エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園 作:M.T.
枯罰「こないな不正が許されるんは、ウチらにコロシアイを強要しよった黒幕だけや。……せやろ?【超高校級のカウンセラー】安生心!!!」
安生「……………。」
モノクマ『………………。』
一「そんな、嘘……!!」
聞谷「お願いします、安生さん!嘘だと言って下さいまし!!」
安生「………………。」
枯罰「…もちろん否定してもええねんぞ?まだウチも投票はするつもりやない。どういう事か聞かせてもろても…
安生「………………うぷ。」
安生「うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ。」
一「えっ…何、何!?」
安生「うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!!!!」
一「ひ、ひぃ!?」
聞谷「あ……安生………さん…………?」
弦野「何だコイツ、気持ち悪りい…!!」
パチ…パチ…パチ…パチ…
安生はゆっくりと、そして大袈裟に拍手をした。
正解を褒め称えるかのように、はたまたウチらの潰し合いを嘲笑うかのように。
その笑顔は、今までのウチらのためを思て向けとった優しい笑顔とは全然ちゃう。
感情を欠いたような、機械的な笑みやった。
ウチらは、安生の貼り付けたような笑顔に得体の知れない不気味さを感じた。
安生「うぷぷぷぷ、お見事大正解ー!!【超高校級の脚本家】黒瀬ましろサンを殺したクロ、そしてこのコロシアイ楽園生活を仕組んだ黒幕は【超高校級のカウンセラー】安生心こと、僕でしたーーーーー!!!」
聞谷「う………そ…………」
安生「いやぁ〜、上手くやってたと思ったんだけどねぇ。まあでも、最後の最後で正体がバレちゃう絶望もまた一興、か。」
弦野「そういや、裁判の時いっつもやけに冴えてるなとは思ってたけど…お前だったとはな。」
枯罰「…前から怪しいとは思っとったけどな。ウチは赤刎、聞谷は宝条、弦野は筆染、一は仕田原。お前以外の奴は、誰かしら死なれたない奴に死なれとんねん。せやのに、お前はこの中で唯一どうしても死なせたない奴に先立たれた経験をしとらん。最初はたまたまやと思っとったけど、ウチらがより深い絶望を味わうように仕組んどったんやろ?フリでもええから惜しい奴を亡くした演技でもしとくべきやったな。」
安生「さすが枯罰さん。いやぁ、相変わらず君は痛いところ突いてくれるねぇ。」
一「そんな…嘘だよね?安生君が黒幕だったなんて……」
安生「ははっ、一君。君とは一番仲良くしてたから信じられないよね。」
一「そ、そうだよ!こんなの何かの間違いだ!!そうなんでしょ!?全部、枯罰さんの勘違いなんだよね!?ねぇ!?君は黒幕なんかじゃ………」
安生「本当だよ?」
一「…………え?」
安生「だから、黒幕は僕なんだって。下半身付随なんて真っ赤な嘘さ。そういう『設定』の方が同情を誘って信じ込ませやすいと思っただけ。ま、生まれつきほんの少し身体が弱い事だけは本当だがね。」
そう言うて、安生は車椅子からスッと立ち上がる。
淡々と語りながらウチらに向けられた目は、完全に正気を失った奴の目やった。
コイツは、武本とも、神崎とも、仕田原とも、速水とも、赤刎ともちゃう。
『絶望』を食いモンにして生きる根っからの化けモン、そないな感じがした。
安生「僕ね、本当は嫌いなんだ。親身になって人の話を聞くとか、そういうの。君達が僕に相談してきた時は、正直鬱陶しかった。役立たずのウォーカー君があっさり殺された時もイラッとしたし、神崎君が調子に乗った時とかもつい殺してやりたくなっちゃったよ。ま、憂鬱な毎日に悩まされ続ける絶望も悪くはないけどさ。」
聞谷「全部…嘘だったんですの…?」
安生「ああ、嘘だよ。全部嘘。全ては、僕自身の目的のため。僕は、君達にとって都合のいい『僕自身』を演じてたんだよ。」
聞谷「どうして…!?どうしてこのような事を!?」
安生「どうして…か。そうだねぇ。そんなに知りたいなら教えてあげない事もないよ。」
一「えっ」
安生「それじゃあ、第一問。僕は、君達のコロシアイを監視カメラで監視して、わざわざ派手なオシオキまで用意して、一体何がしたいのでしょうか?」
安生の目的…
もしかして、アレなんとちゃうか?
