エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園   作:M.T.

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Epilogue 始まった僕らの物語
エピローグ


私立希望ヶ峰学園。

そこは超高校級の才能を持った希望溢れる生徒達が入学する、世界でも有名な名門校だ。

この学園に入学する条件は二つ。

現役の高校生である事、そしてある分野において超高校級である事。

希望ヶ峰学園の卒業生は将来を約束されるとも言われており、事実卒業生達は世界中で偉大な功績を残している。

 

俺の名前は赤刎円。

俺も、実はあの希望ヶ峰学園に入学する事が決まったのだ。

そして今、俺は希望ヶ峰学園の前に立っている!!!!

 

「うぉお、マジか!!ヤベェ、興奮してきた!!」

 

俺は、緊張や興奮、そして希望を胸に希望ヶ峰学園への一歩を踏み出した。

その瞬間。

 

 

 

 

 

「…あれ?」

 

突然視界が歪み、世界の色がグシャグシャに撹拌されていく。

 

そして、俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、俺はまだ知らなかった。

俺が踏み出した一歩は、希望への一歩なんかじゃなかった。

 

それは、絶望への一歩だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…え。

 

…ねぇ。……て。

 

………ねぇってば。

 

 

 

「ん…?」

 

俺は、聞き覚えのある女の声で目が覚めた。

目をゆっくりと開くと、小柄な女の子が俺の顔を覗き込んでいた。

………ん?女の子?

 

「あ、よかった…死んでたらどうしようかと思った…」

 

女の子がほっとしてため息をついたようだが、それどころじゃない俺は思わず大声を上げて跳び上がった。

 

「うぉあああっ!!?だ、誰だ!?」

 

「わっ……お、落ち着いて、赤刎くん。」

 

「な…何で俺の名前を知ってんだ!?…って、あれ?………お前、札木… 札木未来か?」

 

「うん。よかった…思い出してくれて…」

 

思い出した。

この子は札木未来。

俺の高校のクラスメイトで、【超高校級のタロット占術師】として希望ヶ峰学園にスカウトされたんだった。

確かタロット占いが得意で100%当たるって有名だったはずだ。

 

…さて、札木の事を思い出した事だし現状把握といこうか。

どうやら俺達は今、電車の中にいるらしい。

レトロな雰囲気な車両には監視カメラが設置されており、場違いなタッチパネルが目に留まる。

 

「札木、ここどこなんだ?俺達は何でこんな所にいるんだ?」

 

「………ごめん、わたしにもわからない。私も、目が覚めたらここにいたの…」

 

「そっか…まあ、そうだよな。とりあえず、ずっとここにいるのも何だし何か無いか探すか。」

 

「…そうね。」

 

俺達が車内を歩き始めた、その時だった。

 

 

 

ピロリロリーン♪

 

突然、今まで何の反応も無かったタッチパネルからデジタル音が聞こえてきた。

パッと画面が付くと、そこには『希望ヶ峰学園新入生のオマエラ!おはようございます!突然ではありますが、至急ホープステーションの改札口にお集まり下さい!』と書かれていた。

汚い字だな。

…いや、じゃなくて。

まず、タイミング良くパネルの画面が付いた事から考えて、このパネルは監視カメラで俺達を見てる奴が遠隔で操作してるとみて間違いないだろう。

それはいい。

だがここは一体どこで、このパネルに書かれてる事は一体何なんだ?

俺達が希望ヶ峰学園の新入生だって知ってるって事は、このパネルの文字を書いた奴は希望ヶ峰学園の関係者なのか?

ホープステーションとやらに俺達を向かわせて、一体何がしたいんだ?

…ああクソッ、考えれば考えるほどわけわかんなくなってきた。

何もかもわかんねーし、親か警察に電話した方がいいんじゃ…

 

俺は、ふとコートの胸ポケットを漁った。

 

…あれっ?

