5人のうち1人は黒幕かもしれないんだろ?もし黒幕を1人にして好き勝手やられたらどうすんだよ。」

 

「そ、そうですわね…」

 

「せやったら、2人と3人のグループに分けて調べるのがええんとちゃうか?時間は半日あるし、なんぼ広い楽園かて2グループあれば調べられるやろ。」

 

「じゃあ、安直だが男子と女子で分けるか。それが一番バランス良いだろ。」

 

「そうだね…」

 

「それじゃあ、僕達は情報管理室と研究所を調べるから、二人は第六区画と黒瀬さんの研究室を調べてくれるかな?それ以外にも調べたいところがあったら各自調べてくれていいからね。」

 

「了解や。ほな聞谷、行こか。」

 

「わかりましたわ。」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

ウチらは、まず第六区画に行って探索をする事にした。

 

「第六区画で探索可能な施設は一箇所だけかいな。」

 

「そうみたいですわね。祠のような建物になっておりますが…」

 

「そういやクマ公、自分の事を神とかほざいとったのぉ。多分、ここはアイツの本拠地みたいなもんなんとちゃうか?」

 

「本拠地、ですか…」

 

「…行くで。」

 

ウチらは、祠の中を探索する事にした。

 

 

 

「…ほぉん。」

 

祠の中には、ゲームソフトとモニターが並ぶ部屋になっとった。

 

「いかにも…という感じですわね。」

 

「ほな、調べてくか。」

 

ウチらはまず、正面にある机から調べる事にした。

ステンレス製の机の引き出しには、紙の束が入っとった。

 

「これは…?」

 

「見たとこ何かの資料やろな。…ほな見てくで。」

 

「はい…」

 

ウチは、引き出しの中の資料に目を通した。

書かれとったのは、ウチらの履歴書やった。

…いや、履歴書っちゅうか…

 

「…これ、履歴書っちゅうより…キャラクターシートみたいやな。」

 

「きゃ、きゃら?何ですのそれは?」

 

「聞谷、お前TRPGって知っとるか?」

 

「いえ…」

 

「テーブルトーク・ロールプレイングゲーム。ゲーム機とかのコンピュータを使わずに、紙や鉛筆、サイコロとかを使ってプレイヤー同士の会話とルールブックの指示に従ってシナリオを進めていくゲームの事や。こう説明すればわかるか?」

 

「ええと…要は、るうるぶっくとやらの指示通りに脚本を進めていく遊び、ですわよね?」

 

「せや。その時にプレイヤーはキャラクターシートを用意すんねやけど、この履歴書、そのキャラクターシートにそっくりやねん。」

 

「えっと…それって…」

 

「ウチにもどういう事かはわからへん。せやけど、このプロフィールの紙がこのゲームと関係あるんは確かやろな。」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【16人分のプロフィール】

 

 

 

「ほな、も少し調べてくか。」

 

ウチは、壁に並んどったゲームソフトに目を通した。

 

「…!」

 

「あら?これ、全部タイトルが同じですわね。ええと…ダンガンロンパ?全部で…54作ありますわね。」

 

「しかもこれ、全部中身が抜き取られとるぞ。…しゃあない、パッケージだけ確認してくか。」

 

ウチらは、信じられへんモンを目の当たりにした。

そのゲームの内容は、全部『モノクマがコロシアイを強要し、殺人が起きたら誰がクロかを討論する学級裁判をする』というものやった。

…ウチらが置かれとる状況と全く同じや。

さらにパッケージには、()()()()()()()()()が映っとった。

 

 

 

「………え?さ、さやか…ちゃん………?」

 

一作目のパッケージに映っとったんは、ウチの推しのアイドル舞園さやかちゃんやった。

 

「嘘やろ…?え、何でさやかちゃんがここに映っとんねん!?」

 

さやかちゃんがこないなゲームに参加しとるわけがあらへん。

何でこのパッケージにさやかちゃんがおんねん…

 

「え…嘘でしょ!?そんな、どうして……!?」

 

聞谷は、パッケージを落としてガタガタと震えとった。

聞谷が落としたパッケージには、『デラックスダンガンロンパI4 僕らのコロシアイ天空旅行』と書かれていた。

 

「どないしたん?」

 

「どうして……ここに佐織が!?」

 

パッケージを拾い上げて確認すると、確かに聞谷がこの前見せてくれた妹の写真と酷似しとる女子が映っとった。

パッケージを確認すると、確かに【超高校級の華道家】聞谷佐織っちゅう奴が参加しとる事がわかる。

他のパッケージも確認すると、ほとんど全部のパッケージに超高校級として希望ヶ峰学園にスカウトされて有名になった奴やウチらの知り合いがおった。

 