コトダマ提示!
【生中継】
「これや!!」
枯罰「………見せ物やろ?」
安生「ほぅ。」
枯罰「このコロシアイは、監視カメラの映像を通して全世界に生中継されとる。さしずめ、変態共がウチらのコロシアイを画面越しに眺めてほくそ笑んどるっちゅうとこやろ?」
安生「ピンポンピンポーン。ま、これは僕自身が認めた事だし正解して当然だよね。…本題はここからさ。それじゃあ第二問といこうか。」
弦野「何でしれっとテメェが仕切ってんだよ。」
安生「それでは第二問。枯罰さんの言う通り、僕はこのコロシアイを全世界に配信しています。そんな事をして、一体何が目的でしょうか?」
一「え、そりゃあみんなにコロシアイを見せるために…」
弦野「何でコロシアイを見せる必要があんのかって話をしてんだよ。」
枯罰「…………。」
生中継の目的…
もしかして…
コトダマ提示!
【コロシアイの企画書】
「これや!!」
枯罰「…『本物の超高校級を使ったデスゲーム』やろ?」
弦野「な…!!」
枯罰「情報管理室のパソコンには、コロシアイの企画書のデータが入っとった。そこには、コロシアイのシナリオまでもが事細かに書かれとってん。」
安生「へぇ。」
枯罰「ウチら超高校級は言わば人類の希望。希望の象徴が閉鎖空間でコロシアイをする。そないなコンセプトで作られた、『ゲーム』やろ?おそらく、視聴者はウチらを競馬で言う競走馬に見立ててコロシアイを予想して金を賭ける。その儲けがお前んとこに入ってお前は儲かり放題。…ちゃうか?」
安生「まあ、多少違うところはあるけど大方あってるよ。御名答。君達が参加してるのは、一種のデスゲームなんだよ。このゲームがホント売れ筋良くてさ。割と熱狂的なファンもいたりするんだよねぇ。そのおかげでこの楽園の維持費はもうガッポガッポだよ。やっぱり、君達超高校級がコロシアイをするっていうシチュエーションは最高に絶望的でたまらないよね!」
枯罰「…やっぱりな。」
安生「ん?」
枯罰「疑問に思っとった事はあんねん。ウチら超高校級を一生ここに閉じ込めるだけの資金を一体どこから調達しとんのかがなぁ。なんぼ趣味の悪い変態言うたかて、法の目を掻い潜ってウチら16人をこないなだだっ広い楽園に閉じ込めんのなんぞ経済的に無理あんねん。せやけど、これが『ゲーム』っちゅう商売で成り立っとるんやったら、資金の心配をする必要はあらへん。」
安生「くくく、さすが枯罰さん。僕が一目置いているというだけの事はあるね。やはり君は警戒に値する逸材のようだ。」
枯罰「……せやけど、それでも説明出来へん事があんねん。」
安生「何だい?」
枯罰「仮にこのコロシアイによって莫大な金が動いとったとしても、ウチら超高校級を外部との連絡手段や情報を一切絶って監禁するんは不可能や。ウチらの家族や友達が心配するはずやし、警察や軍隊が動くはずやからな。なんぼコロシアイ付きの変態言うても流石に警察のお世話にはなりたないやろ。こないな明らかに違法なゲームで遊んどる事がバレたら豚箱行きになるんは火を見るより明らかやんか。」
安生「…何が言いたいのかな?」
枯罰「このゲームの制作には、国家レベルの社会的地位を持つ連中が関わっとる。…ちゃうか?」
安生「………ふぅん?」
枯罰「このゲームがもし制作段階で国によって揉み消されとるとしたら、警察も動かへんやろ?それを全員承知の上やから、誰も止めようとせぇへんし安心してプレイ出来る。そういう事やろ?」
安生「なるほどねぇ。だけどそんな根拠はどこにあるのかな?」
安生にはバックがおる証拠…
それは…
コトダマ提示!
