エデンズダンガンロンパ 希望の生徒と絶望の楽園 作:M.T.
探索を終えた俺達は、食堂でミーティングをする事にした。
「それじゃあ早速ミーティングを始めようか。この時間では各自探索の報告、今後の予定や共同生活のルールについて話し合おう。」
そう言って話を持ち出したのは安生だった。
「まずは赤刎君のグループから報告してくれるかな?」
「おう。このホテルは男子の部屋が4階、女子の部屋が3階に用意されてて、部屋はパスポートで開くようになってるらしい。」
「………それと、部屋は完全防音になってるみたい。監視カメラもあった。」
「あとはアレだな。ホテルの地下に部屋があるらしいが、エレベーターは地上階しか止まらないようになってたよ。」
「それと、ミライの研究室を見つけたぜ!」
「なるほど、ありがとう。聞谷さん達の班は?」
「わたくし達は、倉庫を探索しましたの。とても巨大な倉庫でしたので、生活に必要な物は一通り倉庫で揃いそうですわね。」
「はーい!あと、アタシの研究室があった!」
「うんうん、なるほどね。次は枯罰さん達の班の報告、お願いできるかな?」
「ウチは後でええよ。色々ややこしい事なりそうやしのぉ。」
「そうかい?じゃあ、僕が先に報告するね。ホテルの1階にはランドリールームとトラッシュルームとプレイルームが、2階には食堂と厨房があったんだ。ランドリールームは夜時間中使えないらしいから注意してね。」
「食料は毎日新鮮なものが追加されるそうなので、餓死や食中毒の心配は無いそうです。」
「えっと…あとは、一応このパスポートを外部と連絡取れるようにできないか試したんだけど、セキュリティが堅くて無理だったよ…」
「フン、無理だった事をいちいち報告するな。時間の無駄だ。」
「ひっ!ごめんなさい!」
また出たよ、神崎の人を見下す癖が。
「やめろよ神崎。外部と連絡が取れないっていうのは十分有力な情報だ。」
「フン。」
「ええと…続けていいかな。あとね、プレイルームに『モノモノマシーン』っていうガチャガチャがあったんだ。この楽園内にあるモノクマメダルを見つけて遊んでみて、だってさ。」
だってさって…やっぱりあのクマが説明してきたのか。
ホントにアイツどこにでもいるんだな。
「さてと…最後は枯罰さん達の班、お願いできるかな?」
「…ウチらが探索したんは診療所と武本の研究室、あとは楽園を囲んどる壁や。この楽園はな、高さ約50m、一辺が1kmの壁で正三角形状に覆われとる。出入り口どころか起伏もあらへんし、よう見たら逆さにしたロートみたいに建っとるさかい登って脱出するんも不可能や。」
「脱出不可能…というわけか。」
「はーい。あとねー、診療所にも行ったんだけどー、こんなものが置いてあったんだー。」
そう言って、黒瀬は唐突に大人のオモチャの数々を取り出した。
『…なぁ!!?』
その場にいた殆ど全員が、黒瀬のあり得ない行動に目を見開いた。
俺は、思わず席から立ち上がって盛大にツッコミを入れてしまった。
「ちょ!!黒瀬ぁああ!!お前、それどっから持ってきたっつった!?」
「ん?だから、診療所からだよ?」
「いや、何で診療所にンなモンが置いてあんの!?あり得ねぇだろ!!あと、飯食う場所に持って来んのやめろ!!」
「はーい。」
黒瀬の奴…油断ならんな。
というか、アイツは何で恥ずかしげもなく平気でそんなモンを人前に持って来られるんだ?
