対魔忍者と極道兵器   作:不屈闘志

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Weapon 11 人間核野郎 前編

将造が戦車で大暴れをしているころ、将造達がいる中央ビルからわずかに離れたビルの廊下で、素早く動く複数の影があった。

 

先頭の影が、後ろの影達に向かって叫ぶ。

 

「警備室のコンピューターによれば、核ミサイルは恐らくこのビルの最上階に配備されているはず!急ぎましょう!」

 

「「「「了解!」」」」

 

影達の正体は、今回の作戦の要であるアサギ率いる核ミサイル解体班である。アサギ達は、まず臨海新都心に建つ複数のノマドビルを管理している警備室に侵入して、すべてのビルの配置図を手に入れた。配置図によれば、このビルの最上階には謎の空間が有り、アサギはそこが核ミサイルの収納庫であると確信したのだ。

 

しかし、その時…

 

ズドオオオォォォン!!!!!!

 

いきなりビルの外から、耳をつんざく轟音が聞こえてきた。

 

「「「「「「?!」」」」」」

 

その音を聞いたアサギ達は、思わず立ち止まった。

 

「な、なんだ!さっきの音は?!」

「まさか、俺達の行動がバレたのか?!」

「いや、しかし?!予定ではこんなに早くは…」

 

いきなりの轟音に対魔忍達に動揺が広がるなか、アサギのすぐ後ろに付いていた紫も不安げな顔でアサギに問う。

 

「アサギ様、あの音は?」

 

問われたアサギも聞いたことがない轟音なのだが、その場を静めるため口を開こうとしたとき、狼狽える対魔忍達の中から不釣り合いな冷静な声が、紫の問いに答えた。

 

「あれは、戦車の砲弾の音だな。戦場で何回か聞いたことがある。」

 

周りの対魔忍達が静まる中、一人の笑顔の男が前に出てくる。その男はアサギ達が着ている対魔スーツではなく、軍人のような迷彩服を着ていた。岩鬼組の拓三である。

 

「それが本当だとしたらまさか…」

 

「ああ、100%…若が戦車に乗って暴れている。」

 

拓三もいつもの朗らかな笑顔ではなく、わずかに頬がひきつった不安そうな笑顔だ。

 

「海座め、まさか戦車まで持ち込んでいたとは…わかったわ。気付かれていないなら、私たちはこのまま先を急ぎましょう。」

 

急ごうとしたアサギに紫が、不安げな顔のまま再度問う。

 

「アサギ様、おそらく岩鬼将造は陽動など考えずに本気で暴れています。一度、静流に連絡を取ってみませんか?」

 

「やらせとけばいい。あれは極道が勝手に暴れているだけよ。それに騒ぎが大きくなれば、それだけこっちが動きやすくなるわ。」

 

そう言ってアサギは紫を納得させ、他の対魔忍達と再び屋上を目指し走って行った。

 

拓三もアサギ達に付いて行くが、笑顔ながらも一筋の汗を流して呟く。

 

「なら、いいスけど…若は一筋縄ではいかないっすよ。」

 

 

場面は戻り、将造、三太郎、静流がいるビルでは…

 

「うわーーーー誰か止めてくれぇっ!!!」

 

ズドオオオォォォン!!!!!!

 

「「「「ぎゃああああああァァッッッ!!!!!!」」」」

 

マッスルジョーを体の芯までバーベキューにした将造は、白々しい悲鳴を上げながら周りのチンピラやオークを砲撃の的や下敷きにして、器用にビルの上階へと登っていた。

 

戦車内は、将造が上半身を車外に出しながら行き先の指示を、三太郎が操縦と砲撃を、最後に静流だが、彼女は戦闘の真っ只中にいながらも、襲いかかる敵は楽しそうな前の二人が即座に殲滅してしまうので、特にすることがなく後ろの座席で暇そうにしていた。

 