これ、俺の携帯じゃないぞ。

 

「どういう事だ?こんな携帯見覚えねぇし、で、肝心の俺の携帯はどこ行ったかわかんねぇし…」

 

「………赤刎くん。」

 

「ん?どうした、札木?」

 

「…わたしの方にも、わたしのじゃない携帯が入ってた…」

 

そう言って、札木は俺が持っている携帯と同じ携帯を見せてきた。

 

「…同じだな。」

 

「うん。何なんだろうね、これ…」

 

「…。」

 

このままでは埒があかないので、俺はとりあえず携帯の電源を入れてみる事にした。

すると、画面には『赤刎円クン ご入学おめでとうございます!』と表示され、その直後ホープステーションとやらの改札口と思われる場所の地図が表示された。

 

「うわ、何か地図出てきたぞ。ここに行けって事か?」

 

「…行っても大丈夫なのかな。」

 

札木は、不安そうな表情を浮かべて少し俯いた。

…そっか。

冷静さを保とうとしてるけど、やっぱ札木もいきなり知らない場所に連れて来られて怖い思いをしていたのか。

そりゃあそうだ。目が覚めたら知らない場所にいて、札木と俺以外の誰もいないなんて状況、怖いに決まってる。

せめて、俺が少しでも不安を取り除いてやらねぇと。

俺は、そっと札木の手を取ってニコッと微笑んだ。

 

「大丈夫だ。何かあったら、俺が守ってやるから。」

 

「…。」

 

札木は、僅かに目を見開いて口をぽかんと開ける。

…ん、やっぱ俺みたいなちんちくりんに言われたところで気休めにもなんねぇか。

 

「…はは、やっぱこの見た目じゃ説得力ねぇか?」

 

「………ううん。すごく嬉しい。……ありがとう、赤刎くん。」

 

「それじゃ、行こっか。」

 

「………ぅん。」

 

俺達は、手を繋いだまま電車から降りてホープステーションの改札口へと歩いていった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

駅の中は、レンガ造りでこれまたレトロな雰囲気の建物だった。

にもかかわらず、最先端の防犯カメラが設置されている。

昔風なんだか今風なんだかどっちなんだとツッコみたくなったが、ここはあえて何も触れない事にした。

 

ステーションの改札口に着いた俺と札木。

すると、そこには14人の男女がいた。

 

「お、やっと揃ったか!」

 

「遅いよ〜!こんな所でじっとしてるなんて性に合わないんだけど!」

 

「…チッ、これ以上騒がしくなるのはまっぴら御免だぞ。」

 

「うぅううう…怖いよぉ…今度は何なのぉ…」

 

センター分けの少年、ショートヘアーの少女、執事っぽい服装をしたプラチナブロンドの青年、ボサボサの髪の少年が口を開く。

 

「えっと…君達も車両のモニターを見てここに来たのかな?」

 

車椅子に乗った少年が話しかけてきた。

 

「あ、えっと…まあ…アンタ達もそうなのか?」

 

俺が尋ねると、和服を着た少女が答える。

 

「ええ、そうですわ。…すみません、わたくし達も目が覚めたら列車の中にいて…ここがどこなのか、何故ここにいるのかわからないのです。」

 

そうなのか…俺達と同じだな。

すると今度は、背が高い女顔の青年が口を開く。

 

「…ま、わからん事だらけやけど、一つだけわかる事もあるで。ここに連れてこられたモンが全員希望ヶ峰の新入生で超高校級の才能を持っとるっちゅうこっちゃ。」

 

希望ヶ峰学園の新入生…?

って事は、ここにいる全員が俺の同級生なのか。

…よし、だいぶわかってきたぞ。

ここはホープステーションとかいう駅の中で、今期の希望ヶ峰の新入生だけがここに集められたって事か。

とりあえず、全員で自己紹介をする事にした。

 

元気はつらつな体育会系女子の【超高校級のランナー】速水蘭華。

底抜けに明るいムードメーカーの【超高校級の幸運】漕前湊。

ハイテンションでお調子者の【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカー。

温厚な性格で優等生の【超高校級のカウンセラー】安生心。

おっとりしていて清楚なお嬢様の【超高校級の香道家】聞谷香織。

ちょっと抜けた所があるけど天真爛漫な【超高校級の画家】筆染絵麻。

強面だけど実は繊細で引っ込み思案な【超高校級の武闘家】武本闘十郎。

真面目だけど卑屈すぎる【超高校級の家政婦】仕田原奉子。

わがままで風当たりの強い【超高校級の収集家】宝条夢乃。

おどおどしていてビビりの【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳。

気性が荒く猜疑心の強い不良男子の【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律。

ふわふわしていてマイペースな性格の【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ。

傲慢な性格で人を見下した態度の【超高校級の天才】神崎帝。

全てが謎に包まれている美青年のような女子【超高校級の???】枯罰環。

 

 

 

…ええっと、これで全員の自己紹介が終わったんだよな?

