という訳で、ご要望も頂いたのでランサーと影辰の手合わせ回です。内容は微塵も進んでません!
「うし、じゃあ行くぞ。準備は良いか?」
「あぁ。いける」
街の見回りを終え、今俺は約束通りランサーとの手合わせを行う事となった。場所は教会の地下にある無駄に広い空間。マジでなに此処?割と長い期間教会には厄介になってたけど一度も来たことがない。こういう手合わせをするにはお誂え向きの場所で、柱などの障害物はなくただただ広い空間となっている。学校の体育館より僅かに狭いぐらいだろうか?
朱槍を手に持つランサーと灰錠を展開し構える俺。緊迫感こそあるが、互いの格好がアロハシャツなのは最早ネタだな。
「じゃあ、行くぜ!」
ランサーが言葉と同時に掻き消える。いや、正確には一瞬で俺の後ろを取った。嘘だろ、俺の眼でも捉えきれないだと……これが最速が選ばれるというサーヴァントの実力か!!後ろから突き出される槍を半ば反射で避ける。顔の横スレスレを通過する槍に手加減はなんなのかと思いながら、追撃で飛んできたランサーの蹴りに合わせ、飛び退く。軽く、手が痺れるが直撃を避けた分、かなりマシだ。
「相性が悪い……」
今の一回だけで分かる。俺とランサーの相性は悪いと。速度という意味では、ライダーも相性が悪かったがまだ廊下という閉鎖空間であった為に、戦えた。けど、此処は広い。ランサーがその速度を活かすには十分だろう。それに加え、もう一つランサーとの相性の悪さを拍車掛けているのが手数だ。
「チッ!」
飛んできたランサーが次々と放つ槍の突きを弾いていくが、完全に弾ききれないものが俺の斬り裂いていく。浅い傷が幾つか出来ては消えていく。明確に急所を狙わない辺りが手加減だろうか。とはいえ、一度に飛んでくる攻撃が多いのは辛い。セイバーやバーサーカーみたいに一撃でどうにかしてくるタイプは、腕の一本でも犠牲にして攻勢に出れば良い。けど、ランサー相手にそれをしても意味はない。
「そらそらどうしたよ!」
「ふぅぅ……」
突き出される槍に合わせ、全力の右手で上に弾く。そのまま踏み込みと同時に振り上げていた右手を勢いよく落とす。狙いはランサーの頭部、そこに向けて一直線に振り下ろすが、それを難なく掴み取られ投げ飛ばされる。そのまま追撃にくるランサーの槍を空中で体勢を直し、足場にして跳躍。落下の勢いをつけて踵落としを放つ。
「良いねぇ!」
引き戻した槍を盾に防ぎ、獰猛な笑みを浮かべるランサー。単純な力勝負をしてサーヴァントに人間が勝てる訳がない。槍に足を滑らせ、支えとする事でもう片方の足を地面から離し、ランサーの胴体を蹴る。手応えは皆無だが、これで両足が地面に着いた。槍の間合いに離される前に再度、距離を詰め──
「………は?」
気が付けば俺は真反対の壁へと叩き付けられていた。無駄に頑丈でそして、再生する身体じゃなければ死んでいた気がする。全身のありとあらゆる場所が痛みを教えてくるが、それらが忽ち修復していき痛みが消えていく。
「やっぱり、再生する身体か。魔術って訳じゃねぇよな、それ生まれつきか?」
「……それを確かめる為に……遠慮なく攻撃しやがったなランサー」
詰めようとした瞬間、俺の警戒が疎かになったところに一撃ってところか。あー、嫌になる。どれだけ鍛えても人間じゃサーヴァントに勝てないと分からせられる。ちょっと特殊な身体になったぐらいじゃ差は埋まりませんってか。
「わざわざ説明するかよ。こっちの数少ない手札なんだからな」
「それで良い。ちょっとやり過ぎたかと思ったがなんだ、良い眼をするじゃねぇか。そういう眼をする奴は大好きだぜ俺は。一切、諦めてねぇ喉元を食いちぎってやろうって魂胆の眼。そんな眼されたら、ノってきちまうじゃねぇか!」
心臓目掛けて突き出された槍を両手で掴み取る。そのまま押し返すつもりで、力を込めていく。
「オォォォォォ!!!」
「良いぜ、ノッてやるよ。もっと魅せてみなぁ!」
ランサーが槍を上に振り上げる。当然、掴んでいた俺も勢いに乗ったまま上へと吹き飛ぶ。こいつ、俺の考えを理解した上でやってきやがった。まぁ、そういう奴だって分かった上で俺もやってるけどな!