【コロシアイの協力者】
「これや!!」
枯罰「コロシアイの企画書には、協力者の名前も書かれとった。その中には、国家レベルの社会的地位を持つ奴の名前もあった。…ホンマ、世の中には人が死ぬのを見て喜ぶ変態がぎょうさんおって嫌になるわ。このコロシアイは国のお偉いさん方が制作に協力してて、より大勢の変態がそれを見て金を貢ぎ、お前らはウチらを食い物にする。そりゃあ、国もウチら超高校級を商売道具に出来るんやったら喜んで協力するわなぁ。警察が出動せぇへんのも、黙認されとるからやろ?」
安生「ふぅん。そこまでわかってたんだ。その通りだよ。超高校級達のコロシアイっていうのは、君達が思っている以上に需要があるんだよねぇ。お偉いさん方の中にもこのゲームのファンがいてさ。喜んでゲームの制作に協力してくれたよ。」
一「そんな………」
安生「ね?これでわかったでしょ?外に出ても君達の味方なんていないんだよ。」
弦野「クソッ……結局そうなるのかよ!!」
聞谷「何方かがわたくし達を助けに来て下さると思っていたから今までやって来れたのに…わたくしは、一体どうすれば………」
安生「あれ?何残念そうな顔してるの?おかしくない?」
安生「このコロシアイは、君達が望んで参加したんでしょ?」
弦野「は…!?ふざけんなよ!!誰がこんなクソゲーに好き好んで参加するんだよ!!」
聞谷「わたくしはこのゲームに参加したいと思った事なんてありませんわ!!」
安生「あらら、心当たり無い?せっかく証拠も見せてあげたんだけどなぁ。」
ウチらが自ら進んでコロシアイに参加した証拠……
…ひょっとして、あれちゃうか?
コトダマ提示!
【インタビュー映像】
「これだ!!」
枯罰「…インタビュー映像やろ?」
安生「うん、正解。君達に見せてあげたコロシアイの事前インタビューの映像。実は、君達は全員コロシアイの前にインタビューを受けてるんだ。これが揺るがぬ証拠だよ。」
一「な、何だよそれぇ…!!」
安生「あれ?信じられない?じゃあ、実際の映像見せてあげよっか。」
そう言うてモノクマはモニターをセットした。
映像には赤い幕が映っとって、『事前インタビュー 聞谷香織編』という文字が浮かび上がっとった。
そして幕が開いて映像が映し出される。
そこには、真っ白な部屋に置かれた椅子に座った聞谷が座っとった。
『コロシアイの意気込み、ですか?そうですわねぇ…とにかく、生き残れれば何でもいいですわ。わたくしは、わたくし以外の方がどうなろうと別に構いませんもの。わたくしは、庶民の醜い様を高みの見物ができればそれでいいですわ。うふふふふ、庶民が殺し合う様を眺めるのが楽しみですわ。』
その後も、インタビュアーと聞谷との質疑応答が繰り返された。
そして、ウチの映像と切り替わる。
『このゲームへの意気込み…ですか?まあ、とくにこれっちゅうもんがあるわけやないですけど…これだけは言えますね。ウチは多分、誰かに殺される事は無いと思いますわ。だってウチ、生まれた時から誰の事も信用してへんから。…え?ゲームをクリアしたらやりたい事?いやぁ…ありませんなぁ。ウチは、ゲームに参加するためにここにおりますんで。』
ウチの映像の後は、弦野の映像が流れた。
『ゲームへの意気込みっすか?まあ…生き残れるように頑張りたいっすね。最後まで生き残って、他の奴等が絶望に堕ちるところを眺めてみたいっす。だって俺、そのためだけにこのゲームに参加したんですもん。こんな機会、そうないじゃないっすか。…あ、俺変な事言ってますかね?』
弦野の映像の後は、一の映像が流れた。
『ゲームへの意気込み…?えっと…特に無いですけど…あ、強いて言うならボク、多分殺されたりはしないんじゃないですかね。だってボク以外全員バカですし。ボク、普段はそういう事ないんですけど…何かこう、こういうゲームの時だけは何故か勝てる気しかしないんですよね。』
そこで映像は終わった。
まだ映像を見とらん弦野と一は、呆然と立ち尽くしていた。
弦野「は…?何だよこれ…」
一「ど、どういう事…?」