「どうなっていますの!?佐織はまだ中学生ですわ!!こんなの、あり得ませんわ…!!」

 

「ウチに言われてもなぁ…ウチも何でさやかちゃんがおるんか知らへんし。せやけど、この『ダンガンロンパ』っちゅうゲームが関係しとるんは間違い無いんとちゃうか?」

 

「………模倣犯、ですかね?」

 

「その可能性が高いなぁ。まあ、それでも何でウチらの知り合いが参加しとるんかなまだ謎のままやけどな。」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【ダンガンロンパ】

 

 

 

「…ほな、次はこのモニターの映像やな。」

 

「そうですわね…」

 

ウチは、モニターをセットして映像を見た。

他のモニターのチャンネルは普通やのに、中央のモニターだけモニターを覗き込むウチらの映像が映っとった。

 

「……え?これは…どういう事ですの?」

 

「撮られとるんや。ウチらは見せもんにされとるってクマ公が言うとったやろ?」

 

「見せもの、ですか…」

 

「これは生中継されとる。それも、全世界に向けてな。」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【生中継】

 

 

 

「…この映像も一応確認しとくか。」

 

ウチが手に取ったんは、引き出しに入っとったDVDやった。

DVDをセットして再生すると、映像が流れる。

 

 

 

 

 

映像には赤い幕が映っとって、『事前インタビュー 枯罰環編』という文字が浮かび上がっとった。

そして幕が開いて映像が映し出される。

そこには、真っ白な部屋に置かれた椅子に座ったウチが映っとった。

 

『このゲームへの意気込み…ですか?まあ、とくにこれっちゅうもんがあるわけやないですけど…これだけは言えますね。ウチは多分、誰かに殺される事は無いと思いますわ。だってウチ、生まれた時から誰の事も信用してへんから。…え?ゲームをクリアしたらやりたい事?いやぁ…ありませんなぁ。ウチは、ゲームに参加するためにここにおりますんで。』

 

その後も、インタビュアーとウチとの質疑応答が繰り返された。

この映像は、5分ほどで終わった。

 

 

 

 

 

「…は?」

 

意味がわからへん。

何やこれは。

ウチは、こないなインタビューなんぞ受けとらん。

ウチが進んでこのクソゲーに参加した…?

そんな…あり得へん…!!

 

『オマエラは、自ら望んでこの楽園に来たんでしょ?』

 

「…!」

 

ウチは、クマ公に言われた言葉を思い出した。

ウチらが進んでこの楽園に来た…?

どういう事や。

 

 

 

ウチらは、コロシアイをするためだけに自ら進んで集まってきた…?

 

 

 

ウチが最悪の思考を巡らせとった、その時やった。

 

『うぷぷぷぷー!とうとう見ちゃったか。それ。』

 

「クマ公…!!」

 

『ねえねえ、今どんな気持ち?どんな気持ち?』

 

「Cобака…」

 

『うわ口悪っ!!枯罰サン、日本語じゃないからいくら悪口言ってもわからないと思ったら大間違いだよ!!あんまりそういう事ばっかり言ってるとピー音入れちゃうよ!?』

 

「………?」

 

ウチは、わざと聞こえづらいように言うて、しかもスラングを使うてクマ公を罵った。

それやのに、クマ公は意味を完璧に理解して返事を返して来よった。

よっぽどロシア語に詳しないとこの返事は返って来えへん。

可能性があるとすれば、ウチ以外ならバ神崎くらいや。

ウチは当然黒幕とちゃうし、バ神崎は既に死んどる。

…ほんなら、このクマ公を操っとる奴は誰なん?

 

 

 

コトダマゲット!

 

【インタビュー映像】

 

コトダマゲット!

 

【モノクマとの会話】

 

 

 

「…ここで手に入る情報はこれくらいか。ほな行こか。」

 

「そうですわね。」

 

『コラー!!無視するなーーー!!!』

 

ウチらは、後ろで喚いとるクマ公を無視して黒瀬の研究室へ向かう事にした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

ウチは、早速黒瀬の研究室を調べた。

…ここでもう一度調べ直して、ホンマに赤刎が犯人やったんかハッキリさせなアカン。

ウチが研究室内を調べとると、聞谷が声を上げた。

 

「枯罰さん!これを見てくださいまし!!」

 

「何や。」

 

聞谷が見せてきたんは、誰のものかわからへん靴の痕やった。

 

「これ…あなたや赤刎さんのものではありませんわよね?」

 

「ああ。大きさ的に黒瀬のモンともちゃうぞ。…っちゅうより…」

 

これ、誰の靴なん?

