転生特典が動体視力?これ、無理ぞ   作:マスターBT

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評価が赤くなってる!お気に入り増えてる!
そんな感じでモチベが投下されたので出来上がった3話目ですよ。

評価・感想・お気に入りありがとうございます。


試験内容鬼畜すぎませんか??俺、まだ子供ですよ切嗣さぁん??

『影辰、君には12体のホムンクルスと戦って貰う。全てが戦闘用で調整されている。一日、此処を生き残る事が出来れば、僕は君を聖杯戦争の戦力として連れて行く。何か質問はあるかい?』

 

「……ないです」

 

 どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 一年、舞弥さんに訓練され、それなりに戦える様にはなったと思うよ?でも、これは酷くない?俺を取り囲む様に、中世の武器達を構える12体のホムンクルス達が配置されている。表情筋とかは動いてないから、全員無表情なのも相まって物凄く怖い。ドウシテ?

 

『……分かった。君の武器はそのナイフと拳銃が一挺だ。他に使いたければホムンクルスから奪ってくれ』

 

 難易度設定おかしくない??ねぇ、俺死ぬよ?人間一人の限界って知ってる切嗣?とは言え、これはやるしかないんだろうなぁ。恐らく、これぐらいで死ぬなら、聖杯戦争を生き残るなんて到底無理なのだろう。此処で、生き残って見せて道具としての有用性を証明しろって事か。はぁぁぁ……死にたくねぇのになんでこうなるかなぁ。

 

「やるしか、ないんだろ?なら、やってやる」

 

 ナイフを眺め、覚悟を決める。幸い、遠距離手段を使うホムンクルスは居ないみたいだ。それなら、目の前の奴に集中すれば十分に俺の目なら捉えられる筈だ。問題は、ナイフの刃渡りの短さと俺の射撃スキルの無さだ。長物の近接武器を持ってるホムンクルスに肉薄する必要があるし、血に濡れ過ぎればナイフが使えなくなる。その時に頼るには俺の射撃スキルは雑魚過ぎる!

 拳銃使う癖に、相手に肉薄しなきゃならないってどゆこと?12体全てに肉薄しなきゃ行けないんですか?

 

『では、始め』

 

 余りに短過ぎる切嗣の号令と共に、ホムンクルスが全て俺に襲いかかってくる。魔術による強化がされているのだろうかなりの速さで距離を詰めてきている。ああくそっ、作戦すら立てられてねぇよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……舞弥、やはり12体は少なかったよ」

 

 僕は眼下で行われている殺し合いを見ながら呟く。当初は、30体のホムンクルスを用意して戦わせるつもりだった。だが、教えているうちに情でも湧いたのか舞弥に止められ、半分以下の12体となった。アインツベルンが用意した戦闘用のホムンクルスだ。12体も用意すれば、並の魔術師では対処出来ない強さになるだろう。それを今、たった一人の子供が耐えているのだ。

 

『くっ──数が多いってのは見なきゃ行けない所が多いな!』

 

 多少の切り傷こそあるが、4体目のホムンクルスにナイフを突き立てる影辰。戦いを始めて、五時間が経過し討ち取られたホムンクルスは4体。初めは回避に徹していたが、その時間でホムンクルス達の動きを理解したのだろう。攻撃に転じてから、二時間で4体が葬られた。全ての死体が、急所を的確に狙われて死んでいる。1体目は、大剣を振り回していた所に首の動脈を斬られ、死亡。2体目は、1体目の後ろに隠れており、死ぬと同時に飛び出し短剣を突き出したが、影辰の拳銃に眉間を撃ち抜かれ、死亡。

 3体目は槍を使い、影辰の射程外から攻撃を行い彼を苦しめたが、突き出した槍を足場に利用され脳天目掛けて落下してきた影辰により首がへし折れ、死亡。

 録画とメモで彼の戦い振りを記録しているが、これを魔術師達に見せたら面白そうだと思えてくるレベルだ。

 

『はっ、はっ、漸く4体か……』

 

 画面の先では、僅かに息を切らした影辰が映る。やはり、魔術で補えるホムンクルスと違い限界が来ているらしい。仲間意識なんてものを持っていないホムンクルス達は、同族がやられようが動揺なんてしない。影辰と戦うという命令が出ている以上、動かなくなるまでそれを実行し続ける。派手に動いているが、魔術により補われている為同じような動きでも影辰の方が消耗して行く。

 

「徒に戦うだけでは、君の限界が来てしまう。そういう風にこの戦いは組んである」

 

 ただでさえ、相手に肉薄しなくてはならない影辰は体力と共に精神力も消耗している。一日、生き残るにはただ倒すのではなく、無力化するか、体力を使わない射撃で倒すか。影辰の場合、無力化するしかない。だが僕には確信、いや、正確には期待している光景がある。

 彼が12体のホムンクルス、その屍の上に立つ光景だ。彼の様な子供に何を期待しているのだろうか。誰かに聞かれれば笑われるかもしれない。恒久的な平和の実現。僕が願ってやまない夢、だが同時に不可能だと思っている。それこそ、聖杯戦争に参加し願望器たる聖杯に願おうとするぐらいには。きっと、僕はまだ人間の可能性ってやつを信じたいのだろう。

 

『ぜりゃぁぁぁぁ!!』

 