やがて静流は、マッスルジョーを倒しても、下手な演技を続ける将造に呆れ顔で喋りかけた。

 

「もうそのわざとらしい悲鳴上げるのを止めなさいよ、岩鬼。どんな馬鹿でも、もう貴方がわざと攻撃してるってわかってるわよ。」

 

「……」

 

静流の極めて真っ当な意見が耳に入った将造は、演技を中断して戦車内に入り静流と向かい合った。

 

「?!」

 

その時の将造の顔を見た静流は、一瞬背中がゾクリとする。何故なら将造の表情は、彼女が知る同じ対魔忍でありながらも、サディストと敵味方からも恐れられる『相馬成美』や『羽鳥志津香 』とは比べ物にならない程、楽しみと殺意に満ち溢れた顔だったからだ。

 

「ぬしはわかってないのぉ。どんな喧嘩でも、楽しんでするのが良いんじゃろうが!」

 

将造の答えを聞いた静流は、さらに背中に震えが走る。

 

(喧嘩?!下手をしたら日本で核爆発が起こるかもしれないっていう、対魔忍でも類を見ないほど危険な作戦を喧嘩と言い切るの?それにいくらノマドの者達といっても、あんなに心底楽しみながら殺す行為は…やはり、アサギさんには悪いけど、こいつは信用ならないわ。)

 

「………作戦、忘れないでよ。」

 

「ああ、任しとかんかい!」

 

静流は、心中を悟られぬよう表情を崩さず、また車外に上半身を出す将造を見送った。

 

数分後、砲弾を撃ち続け、辺りの敵を一掃した将造は、周りの壁や装飾品も破壊しながら、さらに上階へ進もうとしていた。

 

「うわーーーーどけどけぇ!!」

 

相変わらず勝手に戦車が動いて困っている風な悲鳴を上げながら、将造がこの階を突っ切ろうとしたとき、前方の煙のなかで佇む人影が見えた。

 

「!!」

 

その影を見た瞬間、将造はわずかに驚きの表情に変わり、直ぐ様三太郎に指示を出す。

 

「止まれ!三太郎!」

 

「は、はい!!」

 

急な将造の停止命令に混乱しながらも、三太郎は言われるまま思い切りブレーキを踏んだ。戦車は鈍い金属音を響かせながら、緊急停止をする。

 

ギギギギギギギ!!!!!!!

 

「キャア!!」

 

いきなりの緊急停止に静流は、咄嗟に周りの機械類を掴み、前につんのめることだけは耐える。

 

ガタンッ!!!!!!

 

数秒後、戦車は完全停止した。

 

体勢を立て直した静流は、何事が起こったのかを確かめるため、将造の横から自らも上半身を出して前を確認する。

 

「岩鬼?いったいどう…し……?!」

 

砂煙が晴れて影の正体を確認した静流は、驚きのあまり声を失った。そこには今回の標的である人間核野郎の海座が立っていたからだ。

 

目の前の海座は、すぐ前方に戦車がいるのにもかかわらず、焦ったり驚いたりといった表情を見せずに無表情で悠然としている。

 

「貴様ら、止まったところをみると俺が殺されれば、どうなるか知っているな!!」

 

「そこをどいといたほうが良いぜ。また動き出すかもしれんぞ!」

 

将造もそんな悠然とする海座を物ともせず、笑顔で挑発をする。

 

「やってみろ、チンピラ!!貴様にそれほどの度胸があるか?日本国を吹っ飛ばすだけの根性はてめーにはねえよ!」

 

将造は、海座の言葉を聞いても笑顔のまま表情を変えない。しかし、目だけは段々と血走り始め、低い声で三太郎につぶやいた。

 

「三太郎…」

 

「若?!」

「岩鬼?!」

 

その声が何を指示しているか、三太郎と静流は一瞬で理解し、背中に冷や汗をかき始める。

 

海座は、将造の変化に気づかないのか、さらに挑発を続ける。

 

「最初から人間ってのは、持ってる器が違うんだよ。お前らクズは、俺の前にひれ伏すしかないんだよ。」

 

「三太郎!」

 

先ほどよりも鋭い声で将造が叫ぶ。

 

「若!だめだ!」

「挑発に乗らないで!岩鬼!」

 

二人が、必死に将造を説得する。

 

「俺の前に跪け! 今の貴様に出来ることはそれだけだ!!」

 

「三太郎!どけぇぇッッーーー!!!!!」

 

「うわぁ?!」

 

ドカッ!

