転生特典が動体視力?これ、無理ぞ   作:マスターBT

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話が進まねぇ!
謎解きになると、口を挟む余地のない男影辰。ウェイバーくんの推理などを全部見たい人は原作へGo!


友になった二人の事件簿6

 列車に戻ってすぐに化野の奴に呼び集められ、今回の事件に関する推理を聞かされた。どうせ、こういう輩の推理は状況を掻き回したり、真相とは関係のない化野自身の目的があったりなど。どちらにしろ真相を騙るという茶番劇に過ぎないと俺は、一番離れたところで腕を組みながら化野の話を聞いていた。奴は、今回の事件と似ているロンドンで起きた魔眼目的だと思われる殺人事件を説明し、その調査に聖堂教会からカラボー神父が派遣。その魔眼の真価が見た事象を記録し、現実の世界に浮かび上がらせるものと説明した。

 

「……予めトリシャ・フェローズが座るであろう場所に斬撃を記憶させておき、あのタイミングで実行したと。確かに今と過去からの斬撃であれば未来視では予見出来ない可能性が高いのか」

 

「えぇ。そうです衛宮さん」

 

「聞こえてるんかい……」

 

 笑顔で俺を見てきた化野の地獄耳に呆れる。それなりに距離離れてるんだがな。林檎を片手に推理を進めていく化野。確かにカラボー神父の魔眼の能力が化野の言う通りなら、辻褄が合う推理だと思える。

 

「待ってほしい!Ms.化野、貴女の推理には些か疑問がある」

 

 漸く起きたか寝坊助。グレイちゃんに連れて来られたウェイバーは、化野の推理の疑問点を次々と挙げていき、その中に一つ俺も気になっていた事があった。そう、あの魔眼が本当に過去の出来事を現実に浮かび上がらせるものなのかどうかだ。それをウェイバーが指摘してもなお、化野の顔に揺らぎはない。あぁ……本当に嫌な奴だ。

 

『その魔眼であれば可能でしょう』

 

 魔眼のプロフェッショナルと言える魔眼蒐集列車の支配人代行が、カラボー神父の魔眼の力を肯定した。この時間すら見定めて推理を始めたのだろう化野は。そして、そのままカラボー神父の魔眼は摘出され、『泡影の魔眼』として行われるオークションの商品とされる事になった。

 

「ところで皆さん、出ていきましたけど貴方は宜しいのですか?衛宮さん」

 

「残ってるのは謎解き。それは俺の仕事じゃない、そうだろう?化野」

 

 軽く睨みつける様に視線を化野に飛ばすと彼女はにこりと微笑みを返した。それなりに殺気も込めたが、時計塔で揉まれているだけあって揺らぐ気配も無しか。まぁ良い、それが目的じゃないのだから。

 

「まぁ怖い。そっちが本当の貴方ですか?」

 

「こっちも俺だよ。人は誰しも仮面を持つ、ただそれだけの話さ」

 

「なるほど。それで、ワトソンが私に何か用件でも?」

 

 ワトソンって……あぁ、ウェイバーの奴が名探偵だからホームズ。その相方って意味でワトソンか?俺がそんな役柄に見えるかね。良くて、モリアーティ教授の右腕、モラン大佐がだろうよ。

 林檎を片手に彼女の横に並び立つ。横目で化野の視線を合わせ、素手で林檎を半分に割り片方を渡す。

 

「何が狙いだ?俺でも突っ込める程度の穴だらけの推理を披露してまで何を考えている」

 

「それをお話しして何か私に得がありますの?」

 

「この場で首が折れずに済むかもしれないな」

 

「まぁ……そうですね、私が望む結果に彼が辿り着くのであれば貴方達に害を与えるつもりはありませんとだけ。私が進んで害を与えようとするのと、貴方達が勝手に突撃するのはまた別問題ですので、その件で私を責めるのは辞めてくださいね?」

 

「……そう。なら、結局ウェイバーの奴を信じるしかない訳か。話は以上だ、無駄な時間を取らせたな化野」

 

 林檎を齧りながら俺はその場を去る。ウェイバー達は……多分、オルガマリーちゃんの所だろう。現状、謎解きをするのであればトリシャ・フェローズに関して調べるのが一番だ。もし居なきゃ、またチェスの相手でもして貰おう。

 

 

 

 

「……隠し事をすれば本当に首を折るつもりでしたね彼」

 

