転生したらTSして翼生えてて、おまけに実験体だった 作:マゲルヌ
○月×日
山越え(※修行込み)におよそ一か月弱を費やし、そこから平地をえっちらおっちら数日間歩き、本日ようやく目的地に――ここ、グランバニア王都へ到達した。外門を潜り、街に入ってまず驚いたのは、敷地全体が高い外壁で覆われている点だった。小規模な『城下町』というレベルではなく、見渡す限りの広大な市街が全てすっぽり壁の中である。
住民に聞いた話では、民を魔物から守るためにパパス王が広範囲に強固な外壁を築いたそうで、総面積は○○ドーム何個分なんてレベルじゃないほどに広い。農地や市場、工場なども全て壁の中に造られており、重要な施設はさらに個別に防壁で守られたりしている。
巡回の兵士も頻繁に街中で見かけるし、住民との仲もすこぶる良好。宿代や飲食代など物価も控えめに抑えられていて、旅人のお財布にも大変優しい。治安や経済に関しては、これまで巡った街の中でも最高レベルと言えるだろう。
う~ん、さすがはウチの父さん、素晴らしい治世。
こりゃシスターの言っていた“嫌な気配”ってのも気のせいかな?
どうやらテルパドールに続いて、ここでも楽ができそうだな。
良かった、良かった、ガハハハ。(※希望的観測)
○月□日
宿を引き払って早速城を訪問してみたが、問題が発生した。
……問題というよりは当たり前の話なのだが、グランバニア城にいざお邪魔しようとしたら、普通に門番さんに止められた。考えてみたら、素性不明の一般人がホイホイ王宮の中に入れるわけがなかった。ラインハットのお城じゃ第二の実家感覚で寛いでいたもんだからすっかり常識が抜け落ちていたぜ。
さて、どうしたものか。
……忍び込む?
いやいや、アカンやろ。
これでもしパパス王が同名なだけの別人だったら、俺たちは城の重要区画に侵入した単なる不審者となってしまう。当然逮捕――からの取り調べ&ブタ箱行きは免れない。さすがにそんなリスクは犯せないので、何かいい方法を考えなくては……。
だからはぐりん、侵入する気満々で準備運動をするのはやめるのだ。お前が全力で走ると誰にも止められないから。
○月△日
強固な壁で守られているグランバニアとはいえ、魔物による被害が全くないわけではない。経年劣化で壁が脆くなるところはどうしても出てくるし、そうでなくても空を飛べる魔物だと上空から侵入できてしまう。今日の騒ぎもそんな飛行型の魔物が原因だった。
夕暮れ時に壁を飛び越えて魔物の群れが侵入しようとしたのを、食事帰りの俺たちが偶々発見して戦闘になったのだ。
メイジキメラ、ダックカイト、ホークマン、メッサーラ……などなど。魔物たちがチームを組んで足並みを揃えるとは、なんとも珍しい事例である。機動力と各種デバフ技を持つ種族が揃っているのも地味に面倒くさかったが、まあ今更この程度の敵に手こずることもない。さくっと倒して警備の人に連絡してはい終わり。ちょっとした謝礼まで貰えてウハウハである。
こういう風に人助け的な活動を繰り返していれば、その内王様側からスカウトの声とか掛からないかなぁ?
無理かなぁ。
○月§日
なんと……なんと、なんと!
今日は8年ぶり(9年か?)に懐かしい人と再会した!!
長期滞在中の宿で昼まで惰眠を貪っていたところ、突然の訪問者が訪ねてきたのだ。
最初は砂煙を上げて巨体が突進してきて、すわ『また魔物か!?』と身構えたが、よくよく姿を見るとなんとも懐かしい顔だったというオチ。偶々城下の兵士詰所を訪問した彼は、魔物騒ぎを収めた昨日の人物の風貌を伝え聞き、覚えがあり過ぎたためすぐさま飛んできたそうな。
――ホンマに久しぶりやで、サンチョさん!!