普通女子ならそういうの抵抗覚えるモンだと思うんだが。
「え、マジで診療所に置いてあったわけ!?セクハラじゃん!信じらんないんだけど!!」
「黒瀬!!アンタ、ゆめにそんな汚い物見せないでよ!!」
「…阿呆らし。それ使うて何を治療せぇっちゅうんじゃボケ。」
「全くですよ…」
現に、速水と宝条はブチ切れ、枯罰と仕田原は冷めた目で見ていた。
「わーん!!黒瀬ちゃん、なんて事してくれんのよ!!あたしもうお嫁行けないよー!!」
「……………。」
筆染に至っては半泣きになりながら手で顔を覆い、札木は顔を真っ赤にして俯いていた。
唯一、大人のオモチャを知らなかった聞谷だけは始終ポカンとしているだけだった。
「…ゴホン、黒瀬さん。発見したものを報告してくれるのはありがたいけど、TPOを弁えようか。」
「ごめんなさぁい。」
すると、枯罰が若干呆れながら口を開く。
「…話、続けてもええか?そないな事より、大事な話あんねん。診療所には応急処置用の医療器具やら輸血パックやらが置いとったで。あとは…薬もぎょーさんあったでな、風邪薬や酔い止めの他にも睡眠薬やら止血剤、造血剤、あとは毒薬もあったな。」
「ど、毒!?」
「ひぃいいいいいぃいいっ!!!な、何でそんな物が置いてあんの!?」
「んなモン、殺人を起こさせるためやろなぁ。」
「Shit!!bad tasteな野郎だぜ!!」
「………でも、処分すれば…………」
あ、そっか。
確かにその手があった。
「あー、もう一個悪い知らせがあんねん。実は、診療所の薬品の破棄はルールで禁止されとる。」
「え?」
「ルールが追加されたんや。ウチもゴミ処理場持ってって捨てよ思たらクマ公に怒られてもうたわ。うっかりルール破ってオシオキされましたーなんざ洒落にならんし、後で全員確認しとき。」
そう言われて手帳を確認すると、パスポートのルールのページには
『七、診療所の薬品の破棄を禁じます』
と書かれていた。
「クソ…」
やっぱり、先手を打たれてたか…
どうやら意地でもコロシアイをさせたいらしいな。
主に黒瀬のせいで危うく収拾がつかなくなるところだったが、今回のミーティングで交換した情報の要点をメモしておいた。
・個室は男子が4階、女子が3階。完全防音になっている
・ホテルの1階にはランドリールーム、トラッシュルーム、プレイルームが、2階には厨房と食堂がある
・楽園全体を壁で覆われているため脱出不可能。外部との連絡も不可能
・食中毒や食料の不足による餓死の心配は無い
・大抵の日用品は倉庫で補充可能
・プレイルームにはモノモノマシーンなるガチャガチャがある
・診療所には睡眠薬や毒薬なども置かれている。診療所の薬品を処分するのはルールで禁止されている
・楽園内のセキュリティは万全で、至る所に監視カメラが仕掛けられている
・超高校級の才能のデータを集めるための研究室が存在。現在開放されているのは札木、武本、速水の3名
・現在探索可能な施設は研究室3か所、ホテル、倉庫、診療所の6つ。
「…とまあ、こんな所か。」
「よし、それじゃあ今後の事について話し合いたいんだけど…僕からひとつ提案があるんだ。」
「提案?」
「ルールに、『夜時間中は個室から出てはいけない』っていうルールを追加しないかい?」
「ルールの追加?安生くん、どうしてそんな事するのよ?」
「だって、寝る時まで殺人の恐怖に怯えてなきゃいけないなんて生活いつまでも続けてたら心が保たないでしょ?せめて寝る時ぐらいは安全を確保しておかないと。」
「……………そうだな。」
「…………わたしも賛成。」
「チッ、勝手にしろ。」
特に反対意見が無さそうだったので、ルールに『夜時間中は個室から出てはいけない』という項目を追加する事になった。
これで少しは殺人を防げるといいんだが…
「それにしても…一体どなたがわたくし達をここへ閉じ込めて物騒な事をさせようとなさっているのでしょうか…」
「…ウチは政界から裏社会まで幅広く顔が利きよるどっかの財団が関与しとると思うけどなぁ。」
「どうして?」