 

海座の跪けという言葉で遂に堪忍袋の尾が切れた将造は、勢いよく車内に入り、三太郎を突き飛ばして自ら操縦席に座った。

 

「だったら、貴様の器がどれほどか見せてもらおうかい!!!うお~ぶっ殺してやる!!!」

 

ギュルルルルル!!!!!!

 

海座に向かって将造は、戦車を迷わず急発進させた。

 

「若~やめて~!!奴は人間核爆弾じゃ。奴を殺せば核がある臨海新都心が吹っ飛ぶ~!!」

 

必死な顔で三太郎が、操縦席から将造を引きはがそうとするが、将造は少しも動かない。

 

「いけない?!」

 

静流も焦った顔で、将造を追って車内に入った。そして、人間を一瞬で眠らせる忍法を発動させようとする。

 

この作戦に選抜され、静流が岩鬼とチームを組まされたのは、彼女が経験豊富な対魔忍であるという理由だけではない。彼女は対魔忍であるとともに博士号をいくつも取得している植物学者でもあり、人体にあらゆる影響を及ぼす植物を操ることができる。ゆえにもし将造が海座相手に暴走し、言葉や力で制止できない時は、忍法で無理矢理にでも行動を停止させる影の任務をアサギに命じられていたのだ。

 

(アサギさん…やはり、岩鬼と私を組ませたのは正解でした。ここは二人を眠らせた後で、護衛がいない海座もついでに『ガタッ!』うあッ?!)

 

静流が忍法を発動させようとした時、戦車がいきなり後ろに傾いた。海座の前の瓦礫に戦車が勢いよく乗り上げたのだ。 迂闊にも静流は体勢を後方に崩してしまい、将造を眠らせる忍法は不発に終わってしまう。

 

「しまった!!」

 

前部が浮いた戦車は、そのまま前にいる海座に壁のように迫る。

 

「ふふ、やれるか? チンピラ?」

 

それでも海座は直立不動で微動だにしないが、容赦する将造ではない。

 

「核が怖くて、極道がやってられるかぁぁぁぁ!!!!!」

 

グシャァァァッッッ!!!!!!!!

 

浮かんでいた戦車の前部は、重力に従い落下し、そのまま海座を踏みつぶした。

 

海座を殺してしまったことを車内から察した三太郎と静流は、血相を変えて叫んだ。

 

「あかん!核爆発やぁぁッ!!!」

 

「きゃあああああ!!!!!!!」

 

二人は、数秒後に来ると思われる熱風や放射能を予測して、無駄ながらも体と頭を伏せた。

 

………………しかし、何秒経っても何も起こらない。

 

エンジン音だけが響く戦車内で、将造が一言つぶやく。

 

「舐めたまねしくさりおって。」

 

将造の声を切っ掛けに頭を上げた静流は、自分の周りをゆっくりと見渡した。戦車内の機器はどこも壊れておらず、隣にはまだ三太郎が体を伏せており、前の将造は体を伏せる前と変わらず操縦席で前を睨んでいる。周りの安全を確認した静流は、次に勢いよく将造に詰め寄った。

 

「岩鬼ィィッッッ!!あなた、今回の作戦聞いてなかったの?!結果だけを見れば海座の核は、嘘だってわかったけ…」

「騒ぐな!前をよく見ぃ静流!」

 