こないな足跡見た事あらへんぞ。

17人目がいたりとかするんやないとすれば、この靴は………

 

 

 

コトダマゲット!

 

【誰のものか分からない足跡】

 

 

 

その後も黒瀬の研究室を隈なく調べてんけど、何も有力な情報は出て来えへんかった。

 

「まいったなぁ…」

 

「あの…一度死体安置所に行ってみるのはいかがでしょう?黒瀬さんのご遺体が置かれている安置所なら、何か情報が掴めるかもしれませんわ。」

 

「…せやな。ほな行ってみるか。」

 

ウチらは、黒瀬の死体があるかもしれへん死体安置所に行ってみた。

機械でできた棺桶を一つずつ調べてくと、死体が二つ増えとった。

ひとつは安らかな表情で眠る黒瀬の死体、もうひとつは目をひん剥いて顔は真っ青で足が無い赤刎の死体やった。

 

「………。」

 

いくら最善の状態で保存されとる言うたかて、こないにぎょーさんの死体を並べられとるんはええ気分せえへん。

黒瀬の死体を調べて早う出ていきたいとこやけど…

 

「…ん?」

 

「いかがなさいましたの、枯罰さん?」

 

「これ…」

 

黒瀬の腕をよぉ見ると、虫刺されみたいなモンができとった。

これは、明らかに死斑とはちゃう。

 

「えっと…何でしょうかね。これ……」

 

「……注射痕。」

 

「え?」

 

「これ、注射痕とちゃうか?そうとしか考えられへんわ。」

 

「注射痕ですか…ですが、何故注射痕が出てくるんですの?黒瀬さんは赤刎さんに一酸化炭素中毒で殺されたはずでは…」

 

「…ひょっとすると、前回の事件はウチらが真相やと思っとったモンよりずっと複雑なのかもしれへんなぁ。」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【黒瀬の注射痕】

 

 

 

「注射痕…せや!!」

 

「どうかなさいましたの?」

 

「聞谷。悪いんやけど、今から診療所に寄ってもええか?」

 

「え、ええと…構いませんが…何かわかったんですの?」

 

「おう。ウチの推理が正しければ、診療所に手掛かりがあるはずや。行くで!!」

 

ウチは、聞谷を連れて診療所へ向かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

診療所へ着いたウチは、真っ先にあるものを探し始めた。

 

「枯罰さん!?一体何がわかったというんですの!?」

 

「ここに確か…チィッ、板で塞がれとるな。こんの…!!」

 

ウチは、毒薬が入った木箱を封じとる板を強引に引っ剥がした。

 

「く、釘で打たれた板を…」

 

聞谷が引いとるような気がせえへんでもないけど今はそないな事気にしとる場合とちゃう。

確かここに…

 

「!!」

 

やっぱり減っとる…

 

「あの、枯罰さん?どうしたんですか?」

 

「…毒が減っとる。」

 

「え、毒が…?」

 

「ああ。『モノトキシンγ』っちゅう毒や。頭痛や吐き気、機能障害や意識障害っちゅう症状が現れるんやけど、その症状が一酸化炭素中毒と似とんねん。」

 

「それって……」

 

「黒幕がこれを黒瀬に注射して殺し、赤刎に罪をなすりつけたのかもしれへんっちゅうこっちゃ。」

 

「そんな…」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【モノトキシンγ】

 

 

 

「いや…せやけど、そうやとすればあれは…」

 

「どうかなさったんですの、枯罰さん?」

 

「診療所の履歴確認しとんねん。」

 

「えっと…診療所の履歴なら、前回確認したはずでは?」

 

「…いや、それだとどないしても納得いかへん事があってな。」

 

ウチは、何度も履歴を確認した。

せやけど、何度調べても履歴に間違いはなかった。

 

 

 

コトダマゲット!