あの頃と全く変わっていない容姿と穏やかな性格にとても癒される。リュカ、プックル(←この駄猫もちゃんと家族だからね)とともにひとしきり再会を喜び合った。
で、詳しい話を聞いた結果、お城の偉い人に会うまでもなくいろいろなことが明らかになりました。
まとめると以下の通りである。
・やっぱり父さんはグランバニア国の“パパス王”だった。元々高確率でそうではないかと推測していたが、サンチョさんの話でマジに確定。
・必然的にリュカが王子様だということも確定。(※しかも直系でただ一人の王子だよ、オイ)
・ちなみにサンチョさんは数十年来の
・Q、そんな重要ポストの二人が揃って長期間国を空けて良かったんですか?
→ A、いや、ハイ……面目無いです。
というような話を聞かされながら、彼のコネ(と言うのもおかしいか?)であれよあれよと城へと招き入れられ、今は王城の客室でこれを書いている。明日の朝には国王陛下(代理)とも顔を合わせる予定だ。父さんが国を空けている間、摂政という形でグランバニアを治めてきたオジロン叔父さん。後はリュカの従妹で、ドリスという娘さんもいるらしいので楽しみだ。
両親と離れ離れになって久しいリュカに、血の繋がった新たな肉親ができるわけだ。どうか良い関係が築けるように祈っておこう。
○月☆日
朗報! オジロン叔父さん、とても良い人だった! リュカが生きていたことを心から喜んでくれて、おそらく父さんも生きているということを伝えたらさらに泣いて喜んでいた。
あと、俺があの場にいて良いものか気まずく思っていたら、何の抵抗もなく父さんの娘扱いしてくれた。ホンマにええ人や……。
父さんのことも、今後は国を挙げて手がかりを探してくれるとのことで、情報が得られるまではしばらく羽を休めてくれと労われた。やっと辿り着いたリュカの故郷だし、言われずともしばらくは滞在する予定だったが、快く受け入れてくれるならそれに越したことはない。本当にこの人が国王代理で良かった。
……ただ、その代わりと言うべきか。
無視できない大きな懸念点が一つ。
――大臣がめちゃくちゃ怪しい!
まず、『リュカの存在をしばらく秘密にする』ってところが怪し過ぎる!
・王族として恥ずかしくない作法を身に付けてからお披露目する。
・それまでは混乱防止のため限られた者にしか知らせない。
とかなんとかもっともらしいことを語っていたが、どう考えてもぽっと出のリュカが邪魔なんだとしか思えない。オジロン叔父さんって人柄は良いのだがちょっと押しが足りないっぽいので、大臣からすれば現状の方がいろいろと都合が良いのでは? リュカのことを秘密にするって方針も、結局は大臣の意見が強引に通ってしまったし……。
いかんなぁ……。一気に謀略の臭いがプンプンしてきた。俺の勇者EYESで鑑定したところ、大臣自身は人間で間違いないようだが、悪事を企むヤツ特有の嫌な気配に加え、魔物の邪気らしきモノまで漂っているのだ。(※もうこれ完全にアウトやん)
……とはいえ、物的証拠を出せと言われてもあくまで俺の感覚によるものだから難しいし、一応王様には信用されているみたいで、新参者が何か言っても聞き入れてはくれないだろう。しばらくの間は様子見に徹するしかないってことだ。
うぁ~、なんかラインハットのときの嫌な感じを思い出すなぁ……。
やだなぁ……。
○月◇日
今日はリュカの従妹、ドリス嬢と顔合わせのお茶会をした。
あ、こう呼ぶと本人は嫌がるから“ドリちゃん”って書いておかないと。
この
ちなみに、ドリちゃんも大臣が嫌いみたい。事あるごとに『女性王族は男性を立てるように』とか『国政に口を出さないように』とかネチネチ言ってくるんだと。別に将来女王として立とうとか思ってもいないのに、そんな風に見下すように何度も言われるとそりゃ反感しか湧かない。乳母のナンシーさんのお小言と違って、明らかにドリちゃんのことを軽んじているだけだもん。
たぶん、強気なタイプのドリちゃんが女王(もしくは王妃?)になるとやりたい放題できないとか思ってるんじゃないかな? 幼い頃から従順になるよう刷り込みを繰り返して、あわよくば将来傀儡にしてやろう……とかそんな感じじゃないだろうか?