すると、その直後だった。

 

 

 

『あー!!あー!!マイクテス!!マイクテスッ!!全員いるよね?オマエラ、大変長らくお待たせしました!!』

 

突然、改札口のスピーカーからダミ声が聞こえてくる。

 

『これより、『希望ヶ峰楽園』の入園式を執り行いたいと思います!!』

 

 

 

 

 

「そうはさせへんぞ!!!」

 

「!!?」

 

突然、閉められていたシャッターを蹴破って人が入ってきた。

現れたのは、背の高い女の人だった。

後ろには、背の高い男の人、清楚な雰囲気の黒髪美女、華奢な男の人が立っていた。

4人とも、お揃いの軍服を着て軍帽を深く被っており顔までは見えなかった。

…もしかして、どこかの軍人か何かか?

 

「大丈夫か、お前ら。」

 

「みんな、もう大丈夫だよ。学園のシステムは全部ハッキングしたから。」

 

「ひぃいいいっ!!?こ、今度は何なの!!?ボク達に何する気!!?」

 

「まあそうなるのもわからなくはないが、一旦話を…」

 

するとその時、突然白と黒に分かれた熊が出てきた。

 

『ちょっとーーー!!何なのオマエラ!?こんなの聞いてないんだけど!?』

 

「うふふっ、そぉーーーれっ!!」

 

黒髪の女の人は、笑顔を浮かべて持っていた斧で熊を叩き割った。

 

「ふふふふふ。爆発さえしなければこんなおもちゃ、怖くありませんわ〜♪」

 

「ひぃいいいいいいっ!!?な、何!?何なのこの人達!?」

 

「みんな、驚かせて悪い。いいか、このままだとみんな死ぬぞ。これは決定事項だ。」

 

「いきなりそんな事言われても……」

 

「俺達は、お前らを保護しに来たんだ。死にたくない奴は、俺達について来てくれ。」

 

「嘘だよ!!みんな、騙されないで!!」

 

そう言って前に出てきたのは、安生だった。

 

「みんな、さっきのクマに誘拐されたのを忘れたの!?この人達だって、僕達を誘拐しようとしてるのかも…!!」

 

「ひぃっ!?や、やっぱりそうだったの!?」

 

「……なあ、安生。お前、何でさっきのクマが誘拐犯やと知っとるん?」

 

「あっ………」

 

…安生?

 

「お前ら。状況が状況で頭がついて来えへんかもしれんけど、ウチらは味方や。信じてついてきてくれるか?」

 

背の高い女の人は、そう言って手を差し伸べてきた。

 

「っ……ふ、ふざけるな!!僕の計画の邪魔はさせない!!」

 

安生は、いきなり車椅子から立ち上がって背の高い女の人に襲いかかった。

だがその直後、黒髪の女の人が一瞬で安生の背後に回り込み、笑顔で安生の首を打った。

 

「がっ………」

 

「あらあら。」

 

黒髪の女の人は、気を失って倒れ込んだ安生を抱えた。

 

「な…なんなんだアンタら!?安生に何をした!?」

 

「ご心配なさらず。気を失っただけですわ。安生さんも黒幕と言えど人間。一瞬でも隙を作れば倒す事は難しくありませんわ。うふ、うふふふ…」

 

な、なんだこの人…

何かスゲー怖い…

 

「ちょっと待ちなさいよ!安生くんが黒幕って…どういう事!?」

 

「説明は後でする。とにかくここにいるのは危ない。とりあえず、みんなバスに乗ってくれ。」

 

「………。」

 

何なんだ…?

何が起こっているのか、理解が追いつかない。

…けど、この人達が嘘をついているとは思えない。

俺は、どうしたらいい…?

