転生特典が動体視力?これ、無理ぞ   作:マスターBT

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うーん……ちょっと上手く纏まらなかった気がする。ダイジェスト風に進めていくの難しいね。
感想・お気に入り・評価ありがとう!


ここでの戦闘もガス爆発事故にされるのだろうか?どう考えても刃物とかの跡だけど?(後編)

「我が名は征服王イスカンダル。此度の聖杯戦争においてライダーのクラスで現界した」

 

 乱入したライダーが堂々と真名を名乗る。流石のセイバーやランサーも、これには驚きと呆れの表情を浮かべている。まぁ、そうだよね。聖杯戦争において、自身の真名と言うのは絶対に秘匿しなければならないものだ。何故なら、英霊の名というのは弱点に直結するからだ。分かりやすい例を挙げるなら、龍の血を浴び不死身の肉体となったジークフリート。しかし、背に落ちた菩提樹の葉が張り付いてしまった部分は血を浴びておらず、そこだけが人の身のまま。ジークフリートを倒すのならその背を狙えば良い。この様に名を知られるだけで弱点が露見してしまうのだ。実に、英雄らしい弊害だなと思う。

 

「むぅ。では、そこの小僧!ランサーとセイバーの戦いに見事介入して見せた者だ。どうだ?セイバーではなく、余に乗り換えんか?その豪胆さはこのマスターにも見習わせたいものだ」

 

 はい?なんでこの王様、俺なんか勧誘してんの?セイバーとランサーが目的じゃなかったん??というか、セイバーさん。顔が怖いですよ。視線だけで人を殺せそうになってますよ。ふざけるのもこの辺にして真剣に考える。確かにライダー陣営に鞍替えすれば、生き残る可能性は高い。この聖杯戦争で唯一、幸せに終わった組だから。だが、ここで同意すればきっと俺の頭は柘榴のように散る。

 

「征服王、その申し出を受ける事は出来ない。貴方の様な王に勧誘を受けた事は大変光栄だが、俺は道具だからな。主を選ぶ権利はない」

 

 切嗣を裏切る選択はない。勿論、裏切った瞬間に死ぬのもあるが、あの日切嗣に誓った事を嘘には出来ない。そんな事をすれば、俺は俺が許せなくなる。

 セイバーとアイリスフィールが安心した様な表情を浮かべている。君たち、意外と俺に対する好感度高かったりする?

 

「ハッハッハッ!道具と来たか。この征服王イスカンダルを前にして、自らを道具と。良かろう!ならば、征服王らしく略奪を以て奪うとしよう」

 

 豪快に笑うイスカンダル。なんでこの王様、俺なんか欲しがってるんだか。とりあえず、これ答え方間違ったな。普通に断れば良かったかもしれない。切嗣とイスカンダル、おっさんに挟まれる俺。おぇぇ……嬉しくねぇぇ。

 

「だがまぁ、この場は一先ず……」

 

 すぅぅと息を吸い込み、戦場どころかこの辺一帯に聞こえるんじゃないかというぐらいの大声で未だに姿を見せないサーヴァント達を挑発するイスカンダル。いくらなんでも、こんな馬鹿みたいな挑発に乗っかる英霊なんて本来なら居ない筈なんだけど、この聖杯戦争には馬鹿みたいにプライドの高い金ピカの王様が参戦している。

 視線を上に向ければ、街灯の上に一人の英霊が姿を現す。真紅の瞳を以て、眼下の俺たちをゴミのように見る英霊、この聖杯戦争三人目の王、英雄王ギルガメッシュ。

 

「我を差し置いて王を名乗る不埒者が二匹も現れるとはな」

 

 ほんと、プライドの塊ですね。英雄王。不機嫌な様子を隠そうともせず、イスカンダルとセイバーにのみ視線を向ける。俺やアイリスフィールは兎も角、ランサーすらあの王の眼には等しく雑種の様だ。後は、バーサーカーが乱入してギルガメッシュが帰るまでは安全の筈。少しぐらい休むと……あれ?ギルガメッシュさん、俺を見てません?

 

「ほぅ?一人、魂と肉体が噛み合わない者がいるな。神にでも狂わされたか?実に哀れだな」

 

 ギルガメッシュの背後に金の波紋が広がり、宝具が顔を覗かせる。それを見た瞬間に凄まじい寒気が全身を駆け抜ける。アレは駄目だ。擦り傷の一つでも負えば、俺という存在は消える。数多の宝具その原典を所有しているチート英霊。多分、あの宝具は俺の様に転生した者に効果を発揮する宝具だ。

 

「この我が自ら葬るのだ。光栄に思えよ」

 

「ッッ──ふざけんな!」

 

 見ろ見ろ見ろ見ろ!目に力を込めて、高速で放たれる宝具の射出タイミングを捉える。全力で身体を動かし、避けようとする。が、僅かに足りない。直撃を避ける事は出来るが、掠ってしまう。嫌だ、嫌だ、死にたく……死にたくない!