……やっぱり大臣、要注意だわ。
○月/日
グランバニアでは王が即位するに当たって独特の風習がある。青年王族は王位継承の際、北東にある『試練の洞窟』に赴いて『王家のあかし』とやらを取ってきて、その力を示すのだそうだ。
もちろん、国王候補が死んだら元も子もないので護衛は付くが、その数は最低限とするのが慣例だという。王としての力を示すのが目的なので、ある程度は自分自身でも戦わなければならない、という考えだ。
………………。
王様になるに当たって、個人の戦闘力ってそんなに重要かな?――と疑問に思うのは俺だけだろうか?
まあ、中近世に当たるこの世界なら王が先頭に立って戦うこともあるかもしれないが、それならそれでもう少し安全に配慮したやり方があるんじゃなかろうか? この風習を最初に聞かされたときに、『暗殺するのに都合が良過ぎん?』と呟いて場を凍らせた俺は悪くないと思うんだ……。
で、なぜにこの話をしたかというと、当然のようにリュカがこの儀式を受けることになってしまったからだ。
首脳陣は皆、父さんがいつか帰ってくることを前提にしているので、しばらくは叔父さんが国王代理を継続していくと決まっているのに、急に大臣の野郎がリュカに儀式を受けるよう提案してきやがった。『まだ王位の継承をするわけではないが、国民に認めてもらうために前倒しで儀式を受けて王子としての力をアピールしてほしい』と。
しかもリュカの戦闘力についていける兵士はいないので、城から出す護衛の人員は無しで、仲間モンスターだけを連れて行けと抜かしやがる。
もうこれ、確実にアレじゃん。
絶対リュカのこと排除しに来てるじゃん。
最大戦力の俺にだけ待機を命じる辺り、確実に亡き者にしようと企んでるじゃん!
もうさ、手っ取り早く大臣を拷問するか、さっくり首を落とすなりしても良いと思うんだけど……。
ダメかなぁ?
ダメかぁ……。
○月▽日
リュカが試練の洞窟へと旅立った。グランバニア城から地味に距離があるため、試練を終えて帰ってくるまで一か月くらい。下手すると倍近くかかることもあるそうだ。
やっぱり王族の受ける儀式としては、リスク管理の点から見ても不適だと思うのだけど……。この身は新参者ゆえあまり出過ぎたことは言えない。叔父さんたちは邪険にしないと思うけど、周りの目もあるし、あまり勝手はせんとこ。
リュカ自身もそうだが、ピエールやプックルもかなり強くなっているし、この辺りの魔物程度に後れを取ることはない。無事に帰ってくるのをゆっくりのんびり待つとしよう。
――って呑気に思っていたのに、なんか俺に対する淑女教育が始まってしまった!
サンチョさんが事あるごとに『坊ちゃんの大切な人です!』とか誤解を生む紹介をしてくれちゃうから。
事情を知っている人たちからは、俺がリュカの
その、なんかそういう、その
“アレ”みたいに認識されちゃっているみたいで!
それならしっかりマナーを身に付けませんとね!――と張り切ったナンシーさんからグランバニア式の礼儀作法を教え込まれることになってしまった。ドリちゃんもいっしょだから嬉しいっちゃ嬉しいんだけど、みんながこう、なにやら温かい目で見てくるのはどうにかならんものか。
……いや、違うからね?
確かにお揃いのリングはしているけども、これはただ性能が良くて付けているだけで他意はないから。
ルドマンさんの屋敷でちょっとウエディング的なアレを着させてもらったこともあるけど、あれは仲間内でのファッションショー的なアレでキャッキャしていただけで特に深い意味はないから!
リュカに自分以外の肉親が現れて二人の時間が減ってちょっと寂しいとかも全然思っていないから、本当だから!!
だから優しい目付きで見るのやめて! 別に照れてないから!!