「よぉ考えてみい。ウチら超高校級を16人も誘拐して、こんな大掛かりな楽園に閉じ込めて、ウチらを一生養うだけの物資やライフラインを用意して、さらにそれを大事にならんよう計画する…んなモン、一般人には到底無理な話やろ?少のう見積もっても百億単位にはなるで。…ま、そないなどデカい組織が絡んどるなんざ、正直考えとうないけどなぁ。」
すると、漕前が小さく手を挙げて発言した。
「あのさ、まさかとは思うんだけど…アイツじゃないよな?」
「アイツ?アイツって誰の事だ、漕前?」
「ホラ、アイツだよ。爆弾魔。話題になってただろ?」
爆弾魔か…
そういえば、この前ニュースで話題になってたな。
数年前から無差別に爆発事件を起こし、事件現場に『BOMBER』っていう文字を残して去っていくという相当頭のイカれた連続殺人犯だ。
当時はヤバい系の宗教団体の仕業なんじゃないかとか騒がれてたけど、その正体は誰にも掴めてないらしい。
一部のヤバい奴等の間では、爆弾魔を救世主として崇拝している奴等もいるっていう黒い噂もあるぐらいだ。
「ひぃいいいい!?爆弾魔だって!?終わった!!ボク達、爆破されて木っ端微塵になっちゃうんだ!!」
「まだそうと決まったわけじゃないだろ!!」
「うーん…自分は爆弾魔の仕業とは思いませんけどね。だって、明らかに手口が違うじゃないですか。爆弾魔はこんな大掛かりな誘拐事件なんて起こした事なかったはずです。」
「正体がバレないように今回は手口を変えたのかもしれないじゃない!!」
「落ち着けよみんな!!まだ誰が黒幕だとか決まったわけじゃないだろ!!」
すると、今度は速水が気まずそうに手を挙げた。
「………あのさ、空気読まない事言うようで言いづらいんだけど…」
「何だ?」
「お腹…減った………」
『……………。』
その一言で、俺達はポカンとした表情を浮かべて恐怖やら緊張やらが一瞬で吹き飛んだ。
「あはは…確かにもうこんな時間だもんね。どうする?」
「そのまま食べられそうなのは…缶詰とか飲むゼリーとかスナック菓子とか…ほぼ非常食だけだったからな。」
「えー、ゆめ、そんな物食べたくないわ!でも、どうしよう!ゆめ、お料理なんてできないよぉ!」
「誰かに、全員が全員料理できるわけじゃないもんね。誰かに全員分の料理を作ってもらえるとありがたいんだけど…」
「はい!!自分やります!!」
そう言ってビシッと手を挙げたのは仕田原だった。
「皆さんで一斉に料理すると厨房が狭いですし、自分がやりますよ!!自分、料理は大の得意分野なんで任せて下さい!!」
仕田原は、腕まくりをしながら興奮気味に言った。
家事が生き甲斐の仕田原にとっては、活躍の場ができて嬉しい限りなのか。
「…………あの、わたしも手伝う。」
札木も、控えめに手を挙げた。
「わたしも、料理は…得意………」
すると、顎に指を立てる仕草をして少し考え込むと、枯罰も手を挙げる。
「ウチもやるわ。」
「えー、アンタが料理できるなんてすっごい意外!」
「うっさいわ。ウチ、人の手料理はどないに作ってんのかわからへんから苦手やねん。唾入りの汁モンとか手洗うてへん奴が握った握り飯とか最悪やろ?せやから普段から極力自分で作るようにしとるんよ。」
ん…枯罰の奴、もしかして潔癖症なのか?
「皆さん、アレルギーなどがあったら言って下さいね!!」
「あの…アレルギーっていうわけじゃないんだけど…」
「何ですか?」
「ボク、ピーマン苦手なんだよね…」
一は、気まずそうに言った。
「了解です!一さんのお食事には入れないでおきますね。」
「ゆめも、ニンジンはどうしてもイヤなの!あんなの食べたくないわ!」
「ただの好き嫌いじゃん!」
「お前らホンマガキやのぉ…いちいち喧しいねん。黙って食えや。」
「うるさいわねぇ!!ゆめ、ニンジン食べるぐらいなら夕ご飯いらない!!」
「わかりました。一さんはピーマン、宝条さんはニンジン…と。他の方は何かありますかね?」
「お、俺…実は牛乳が苦手で…」
「おいおい赤刎!お前、好き嫌いしてっからちんちくりんなままなんだぞ!?」
「そぉだよぉ。円くん、ちゃんと牛乳飲まないと大きくなれないよー?」
大きなお世話だ。
俺だって克服する努力はしたよ。
セノビ●クを死ぬほど嫌いな牛乳に混ぜて毎食飲むのはマジで苦行だった。
それでもまだ背が伸びると信じてずっと続けてきたんだぞ。
…なのに何で俺だけこんなにイジられんの?
