総隊長の孫娘〜その者、最凶の料理人につき…〜   作:名無しのナナ

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プロローグ

 

 辺りは燃え盛る業火と敵味方、男女問わず死体が築き上げた死体の山に包まれていた。

 その災禍の中心で一組の男女は相見えている。

 

「……事ここに及んでは認めるしかあるまい、私を以てして貴様のような化物は見た事がない…」

「………」

「──だが、未だ終わりではない…」

 

 何度斬り結んだのだろうか、女が持つ惣闇(つつやみ)色の刀身を持つ刀により受けたらしき刀傷と火傷を幾重にも受け、今も尚刀身を突き立てられながら男は不敵に笑う。

 

「それはお前が一番理解(わか)っているだろう?」

「…黙れ」

「ッ…」

 

 グッ…と、握り締めた柄に力を込める女。

顔立ちに幼さを残しながらも戦う者が持つ確固たる意思を宿した瞳と漆の如き髪を背まで伸ばし豊かに実った双丘、…その頬と谷間に返り血を滴らせつつ自身の一部とも言える斬魄刀の力を以て男の霊圧が著しく弱まり男は吐血する。

 

 

「…山本元柳斎重國の血を継ぎしお前は千年後にこの私手ずから滅ぼしてやる、お前が大切にするものも、お前を愛おしいと想う者も、全て、な…」

「黙れと言っている、ユーハバッハ…!」

 

 くつくつと喉を鳴らし笑う男…ユーハバッハは敵味方問わず此度の戦で流れた血に塗れ薄汚れた羽織に七の数字を背負った女の腕の中で衰弱して行く。

 

 

 それは如何なる力も介入を赦さぬ絶対的な死。

 

 

 その出生故にあらゆる奇跡を与え、そしてあらゆる命と魂を奪ってきたユーハバッハにとって山本千歳という女死神はそれ等を上回る力の持ち主であると同時に唯一、深い部分で繋がる事が出来た“他者”であった。

 

「…その時、お前は知るだろう…千歳…」

「………」

「私こそが、お前を一番に理解出来る存在である、とな…」

 

 事切れるユーハバッハから身体を離す千歳。

彼女自身もそう浅くはない傷を負ってはいるが敵の総大将たる男の前では情けない姿は晒すまいと一呼吸置いてから斬魄刀に纒わり付く血を振るい落とす。

 

「…仮に千年後に甦ろうとも、その時も私が…否、この___が、全て喰らい尽くしてやるだけだ」

 

 誰に聞かせる訳でもない独り言、(しか)しその言葉からは絶望の色は窺えられず千年という気の遠くなる未来を独り見据える気高い魂が存在するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

────同時にそれが、“(ボク)”の目覚めの時でもあったのだと思う───

 

 

 

 これより語られるは一人の転生者(異物)の物語。

 幾つもの逃れ得ぬ死と運命を回避しようと、己がエゴを形にして行く元男の物語である。

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