生徒には絶対に見せない怒りの表情でまくし立てる静流を将造は一喝した。

 

静流は、まだ言いたいことがありそうな顔をしながら、将造の視線を追うと前方に戦車に押し潰されて千切れた海座の生首が転がっているのが見えた。普通の人間の生首なら、血が滴り骨が飛び出しているはずだが…

 

「あれは?!」

 

海座の首からは、血や骨ではなく電気コードと金属片が飛び出していた。

 

「あれは人間でもサイボーグでもねぇ、只の人形じゃあ!」

 

轢いたはずの海座は、スピーカー機能を備えた精巧な人形だった。

 

静流は驚きの顔で、視線を人形の首から将造に戻す。

 

「岩鬼?貴方は、最初から海座が人形だって解っていたの?」

 

「当たり前じゃ、奴の目は最初から死んどったわい!!」

 

将造は不敵な笑みを浮かべて、自信満々に静流に言い切った。

 

「さすが若じゃ!」

 

三太郎も伏せた体を起こしながら称賛する。

 

しかし、興奮する三太郎に対して静流は、冷静に一連の将造の行動を思い返す。

 

(まさか?あの視界が悪い状況のなか、目の前の海座を精巧な人形であると一瞬で見抜いたというの?!対魔忍の私を差し置いて!本当だとしたら、こいつは対魔忍以上の…ん?)

 

「あんなもんで、ビビって安く見られてたまるか…」

 

未だに人形相手に啖呵を切る将造を静流が目を細めてよく見ると、手が『カタカタ』と震えている。さらに顔を見れば、不敵な笑みを浮かべてはいるが、その笑みは少しひきつっている。

 

「あ、貴方まさか、本当は人形だと気付かずに挑発されたからって、その場のノリと勢いで海座を殺そうとしたんじゃ…」

 

ピタッ!

 

静流の言葉を聞いた瞬間、図星を突かれたかのように将造の動きが止まった。

 

三太郎もそれに気付き、称賛を止めて珍しく青筋を立てて将造に詰め寄る。

 

「若!あんた本当に人形だと知ってたんですか!ただ、静流さんの言うように意地を張っただけじゃあないんですか?!」

 

「ば、バカタレ?!ぬしら、なんてことを言うんじゃ?!」

 

二人の問いに将造も珍しくわずかに狼狽えた様子を見せる。

 

さらに二人が将造を問い詰めようとした時、それを遮るかのような笑い声が響いた。

 

『ふふふふふ……』

 

「「「?!」」」

 

三人は即座に言い争うのを止め、声の出所を確認する。

 

『流石、要塞ビルを爆破し、マッスルジョーを倒すだけのことはあるな。誉めてやるぜ……』

 

音の出所は、戦車のすぐ前方に転がっている人形の生首からであった。

 

『しかし、お前達もそこまでだ。大人しく戦車から降りて降伏しろ。今のお前達が助かる道は、この海座の足下にひれ伏すしかない。』

 

「へへへ、お前こそ俺の前に出てこいや。チ◯ポ舐めさせてやるぜ!!」

 

いつの間にか将造は狼狽えるのを止め、また不敵な笑みに戻っていた。

 

『それ以上やれば取り返しがつかんことになるぞ。』

 

「俺は取り返しがつかんことは大好きなんだ!!カッコつけてねえで、やってみろォォッッッ!」

 

そう言い切った将造は、アクセルを踏んで再び戦車を前進させようとした瞬間…

 

ドゴォォォォン!!!!

 

踏み潰されてバラバラになった人形の手足が一斉に爆発した。

 

「うわぁ?!逃げろぉ?!」

 

いつの間にか戦車に近付こうとしていたオークやチンピラは、急いで遠くに逃げる。

 

彼らが逃走するのも無理はない。爆発の威力は凄まじいもので、戦車下の床のコンクリートが即座に太いヒビが入ったほどだったからだ。

 

ビキビキビキ……ガラガラガラ!