「それじゃあ、作ってきますね!」
仕田原、札木、枯罰の3人は早速厨房に向かった。
「皆さーん!できましたよー!」
数十分後、厨房からは美味そうな料理が運ばれてきた。
出てきたのは白身魚の甘酢餡かけ、里芋と大根の煮物、菜の花のお浸し、卵焼き、胡麻豆腐、胡瓜の浅漬け、白飯、味噌汁だった。
「お酢は身体にいいんですよー。」
「すげぇ…まるで料亭だな。」
「うぉ…メチャクチャ美味そうだな!!これ全部食っていいのか!?」
「もちろん!どんどん食べて下さいね!」
「わーいっ!!いただきまーす!!」
真っ先に漕前、ジョン、速水の3人が料理をガツガツと食い始めた。
「Yum!!トモコ、ミライ、タマキ!really awesomeだぜ!!」
「うんめぇ〜!!これすごくうめぇな!!店出してもいけるぞ!!」
「おいしーっ!!」
それに続けて、俺達も飯を食い始める。
「美味えな!!さすが仕田原!!」
「すごく美味しいよ、ありがとう3人とも。」
「メッチャ美味しい!!」
「このおみおつけ、お出汁が利いてますわね。」
「ん〜、おいし〜♪」
「………美味い。」
「お、美味しい…」
「あら、思ったより悪くないじゃん。」
「ご好評みたいで何よりです!皆さん、どんどん食べて下さいね!」
3人が作ってくれた料理を堪能する俺達だったが、神崎と弦野だけは一切食事に箸をつけていなかった。
「あれ?どうしたの、二人とも。冷めちゃうよ?」
「…フン、これだから莫迦共は。危機管理能力がまるで無いな。…食事に毒が入っているとは考えなかったのか?」
「ぶほぁっ!!?」
「わっ!?漕前さん、汚いですわ!」
「毒!?ひぃいいいいいいっ!!どうしよう、ボク死にたくないよぉおおおお!!」
「いやぁ!!ゆめ、こんな所で死ぬなんてイヤ!!誰か解毒剤持ってきて!!」
「み、みんな落ち着いて…」
「ほらみろ、やっぱこうなるよな。これだから人の作った飯なんか食いたくねぇんだよ。」
「そ、そんな………」
「誤解です!自分達、毒なんて盛ってません!ちゃんと味見しましたし、食材も安全です!」
「そんなの幾らでも言い逃れできるだろう?貴様等全員がグルで、俺達を騙して皆殺しにしようとしている可能性が全く無いとどうやって証明する気だ?」
「喧しいやっちゃのぉ。神崎はんはビビって何も出来へん臆病者なんか?」
「フン、貴様の減らず口を聞くのも不愉快だ。俺は単独行動を取らせてもらう。貴様等凡愚など全く信用できんからな。」
そう言って、神崎は席を立って出て行ってしまった。
続けて、弦野と宝条も席を立つ。
「チッ、付き合ってられっかっての。俺も一人で好きにやらせてもらうぜ。テメェらと馴れ合うなんざまっぴら御免だ。」
「もうイヤ!!ゆめ、やっぱりアンタ達と一緒なんて耐えられないわ!!」
「おい!!待てよ三人とも!!」
「円、あんな奴等ほっときなよ!」
「そぉだよ。本人達が一人がいいって言ってるんだから、好きにさせてあげればー?」
「っ…けどよ、アイツらに何かあったら…」
「あれだけ好き勝手やりよるんやし、別にアイツらがどうなろうと構わへんやろ。勝手にのたれ死んでくれたら邪魔な奴が消えて清々するしなぁ。」
「…枯罰さん、言い過ぎだよ。」
すっかり空気が悪くなってしまったその時、札木がポツリと呟く。