安生「うぷぷぷぷ、どうだったかな?見ての通り、君達はコロシアイをするためだけにここに集まったんだよ。ねえねえ、今どんな気持ち?どんな気持ち?」
弦野「おい、どうなってんだよ!?俺はこんな事言った覚えはねぇぞ!!この映像に映ってる奴は誰なんだよ!?俺の偽者か!?えぇ!?」
安生「何言ってんのさ。紛れもなく君自身だよ。」
弦野「ふざけんじゃねぇ!!こんなチャラチャラしたキメェ奴が俺だなんて認めねぇぞ!!」
一「そ、そうだよ!!ボクは死にたくないんだ!!こんなゲームに自分から進んで参加したなんてあり得ない!!こんなの、君の捏造なんだろ!?」
聞谷「わたくしだって…他の皆さんをどうでもいいと思った事なんてありませんわ!こんなの、何かの間違いですわ!!」
安生「えー、この映像は間違いなく本物なんだけどなぁ。」
一「違う違う違う!!こんなもの捏造だ!!そうに違いないよ!!」
安生「うるさいなぁ。本物だって言ってるじゃん。…ったく、これだから『プレイヤーキャラ』は…」
枯罰「…ん?おい、お前今何て言うた?」
安生「ん?何でもないよ?少なくとも、今の君が知っていい事じゃないと思うなぁ。」
枯罰(コイツ…)
あくまでまだ知られたない事に関してはシラを切るつもりかいな。
…まあ、ここで掘り下げてもはぐらかされるだけやろな。
安生「さてさて問題です。君達は、どうしてこの映像に心当たりが無いのでしょうか?」
ウチらにインタビューの記憶がない原因…
それって…
ー閃きアナグラム開始ー
キ オ ク ソ ウ シ ツ
【記憶喪失】
「これや!!」
枯罰「…記憶喪失。ウチらは全員、記憶喪失になっとるんとちゃうか?」
弦野「はぁ!?何だよそれ!!」
枯罰「記憶が無いなら、今の映像に心当たりがあらへんのも説明できる。大体、おかしいとは思わへんのか?ウチらは、希望ヶ峰の門を潜ってからここに来るまでの記憶があらへんのやぞ?記憶を操作されたとしか考えられへんやろ。」
弦野「何でそうなるんだよ!?俺、ちゃんと入学式直前までの記憶はあるぞ!?」
聞谷「わたくしもですわ。記憶を操作されたなんてそんな事…あり得るのでしょうか?」
一「ぼ…ボクだって!入学式の直前に組んだプログラムだってあるんだ!!」
枯罰「んー…キリあらへんなぁ。一旦整理しよか。」
ーーー議論開始!!ーーー
弦野「記憶喪失!?そんなわけあるか!!《都合よく記憶を奪えるわけがない》だろ!!」
一「そうだよ!!ボクだって、《ちゃんと覚えてるもん》!!」
聞谷「《記憶を操作する技術があるとは思えませんが》…」
弦野「大体、さっきの映像だって安生の捏造なんじゃねぇのか!?国の陰謀でこんな大掛かりな事ができるんだったら、映像を捏造する事なんて造作もねぇだろ!!」
一「そうだよ!捏造に違いないよ!!」
安生「んもー、さっきから人聞きの悪い!《僕は捏造なんかしてませーん》!!」
《記憶を操作する技術があるとは思えませんが》⬅︎【トランスヒューマニズムのレポート】
「それはちゃうぞ!!」
《論 破》
枯罰「……もし、人の記憶を好き勝手いじれる技術があったとしたら?」
聞谷「えっ?」
枯罰「お前ら、思い出しライトの存在忘れたんか?思い出させる事が出来るんやったら、逆に記憶を無くす事も出来るやろ。」
一「あ…」
枯罰「弦野、一。お前ら物理室でレポート見つけた言うとったやろ?トランスヒューマニズムに関するレポート。」
ウチは、レポートを弦野と一に見せた。
脳内の記憶や意識、感情などの情報をデータ化しコンピュータに読み込む事に成功し、本物のマウスの記憶や意識を元に動くロボットマウスを作った。
まだこの段階ではマウスにしか実験をしていないが、いずれヒトの脳をデータに置き換える事ができれば記憶障害の治療や機械への人格の移植などに役立てられるかもしれない。だが倫理的な観点から現時点では実現不可能な技術でもある。
枯罰「この技術が既に確立されてて、しかもヒトに対しても使えるようになっとったとしたら?」
弦野「…好き勝手にデータを書き換えて、それを記憶として植えつける事も可能って事か。」