…………。
………………。
……………………。
◇◇◇
「みんな、少し休憩にしようか?」
「キュキュイ!」
「アオン!」
薄暗い洞窟の中、青年が呟くと複数のモンスターたちが群がるように彼の周囲に集まって来る。一般人が見れば襲われているようにしか思えない恐ろしい光景だったが、本来敵どうしであるはずの彼らの顔に浮かぶのは、互いの無事を喜び合う笑顔だ。
凄まじい力と鋭い爪で敵を打ち倒すキラーパンサー――プックル。
魔物の身で剣技と魔法を自在に使いこなすスライムナイト――ピエール。
小さな身体から吐く激しい炎で大群を一掃するドラゴンキッズ――コドラン。
あらゆる攻撃を弾き返す鉄壁のはぐれメタル――はぐりん。
ここまでの旅の間、ターバンの青年――リュカの戦いを陰日向に支えてくれた頼りになる仲間たちだ。
「みんな、ここまでありがとうね。あともうちょっとだけ頼むよ」
「ガウ!」
「クキュルルル!」
今回の儀式では中核戦力であるルミナがいない。ゆえに『自分がご主人のことを守るんだ!』と、皆ことのほか気合が入っている。その結果、本来ならば試練の洞窟まで一週間近くかかる道程も僅か三日で踏破し、洞窟内部の攻略もすでに半分は終えていた。歴代の王族が護衛とともにひと月以上かけて攻略していたことを思えば驚異的な早さである。
「時間をかけ過ぎると姉さんが痺れを切らすかもしれないし、できるだけ急がないとね」
「キュイー……」
「それに、大臣が他にも悪巧みを考えているかもしれないし」
ルミナに指摘されるまでもなく、今回の試練が怪しいことにはリュカも気付いていた。あの大臣は『王子が早く国民に認めてもらえるように』などとそれらしいことを宣ってはいたが、リュカの存在を苦々しく思っているのは明らかだ。
儀式の説明を受けている間もずっと、“出戻り王子の扱いに困る政務担当者”――という一言では片付けられない敵意を感じたのだ。
彼の全身から魔物の邪気が漂っていたことからも、“クロ”であることはほぼ間違いない。(※頻繁に高位の魔物と接触していないとあの気配はしない。内勤の大臣がそうなっている時点でクロ確定である)
「ガオン?」
「……うん、大丈夫だよ、プックル。覚悟の上だからね」
それでもなお、明らかな危険も理解した上でリュカがこの儀式を受けた理由は何か?
それは、大臣を釣り上げるためだった。
人目のない僻地に標的が少人数でいるとなれば、あの大臣は高い確率で刺客を送って来るだろう。その手駒を逆に生け捕りにし、皆の前で
仮にそこまでは行けなかったとしても、こちらの戦闘力の高さを誇示しておけばしばらくは大人しくなるだろうし、その間に少しずつ証拠を集め、いずれ正攻法で追い落として断罪する――というのがリュカの考えだった。
「ガウガウ! ガオ?」
「え? 実際に評判を上げて王位を継ぐ気はないのかって?」
「キュイキュイ!」
「あはは、そんな気はないよ。僕なんてこの歳まで帝王学も学ばずに生きてきた一般人だからね。王様なんてとてもできっこないよ」
本心である。
幼少期の旅の生活に始まり、少年期の長年の奴隷生活を経て、脱獄してからは再び旅の身空に……。そうして実に15年以上もの時を一般人として生きてきた。今更自分などが王になろうとしても、混乱ばかりが生じて誰も幸せにならないとリュカは思っている。
「それに……王様になんてなっちゃったらさ」
――否。
先に挙げた諸々の理由も、所詮は建前だ。
『適性がない』と言ったのも本心ではあるし、『国政を混乱させたくない』というしおらしい理由だって全くの嘘というわけではない。
しかしながら、本命の理由に比べれば些細なものでしかない。
彼が王になりたくない一番の理由。
つまるところそれは――
「アオン?」
見上げてくる愛猫の頭を撫でながら、未だ言葉にする勇気が出ないそれをリュカは胸中で小さく呟いた。
――王様になったら……平民の女の子とは結婚できなくなっちゃうだろ?
