歪みの先は倉庫だった
「今度は屋内か。俺は火炎剣烈火の加護で寒くはないが、ヴァーリは大丈夫か?」
「手がかじかむくらい寒い」
「お姉さんが温めてあげましょう」
マルタはヴァーリの手を触る
「ひゃっ冷たい。防寒の礼装でしたっけ、ソレ持ってるのよね?」
「ヴァーリ、マルタ殿。貴方達には予備のマントを貸しておこう。二人が無闇に体を冷やしてはよくない」
パーシヴァルがマルタとヴァーリにマントを被せる
「まあ、紳士だわ。ありがとう、サー・パーシヴァル」
(ちぇー。あたし達は?)
(お前は戦士の女王だから同類騎士判定と見た。ちなみにアタシはふさふさあったか判定と見た)
(あ、そーいう。なるほどね)
「今回は倉庫か。屋内である事に意味はあるのか?」
『エミヤ、チーズの倉庫ってこんなに寒かったか?』
「プロセスチーズであれば、冷却の工程があるにはあるが…」
「あー、それな。寒いよなー。ゴールデンに気合入れねえとな、っと!」
やってきたのは、金時とスパルタクスだった。今回のナビはこの二人か
「よっ。トーマとヴァーリ!」
「零下という圧制にも我らが負ける事は無い。そうだろう?」
「ここのナビはお前らか」
「おう、オイラ達だぜ。寒いトコによく来たな!ま、思うさま食材をゲットしていくといいぜ」
「わあ、大きい二人ね!普段からよくご飯を食べてるのね、偉いわ。二人共こっち来て。いらっしゃい」
「「?」」
「ほらほら、いらっしゃい」
マルタは二人の頭を撫でる
「何だこれ?」
「これは圧制…ではない。だが圧制は在るのだ、間違いなく此処には圧制の気配が満ちているのだから!」
「スパルタクス、圧制感じまくってる?」
「女王にルーンで無理矢理引っ張ってこられた、とすれば、意に沿わぬ圧制と言えば圧制だな」
そうだったら災難だな
「圧制とは幅広いものだね…。しかし、かの東方の頼光四天王の坂田金時に、反逆の英雄スパルタクスとは。不思議と言えば不思議な組み合わせだ。それでいて力強く、頼もしい!」
「そうかい?オレっちはスパルタクスの旦那とウマ合うぜ?」
「最初はガレス、次に鬼一殿とブラダマンテ殿…。そして今回は坂田金時殿とスパルタクス殿。何か、意図のある人選なのかな?」
エミヤは何か閃く
「エミヤ、何か分かったのか?」
「いや、単に連想しただけだが―――ガレウのエリアには、求道者然としたボスエネミーが存在した。鬼一法眼とブラダマンテのエリアには、ランサー霊基のボスエネミー。鬼一法眼は一時的にランサー霊基になっていたな?」
「ナビに対応したボスがいるってわけか」
「いや、単に連想しただけだ。根拠は薄い」
「結構いいセンいってるんじゃない?じゃあ…今回は、金時とスパルタクスに対応する何か?バーサーカー系かな?」
「バーサーカー?チーズの連中はバーサーカーじゃねえ筈だ。アンタ達、チーズ探しに来たんだよな?とびきり美味いチーズをさ」
「いや、卵を探しに来ただけだ」
「卵?…チーズじゃなくて卵?」
「圧制か!」
「いやー、寧ろ圧制より叛逆になりそうだぜ。喜べ旦那!」
叛逆?