枯罰「御名答。おそらく、筋書きはこうや。ウチらは攫われた時点で全員一度安生に記憶を全部抜かれとる。ほんで、その記憶をデータ化して書き換える。さらに書き換えたデータを記憶に再変換して、編集された記憶をウチらに戻した。そうやってウチらは入学式の時からこの楽園で目が覚めるまでの記憶を失ったっちゅうわけや。」
聞谷「そういえば…どうやってここまで連れて来られたのか、全く思い出せませんわね。それは記憶を書き換えられたからだったのですね…」
安生「そういうこっとー!!ったく、君達はすぐ僕を捏造犯扱いするんだから!とんだ名誉毀損だよ!あ、ちなみにどのタイミングで君達の記憶を抜いたのか知りたいでしょ?答えは、君達がホープステーションの列車に乗った時でした!!」
弦野「…あれか。」
安生「そ、あれだよ。あの電車に何とか乗れば脱出できるかもって思ったバカがいるかもしれないけど、あの電車、実は交通手段じゃなくて記憶をデータ化する装置なんだよね。もちろん脱出用の列車としては使えませーん!!」
聞谷「そんな…では、脱出できる方法は無いという事ですの!?」
安生「それは君達次第さ。僕の与えた試験に合格したら出してあげない事もないよ。」
一「うっ………で、でも…ボクは、正直まだ信じられないんだけど…記憶をデータ化するなんてそんな、今の技術で実現できるわけが…」
枯罰「…いや、ウチらはその技術を使うて記憶を抜かれとる。その証拠もあるでな。」
コトダマ提示!!
【コンピューターのプログラム】
「これや!!」
枯罰「おい一。」
一「な、何…?」
枯罰「お前が見つけたコンピューターのプログラムなんやけど…もしかして、アレウチらの記憶データなんとちゃうか?」
弦野「はぁ!!?」
一「えっ…あ、あれがボク達の記憶!?ど、どういう事!?」
枯罰「お前、コンピューター上に人工知能のプログラムによぉ似たプログラムが書かれとったって言うとったやろ?…人工知能のプログラムと似とるんは当たり前やねん。あれは、『生きた人間の記憶』なんやからな。」
聞谷「そんな…機械に、わたくし達の記憶が…!?」
安生「うぷぷぷぷぷぷ、御名答♪あそこに書かれていたのは、君達の記憶データだよ。僕は、君達の記憶データを好き勝手にハッキングして記憶を書き換えたというわけ。思い出しライトは、記憶データを保存して復元させるための装置なんだよね。まあ、その時に少し神経に負荷がかかるから少しの間意識が途絶えちゃうのが難点なんだけど。」
弦野「データ……?書き換え………?それじゃあ、俺達の記憶はお前ごときに簡単に書き換えられちまうようなくだらねぇモンだったって事かよ……ふざけんなよクソが!!俺はそんなの認めねぇぞ!!俺の記憶は俺だけのものだ!!それを簡単に否定されていいわけがない!!人の記憶ってのは、機械みたいに単純なモンじゃねぇんだよ!!」
安生「うぷぷぷ。そんなに信じられないなら、一ついい事を教えてあげようか?」
弦野「………え?」
安生「君が筆染さんを好きになったのは、僕がそうなるように書き換えたからだよ。」
弦野「…………………………は?」
安生「ただコロシアイをさせるだけじゃつまんないじゃん?やっぱり、若い男女が閉鎖空間にいるわけだから色恋の一つや二つ発展した方が面白くなると思ってさ。君が筆染さんを好きになったのは自分の意思じゃない。僕が、君のデータを『筆染絵麻を愛する君』というデータに書き換えたんだよ。」
弦野「う、嘘だ………そんなの…………」
安生「君はさっき、『人の記憶というのは機械みたいに単純なものじゃない』と言ったね。…自惚れるな。人の脳というものは機械よりずっと単純なんだよ。1個プログラムを書き換えただけで性格はガラッと変わり、1個プログラムを書き加えただけで昨日まで何とも思っていなかった相手を好きになる。弦野君だって、今は筆染さんを好きかもしれないけど僕がプログラムを入れ替えちゃえば『仕田原奉子に心酔し筆染絵麻を殺したいほど憎んでいる君』っていうデータに書き換える事だってできちゃうんだ。君達の記憶なんて、所詮その程度のものなんだよ。」