「…………あの、みんな………ご飯……」
「あ…」
テーブルの上には、食いかけの料理が残っていた。
さっきまでみんな美味そうに食ってたのに、今は誰も箸をつけようとしない。
「…あの、悪いんだけど…ボク、もう食欲失せちゃった…ご馳走様…」
「あ、あたしも…」
すると、仕田原と札木が申し訳なさそうな表情を浮かべる。
「ごめんなさい…自分なんかが出しゃばったからこんな事に…」
「……………。」
「仕田原さん、札木さん…」
その時だった。
「なぁ、いらねぇなら俺が全部食っていいか?」
そう言って、漕前は自分の分の料理を平らげ隣の席の料理にまで手をつけ始めた。
「あ、ちょっと!アタシの分取らないでよ!!」
漕前に料理を食われそうになった速水は、慌てて皿を奪って料理をかき込む。
「お二人とも、どうして…」
「は?どうしてって…こんなに美味い飯残すなんて、どうかしてんだろ!!せっかく仕田原ちゃん達が作ってくれたんだし、俺は腹がはち切れても食うぞ!」
「オレも食うぜ!こういうの、日本語じゃモッタイナイって言うんだろ!?」
「漕前、速水、ジョン…」
「おう赤刎!お前も食え!ちゃんと食わねえから背が伸びねぇんだぞ!」
「なっ…余計なお世話だ!食うよ!!モリモリ食ってお前らなんかすぐ抜かしてやる!!」
「僕も食べるよ。残すのは勿体ないし、夜お腹空いちゃうもんね。」
「なんかみんなが食べてるとこ見たら食欲湧いてきた!あたしも食べる!」
「皆さん…!」
「……………。」
俺達が料理に手をつけると、仕田原と札木は嬉しそうな表情を浮かべる。
結局、食堂に残った13人でテーブルの上の料理は全部平らげてしまった。
「あー、食った食った。美味かったよ、ご馳走さん。」
「皆さん、ありがとうございます!これからも丹精込めてお作りしますね!」
「あのさ、お前らばっかりにやらせんのも申し訳ないし、たまには俺もやるよ。まあ、カレーとか肉じゃがとか簡単なものしか作れねぇけどな。」
「アタシもやるよ!アタシ、たまに料理作るんだよね。」
「…………俺も、上手くはないが一応作れる。」
「オレもcookingはやるぜ!desert island行った時とかな!crocodileのBBQとか、shark soupとかはよく作るぜ!」
ワイルドすぎるだろ!!
「僕もやるよ…と言いたいところだけど、身体が不自由だから力にはなれないかな。ごめんね。」
「あたし、料理はたまにやるんだけど調味料間違えちゃったり必要な食材入れ忘れちゃったり、毎回ドジやらかしちゃうんだ。やっぱり絵以外の才能無いのかも…ははは…」
「俺は恥ずかしながら生活力0なもんで…すまん。」
「ぼ、ボクも…料理はからっきしで…」
「わたくしもですわ。お茶なら淹れられるのですけれど…」
「ボク、お料理大好きだからよくやるんだけどねー、美味しくないって言われるんだー。ひどいよねぇ、シチューに煮干しとシュークリームとデスソースとゴルゴンゾーラとたくあんとジャムと鯖缶とドリアンとセンブリ茶とニッキ飴入れて3時間強火で煮込んだだけなのにさー。」
殺人飯じゃねぇか!!
今のところシチューに入れていい食材がひとつも出てきてないんだが!?
逆に食った奴がいる事が驚きだよ!!