 

「影辰!!」

 

 横から暴風が俺を吹き飛ばす。派手に地面を転がる事になるが、ギルガメッシュからの攻撃を受けずに済んだ。あ、危なかった……

 

「良い目を持っている様だな。だが、我の裁定は絶対だ。覆すなどこの我が許さぬ」

 

 くそっ、流石に2回目は避けられないぞ。セイバーに吹き飛ばされたせいで、身体が痛い。しかも、目を酷使した代償か頭痛までしてきた。

 

「……早く来いよ。バーサーカー」

 

 思わずそう口に出した直後、真正面が黒い霧の様なものに包まれた。おいおい、まじかよ。セイバーに吹き飛ばされた先がバーサーカーの登場場所だったのか……!

 

「Arrrr」

 

 マスターである間桐雁夜に命じられているのかギルガメッシュを見上げるバーサーカー。当然、理性なき狂戦士に見つめられて機嫌が悪くならない筈がなく、浮かべていた宝具の狙いを俺からバーサーカーへと変える。

 

「後ろの雑種ごとせめて、死に際で我を興じさせよ」

 

 あーもう、ほんと質が悪いなこの王様!けど、この状況で俺が出来る事など何もない。精々、バーサーカーの邪魔にならない様に彼の背の隅っこに縮こまっているぐらいだ。頼むぜ湖の騎士。

 ギルガメッシュが剣と槍の宝具をバーサーカーへと放つ。最初に飛来した剣を掴み取り、槍を斬り伏せるバーサーカー。ほんとに理性ないんだよな?

 

「その穢らわしい手で我が宝物に触れるとは。そこまで死に急ぐか犬!その手癖の悪さを以てどこまで凌げるか見せてみよ!」

 

 ギルガメッシュがブチギレ大量の宝具が顔を覗かせる。これ……余波で俺死ぬか?逃げるにしても、バーサーカーの背後から少しでも動けばギルガメッシュに殺されるかバーサーカーに殺されるかしか待ってない気がする……どうせ、ギルガメッシュにキレられているんだ。もうどうにでもなりやがれ!

 バーサーカーが凄まじい力量で弾いていく宝具。その中で、奴が握り未だギルガメッシュの元に戻っていない宝具を掴み取る。そのまま見様見真似でバーサーカーの動きを真似て、流れ弾のように俺に飛んできた宝具を打ち払う。

 

「イッッ!?」

 

 右腕が悲鳴をあげる。動きに肉体がついて来れていないのか!そりゃそうだ、無窮の武練を保有しているバーサーカーの動きを劣化とは言え、真似たんだ。未完成である子供の体が耐えられる訳がない。だが!死ぬよりはマシだ。

 

「うぉぉぉぉぉ!!!」

 

 宝具を打ち払い、持ってる宝具が壊れれば全力で身体を動かし、次の宝具を拾う。そしてまた打ち払う。大半がバーサーカーを狙っているからこそ成立しているが、もし俺だけが狙われていればあっという間に骸になっているだろうな……

 やがて、バーサーカーがギルガメッシュの足場にしていた街灯を破壊する。

 

「天に仰ぎ見るべきこの我を同じ大地に立たせるか……よほど死にたい様だな犬!」

 

 先ほど以上の宝具がギルガメッシュの背後に展開される。あぁ……漸く時間が来たか。持っていた宝具を地面に落とす。というか、もはや握るだけの力すらない。今日はとことん運が良いな。

 

「貴様もだ雑種!我の裁定を悉く無視しおって……まぁ良い。ただの雑種が魅せるには十分な程の見せ物であった。その褒美だ、受け取ると良い」

 

 目の前に金色の波紋が発生する。この距離で放たれれば俺は死ぬ。全力で身構えた俺の耳にコトンという音が響く。恐る恐る目を開けると、地面に何かの瓶が転がっていた。え?なにこれ……え?

 

「効果は教えん。好きな時に使うと良い。まぁ、次我の前に姿を現せば、此度の非礼をその身で払ってもらうがな」

 

 えぇ……ギルガメッシュの霊薬っていうと若返りの霊薬か?いや、それを俺に渡す理由が分からない。そもそも、あの王様の考えを俺が分かる訳ないんだけど。ただの人間に渡すには特級の危険物だよなこれ……

 

「……なに?時臣!貴様如きの諫言で王たるこの我に引けだと!……雑種共、次までに有象無象を間引いておけよ。我と見えるのは真の英雄のみで良い」

 

 俺が悩んでいる間にギルガメッシュが霊体化し消えていった。左手で霊薬を拾おうとして、目の前が明暗し始める。あ……不味いなこれ……

 

「影辰!!…くっ!」

 

 セイバーが俺を呼ぶ声が聞こえ、俺の意識が完全に途絶える。身体を酷使し過ぎた……すまない……切嗣。




無窮の武練(劣化)を習得。効果不明の霊薬獲得。
ギルガメッシュ、イスカンダルにマークされる。こいつ、加速度的に死に近づいて行くな……本当に生き残りたいの?(困惑)

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