一「そんな…じゃあ、ボクの家族は…!?」
安生「さぁねぇ。家族の記憶もデータに置き換えられるからね。僕が少しデータをいじれば君は家族の事なんてすっかり忘れちゃうかもよ。」
聞谷「そんな…酷いですわ!!」
枯罰「……なあ。」
安生「ん?何かな、枯罰さん?」
枯罰「お前、【超高校級の絶望】なんか?【超高校級の絶望】なら、世界規模のテロを企んどるはずやろ。そないな奴が国の協力なんぞ得られるもんなんか?」
安生「さぁねぇ。」
枯罰「………黒幕は、本当にお前なんやな?」
安生「そうだよ。どうする?もう正体もバレちゃったし、君達もゲームの目的とかわかっただろうし投票に移る?」
弦野「正直、まだ引っかかる事がないでもないがこれ以上何を議論すればいいのかわかんねーし…」
一「そうだよ。もう投票に移っちゃってもいいんじゃないの?」
枯罰「ちょい待ちぃ。」
安生「まだ何かあんの?」
枯罰「Вы понимаете России?」
弦野「………は?」
聞谷「へ?」
一「何て?」
安生「…ごめん、枯罰さん。わかるように質問してくれる?」
枯罰「…なるほどな。よぉわかったわ。」
安生「何が?」
枯罰「怪しいと思ってん。一、コンピューターのプログラムはお前でも解析出来へんかったんやろ?」
一「う、うん…」
枯罰「【超高校級のソフトウェア開発者】の一ですらハッキング出来へんようなプログラムを、たかがカウンセラーのお前が簡単に書き換えられるわけがない。ほんで、今の質問でハッキリとわかった事があんねん。」
コトダマ提示!!
【モノクマとの会話】
「これや!!」
枯罰「クマ公は、どないな複雑な言語に対してもその意味を完璧に理解して返しをしてきた。こないな芸当が出来るんは、ウチの知る限りウチとバ神崎だけや。」
安生「何が言いたいのかな?」
枯罰「……お前は、本当の意味での黒幕なんか?」
弦野「…え?」
枯罰「これはゲーム言うたやろ?ゲームっちゅう事は、当然シナリオも存在する。お前は、TRPGでいう敵キャラの役を割り振られただけ。せやろ?」
ウチがそう言うと、安生は肩を揺らして笑った。
安生「うぷ…うぷぷぷぷぷぷぷ…御名答。僕は、たまたま『黒幕の役に割り振られただけ』。本当の意味での黒幕は、僕一人じゃないんだよねぇ。」
一「一人じゃない…?どういう事!?」
安生「そのままの意味さ。僕は、『黒幕が1人しかいない』なんて一言も言ってないだろ?」
聞谷「あ…」
枯罰「黒幕が一人じゃない…まさか…!!」
《人物指定》
赤刎円
安生心
神崎帝
聞谷香織
黒瀬ましろ
漕前湊
枯罰環
札木未来
仕田原奉子
ジョナサン・ウォーカー
武本闘十郎
弦野律
一千歳
速水蘭華
筆染絵麻
宝条夢乃
➡︎赤刎円 安生心 神崎帝 聞谷香織 黒瀬ましろ 漕前湊 枯罰環 札木未来 仕田原奉子 ジョナサン・ウォーカー 武本闘十郎 弦野律 一千歳 速水蘭華 筆染絵麻 宝条夢乃
枯罰「………このコロシアイの黒幕は、ウチら全員や。」
安生「……………。」
弦野「はぁ!?俺達全員が黒幕!?どういう事だよ!?」
枯罰「記憶はデータ化される言うたやろ?データなら当然、コピーして同じ記憶を量産する事も出来るはずや。ウチらは、黒幕としてのウチらのコピーの一つに過ぎんかった。せやから、クマ公はあらゆる言語を理解出来たしプログラミングもこなす事が出来た。そして今もウチらのコピーは黒幕として楽園を支配しとる。そういう事やろ?」
安生「………………。」
ー生存者ー
【超高校級のカウンセラー】安生心
【超高校級の香道家】聞谷香織
【超高校級の傭兵】枯罰環
【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律
【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳
ー以上5名ー
このオチにしたのは前々作のリメイク的な意味合いが強かったりします。