 誰も居なくなった部屋でそっと化野は自身の手を首元に当てる。何処となく気が抜けた一般人を装っていた影辰の裏側には何かあると思っていた彼女だが、これほどのものを秘めていたとは思っていなかった。信用を得るため、近づいてくる彼に対し何もせず懐まで入れたが返事一つで運命が変わる危ない橋を渡ったものだと自身に対して僅かばかり呆れる。

 

「衛宮……魔術師殺しの男の道具。今一度、調べるぐらいはしておきましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー……タイミング悪かったか?」

 

「お前はこうどうして……はぁ、まぁ良い。それでどうする?オルガマリー」

 

 部屋に入った直後、ウェイバーが「世界に向かって証明したくないか」っと格好つけている所に出くわしてしまった。いやいや、ごめんて。だって、ここの扉防音か知らないが、余程大きな声を出さない限り外に漏れないんだって。お前が格好つけている場面だと思わないじゃん。

 

「……良いわ。でもこれは取引よ、貴方がただのオルガマリーを必要としたのならソレに応えてあげるロードエルメロイII世」

 

「あぁ。分かっている」

 

 おぉ、良かった良かった。やっぱりあとはウェイバーに任せておいて良かった……ん?なんでこっちに向かって歩いてくるんだ?オルガマリーちゃん。俺の目の前まで来てじっと俺を見つめるオルガマリーちゃん。

 

「えーと……何か?」

 

「貴方も、私を手伝ってくれるんでしょう?報酬は要相談、可能な限り貴方の要望に応える事を約束するわ」

 

 なるほど、俺という存在の扱い方をよく心得ているな。大方、ウェイバーとのやり取りで理解したか?話す機会も多かったし、自力でどういう人間か辿り着いた可能性もあるか。そんな事を考えながら俺はしゃがみ、オルガマリーとの視線を合わせる。

 

「どの様な道具をご所望で?」

 

「私の代わりにこの事件の犯人をぶっ飛ばして。誰を敵に回したのか分からせてやるわ。それがアニムスフィア家の礼儀よ」

 

 ただのオルガマリーはウェイバーが肯定し、家名を含めた彼女を俺は肯定した。今までずっと欠けていた二つを認められた彼女は何処か自信に満ちており、トリシャ・フェローズが死亡した時の危うさを感じさせない。ならば、俺も応えるとしよう。

 

「了解した。必ず、その意志を犯人に届けると約束する」

 

「えぇ。頼んだわよ、そうと決まれば早速話し合いよロードエルメロイII世!」

 

「あ、あぁ。分かった」

 

 元気が出た様で何より。俺も立ち上がり、話し合いに混ざるがぶっちゃけ特に何も思いついていない俺は、黙ってオルガマリーとウェイバーのやり取りを見守っていた。その中で、冬木の聖杯に関して意見が出たが黙っておいた。あの聖杯が不良品かどうかはまだ確信が持ててないのだから。やがて、オルガマリーの一言で何か確信を得たウェイバーは、作戦を詰めていき時間は夜となった。

 

「お前、既に犯人に目星がついているんだろう?」

 

 化野の部屋へと向かう最中、ウェイバーがいきなり話し出す。俺だけ連れて行く事に疑問を感じてはいたが、なるほどね。

 

「俺の意見が必要か?名探偵」

 

「揶揄うな。答えは分かっていても、自分以外の意見が欲しい時もあるだろう?」

 

「ほーん。まぁ、仕方ないから教えてやろう。あの眼鏡くんだ」

 

 そう答えると横で満足そうにふっと笑うウェイバー。こいつ、本当にロードやる様になってからそういう顔が似合ってて腹立つ。もっとギャーギャー喧しい奴なのに。

 

「私も同意見だ。全く、私とした事が聖遺物の事で頭が一杯で、お前が出してるサインに気づかないとはな」

 

「別に俺のはただの勘でしかない。お前みたいに推理した訳じゃないさ」

 

 眼鏡くん……カウレスに関しては列車に乗る前からどうにも気に食わない雰囲気を感じていた。確証も何もないから行動に起こす事はなかったし、直接ウェイバーに伝える事もしなかった。まぁ、ずっとカウレスに関しては名前を出さないっていう合図は出してたんだが。

 

 コンコンとウェイバーが扉をノックし、中からどうぞと声がかかる。扉を開ければそこには相変わらず笑みを浮かべた化野が立っていた。

 

「さて、ではずっと騙してきた輩を我々で騙そうじゃないか」

 

 罠を講じる軍師の様に愉しそうな顔を浮かべるウェイバーを化野は楽しそうに見、俺は呆れた顔で見るのだった。こうして、決戦の舞台。魔眼オークションが開催される事となる。




次回、ちょっと長めに書いて最終回にしようかしら(未定)

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