 

【診療所の履歴】

 

 

 

「履歴が間違いやないとすると、考えられるんは………」

 

ウチは、ベッドをどかして床を調べた。

 

「ちょっ…枯罰さん!?何をなさっていらっしゃるんですの!?」

 

「………ビンゴや。」

 

「え?」

 

ウチは、床板を軽く押した。

すると床板は少し凹んで、その下から通路が現れた。

 

「…!!こ、これは…」

 

「隠し通路や。ここを通れば、入退室履歴が残らへん。…やっぱりウチの仮説は正しかったみたいやな。」

 

「ええとつまり、真犯人はここを通って黒瀬さんを殺したかもしれないという事ですか?」

 

「せや。履歴がアリバイ証明の証拠品にならへんとすると、前回の裁判の真相が覆ってまうかもなぁ。」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【診療所の隠し通路】

 

 

 

「ここで調べられる情報はこれくらいやな。」

 

「そうですわね。」

 

「一旦安生達と落ち合って情報交換した方がええかもな。」

 

「……あ、あの。」

 

「何や?」

 

「えっと、空気の読めない事を言うようで言いづらいのですが……」

 

「?」

 

「お腹…空きません?」

 

「………。」

 

それを聞いたウチは固まった。

…確かに、かれこれ6時間以上調べとったっちゅうのに飯食わへんままやったら腹は減るよなぁ。

 

「…しゃあないわ、全員集めて一旦飯にするか。」

 

「すみません…」

 

「しゃあない言うとるやろ。腹が減っては戦が出来ぬっちゅう言葉もあるしな。ほな安生達呼ぶで。」

 

ウチは、チャットで全員に呼びかけた。

すると30分後に全員来て、弦野と一緒に飯を用意した。

 

「これが最後の晩餐か…」

 

「コラ。縁起でもない事言わないの、一君。」

 

「ご、ごめん…」

 

「ありがとうございます、枯罰さん、弦野さん。」

 

「ええよ別に。飯食わな長時間の捜査にも集中出来へんやろ?」

 

「うん。じゃあ、ご飯が終わったら一回情報交換をしよっか。」

 

「だな。」

 

ウチらは、安生の提案で食事の後ミーティングを開く事になった。

ウチは、調べた事を3人に報告した。

 

「……なるほどね。」

 

「マジかよ…」

 

「そうだったんだね…」

 

「ウチらからの報告は以上や。次、お前ら報告せぇよ。」

 

「わかった。じゃあまずは僕から報告しようかな。僕は、主に研究所を調べていくつか報告したい事があったから言うね。まず、この資料を見て欲しいんだ。」

 

そう言うて安生は資料を見せてきた。

トランスヒューマニズムに関する研究レポートやった。

そこに書かれてとったんは、脳とコンピュータの互換性に関する内容やった。

何でも、脳内の記憶や意識、感情などの情報をデータ化しコンピュータに読み込む事に成功し、本物のマウスの記憶や意識を元に動くロボットマウスを作ったとの事らしい。

まだこの段階ではマウスにしか実験をしとらんが、いずれヒトの脳をデータに置き換える事ができれば記憶障害の治療や機械への人格の移植などに役立てられるかもしれへん。せやけど、倫理的な観点から現時点では実現不可能な技術…そないな内容やった。

 

「なるほどなぁ。」

 

「難しいお話ですわね…」

 

「僕は、ここに書かれている内容がこのコロシアイと関係あるような気がするんだよね。」

 

「せやな。ウチもそう思うわ。まあ、どないに関係しとるかまではわからへんけどなぁ。」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【トランスヒューマニズムのレポート】

 

 

 

「他にも、気になるレポートを見つけたんだ。これは、物理室じゃなくて生物室で見つけたものだけどね。」

 

「?」

 

「興味深い内容だよ。さっきのレポートもそうだけど、僕は十中八九このレポートもコロシアイと何らかの関連があると思うね。」

 

ウチらは、安生が見せてきたレポートを順番に読んだ。

今度は人造生物に関する研究レポートやった。

そこに書かれてとったんは、人工的に生物を作り出す研究に関する内容やった。

クローン技術と遺伝子組み換え技術を利用し、元となる細胞が一つあれば体格や体質、性格、行動パターンなどの個体差を自在に操作した生物を作る事が可能やっちゅう事が書かれとった。

この技術を人間に応用する事で遺伝子操作を施した人間を大量に造り出し、専用の施設内で育て人造人間がどないに成長するんかを観察する事も検討しとるが、人道的な面から実現はせえへんままでおる、ざっとまとめるとこないな内容やった。

 

「人造生物…何かホムンクルスみたいだな。」

 

「ああ、ルネサンス期の錬金術師が造ったっていう人造人間の事だよね?」

 

「脳の情報のデータ化にホムンクルスねぇ…」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【人造生物に関するレポート】

 

 

 

