転生特典が動体視力?これ、無理ぞ   作:マスターBT

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深夜テンション会話から生まれたよ。面白そうって思いながら、話してたら書けるぐらいには設定が決まったから書いたよ。更新速度は、不明。ちなみにネタ寄りのシリアス有り話になる予定。


第四次聖杯戦争編
動体視力って上手く使えれば便利そう……まぁ、魔術なんてものがある世界なんですけど


 目を開くとそこには、どくどくと鮮血を胸、眉間から流している男女の死体が二つと、恐らく下手人と思われる銃を構えている男が一人というなんとも言えない光景が広がっていた。さらに付け加えるなら、死んだ魚の目をした男の銃口がガッツリ俺を捉えてるじゃありませんか。転生して五秒で死にかける奴がいるってマ?

 

「いやだぁぁぁ!?!?!?死にたくなーい!!」

 

 どうしようもないほど哀れで情けない醜い悲鳴をあげるのは俺だ。どうしてこうなった!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日は確か大学に向かう途中だった。講義が午後からだったから、学食を利用しようと思ったんだったかな。うちの大学は、交通量の激しい道路に面しており、近くには公園なんかもある。よく学生も息抜きに利用している場所だ。なんて事はない一般人が送る普通の日だった。ちょうど俺が公園に差し掛かった時だ。目の前から、ふらふらと動きが怪しい車が来ていた。

 

「居眠り運転か?辞めてくれよ……」

 

 怖いとは思ったが、所詮平和な日本生まれの人間。呑気にその車を見ていた。すると、いきなり急加速し俺の方に向かってきたのだ。咄嗟に避けようとして足元に転がってきたサッカーボールが見えた。ボールが転がってきた方向には、全く車に気が付いていない子供が此方に向かって走ってきていた。それを見た俺は思わず叫んだ。

 

「こっちに来るな!!危ねぇぞ!!!!!!!!」

 

 俺の叫びに驚き、子供は動きを止めた。瞬間、俺は派手に吹き飛ばされた。そりゃそうだ、命の危機が迫ってるというのに、その場から逃げずに子供に注意をしたのだ。俺は吹き飛ばされながら、子供を抱きしめにきた親を見て━━

 

「心配なら……目を離してんじゃねぇよ……」

 

 そうちょっとだけ恨み節に言って意識を失った。

 

 その次の瞬間、何故か俺の意識は無くなっておらず真っ白な空間にいた。状況が飲み込めず、辺りを見渡していると、何やら話し声が聞こえそちらを見る。そこには、ダーツを持った髭を蓄えた男とその正面に大きなルーレット盤を回している小綺麗な男がいた。

 え?何してんのあれ??

 

「よーし、良いですよぉ!準備完了です」

 

「おっけー!さてさて、何になるかなっと」

 

 ダーツを持っていた男がダーツを放つ。目の前のルーレット盤に刺さる。回転が止まり、ダーツが刺さった部分に書かれていた文字は『転生特典:動体視力』そう書かれていた。え??なにしてんの??

 

「ん?おー、起きたか!ちょうどいい、お主に転生して貰う世界と特典が決まったところじゃ」

 

「え?……え?あの、状況が掴めないんですが……」

 

「説明しないとダメ?えーとな、お主は死んだ。だが、幸運な事に今、天界は転生者を送り出すのがブームになっててな、極悪人を転生させるのは流石にいかんし、勝手に善人を殺すわけにもいかん。そんな時にお主の様に命の危機に子供を助ける様な善性がある人間が命を落とした。これは転生させるしかなかろうてと云うわけでな。起きない間に準備してた」

 

 髭を蓄えたおっさんにウィンクされながら説明されるってなんて拷問?って違う違う。つまり、俺らの世界で流行ってた異世界転生物のリアル版に遭遇してるって訳か。

 

「そのまま生き返らせてはくれないんですか?」

 

「うん?既にお主の遺体は葬式から何まで済んでおるぞ。ほれ」

 

 モニターみたいなのが現れ、そこに泣いている俺の両親や友人達が映る。全員、喪服を着ているから葬式の場面なんだろう。映像が切り替われば今度は、火葬場になり最後は墓に入れられているところが映った。どうやら結構な時間、俺は意識を失っていたらしい。

 

「……とんだ、親不孝者になっちゃったなぁ」

 

「そうじゃな。さて、これで状況は理解してくれたかの?」

 

「あぁ、まぁね。それで俺はどこの世界に転生させられるんだ?」

 

「秘密じゃ。知ってたら面白くないじゃろう?」

 

 そう言うと同時に足元に穴が空き、俺は当然落下する。あれぇ??こう言うのってもっと説明とかあるもんじゃないの??あ、あいつら俺を転生させたくてずっとウキウキしてたんだもんな。そりゃ説明するのを惜しむよな。

 

「雑すぎるだろ神様ぁぁぁ!!」

 

 そうしてまた意識が消えていき、目を開いたらさっきの状況だったと言う訳だ。長々と回想してしまった訳だが……

 

「いやだぁぁぁ!?!?!?死にたくなーい!!」

 

 男の指がトリガーにかかるのが見えた。どうやらこの男、俺を殺すらしい。全力で身体を捻り、地面を転がる事で放たれた銃弾を避ける。その行動に、男は驚いた様に目を開くが変わらず、その銃口は俺を捉え直す。くそっ、なんで転生して早々に死にかけの場面なんだ。仕事しろよあの神様!また男の指がトリガーを引き絞るのが見えた。今度は、大きく跳躍して避ける。発射するタイミングが見えるなら、なんとか避けられる。……これが転生特典の動体視力ってやつか。微妙すぎませんかね!?

