魔導英傑伝   作:黒い玄米

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ヨリキの街

「と、言う訳で着きました。キンギ王国有数の大都市、ヨリキ街。」

「?何一人で説明してんだよ。」

「うるさいまず教会寄っとくぞ。」

 

山をいくつか越え、ようやく辿り着いた。

まさに山あり谷ありの険しい道のりだった…。

 

「ここらへん禁足地に近いのに魔獣だのを見かけなかったな。」

「ああ、星教会が街1つ余裕で覆える結界を張ってるからなんだと。

結界とは言っても魔獣の侵入を防ぐ物ではなく魔獣を遠ざける事に重点してるんだよ。だからこそここまで範囲を大きくする事が可能なんだ。ほら、香を焚く方が虫を一匹ずつ処理するより楽だろ?そんで、この結界のおかげで浮いた防衛等の費用を他に回してるからここまで発展してるんだな。しかし全ての街にこの結界を置く訳にはいかないんだ。何故ならコイツは信仰の力をなんやかんやして結界に変えているらしく、起動させるにも持続させるにも大量の信仰の力、まあ信仰力が必要なんだ。それも十人二十人程度じゃ駄目だ。それこそこのヨリキぐらいじゃないとな。だから俺たちの村には当然無いし、他の小さな町にも無いだろ。そもそもこの街が栄えてるのは地理的に見ても「は〜、凄いこったね、そりゃ。」

「ちょっと待て!まだ話の続きだぞ!」

「一々長いんだよテメェの話は!それに早口で何言ってんのかわかんねぇ!」

「しょうがないなー!分かりやすく説明してやるよ。」

「いや、もうお腹いっぱいだからいい。やめてくれ。ところでさ、腹減ったんだけど俺。」

 

おお、歩きながら話していたら取り敢えずの目的地である教会についたな。

随分とまあ立派な建物だな。

見てて飽きない。

 

「教会行ってからな。一応結界張ってもらってんだ。ちょっとぐらい祈ってかないと罰が当たんだろ。」

「はぁ〜、たった一人の空腹もすくっちゃくれねーんだぜソイツはよ。」

「お、炊き出しやってるんじゃないかアレ」

「おお!神よありがとうございます!」

「あっ!ちょっと馬鹿!」

「ははは!神はいたぜーっ!そんじゃバラフト先お祈り済ませといてくれよ!俺は後から行くぜー!」

 

…こんな人混みの中だ。すぐにアイツの姿は消えた。

にしても空腹の時に人は限界を越えれるのかもしれん。バカ速かったぞアイツの動き。

 

…。

お、俺の番だな。

…星教は信仰する神が明確に定められていない特殊な宗教である。

そんな特異な宗教が何故ここまで大きくなったかと言えばひとえにその性質にある。

結界の開発、上等なポーションの量産化、その他諸々の慈善活動。これらの行動を危険視した国はこの宗教を潰すよりも活かす方向に進んだ。

その結果、星教は国教として認められたのである。

…で、アイツはどこ行った?

 

「ほら、たくさん飯食ったんだからそのかわりにキビキビ働きなさい!」

「ウギャーッ!バラフト助けてーっ!」

 

おや、見知った声がすると思ったらアルゴスじゃないか。

シスターさんに追われてるみたいだが何してるんだい?お祈りすっぽかしてさ。

 

「ハァハァ…おや、お連れ様ですか?」

「ええ、まぁ…」

「何だよその苦虫潰したような顔はさあ!」

「いやどうせお前がやらかしたんだろうなぁって…」

「ウッ!」

「…で、何したんだよ。」

「…飯食っただけだよ。」

「嘘つけ絶対やらかしてるぞ!」

「いえ一応、彼が言ったとおりなんですよ…。」

「はい?じゃ何でコイツはこんな目に?」

「食べすぎなんですよ…。」

「…お前、何回おかわりした?」

「…無意味に食べた量を誇る事ほど無駄な行為はないと思わんかね?」

「お前ドカ食いしやがったな!反省して働きやがれ!くのっ!くのっ!」

 

そういえばコイツは村でもアホみたいに食っていた。

おかげで何回か冬場死にかけたのを思い出したわ!

 

「ちょっ!痛ッ!スネ!スネはやめろって!」

「どうも連れがすみませんでした!」

「いえいえ此方こそ熱くなってすみませんでした。炊き出しは人々に施しを与える為に行う物…。

少数が大量に食べてしまうと皆様にいき渡らない事があるかもしれないので、注意させていただきました。」

「ちょ、ちょっと待て!あれ注意ってモンじゃなかったぞ!?バリバリ働かされそうになったんだが!?」

「ははは。昔からタダより高い飯はないってよく言うだろ。観念して働いてこいよ。」

「それでは私はこれで…。」

「すみませんお騒がせしまして。」

「ハァ…チクショウ!欲なんて張るもんじゃねぇな…。」

 

 

…。

その後彼を見たものはいない…という訳でもなく、しばらく、街で奉仕活動をする姿が見られた。

そしてしばらくアイツの食費は浮いた。

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