「あとねー、たまに隠し味にそこら辺で拾った小枝とドクダミをクリームソーダと味噌とピーナッツバターで煮込んで取った出汁とか入れるんだけど、知り合いのスタッフさんに食べさせたら入院しちゃったんだー。」
「…それもうジ●イアンシチューじゃねぇか。」
「三角コーナーの方がまだマシなもの入ってると思う…」
「そのスタッフさん可哀想…」
「お前…間違うても厨房には入んなや。最悪死人出るで。」
漕前と一と筆染と枯罰が引き気味に言い、俺達も全力で首を縦に振る。
「えー…せっかく広い厨房があるからお料理できると思ったのになー。」
「あははは…」
黒瀬はホントに恐ろしい奴だな。
何が恐ろしいって、殺人飯を作る事もそうだが自分の料理の腕が絶望的なのを全く自覚してないんだよな。
「それじゃあ、明日は8時に食堂に集合、朝食と全員の安全確認をする事にしようか。」
「そうだな。あー…神崎達はどうする?」
「放っとき。どうせ来ぇへんやろ。」
「そういうわけには…そうだ、後でチャット送っとくか。」
こうして明日に向けた簡単な打ち合わせを済ませた後、流れ解散となった。
さてと…たらふく食ったし、ちょっと散歩するか。
夜時間まではあと2時間弱ぐらいあるし、必要なものを揃える意味でも倉庫に行こう。
◇◇◇
俺は洗面用具を揃えるために倉庫に行った。
こればかりは好みが分かれるから、自分で用意しないとな。
倉庫は、まるでホームセンターかショッピングモールのように広く、品揃えも無限に感じられる程豊富だった。
これなら俺の好みの洗面用具も置いてあるだろう。
えーっと、まずは歯磨き粉を…
…あれ?
ちょっと待て、届かないんだが…
だが、もう少しで届きそう…
あと少し…!!
「これかいな?」
横から枯罰が、俺の取ろうとしていた歯磨き粉をヒョイと取って渡してきた。
「あ、さ…サンキュ…」
「お前なぁ。何で脚立使わんのや。」
「きゃ、脚立を使うのは負けだろ!」
「ウチに取らせる方が恥ずいやろが。」
「ぐ…お前といると余計背が低く見られるから嫌なんだよなぁ…」
「ウチかてお前とおるんは嫌や。お前みたいなドチビとおると余計背ぇ高う見られるでな。こないなデカイ図体、男やと思われた方が都合がええ時以外は何の役にも立たんわ。」
一応気にしてたのね…
少しの間気まずい空気になったが、俺の方から話題を持ち出した。
「…なあ、枯罰。」
「ん?」
「あのさ、今日の晩飯美味かったよ。どうやったらあんなに美味く作れるんだ?」
俺は口角を上げながら尋ねるが、枯罰は相変わらずのポーカーフェイスで返した。
「別に普通や。それを言うなら仕田原と札木に言ぃや。ウチは見張りつつ手伝っとっただけやしな。」
「そっか…あとさ。」
「何や、まだ何かあるんか?」
「ああ…えっと…お前、何でそんなに冷静でいられるんだ?俺は正直いきなりこんなワケわかんねぇ所に連れてこられて、今でも混乱してるんだ。…情けない話だよな。本当はこういう時、俺がちゃんとしてなきゃいけないのによ。」
「せやなぁ。一言で言うなら経験値やな。人間、物心ついた時から色んな事経験しとった方がいざっちゅう時に物事を客観的に見れるようになんねん。経験を積めば、次が予想し易うなる。わかるか?」
「…お前、実はものすごい若々しい60代ですとか言わねぇよな?」
「阿呆か。ウチはまだ15やぞ。」
「15!?嘘だろ!?俺より3つも年下じゃん!?」
「っちゅう事はお前18か。ホンマ、見た目詐欺はお互い様やのぉ。」
マジかよ…
俺より3つも年下の奴がこんなに達観してるなんてな…
今までどんな人生送ってきたらそんな境地に至るんだ?
もしかして、才能と関わってたりすんのかな…
俺は、枯罰の過去について少し聞いてみる事にした。
「…枯罰、あのさ。お前…」
「…。」
だが、俺が何かを言おうとすると明らかにさっきとは違った冷たい目付きで枯罰は俺を見てきた。
…もしかして、今危うく地雷踏みかけた?