 

 

 

「……赤刎くん……信じてもいいと思う………」

 

「…札木?」

 

「この人達が裏切る未来は、見えなかった……」

 

「…………行こう。」

 

この人達が何者なのかはわからない。

でも、俺達は進んでいくしかないんだ。

俺と札木は、バスに乗り込んだ。

俺達がバスに乗ると、4人に促されてみんなバスに乗り込んだ。

全員が乗ったところで、背の高い男の人が運転席に座って発車しようとした、その時だった。

 

 

 

「いたぞ!!脱走者だ!!」

 

「代わりならいくらでも作れる!!殺れ!!」

 

銃を持った武装兵が、こっちに銃を向けて走ってきた。

 

「!!?」

 

「チッ…飛ばすぞ!!しっかり掴まってろよ!!」

 

そう言って、運転席の男の人は思い切りアクセルを踏み込んだ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「…ふぅ。何とか撒いたみたいだな。」

 

「なぁおいオッサン!さっきの奴等は何なんだよ!?」

 

弦野は、運転席の男の人に食ってかかった。

 

「うるせぇなぁ。言っとくけど俺はまだ27だぞ。…ったく、おいお前。説明してやれ。」

 

「え、何でボクが?」

 

「俺は運転で忙しい。気が散るから喋らせんな。」

 

「……わかったよ。みんな、とりあえずよく聞いて。君達は、殺し合うために拉致監禁されたんだ。…いや、正確には、造られたんだ。」

 

「造られた…?どういう事!?」

 

「みんな、今からボクが言う真実を聞き入れる覚悟はある?」

 

「……正直ねぇよ。…けどさ、聞かなきゃいけないんだろ?話してくれ。」

 

「…わかった。よく聞いて。君達、そしてボク達はデスゲームのためだけに生み出されたキャラクターなんだ。」

 

「……えっ?今お前…何つった?」

 

「ボクもキミ達も、デスゲームを欲してる人達に生み出されたゲームの一要素に過ぎない。要は、実在しちゃいけない人間なんだよ。」

 

「はぁ!?ふざけんな!!俺はちゃんと俺としての意識を持ってるし、ここに実在だってしてる!!」

 

「…ふん。下らんな。この俺が紛い物だと?巫山戯るのも大概にしろ。」

 

「ふざけてなどおりませんわ。あなた方が自我だと思っているものは全てコンピューターのプログラム。その肉体は、人工的に生み出されたクローン。あなた方は初めから、殺し合いのためだけに生み出された駒に過ぎなかったのですわ。」

 

「そんな、嘘、嘘…!!」

 

「じゃあ、お父さんやお母さんは!?」

 

「実在しませんわ。」

 

「そんな…」

 

「嘘よ!!ゆめ、そんなの信じないんだから!!」

 

「…ウチらも、初めは信じたなかったわ。」

 

「……え?ウチら『も』?」

 

 

 

すると、俺達をバスに乗せた4人は軍帽を脱いだ。

4人はそれぞれ、聞谷と枯罰と弦野と一にそっくりだった。

 

「……え?ウチ…?」

 

「わたくしが…もう一人!?」

 

「嘘だろ…俺が老けてる…」

 

「ひぃいいいいいっ!!?こ、これってドッペルゲンガーってやつじゃないの!?って事はボク、死んじゃうじゃん!!」

 

「ちゃうわド阿呆。よぉ聞け。ウチらはな、お前らが参加させられとったゲーム初のクリアメンバー。要は生き残りやな。今から10年前の話になるんやけど、ウチらは目が覚めたらいきなりお前らがさっきまでいた施設と同じ施設に入れられとった。それまでに辿ってきた道のりは、お前らと全く一緒や。参加したメンバーも、お前らと全く同じ16人。ウチらは、そこでコロシアイを強いられ仲間をここにいる4人以外全員失った。」

 

「それから、わたくし達は何とかあの檻から脱出したんですの。そこへ最原さんというわたくし達の味方をして下さる方が現れて、彼はわたくし達に居場所をくださりましたわ。わたくし達は、『ダンガンロンパ』というデスゲームをこの世から消し去るため、ゲームの中に登場する組織に因んで『未来機関』という組織を設立しましたの。あの方に救われた御恩は、一生忘れませんわ。うふふふふ…」