 

「ヒィィ!」

「あわわ…」

「うわぁ!」

 

やがて超重量の戦車は、逃げ遅れた者達とともに下階に飲み込まれていった。そして、さらに戦車は下の階で止まらずに20m程の穴を開けながら次々と床をぶち抜いて行く。

 

ドゴォォォッッッ!ドゴォォォッッッ!ドゴォォォッッッ!

 

そして、元居た階の四階下でやっと落下は止まった。

 

海座の兵達が遠巻きで見つめるが、戦車は落下の衝撃で故障したのか、エンジン音がせず、中にいるはずの将造達も出てくる様子もない。その不気味な静寂さにゾロゾロとチンピラ達が戦車に近寄るが、誰も手出しをしない。

 

「死んだかな?」

「生きていたら怪物だな…」

 

「なら、念のためにこいつをぶちこんでやるぜ!」

 

戦車に近付く者達の中で、様子見にしびれを切らした軍人風のオークが、戦車によじ登る。そして、体にいくつも巻いている手榴弾の一つをハッチを開けて投入しようとした。

 

しかし、その瞬間…

 

『待てーー!!』

 

放送用のスピーカーから、海座の声が響いた。

 

場面変わって、ビル内の要所を映しているテレビ画面がある部屋。そこで本物の海座は、側近達と将造達の一部始終を見ていた。

 

「まずは生死を確かめろ!生きていたら、俺のところへ連れてこい!」

 

海座の言葉に慌てて側近の一人が、海座を諌める。

 

「止めろ海座!岩鬼将造は危険な奴だ。何をするか、わからんぞ!」

 

海座の側近達もマッスルジョーを倒すのを含めた将造の大暴れの一部始終を見ていたのだ。

 

「心配するな。この国に俺に手を出せる奴などおらん。」

 

「いや、しかし…ハッ?!」

 

側近達は海座の顔を見て声を失った。

 

海座は、声こそ冷静そうに取り繕っているが、表情の方は怒りの色に染まっていた。何故なら、核爆弾のスイッチを体内に持つ自分に対して、今までどんな魔族や人間でも手出しが出来なかった。しかし、あろうことか対魔忍でもない只の極道が、自分を模した人形相手でも少しも恐れずに破壊したからだ。故に自分の前に引き摺りだし、死ぬ前に恐怖を与えなければいけないと考えていたからだ。

 

「いるはずはないのだっ!!いてはいかんのだ!!」

 

そう海座が叫んだ時、海座達の後ろにある警報器がけたたましく鳴り始めた。

 

慌てて側近の一人が、近くのコンピューターを操作する。

 

「海座!他のビルに侵入者だ!」

 

報告を受けた海座は、一旦、オークの指示を止め、急いで他のビルの者達に指示を出し始めた。

 

「やはり、他の奴等もいたのか!急いで警備のドローン達を起動させろ!」

 

 

 

 

一方、戦車の落下場所では、スピーカーからの海座の指示が止まってしまったため、手榴弾を投げ入れようとしたオークと周りの者達は、どう動けばよいか分からないでいた。

 

「指示が途絶えちまった。」

「どうすればいいんだよ?」

 

ハッチを半開きで手榴弾を振り上げたままのオークが、隣の者と目を合わせた瞬間…

 

ガバッ!!

 

「うわぁ!」

 

ハッチが勢いよく開き、二本の腕がオークを戦車内の暗闇に引きずり込んだ。

 

バチン!