 影辰の叫びと共に意識が現実へと戻る。彼は落ちていた槍を投げ飛ばし、斧を持つホムンクルスを貫こうとした。だが、ただ飛んでくる槍を戦闘用のホムンクルスが打ち払えない訳がなく、簡単に打ち払われる。が、空中に舞い上がったその槍を同じく跳躍していた影辰が掴み、様子見をしていた別のサーベルを持ったホムンクルスへと振り下ろす。急に自分が狙われたホムンクルスは、反応が遅れ質量で勝る槍により盾にしたサーベルが砕かれ、地面と縫い合わされる。これで、5体目。

 着地の隙を狙った2体のホムンクルスが影辰を狙う。これを影辰は地面と縫い合わしたホムンクルスを盾にする事で凌ぐ。盾にしたホムンクルスの肉体に剣が突き刺さるが、隠れた影辰に当たる事はない。小さい身体を活かす良い隠れ方だ。ああいう隠れ方をする少年兵はとても厄介だ。大人が近接で攻撃するには、回り込むかしゃがみ込むかするしかないが、その隙を少年兵は突く事が出来る。

 

『6、7体目ぇ!!』

 

 そう。ちょうど影辰がやった様に。まず、死体から武器を引き抜こうとしているホムンクルスに対し、ナイフを投擲し眉間に突き刺す。その間に引き抜けた2体目が回り込むが、そこには既に拳銃を構えた影辰がいる。銃声が響き、脳を地面にばら撒くホムンクルス。刺しが甘くまだ息のある奴に落ち着いて、ナイフを押し込み完全に息の根を止めた。舞弥が仕込んだのだろうねこの辺は。

 

「……半日も経たずに半分を殺したか」

 

 かなり息の上がった影辰が画面に映る。既に合格ラインだが、まだ彼の目は諦めていなかった。放送機器に伸ばしかけた手を止め、近くの椅子に座り煙草を吸う。もはや、記録もいらない。彼は十分に使える。あとは、彼の活躍を見守るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……つがれだぁぁぁぁ!」

 

 カッスカスの声をあげて俺は地面に倒れる。12体のホムンクルスを殺し終わったのでもう体力が微塵も無い!

 どんくらいの時間が経ったか分からないけど、もう全部死体だし大丈夫だろ。休むぐらいは許してくれるよきっと。……しかし、本当に12体殺せるとはなぁ。最初にたっぷりと見学してた甲斐があった。あれで戦闘用ホムンクルスとは言え、セラやリーゼリットほど戦える訳じゃないって分かったから無茶を通せた。なんて言えば良いかな……P○4にスーファ○の処理能力を搭載させたって感じ。武術って呼べる様なものじゃなかった。でも、魔術で強化して襲ってくるから、目が疲れた。酷使しすぎて頭痛すら感じるよ。

 

「…拳銃撃ちすぎて手が痺れてるし、ナイフは途中で使い物にならなくなったし……まだまだ弱いな俺は」

 

 軽く持ち上げた右手はプルプルと震えて、握り拳を作ることすら出来ない。もっと、もっと強くならないと……あの人外魔窟を生き残るなんて出来ない。でも、今回は良い経験になった。学んだ事をしっかり活かせる事が分かったし、俺が生命体を目の前にした時に躊躇わないってことも分かった。目的の為なら、意識を切り替えられる……切嗣の様な人間だったと理解できた。

 

「……ごめん」

 

 イリヤスフィールという完成形がいる今、この子達は廃棄される未来しかないのかもしれないけど、それでも俺は謝罪を口にした。これで少しでも命を奪ったという罪悪感から逃れたかったのかもしれない。

 

「影辰」

 

 後ろから声をかけられる。そこにはいつの間にか切嗣がいた。禁煙してた筈の煙草を吸いながら。

 

「……不合格ですか?」

 

 煙草を吸ってるという事実に嫌な予感が脳裏を過ぎる。切嗣が煙草を吸ってるという事は、ストレスや何かを感じてるかもしれないという事。つまり、俺が希望に沿わなかった可能性があるのだ。流石に、ここまで頑張ったからそれは無いと信じたいが……

 

「いいや、違う。君に合格を伝えに来た。来年、君を僕は戦力として聖杯戦争に連れて行く。その力、存分に奮って欲しい。……とりあえず、一週間は休んで良い。その腕じゃ訓練どころじゃないだろう」

 

「は、はい!!ありがとうございます!!」

 

 よっしゃあ!!どうやら俺の頑張りは認められたらしい。しかも、ずっと訓練漬けだったのに一週間も休んで良いらしい。切嗣、あんたは神か?表面には極力出さない様に内心でガッツポーズを取る。

 俺がそんな事をしていると切嗣は背を向けて歩き出す。動くのも辛いので、運んで欲しいがそれをあの人に願うのは無茶だろう。

 

「そうだ」

 

「はい?」

 

 途中で立ち止まった切嗣が俺を見る。煙草を地面に落とし消しながら、なんでもない様に言った。

 

「僕とアイリはこれから一週間、少し忙しくなる。イリヤの相手を頼むね」

 

 それ、実質俺の休みないじゃないですかぁぁ!!!!!!!!切嗣要素どこ?ってぐらいのおてんば姫の面倒見ろって、休めねぇぇぇ!!くそう!くそう!切嗣の鬼!悪魔!切嗣!!

 そして、この予想通り、俺は一週間、イリヤスフィールに振り回されるのでした。ナンデ??

 




戦闘用なのに、技術が伴っていないはアハト翁が急遽作ったホムンクルス達だからですね。数体は以前から鋳造されたのも居ましたが。
自己評価が低いのは、原作勢を知ってるからですね。魔術無いってのが本人的にとても評価をマイナスしてる要因な模様。

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