「へ。どゆこと?」
「卵を探すのが、叛逆になるの?」
「いやそれがよォ…。ここにいるのは大半がチーズのエネミーだ。見渡す限りチーズだろ?だから、その辺うろついてんのもやっぱチーズさ」
「とびきり美味い卵が欲しけりゃ話は別だ。覚悟しときな!美味い卵は、特別にゴールデンだ!無数のチーズの先に、ゴールデンエッグがいやがる!すこぶる強敵だぜ―――言わば、エリアの支配者だ!」
「圧制ィ!」
「!?」
「ああそうさ、圧制っちゃ圧制さ。そのゴールデンなエッグは、支配の証として、魔力ごと、周囲の温度を吸い取っちまってるのさ!だから此処は
「…熱や魔力を吸収する性質があるのか」
『そうなると早く倒さないと、俺らが氷漬けになってしまう』
それもそうだな。…凍結能力欲しいなぁ
「強敵のようだ。これは、腕が鳴るというもの。だが―――まずは無数のチーズとやらが先かな!トーマ、ヴァーリ、来るぞ!」
チーズエネミーが来る
「周囲に魔力反応、ってね!お熱い歓迎みたい」
「やるぞ!」
「おー!」
「卵への道を切り開く!行くぞ!」
「お料理頑張っちゃうぞ~。来なさい、タラスク!」
「「変身!」」
俺はベイルに、ヴァーリはライブに変身する
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俺らはチーズのエネミーを倒す
「…ふむ。こんな所か。それなりの歯応えではあったが、難敵と言うには些か脆い。チーズ、故かな」
「チーズにしちゃ硬かったけどね!あー、手が痺れた」
「殴っただけで粉砕したのに?」
『ベイルのスペックが異常なんだよ。骨格にダメージが行ったり、連撃で腕が最悪自壊するのに』
これはサーヴァントの皆が俺を鍛えてくれたお陰かもな
「俺としちゃ、射撃の訓練になったけどな」
(皆さんお疲れっした。あ、スープどうですかスープ)
俺とヴァーリは変身解除してスープを飲む
「あ、うまい」
「ホントだ」
「(ズズズ)ンマ~イ!短時間でドンドン腕を上げているな!エプロンの聖女、恐るべしだワン!」
「え、そう?お外で料理するのに慣れて来たっていうか…。この事コンビネーションが出来てるのかも。ありがとね、タラスク」
(こちらこそ!)
「よしよし。いい子、いい子」
(いつもこの霊基に…いやなんでも)
「へ。何?」
んで、俺らは移動を続ける
「さて、それなりに移動してきた筈だが、どうかな。坂田金時、スパルタクス」
「叛逆の意志は人々それぞれの胸の中にあり、支配者は常にそれを蹂躙せんと狙っているものだ。戦いは激しく、道は長い。しかし諦めるな、同志達よ」
「まだ先なのかな?それとも…」
「それとも、の方だぜ。チーズの群れはここまでさ。いやはや、あっという間に突っ切るとは大したもんだ。ここから先はまさに、諦めずに戦え―――だ。死ぬ気で頑張るこった。ここの卵はただの卵じゃねえ。ゴールデンエッグ!奴は、なんつーかガチだ!気を引き締めて戦うこった!スパルタクスの旦那もそう言ってる!」
「諦めるな同志達よ!」
「よし、卵をゲットするぞ!」
「ええ!」
ズゥンという音が聞こえ、俺とヴァーリは変身する
「来た来た、尻尾にビーンと来たぞ!あっちに大型の魔力反応アリ!」
「―――来るよ!さあ、叛逆しちゃおっか!」
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どうにかして巨大卵を倒す
「我を倒すか。人間。美事。美事である。ならば我が食材、我が誇り…。最高の料理にして…美味しくいただいてくださいね?」
「ぜえ、はあ…。私は皆の横でお料理してただけだけど、何だか凄かったのは、分かるわ」
(料理しつつダメージ与えてますけどね)
「約束するわ。貴方を使って…。ううん、貴方達食材皆、皆!とびきり最高に美味しい料理にするわ。ありがとね!」
巨大卵は笑う
「わ、笑ってる?」
「本懐という事なんだろう。あのサイズの微笑、凄まじい迫力があるが…」
「騎士道とは違うかもしれないが、堂々たるものだ。私としても何か得るものがあるよ」
「そ、そう?ホントに?」
「ああ。本当だとも」
「では…さらば…さらばだ…諸君!美味しいエッグベネディクトにしてね…!」
『まさか半年で二度も卵と戦う事になるとは…』
「世も末だな…」
「しばらくコロンブスの顔、見たくねぇ…」
巨大卵が大量の食材に変わる
「おお!巨大卵が、大量の食材に…!」
「おお、おお!圧制者であった支配者が皆の糧となっていく…。比喩ではなく真の意味で糧となるとは…。なんと美しい光景か…」
「今度こそ一件落着だワン!」
「いや、まだ3エリア目だからな?メインもまだだしさ」
「しかし、ここまでの量の食材とは素晴らしい。職員やサーヴァントに振るまって余りある量の卵!」
「検品しておこう。ん―――」
エミヤは解析する
「どう?どうかしら?」
「黄身も白身も、品質は最高だ。鮮度も申し分ない」
「やったあ!」
「へへっ。じゃ、オレ達はここまでだ。次のエリアでもうまい事やってくれ、二人共!それに、サンタ役のマルタの姐さん!クリスマスパーティーっての、楽しみにしてるぜ!」
「次なる叛逆、新たなる叛逆を!見事成し遂げるがいい!」
「ええ!楽しみにしていてね!」