 

「聞谷の奴、最原さんに救われて生きる術を教わってからは今までの反動からかハジけちまったみたいでよ。今じゃ、俺ら未来機関の中じゃ一番頼りになるんだよな。」

 

聞谷さんが笑うと、弦野さんはため息をついて呆れた。

 

「ボク達未来機関は、コロシアイのない世界を実現するために製作者側の組織を徹底的に潰して回った。二度とボク達のクローンを生み出せないようにボク達のDNAデータも記憶のプログラムも、製造技術ごと全て葬り去ったと思ってた。…でも、組織はまだデータを隠し持ってたみたいでね。ボク達のコロシアイから10年経った今になって、再びコロシアイが再開したんだ。」

 

「じゃあ、自分達は…」

 

「せやで。お前らは、ウチらのクローンや。…ま、ウチらも初めに作られた人造人間のクローンなんやけどな。」

 

「「「………。」」」

 

「ほんで、本題や。実在したらアカンキャラクターであるお前らには、当時敵の方が多い。ウチらにも仲間はおるけど、それでもいつまで守ってやれるかはわからへん。せやから、あとはお前らの覚悟次第や。地獄を死ぬ気で生き抜く覚悟はあるか?」

 

「………。」

 

全員、俯いて黙り込んだ。

そりゃあそうだ。

いきなり俺達は実在しないキャラクターで、周りは敵だらけなんて言われて受け入れられるわけがない。

でも、それでも生き延びるしかないんだ。

 

「…枯罰さん。俺は生きるよ。例え周りが敵だらけだったとしても、俺は、俺達はこんな所で死ねない。」

 

「アタシも!まだやりたい事いっぱいあるもん!!」

 

「…………俺も、こんな所で立ち止まっているわけにはいかない。」

 

「あたしも、枯罰さん達について行くよ!まだまだいっぱい絵を描きたいし!」

 

「わたくしも、まだ外の世界の事を何も知りませんわ。」

 

「ボ、ボクは死にたくないんだ!!」

 

「ゆめもよ!!【超高校級の収集家】ともあろう者がこんな所で死んでたまるもんですか!!」

 

「……わ、わたしも………」

 

「みんなの言う通りだぜ!!俺達は超高校級なんだぞ!?20人もいれば、どんな困難だって乗り越えられる!!」

 

「……ふん、馬鹿馬鹿しい。そもそも貴様は籤で選ばれただけの無の…」

 

神崎が言いかけると、枯罰さんは神崎の背中をバシッと叩く。

 

「コラ。仲良うせぇよ。たった一人の弟なんやぞ。」

 

「な…貴様、何故それを……」

 

「言うたやろ?ウチらはコロシアイを経験しとる。…神崎、ウチはお前の最期も見とったぞ。」

 

「わたくし達は、もう二度とあなたに目の前からいなくなってほしくないのですわ。」

 

「………。」

 

「え、どういう事!?神崎が…俺の兄貴!?」

 

「設定上はなぁ。お前の母親が離婚前に元旦那との間に作った息子がソイツっちゅうわけや。」

 

「マジかよ…俺、ずっと探してたんだよ!!お袋が兄貴の事心配してたんだぞ!!」

 

「………。」

 

神崎は、漕前が母親の名前を出した瞬間、一瞬だけ優しい目になった。

 

「……ふん、下らん。どうせ存在していないのだろう?俺の母も、お前の母もな。」

 

神崎は、無表情のまま漕前の肩を叩く。

 

「…まあ、せいぜい俺の引き立て役として頑張りたまえ。我が愚弟よ。」

 

神崎は、一瞬少しだけ微笑んだように見えた。

 

「………。」

 

ジョンは、少し離れた所で俺と漕前の事を見ていた。

 

「おい、ジョン。お前も行って来いや。」

 

「……But…」

 

「安心せぇ、もうコロシアイは終わったんや。これ以上、仲間と一線引く必要はあらへんぞ。」

 

「……。」

 

「おい、ジョン!何そんなところで突っ立ってんだよ!こっち来いよ!!」

 

「…ミナト…!Okay,I’m comming!」

 