…………。
………………。
「……~~~ッ!!」
途端、
自らの想いを自覚したラインハットでの事件から今日までの数か月間。遠回しにでもなんとか姉に気持ちをアピールしようと、最近は多めのスキンシップも交えて頑張ってはいたのだが、未だ本人へ直接伝える勇気は湧いて来ず。
……そう、ルミナからして見れば、義弟が急に色気を感じさせるスパダリムーブを見せるようになって激しく動揺していたが、あれは当人的にかなり無理した努力の結果だったのだ。当然その後はテントで一人、自らの恥ずかしい言動を振り返りながら見悶えていたし、義姉の
一方で、
……が、生来の対人経験の少なさもあってか、未だ完全な自覚には至っておらず。さらには性自認が男であるがゆえに、
結果としてこの姉弟、互いに想い合っているくせに正面から向き合う勇気が出せず、こうして誰にも聞かれないところで呟いたり妄想したりしては、一人身悶えするのが精々だった。
この分では二人の想いが成就するのはいつのことになるのか……。遠い地にいる幼馴染たちの呆れ顔が目に浮かぶようだった。
「キュウーン……」
「ッ……さ、さあ! 休憩はもう十分だよね!? 攻略を再開しちゃおうか!」
「ミィ~~……」
「な、何かな、コドラン……? そのジトっとした眼は?」
訝しげなコドランとはぐりんの視線を誤魔化すように勢いよく立ち上がる。幼い彼らに恋愛の機微など理解できるはずがないのに、なんとなく呆れめいたものを感じるのは気のせいだろうか?
「アオ~ン……」
「な、何さプックル、そ、その露骨な溜め息は? ……ほ、ほんとになんでもないからね!?」
最年長の相棒からも残念なものを見る視線を向けられるが、努めて無視する。飼い猫から恋愛下手を指摘されるなどという屈辱……、主として――否、一人の人間として断じて認めるわけにはいかないのである。
「ほ、ほら、早く行くよ……! みんな、急いで、急いで!」
「…………(フッ)」
寡黙なピエールの生暖かい視線を背に受けながら、稀代のモンスターマスターは逃げるように洞窟の奥へと走ったのであった。
そして――
…………。
………………。
――――
「くははは! リュカさん、悪いがアンタには死んでもらうぜ!」
「あ、出た」
緊張感が薄まったまま再開された洞窟探索だったが、ひとたび戦いとなればそこは歴戦の冒険者。
「アンタに無事に帰って来られちゃ困る人間もいるってこtぐはあああッ!?」
「よし、実行犯確保! 逃がさないようにしっかり捕まえておいてね!」
「ガウ!」
予想通り襲撃してきた暗殺者たちを、予定通りにワンパンで殴り倒して捕獲し。
「さてと、王家のあかしも手に入れたし、帰りはルーラで一瞬だ。みんな、城に戻ったらゆっくり休んでね」
「キュイ~~」
「ミン、ミン!」
目的のアイテムも無事に確保し、およそ半月ぶりのグランバニアへ悠々と帰還し。
「ふう、ようやく帰って来られた。まずはオジロン叔父さんに報告しないとね」
かくして、リュカに与えられた王家の試練という課題は、何の問題もなく終了したのであった。
この後は、オジロン王と協力しつつ刺客の背後関係を洗い出し、慎重かつ確実に大臣を追い詰めていくことで――
――――
「おーい、リュカ! 大臣の野郎が尻尾を出したぞ! いろいろ証拠も見つけたし、これから連中のアジトに殴り込もうぜ!!」
「い、命ばかりはお助けをぉ……ッ」
帰還した弟を出迎えた姉の腕には、ボコボコになった大臣が引きずられていた。
「展開が早過ぎるよッ! 何がどうしてそうなったのッ!?」
グランバニア王国防衛RTA。
初手、
多分これが一番早いと思います。