「それともう一つ。生物室にはもう一つ、気になる物が置かれていたんだよね。」

 

「何や。」

 

「第一生物室に、大きな培養器が置かれていたんだ。人一人がすっぽり収まる大きさのね。それも16台も。」

 

「…!?」

 

「…僕には、完全に今のレポートの内容を裏付けてるように思えてならないんだ。まあ、培養器だけを見て決めつけるのも如何なものかとは思うけど…でも、無関係ではないんじゃないかな。」

 

「…人を造るための機械は用意されとるっちゅう事か。」

 

「なんかさ、ホントSFみたいだよね。」

 

「確かになぁ。脳のデータ化も人工的に個体差を操作した人間を造る技術もウチらの知る限りでは確立されとるはずのないオーバーテクノロジーやからな。」

 

せやけどウチも、どうもこれがコロシアイと無関係やとは思えへん。

脳のデータ化や人造人間が何らかの形でコロシアイと関わっとるとすれば、一体どないな形で関わっとる言うんか…?

 

 

 

コトダマゲット!

 

【培養器】

 

 

 

「次は俺の番だな。…つっても、俺は今までのみんなの証言とか自分で調べてて不自然に思った事とかをまとめただけだけど。」

 

そう言うて、弦野は説明を始めた。

 

「枯罰が『赤刎の死の真相を知りたい』って言うから事件当時のアリバイを調べてみる事にした。思い出しライトの光を浴びてから黒瀬の死体が発見されるまでの時系列をまとめてみたんだ。まず、光を浴びてから3時間後に安生、それからさらに6時間後に枯罰、5日後に黒瀬、さらに2時間後に赤刎が目を覚ました。…ここまではいいな?」

 

「うん。」

 

「枯罰は黒瀬を殺すために黒瀬の研究室に押し入って黒瀬を毒のナイフで切りつけた、黒瀬は、枯罰をクロにしないために毒リンゴで自殺を図るも失敗。それを全部見ていた赤刎は、黒瀬の思いを汲んで自分がクロになるために黒瀬を一酸化炭素中毒で殺害。それで、さらに約6時間後に俺が、さらに11時間後に一、さらに7時間後に聞谷が目を覚ました。つまり、事件が発生した時寝てた俺達3人には黒瀬を殺せないって事になる。それは俺達を交代制で監視してたお前らがわかってるはずだ。」

 

「うん。」

 

「せやなぁ。」

 

「じゃあ、ボクと聞谷さんと弦野君は黒幕から除外されるんだね。良かった…」

 

「黒幕=黒瀬を殺した真犯人だったらの話だけどな。」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【思い出しライト】

 

コトダマゲット!

 

【聞谷と弦野と一のアリバイ】

 

 

 

「それと、物理室と化学室を調べてわかった事なんだが、一個気になる事があったんだ。」

 

「何や?」

 

「…ガスマスクが盗まれてたんだよ。」

 

「え?ガスマスクが盗まれたって…それは赤刎君が使ったからでしょ?一酸化炭素が充満した部屋にガスマスク無しで入るのは危ないから。何も不自然な事は…」

 

「一つじゃなかったんだよ。」

 

「………え?」

 

「盗まれてたガスマスクは一個じゃなかったんだ。物理室と化学室、それぞれひとつずつガスマスクが盗まれてた。」

 

「そんな…じゃあ、もう一個は一体誰が何の目的で盗んだの…?」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【盗まれたガスマスク】

 

 

 

「それと、気になった事はもう一つあるんだ。」

 

「もう一つ?何ですの?」

 

「お前らさ、第二区画から第六区画が開放されてない間はモノクマがどうやって物資を別の区画に運んでたのか疑問に思った事はねぇか?」

 

「あ……そういえば、どうやって運んでたのかな。楽園生活を維持するためには区画間を自由に行き来する必要があるけど、壁で閉じられててるからそれはできないね。」

 

「ああ。それに、物資を運んでるルートがあるなら、いくら夜時間中にやってるとはいえ俺達が今までそのルートを見つけられなかったのは変じゃないか?」

 

「確かに………」

 

「えっと…つまりどういう事?」

 

「この楽園には、隠し通路があったんだよ。」

 

「か、隠し通路!!?」

 

「ああ。俺は、今回の探索でモノクマの野郎が使っていたかもしれない隠し通路を見つけたんだ。」

 

「どうやって?」

 

「音で。」

 

「…………。」

 

そうや。

コイツ、聴覚が化け物級にええんやった。

すっかり忘れとったわ。

 