ジョンは、俺達の方に走ってきた。迷いが吹っ切れたような、スッキリした表情だった。

 

「……。」

 

仕田原は、俺達に加わらずに窓の外を眺めていた。

すると、一さんが仕田原に声をかける。

 

「仕田原さん。」

 

「…何よ。」

 

「君も行こうよ。外は地獄かもしれない。それでも、君達は僕達が守るから。一緒に生きよう。」

 

「ふざけんな。あたしは爆弾魔だぞ?アンタ達と仲良しごっこなんてごめんだね。」

 

「君のその記憶は本物じゃない。君の手はまだ汚れてないんだよ。今ならまだやり直せる。」

 

「じゃあ、行哉さんもいないって事じゃねぇかよ。あたしは、行哉さんがいなかったら生きていく意味がない。」

 

「…そんな事ないよ。行哉さんは、実在しなかったとしても君の心の中で生き続けてる。君が死んじゃったら、行哉さんを覚えてる人は一人もいなくなっちゃうんだよ。」

 

「テメェが知ったような口利くな。」

 

「ごめん……」

 

「…バカバカし。あーあ、もう死ぬのも面倒臭くなってきた。ったく、しょうがねぇな。どのみち行哉さんがいない世界なんてクソだし、こうなったらアンタらと一緒にこのくだらねぇ世界に抗ってやるよ。」

 

何だかんだで、仕田原も協力する気になったみたいだな。

 

「赤刎くん………」

 

「…大丈夫だ、札木。お前は俺が守ってやるから…」

 

「………。」

 

「…………。」

 

「おい、黒瀬、武本。ええんか?」

 

「………俺は、今日初めて会ったばかりだ。札木の側にいるのは、級友の赤刎の方が相応しい。」

 

「うんうん。ボクもみんなが楽しければそれでいいからねー。ボクみたいなトリスタ枠はヒロインポジになれないって相場が決まってるんだよー。」

 

「ったく、この嘘つきが。もうコロシアイは終わったんやぞ。ええ加減、自分の気持ちにくらい正直になれや。」

 

「…これがボクの本心だよ。ボクは、円くんに助けられただけで嬉しかったんだ。だから円くんが幸せならそれでいいの。」

 

すると、いきなり枯罰さんが黒瀬に抱きついた。

 

「…黒瀬。今までつらかったなぁ。せやけど、もうお前を不幸な目には遭わせへん。ウチらがお前に誓ったる。せやから、お前もウチらに誓え。もう二度と、自分を犠牲にしようなんぞ考えんなや。」

 

「………っ、うっ、うぁああああ…!!」

 

黒瀬は、今まで押し殺していた感情が一気に溢れ出したのか、柄になくボロボロと泣いた。

 

「…なあ、そういえば枯罰さん。アンタの才能って何なんだ?さっき、枯罰ちゃんに聞いても教えてくれなくてよ。」

 

「【超高校級の傭兵】。それがウチの才能や。」

 

「よ、傭兵!?」

 

「マジ!?ホントにいたんだ!?」

 

「せやで。こう見えてもウチ、国家レベルの依頼を請け負った事もあってなぁ〜…ま、全部記憶の改竄やったけどな。」

 

「おい!お前、ええ加減にせぇよ。ウチのクローンか何か知らんけど、人の素性をベラベラと…」

 

枯罰は、枯罰さんの肩を掴んで怒鳴った。

 

「…もう任務はあらへんねんぞ。ウチらは、もう罪の意識に苛まれへんで済む。自由に生きてええねん。」

 

「自由に…ウチが?」

 

「おう。お前の人生は、クソ親父のモンでも悪趣味な豚共のモンでもあらへん。お前だけのモンや。自分の生き方くらい、自分で決めろや。」

 

「…………。」

 

「そーいうわけだ枯罰!どうだ枯罰ちゃん、俺と一緒にコンビで芸人やらね!?」

 

「…何で芸人やねん。」

 

「俺、実は将来は芸人かゲーマーになりたかったんだよなー。枯罰ちゃん絶対ツッコミの才能あるって!」

 

「嫌や。しかもお前となんざまっぴらごめんやぞ。」

 

「そこまで言う!?」

 