「………すまん、何でもない。」
結局、聞きたい事は聞けなかった。
というか、聞かなくて正解だったかもしれん。
よく考えたら、人の過去を詮索するなんて野暮だしな。
「じゃあ、また明日な。」
俺は、必要なものを揃えて倉庫を後にした。
◇◇◇
ふぅ、さっぱりした。
ホテルの風呂も悪くないな。
ジャグジー付きだったし。
お気に入りの石鹸とシャンプーで身体洗ったし、適当にホテルの中散歩したら部屋戻るか。
俺が上機嫌でエレベーターに乗り込むと、途中で札木が乗ってきた。
「…あ。」
「……………。」
「えーっと…札木はこれからどこ行くんだ?」
「あ…えっと………プレイルームに行こうかなって…」
「奇遇だな。なら、行ってちょっと話すか?」
「…………そうね。」
俺達は、プレイルームに行って時間まで話す事にした。
プレイルームにはボードゲームやビリヤード、卓球台、スロットマシーン、クレーンゲームなどが置かれており、暇を潰すには十分な空間だった。
その他にも飲み物の自動販売機や気色悪いモノクマの絵が刻まれた金色のガチャガチャがあった。
スロットマシーンはモノクマのように左右で白と黒に分かれており、説明の貼り紙には『スリーセブンが出たら脱出用チケットを差し上げます』と書かれていた。
「うわ、うさんくさっ。どうせ絶対出ないようになってるよなコレ。」
「……うん。」
俺達は、近くのベンチに並んで座った。
「…。」
「…。」
…気まずっ!!
え、何!?クラスメイトの女子と二人きりってこんな気まずいもんなの!?
列車の中にいた時はそれどころじゃなかったから平気だったけど、改めて札木と二人きりになるとこんなに気まずくなるなんて思わなかったよ!!
うわー…何から話そ…
「…………あの、赤刎くん。」
「お、おう。何でゃ?」
…恥ずっ。
気まずさのあまり噛んじまった。
「……赤刎くんは、わたしと一緒にいるの…嫌?」
「全然嫌じゃねぇよ!…え、札木は嫌なの?」
「……ううん。むしろ………………………」
札木は、ボソボソと何かを言っていたが、普段から声が小さいのにさらに声量を小さくして話しているので全く聞き取れなかった。
何を言っているのか気になったので、間隔を詰めて顔に耳を近づけた。
「?何だ、聞こえないぞ?」
すると、札木は慌てて顔を下に向けた。
「……ううん、何でもない。」
…ん、嫌だったかな?
「あ、悪い。」
「……………。」
札木は、少しもじもじすると俺に話しかけてきた。
「………赤刎くん。わたし達、ここから出られるよね?」
札木が不安そうに聞いてきたので、俺はニカッと笑って返す。
「当たり前だろ。全員で一緒に脱出して家に帰ろうな。」
「……………うん!」
札木は、微笑みながらいつもよりはっきりと返事をした。
その後、時間が来たので俺達はそれぞれ自分の部屋に戻っていった。
そしてそのままベッドに転がり込み、全員で協力し合えば絶対にみんなで家に帰れる、そう信じて眠りにつくのだった。
ー生存者ー
【超高校級の講師】赤刎円
【超高校級のカウンセラー】安生心
【超高校級の天才】神崎帝
【超高校級の香道家】聞谷香織
【超高校級の脚本家】黒瀬ましろ
【超高校級の幸運】漕前湊
【超高校級の???】枯罰環
【超高校級のタロット占術師】札木未来
【超高校級の家政婦】仕田原奉子
【超高校級の冒険家】ジョナサン・ウォーカー
【超高校級の武闘家】武本闘十郎
【超高校級のヴァイオリニスト】弦野律
【超高校級のソフトウェア開発者】一千歳
【超高校級のランナー】速水蘭華
【超高校級の画家】筆染絵麻
【超高校級の収集家】宝条夢乃
ー以上16名ー