「結論から言うが、隠し通路は多分この楽園を覆う壁の中だ。」

 

「「「「!」」」」

 

「壁を調べてる時に、何か壁に変な空洞があるような音がしたから変だと思って音響を使って壁を調べてみたんだ。すると、壁の中に通路みたいな長い空間がある事がわかった。あのクマは、壁の中を通って物資を別の区画に運んでたんだ。多分、壁のどこかに出入り口があって、そこから出入りすれば俺達に見つかるリスクを最小限にできる。」

 

「壁の中…なるほど、その手があったか……」

 

「道理で今までクマ公の尻尾を掴めへんかったわけやな。」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【モノクマの移動手段】

 

 

 

「俺からの報告は以上だ。」

 

「じゃ、じゃあ次はボクだね…ボクは、情報管理室を探索してわかった事を言ってくね…まずね、情報管理室のコンピューターを解析したんだけど、そしたらとんでもないものが見られたんだ。」

 

そう言うて一は説明を続ける。

 

「まず、コンピューターには複雑なプログラムが書かれてたんだ。」

 

「複雑なプログラム?」

 

「うん…何か、人工知能のプログラムと似てはいるんだけど見た事もないプログラムだったよ。あれが何だったのかは結局分からなかったけど。」

 

複雑なプログラムか…

 

「…もしかして、さっき安生君が言ってた脳のデータ化の話と何か関係あるのかな……」

 

「わからない。でも可能性はありそうだよね。」

 

「ちなみにそのプログラムをどうこうする事は出来へんのか?」

 

「見る事だけはできたんだけど、書き換えようとすると複雑な暗号を使ったパスワードを要求されるんだ。解いたと思ったらすぐに次のパスワードを要求される、の繰り返しでキリがなかったから多分書き換えできないようになってるんだと思う。」

 

「なるほどなぁ。」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【コンピューターのプログラム】

 

 

 

「それと、気になるデータを見つけたんだ。」

 

「気になるデータ?」

 

「うん。パソコンに残ってたコロシアイの企画書のデータ。この楽園は、コロシアイのために建てられたものらしいんだ。どういう風にコロシアイが進められていくのかとか、そういうシナリオみたいなものも書かれてた。」

 

「シナリオか…」

 

「でね。このコロシアイは、本物の希望ヶ峰学園の生徒を使ったデスゲームっていうコンセプトで作られた、一般大衆に向けたゲームだって書かれてた。」

 

「俺達は変態どもの見せ物だったって事かよ。クソッ、舐めやがって…」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【コロシアイの企画書】

 

 

 

「それともう一つ。」

 

「まだ何かあんのか?」

 

「…このゲームを裏で操ってるのは、モノクマだけじゃないのかもしれない。」

 

「………え?」

 

「企画に協力した人や企業の名前を見ると、国家レベルの巨大企業や資産家らしき人の名前が書かれてたんだ。」

 

「…まあ、これだけの事するんやからよほど金をかけたんかなとは思っとったけどなぁ。」

 

「結局国の陰謀かよ…」

 

「国がこんなゲームのために動くのかって言ったら甚だ疑問だけどね。」

 

 

 

コトダマゲット!

 

【コロシアイの協力者】

 

 

 

ウチらは、その後も引き続き捜査を行った。

そこでわかった事も色々あった。

そしてとうとう、その時は来た。

 

 

 

ピーンポーンパーンポーン

 

『えー、もう待ちくたびれたので捜査時間を打ち切らせていただきます!オマエラ、ホテル1階のエレベーター前まで集合して下さい!15分以内に来ないとオシオキしますよー!』

 

「…行こう。」

 

「うん。」

 

「いよいよ始まるんだな。最後の学級裁判…」

 

 

ウチらは、覚悟を決めてエレベーター前に向かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

ウチらがエレベーター前に着いた直後、アナウンスからちょうど15分になった。

 

『うぷぷぷ、ちゃんと全員集まりましたね?それでは裁判所へレッツゴー!』

 

クマ公がそう言うた直後、エレベーターの扉が開く。

5人全員が乗り込んだ直後、エレベーターの扉が閉まり下に動き出した。

 

…待っててや、赤刎。

絶対に真相を明らかにして、クマ公に一発叩き込んだるからな。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ー生存者ー

 

【超高校級のカウンセラー】安生心

 

【超高校級の香道家】聞谷香織

 

【超高校級の傭兵】枯罰環

 

【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律

 

【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳

 

ー以上5名ー

 

 

 

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