二人のやりとりを見て、みんな笑っていた。

初めは無表情だった枯罰も、少しだけ微笑んでいるような気がする。

 

 

 

「…………。」

 

ただ一人、弦野だけはみんなの輪の中に入らず運転席の弦野さんの近くに座っていた。

 

「弦野君…」

 

「…るっせぇな。寄ってくるんじゃねぇよ。」

 

筆染が心配して歩み寄るが、弦野は冷たく突っぱねた。

 

「…俺は、お前らと違って生きる理由なんてねーんだよ。今までの人生全部嘘で、これからやりたい事も特に無い。外に出たら地獄なんだろ?俺は、わざわざ外に出てまで生きたいとは思えねぇ。」

 

「…生きる理由なら、これから見つけていけばいい。俺も一度、絶望のドン底に突き落とされた。それでも、生き延びると決めた。…こんなどうしようもない俺なんかを本気で必要としてくれる奴がいたからだ。」

 

「は?何を言って…」

 

「ちなみにその娘、オメーの事好きだぞ。」

 

「「は!!?」」

 

弦野と筆染は、同時に驚いた。

 

「な…何でテメーにそんな事わかるんだよ!?」

 

「言っただろ?俺はお前らと全く同じ道のりを辿ってきた。誰が誰を好きとか嫌いとか、そういうのも全部知ってるんだよ。…それに、さっきからその娘がお前の事気にかけてるのに気付いてなかったか?」

 

「………。」

 

弦野が目を丸くして筆染の方を見ると、筆染は顔を真っ赤にしてそっぽを向いていた。

 

「とにかく、お前は全力でその娘を守り抜け。それがお前の生きる理由だ。わかったな。」

 

「………。」

 

弦野さんが言うと、弦野は覚悟を決めて隣にいた筆染の方へ右手を差し出した。

筆染は、左手を出して弦野と手を繋いだ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

それから一時間程すると、廃ビルが見えてくる。

 

「着いたぜ。ここが俺達の拠点だ。」

 

そう言って弦野さんは俺達を降ろして廃ビルへ案内した。

 

「うわっ、ボロッ…」

 

「穢らわしい…こんな所に人が住めるのか?」

 

「安心しな、これは組織の奴等を欺くためのカモフラージュだ。こんなボロい廃墟に未来機関サマの本拠地があるとは思わないだろ?中はちゃんと整備されてるし、一が開発したセキュリティーで守られてる。見たらビックリするぜ?」

 

弦野さんは、ビルの扉を開けると俺達の方を振り向いて言った。

 

「さて。さっきも言ったが、コロシアイを防いで終わりじゃない。ここからは、ダンガンロンパっつー悪趣味なゲームを求める奴等との戦いになる。生き抜くために戦う覚悟がある奴だけ中に入れ。」

 

「………。」

 

「赤刎くん……」

 

「……行こう。」

 

俺は、札木の手を強く繋いだ。

そして一歩踏み出した。

 

 

 

 

俺達の行き着く先は楽園か地獄か。

それは神にしかわからない。

それでも俺は、俺達は、何度でも絶望に立ち向かう。

何度だって足掻いてやる。

その先にある希望を掴み取るために。

 

 

 

 

 


 

 

 

ー生存者ー

 

【超高校級の講師】赤刎円

 

【超高校級のカウンセラー】安生心

 

【超高校級の天才】神崎帝

 

【超高校級の香道家】聞谷香織

 

【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ

 

【超高校級の幸運】漕前湊

 

【超高校級の???】枯罰環

 

【超高校級のタロット占術師】札木未来

 

【超高校級の家政婦】仕田原奉子

 

【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカー

 

【超高校級の武闘家】武本闘十郎

 

【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律

 

【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳

 

【超高校級のランナー】速水蘭華

 

【超高校級の画家】筆染絵麻

 

【超高校級の収集家】宝条夢乃

 

【元・超高校級の香道家】聞谷香織

 

【元・超高校級の傭兵】枯罰環

 

【元・超高校級のヴァイオリニスト】弦野律

 

【元・超高校級のソフトウェア開発者】一千歳

 

ー以上20名ー

 

 

 

 




これでエピローグも完結です!
ご愛読ありがとうございました!
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