見習い巫女2人   作:花見崎

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邂逅

「素質、強さを取っても恐らく歴代の巫女の中でもトップクラス。まさに天才とでも呼ぶべき逸材です。次代の巫女の継承者としても問題ないでしょう。」

 

 

後ろにいる九尾の緩やかな表情とは打って変わって妖怪の大賢者である紫の表情はどこか物寂しい

 

 

彼女らがいる幻想郷は外の世界と結界1つで隔絶されており、その結界を守護・管理する為に人間を1人、博麗の巫女として配置する必要がある

現在は13代目であり、代替わりの近い彼女には巫女見習いが付いていた

 

 

黒い髪を肩まで伸ばし、歳不相応なキリッとした顔つきで、クールな霊夢

 

 

巫女修行には非積極的な点はあるが、その実力と霊力は申し分ないレベルだった

今では現代の巫女の代わりとして妖怪退治に駆り出されるほど

 

 

このままいけば問題なく霊夢が霊香の跡を継ぐ事になっていくのだが

 

 

それでも、紫の表情は晴れないままだった

 

 

「・・・やはりあの子がそんなに気がかりですか?」

 

 

「えぇ。確かに霊夢は博麗の巫女として十分すぎる才能を持っているわ。それこそ、歴代の中でも間違いなく上位に入るでしょうね。」

 

 

「ならば何故・・・」

 

 

「『博麗の巫女は非情でなければならない』。それは分かるわよね。」

 

 

「はい。」

 

 

妖怪は人間を襲う生き物である

絶対ではないが、それが妖怪の認識であり、生態なのだ

 

 

博麗の巫女は中立で居続けなければならない

妖怪に情を流すのはもってのほかだが、例え人間でも情を移すことはあってはならない

 

 

「戦闘能力に欠けた霊香ですら倒すと決めた時は一気に冷めるもの。でもあの子はまるで違っている。・・・いえ、変わってしまった。」

 

 

倒すことを躊躇してるわけじゃない

 

 

むしろ、立ち塞がってきた妖怪は問答無用で倒すほどには冷酷になれる彼女だが、時折どこか曇った顔をのぞかせることがある

 

 

「現状は問題なく務まっている。だけど、もしもの時は・・・」

 

 

紫の表情に、少しだけ決意の眼差しが垣間見えた

 

 

そんな気がした

 

 

・・・

 

 

~紅魔館門前~

 

 

「・・・どうしたものでしょう」

 

 

まだ日が昇り始めてから数刻しか経っていない朝霧の立ち込める明朝、活動時間外である我が主のご就寝を見届けた後、朝餉の支度に向かう前に最近日課になりりつつあった朝の散歩に向かったのですが…

 

 

なんと門の前に1人の少女が立っているではないですか

 

 

お世辞にも清潔とは評しにくいボロボロの身なりでどこか落ち着かない様子で顔を四方八方へと動かしていた

 

 

「えーっと…もしかしてお家に帰れなくなっちゃいました?」

 

 

目線を合わせ、少しでも彼女から情報を引き出そうと試みる

 

 

「・・・」

 

 

返答はなかった。それが目の前にいる私に対する恐怖からではなく、的確な返答を模索するための沈黙だとすぐに察した

 

 

「うーん…このまま問答繰り返しててと埒が開きません。とはいえお嬢様の断りもなしに館に入れるわけにもいけませんからねぇ。」

 

 

私の能力ゆえに他者の発する殺気などには紅魔館のみならず誰よりも敏感であるため、彼女たちをひとまず無害と判断したまではいいものの、彼女の情報はないも同然

 

 

さらに言えば館の主であるお嬢様は現在ご就寝なされている。いくら私に来訪者の応対を任せられているとはいえ、突然の来訪者を主への一報もなしに館に入れるのは躊躇われるのですが、かと言ってこのままってのは彼女たちに悪いですし

 

 

「あら?美鈴せっかくなんだから入ってもらったらどう?」

 

 

「承知しました。」

 

 

お嬢様の許可が下り、館へと戻っていく背中に向けて一礼をして当人の彼女へと顔を戻す

 

 

「ここで立ってても始まりませんから館の中へどうぞ。」

 

 

体を再び彼女の方へと向け、館の中へと案内しようとするのですが

 

 

「あ、あの!」

 

 

緊張の糸が解けたのか、彼女から呼び止められる

 

 

「どうされました?」

 

 

「あ、姉を助けて下さいませんか!私を助けるために何かよく分からないバケモノに襲われてしまって私を庇いながらバケモノと一緒に森の奥へと行ってしまいました…」

 

 

「なんですって!?」

 

 

この付近の森には気性の荒い、私たちのように自我の無いような妖怪がたくさん存在しています

 

 

いくら妖怪といえど所詮本能だけで動くような小物です、私たちほかの妖怪を襲ったところで返り討ちに会うのがオチですが、彼女はただの人間、返り討ちにするどころかまともな反撃すら届かないでしょう

 

 

「っ…恐らくですがあなたのお姉さんは…」

 

 

「安心しなさい、貴方のお姉さんは無事よ。そう運命が指しているのですもの。」

 

 

「ほ、ほんとですか!」

 

 

「えぇ、ただどこに居るかまでは分からないわ。ただ、近いけど遠い場所。この世界とは全く異質のような世界。けど安心なさい、あなたは将来、お姉さんと再会できるわ。」

 

 

「本当に良かった…」

 

 

「ふふっ、それじゃあせっかくだし朝食にしましょうか。美鈴、今日から1人分追加よろしくね。」

 

 

「承知しました。」

 

 

・・・

 

 

「キリが・・・ないっ!」

 

 

木々が鬱蒼と生い茂り、陽の光も余り届かない地帯を避けながら駆け抜けていく

群れることのない妖怪が偶然なのかなにかの前兆か立て続けに妖怪達が襲ってくる

 

 

「全く!今は構ってる暇なんて無いってのに!」

 

 

1体1体まともに相手していたらキリがない

個々が弱いのが不幸中の幸いと言うべきね

 

 

とはいえ、集まって群れてしまえばその力は百にも零にもなる

 

 

それでも、博麗霊夢としての力を思えば群れたところで気にもとめない程度の妖怪

 

 

なのになぜここまで苦戦を強いられるのかと問われれば答えはひとつ

 

 

「絶対に死なせないっ!」

 

 

彼女におぶられている少女が1人

白髪の、長髪で人里でも見られない珍しい着物を着た少女

 

 

何故、ここに1人迷い込んでしまったのか

 

 

少女の傷から彼女の身の危険が迫っていることは明らかであった

 

 

「急がなきゃいけないってのに!」

 

 

とにかく離脱することを優先にして木々をかき分けていく

 

 

やむなしに荒方片付けようかと対峙した時、どこからか風が吹き荒れる

 

 

「あやややー?霊夢さんじゃないですか!どうしてこんな所に?」

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