自分の跳躍も合わせ、天井スレスレまで吹き飛ぶ。クルッと体制を変え、両足を天井に合わせ膝を曲げ、勢いよく蹴り抜き今出せる最高速度でランサー目掛けて落下する。
「オラァ!!」
「っと!」
全力で叩きつけた拳から灰錠を超えて、抜けたダメージによって嫌な音がなる。だが、そんなのは関係ない。横に避けて躱したランサーにそのまま左手を腰だめに構え、掌底を放つ。ランサーの腹部に直撃し、彼が一歩仰反る。そのまま、再生した右手でランサーの顎を下から殴り付ける。
「ふん!」
それを自ら迎え撃つランサー。力が完全に乗り切るより前に、阻止された拳。犬歯を剥き出しにしたランサーと視線が交差する。楽しげなその目を見ながら、俺は頭をランサーに叩きつける。お互い、一歩後ろに下がる。額が切れ、血が流れるがやがて止まるものを気にする余裕はない。
「お前の戦い方に合わせてやる」
槍を消して、拳を構えるランサー。
「……」
「別に手を抜こうって訳じゃねぇ。こっちの方がより楽しめそうだと思っただけさ」
「確かに槍を持ち出されるよりは戦いやすいな」
同じく構えようとして、ボロボロになったアロハシャツに腕が引っかかる。もう着てる意味をないだろう。勢いよく、脱ぎ捨てながらランサーを睨みつけ、吠える。
「ウォォォォ!!」
突き出した拳がランサーの頬を叩く。同時に、俺の頬にもランサーの拳が刺さる。一瞬で脳を揺らされながら、手を止めない。どうせ、サーヴァント相手に一撃を重くしたところで通用しない。それなら、ランサーと同じく手数を増やす。ランサーの右脇腹を抉る様に俺の左拳が当たる。俺が殴られ、頭を元の位置に戻す事すらせず反撃するとは思っていなかったのかランサーの顔が一瞬、驚愕に染まるが次の瞬間には俺の頭を片手で掴み引き寄せる事で俺の体勢を崩し、腹部に勢いの乗った膝を叩き込む。
「ガッ!?」
「そら、どうしたぁ!」
上半身を丸める俺に更なる追撃として、拳を突き出すランサー。それを避け、掴み身を捻る。一本背負いの要領でランサーを持ち上げ、地面に叩きつける。だが、叩きつけられたランサーは、そのまま掴んでいた俺の手を逆に掴み取り立ち上がりながら位置関係を逆転させる様に、俺を叩きつける。咄嗟に腕を盾にして、頭を守るが衝撃から全く動けない俺はランサーにサッカーボールの様に蹴り飛ばされる。数度、地面を跳ねながら転がりどうにか立ち上がる。
「……はぁ……はぁ……」
傷が治ると言っても痛覚が消えた訳じゃない。全身から発せられる痛みに頭が悲鳴をあげる。飛びそうになる意識を気合いだけで保ちながら、ランサーの動きを注視する。あと、一度でも直撃を貰えば脳が痛みに耐えられず意識を手放す。経験からそう理解できた。俺自身でもそう思える状態、ランサーが気づいていない訳がない。なら、次の一撃で終わらせるつもりでくる筈だ。
脳内でここまでのランサーの動きを思い返す。そして、一つ絶対の共通点を思い出した。ランサーは必ず距離を詰めるとき、予備動作として右脚に重点を乗せる。なら、それに合わせれば!!
「オラァ!!」
ランサーの動き出しに合わせ、俺からも距離を詰めランサーの攻撃より早く、カウンターを叩き込む。生身の人間相手なら、昏倒間違いなしの良い一撃が顎に入っただろう。だが、相手はサーヴァント。
「仕返しって訳か。そういう根性嫌いじゃねぇぞ!!」
「ゴフッ……少しは手加減しろってんだ……馬鹿が」
避けるだけの体力など残っていない。深々と鳩尾に放り込まれた一撃に俺は意識を手放す。地面ではない感触がしたから、倒れる前にランサーに支えられたのだろう。あー、くそ。負けた。
明確にサーヴァントに負けるシーン初めてでは?
影辰の戦闘能力に関して、明らかに逸般人ではありますが、これは私がFate世界なら人間鍛え抜けばいけるのでは?って思ってるからです。再生能力は端っこに置いておいて、Fate世界に於いては魔術とはその時代の科学によって再現可能なものと定義されてます。それなら、身体強化の魔術で到達できる領域は人間が至れる領域だと判断しました。もちろん、これが適用されたので他の方々もまぁ、可笑しい戦闘力を発揮するシーンがあると思いますがご容赦を。
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