 

そして、そのままハッチは、閉まってしまう。

 

「奴ら、生きてたんだ!」

「引きずり込まれたぞっ!」

「早くハッチを開けろぉ!」

 

チンピラ達は、将造達が生きていたことにあわてふためき、急いでハッチを開けようとした時だった。

 

「ウオオオオォォッッ!!!」

 

ハッチは自ら勢いよく開き、雄叫びを上げながら、将造が巨体であるオークを軽々と頭上高く持ち上げて現れた。

 

「わし特性の爆弾を食らいやがれぇ!」

 

将造は、少しの怪我も負っておらず、持ち上げているオークを人がより密集している場所へと思い切りぶん投げた。

 

「ムググググウウウ!!!」

 

「み、見ろ…手榴弾だぁ?!逃げろぉ!」

 

投げられたオークが空中から迫るなか、視力が良いチンピラが悲鳴を上げる。元々オークが持っていた手榴弾が、ピンを抜いた状態で、限界まで口内に詰められているのが見えたからだ。気づいたチンピラや他の者も逃げようとするが、もう間に合わない。

 

ドワォォッッッ!!!!!

 

「「「「「ギャアアアア!!!!」」」」」

 

二十以上の手榴弾が一気に爆発して、投げられたオークはもちろんのこと、十数人がまとめて吹き飛んだ。

 

「おら~行くぞぉ!」

 

その爆発を皮切りに将造は、何故か三太郎を抱えて上げて戦車から飛び下りた。静流もそれに続く。

 

「若ぁ、わしのことは放って行って下さい~!」

 

三太郎が情けない声を上げる。実は戦車が落下した時、将造と静流は受け身を取り無事であったが、三太郎だけは痛みで歩けないほど足首を捻挫してしまったのだ。

 

(へぇ…足手まといの部下は、容赦なく見捨てるタイプだと思ったけど…)

 

静流は、三太郎を抱えあげて走る将造を見ながら、心の中で少し見直した。だが、その考えはすぐに砕かれることとなる。

 

「やろ~!」

「死ねぇ!」

「囲めぇ!」

 

ダダダダダダダダダダ!!!!!

 

三人を爆発から免れた者達が、容赦なく将造達を銃撃し始めた。

 

「若ぁ!わしは足手まといです。気にせず見捨ててください!」

 

「馬鹿たれ!三太郎、まだぬしは役に立つ。」

 

将造は、三太郎を励ましながら素早く移動する。彼を銃弾の盾にしながら…

 

「お前はわしの盾じゃ!」

 

「ヒェーー?!」

 

同じく銃撃を避ける静流は、その様子を見て自分の考えの甘さに苛立ちながら、将造に怒鳴る。

 

「ちょっと!!岩鬼ぃ!なんてことをしてるのっ!」

 

「五月蝿いわい!そこの身を隠せる壁に行くまでの間だけじゃあ!」

 

だが、銃弾を防ぐ壁の影に行くまでに更なる敵の集団が現れ銃撃に加わろうとする。

 

「奴らは、武器を持っていないぞ!」

「うぉーやっちまえ!」

 

その一団をいち早く確認した将造は、左腕の手首に齧り付きながら、右手だけで三太郎を壁の影に放り投げた。

 

「すんません!若ぁ!」

 

将造は、空中で謝る三太郎を目で追うことなく、真正面の敵を睨みつけながら、素早く口で左手の義手を外しにかかる。

 

「「「「「「?!」」」」」」

 

何も武器を持っていないと高をくくっていたチンピラ達は、将造の左手が義手であることに驚き、さらにその中から出てくる物に驚愕する。

 

「わしを誰やと思うとる!!!」

 

将造が、左腕をくわえながら、中から出現させたマシンガンを周囲に晒して宣言する。

 

「極道兵器やどぉぉッッッ!!!」

 

ズガガガガガッッッ!!!!

 

「あぐっ?!」

「ぎりっ?!」

「がぁんっ?!」

 

何も武器を持っていないと勘違いをしていたチンピラやオーク達は、将造のマシンガンを真正面に受けて吹き飛んだ。




気が付いたら、アークも最終回…次は極道兵器をアニメ化して欲しい。対魔忍RPGのアニメ化でもいいですけど…
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