 

「……」

 

 無言で男が拳銃から、形状の違う銃に持ち替える。それはとあるアニメ作品で見たものだ。キャリコ M950A、見た目以上の内容量を誇り連射力に優れた銃。Fate/zeroに登場した魔術師殺し『衛宮切嗣』が使う銃。

 

「嘘だろ……あんた、衛宮切嗣か……」

 

「……驚いた。君みたいな子供まで僕の事を知っているとはね。腐ってもアインツベルンが、この大事な時期に殺せと命じてくる家系って訳か」

 

「子供?」

 

 大学生を子供と呼ぶか?いや、転生してるからもしかして身体がそのままって訳じゃないのか。何故か撃ってこない切嗣を警戒しながら、自分の両手を見るとかなり小さい。良くて10歳とかそこら位じゃないだろうか。マジか……

 

「マジで子供だ…」

 

「まるで自分が子供じゃなかったみたいな言い方だね。……もしかして、この家の生まれではないのか?」

 

 魔術師殺しと言われた人物の思考回路は理解できない。いきなり生まれを疑われるとは……とは言え、これは使えるかもしれない。多分、この切嗣はアインツベルンのぬるま湯に浸って機械になりきれてない。

 

「多分違う……誤解しないで欲しいんだけど、記憶が混濁してるんだ。あんたの名前は知ってるが、それ以外は分からないし、この家で暮らしていた記憶もない。だから、確証を持って否定も肯定も出来ないが、俺は死にたくない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 殺そうと思えば殺せた。僕がアインツベルンの依頼を受けて、ここの魔術師達を殺した時は恐怖で意識を失ったのか目を閉じている子供がいる程度だと思っていた。恐らくこの子の親と思われる魔術師を殺し、子供も殺そうと思い銃口を向けたタイミングで、イリヤを思い浮かべてしまった。それによって生まれた数瞬で彼は起き、悲鳴をあげ僕の攻撃を避けて見せた。

 魔術が発動した気配は感じなかった。つまり、彼は子供ながらにただの身体能力で銃弾を避けてみせた。まぐれでないのは二発目も避けた事で分かった。なら、装弾数で殺そうとキャリコを構えた時、彼は驚いた様に目を見開き、言ったのだ。

 

「嘘だろ……あんた、衛宮切嗣か……」

 

 ここ何年かは活動を辞めていたし、僕は魔術師殺しとして恐れられているが銃を見た瞬間にバレるほど情報操作を怠ったつもりはない。彼に向ける警戒心を一段階引き上げながら、会話を行なった。普段なら絶対にしないが、イリヤを思い出し重くなった引き金と、聖杯戦争前の大事な時期にわざわざ依頼をしてきたアインツベルンの真意が知りたかった。だが、期待していた情報は出てこない。一つ推察するなら、彼がアインツベルンのホムンクルスに迫るレベルのホムンクルスである事だが、魔力を感じない彼からそれは無いと言える。

 

「多分違う……誤解しないで欲しいんだけど、記憶が混濁してるんだ。あんたの名前は知ってるが、それ以外は分からないし、この家で暮らしていた記憶もない。だから、確証を持って否定も肯定も出来ないが、俺は死にたくない」

 

 試しに聞いた質問に彼はこう返した。本当に子供らしくない。外見と中身が合っていない様に思える。……もしかして、彼はアインツベルンの悲願、その領域に足を踏み入れたんじゃないだろうか。そう考えれば、わざわざ依頼をしてくる理由にもなる。僕の攻撃を避けて見せた身体能力といい、彼は使える駒になるかもしれない。そう考えて僕はキャリコを下げる。

 

「死にたくないのなら、僕と共に来るか?僕の言う事を聞くのなら、助けてあげよう」 

 

「…!あぁ、分かった!なんでも引き受けよう衛宮切嗣」

 

「切嗣で良い。……舞弥、拾い物をした。迎えを頼む」

 

 こうして僕は後に衛宮 影辰と名乗る子を拾った。




主人公のスペック(現在)
名前:衛宮 影辰(命名主は切嗣)
年齢:肉体は10歳ぐらい、精神は肉体+20
転生特典は動体視力。動いてるものを捉える能力が跳ね上がっている。白銅色の髪を後ろに一房に纏めている。顔立ちは良くも無ければ悪くもない。薄ら青い瞳が特徴的。

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