まだ完結してない聖杯戦争という事で、色々と難しいですが何の為にプレラーティーと接点を作ったんだ?ってなるので頑張ります。
注意
今作において、舞弥さんが生存している為にシグマくんは彼女の元にいます。なので、登場するにしてもバックアップ人員になると考えております。
偽りの聖杯戦争……もう、聖杯戦争は勘弁してくれ
聖杯戦争は終わりを告げた。俺にとって死んでほしくない人達は皆、生き残り最上の終わりを迎えたと思う。これで漸く、聖杯戦争とか言う危険な物から離れて生活が出来ると思っていたんだがなぁ……
「……聖堂教会に縛られるのは自業自得だから納得しよう。死徒共を殺す事もまぁ、100歩譲って理解しよう。だが、なんでこんな冬木から離れた地でまた聖杯戦争に関わらなきゃならないんだ!?」
アメリカ合衆国、西部ネバダ州にあるスノーフィールドに今、俺は来ていた。妻であるカレンを今も目の前でニヤニヤとしている奴に会わせたくなかったので単身で来たが……はぁ、カレンの温もりに癒されてぇ。常に隣にいる存在ってやっぱり大切だわ。
「あれれ?まさか、忘れたなんて言わせないよ。あの日、君がこうなる運命が決定された日に私と約束したでしょ?」
瞬きの間に俺の間合いに入り込んだフランチェスカは、愉しげな笑みを浮かべたまま俺のお腹の下から細い指を走らせ心臓の付近でクルクルと回し、言葉を続ける。
「その『泥』を大人しくさせてあげるから、私のお願いを聞くって!そ れ に、電話に出て素直にここまで来た君だって実のところちゃーんと覚えていたんでしょう?」
「……聖杯戦争絡みだと知ってれば断ってたわ」
「アハハ!!アレ以外の選択肢が無いって分かりきってるのにその小さい反抗続けるぅ?ま、私が呼び出すより早く教会の狗にされたのはちょっと気に食わないけど、相変わらず反抗的な様で何より」
子供の様な見た目をした年齢不詳の女はクルリと回り、距離を取り言葉を続ける。
「ようこそ。私が用意した偽りの聖杯戦争の舞台へ。君が君らしく、輝き活躍して泥に塗れ物言わぬ骸……ってのはその身体じゃあ無理だね。苦痛に歪んでいく様をたっぷり魅せてくれると嬉しいな☆」
俺の知り合いは人格が破綻してないといけないルールでもあるんか?あぁ、いやそれは一部に失礼か。フランチェスカは自らの箱庭を誇示する様にスノーフィールドを一望できる窓へと手を広げそこに視線を誘導する。冬木とは違い、活気のある夜の街並みが広がる光景は到底聖杯戦争が行われる舞台には見えず、何も知らずにこの街へと来ていれば観光の一つや二つカレンと共にしていた事だろう。
だが、この街で聖杯戦争は起きる。夜になってもこれだけの人が活動している街だ。多くの人が死に、その殆どが隠蔽される事になり沢山の悲劇を生み出すのだろう。今、目の前にいる奴の手で。
そっと静かに息を吐き、気持ちを切り替えフランチェスカを見て口を開く。
「お前の要望など知ったことではない。けど、約束してしまったからな。糞みたいな遊戯に付き合ってやるよ」
消えゆくだろう命になんの興味も関心も抱かない俺は、間違いなく目の前のこいつと同類なのだろうな。
『……なるほど。いつも通りの貴方らしい選択ですね影辰』
「うぐっ……なるべく早く帰れる様にするから許してくれカレン」
聖杯戦争に巻き込まれた事を伝えると電話越しに大きな溜息を吐かれて、呆れた口調で言われてしまった。いや、ほんとすまん。完全な自業自得な上にカレンからすれば事後承諾でしかない事柄だ。
『教会の方は私がやっておきますからご安心を。寧ろ、敬虔な信徒だけになりますから主も喜ぶと思いますよ?』
「それ遠回しに帰ってくんなって言ってませんかねカレンさんや……」
『教会は本来その様な場所ですから。……冬木から遠く離れた地で行われる聖杯戦争……二度も経験している影辰に言う言葉ではないのでしょうけど念のため。気をつけてください』
そっと小さく呟く様な声でカレンは俺の身を案じてくれるのを嬉しく思うと同時に冬木に帰りたい気持ちが強くなったが、グッと堪える。
「あぁ、カレンを悲しませる様な結果にはしないよう最大限足掻くつもりだ。だから、冬木で待っててくれ」
『待つのは慣れてますから……それではそろそろ教会の準備があるから切ります』
「そっか時差があったな……すまんな、明朝から」
『いえ、影辰からの連絡ならいつでも構いません』
そう言って電話が切られた。あー……これ電話向こうでカレンの顔が赤くなってるのが容易に想像できるわ。まぁ、俺は俺でニヤケが止まらないんだが……今なら切嗣の気持ちがよく分かる気がするなぁ、この暖かさを手放したくはないよな。
「……今回は過去の2回より黒幕に近い立ち位置だ。面倒ごとに巻き込まれる頻度はこれまで以上と思っていた方が良いだろうな」
とりあえず、シャワーでも浴びて今日はもう寝てしまおう。携帯に充電器を繋ぎ、備え付きの浴室に入る。高いホテルだからだろうか、隅々まで手入れが行き届いており綺麗だった。日本で慣れてるとギャップが凄いからな……そして、いざ寝ようと軽く体を伸ばした時だった。左手の甲にピリッとした痛みが走った。
「……嘘だろおい」
確かにあの時に比べれば泥の影響で魔力を有してはいるだろう。だが、ただそれだけで魔術回路も何も持っていない俺に再び『令呪』が浮かび上がるだと……何故、俺を選んだ聖杯。俺より相応しい人間なんて幾らでもいるだろうに……!!三枚の羽根が三角形を作るような令呪を睨み付けるがその行為には何も意味はない。
「灰錠の待機状態でとりあえず令呪は隠せるか……」
フランチェスカに電話でもと思ったが、なし崩し的にサーヴァント召喚の用意なんてされたら堪ったものではないので向こうから何かあるまでこっちからのアクションは無し。可能なら来るであろう聖堂教会の神父とコンタクトを取ることだが……カレンとの一件で基本的に恐れられてるからなぁ。
「……よし、もう寝よう!」
考えるのが面倒になった俺は勢いよくベッドに倒れそのまま意識を投げ捨てた。とりあえず、聖杯の馬鹿野郎!!
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