獅子王・アルトリアペンドラゴンと王達の行くオーバーロードの世界 作:アルトリア・ブラック(Main)
今回は王国滅亡編の続きでございます。
ーリ・エスティーゼ王国ー
ザナックはブリテン王国からの先触れに会い、父王と共に話をしていた。
今後の王国としてのあり方、同盟を結ぶことで得られることを進言していたのだが…
(…手応えはないな…)
会談中もブリテン王国の宰相位の一人であるアグラヴェインの反応はイマイチだった。
「同盟についてなのだが…」
そう切り出した際にアグラヴェインは耳に手を当てていた。
「出来る限り助けたいというのが、獅子王陛下からのお言葉だ、だが、無条件に助けるのもこちらにとっては利益がない」
アグラヴェインは表情一つ変えない。
「私個人の見解を述べれば、悪化していく王国よりも、少しの打撃で反映する見込みのある帝国のどちらかを取れと言われたら、私は帝国を守るために動くでしょう。他の王方々もそう言っておられる」
「……」
アグラヴェインの言葉に父王は何も言わない。
何も言えないのだろう。
(…クソ、ここは…俺が…)
声を出そうとした際、父王が立ち上がる。
「ならば…ならばせめて、領民の避難を、魔導国が攻めて来た際に領民と我が子供達を避難させて頂きたい」
そう深々と頭を下げる父王にアグラヴェィンは無言になる。
「…そのように進言してみよう」
その言葉に父王は「感謝する」と言っていた。
ーアインズー
「アインズ様、各階層守護者、御身の前に揃いました」
「うむ、各階層守護者ご苦労。頭を上げよ」
「はっ!」
歯切れの良い返事と共に顔を上げる守護者達
一糸乱れぬ統率された動きだ。
本来であればアルベドが許可を出していたらしいが、そればかりはやめた。
上に立つ者は下の者に軽々しく声を聞かせるべきではないと言われても、そこまで隔絶されたくない。
「さて、アルベドよ、ここに全員集めた理由を聞かせてもらおう。魔導国にとって重要な案件なのだろう?」
「はい、先日、王国にブリテン王国の騎士達が来ておりました」
「!そうか、観察はできたか?」
『ブリテン王国』
唯一のプレイヤーの国家にして、ナザリックと対等以上に戦える国家だ。
「いえ、向こうもこちらが見ていることに気づいており、会話までは盗めませんでした。申し訳ありません」
頭を下げるアルベドに『良い』と言う。
キャメロットにいるプレイヤーは皆個性が強く、富裕層であった故にアインズよりも頭が回る。
特にギルガメッシュやオジマンディアスなどはあの世界では支配層だったのだ。
「あのラナーという王女からの情報は聞き取れたか?」
「はい、ブリテン王国は王国との同盟を拒否したとのことです。代わりにバハルス帝国と同盟を結ぶと言っておりました」
「……そうか」
バハルス帝国がブリテン王国とつながっていると分かってしまえば、フールーダにも下手に情報を渡せない
まぁ、情報を聞き出す所が減ってしまうが、デメリットを考えれば仕方のないことだ。
「してアルベドよ、その騎士達と言うのは誰だった」
「円卓の騎士・アグラヴェィン。同じくガウェインと判明しました」
「ふむ…」
レベル100のNPCである二人が王国に来ているとなれば、相応の護衛をアルベドとデミウルゴスに付けなければならない。
「ならば、今後はマーレを連れて行くように、流石のあの騎士達もむやみに攻撃をするタイプではないからな」
「は、かしこまりました」
「最も警戒すべき敵は、キャメロットの最強のNPCであるキングハサンだ。アレが出て来た場合は至急ルベドを配置するように」
『キングハサン』
キャメロットにおいて、最強を収める存在
ユグドラシルにおいてかなりの違法の元製作されたNPC。
運営に何か根回しでもしない限り、あのNPCは誕生しない。
キングハサンはユグドラシルにおいて寿命のない種族に死を付与するという破格の能力を持っている。
そしてスキル《気配遮断》があり、並大抵のプレイヤーは首を斬られるまでその存在に気づかないのだ。
「はっ」
「さて、アルベドよ、ここに集めた理由はブリテン王国のことだけではないだろう?」
「はい、単刀直入に申し上げます。四日ほど前、聖王国に運搬途中の私どもの食料が王国内にて奪われました」
「ほう?何者に」
「王国の貴族です」
アインズは目の灯を瞬かせる。
アルベドにしては歯切れが悪い
普段の彼女ならその貴族の名前や兵力、狙いを即座に聞かせてくれたはずだ。
何か理由があるのだろう、と思いながらアインズはさらに質問を投げかける。
「運搬を任せている八本指の息がかかった商人には敬語の兵をつけているのではなかったか?それに、我が国の旗まで掲げているという手筈だったな?つまり、魔導国と正面切って戦うことを王国は望んだということか?」
王国の態度からすると魔導国とは戦いたがらないという考えていたのだが、それは考え違いをしていたのだろうか
「ブリテン王国ノ謀略カ?」
コキュートスの言葉にアインズもそう感じてしまうが…
「いや、あの国はこんな地味なことはしないだろう。彼らは真正面から戦端を切ってくるタイプだ。武力もあるからな」
「八本指が裏切ったという線もあるか」
「いえ…その」
言葉を濁しつつ、アルベドが目を伏せる
なんというか、彼女がこんな態度を取るのは珍しい
「どうした?アルベド。何かあったのか?」
堂々とした態度を崩さないように気をつけながらアインズの背中は嫌な汗に濡れた。
「アインズ様…王国を支配下に置くために愚かな貴族を利用するという計画を覚えていらっしゃると思うのですが…」
「その愚か者が何か関係しているのだな」
「はい。その愚か者が今回の事件を引き起こしました。ただ、アインズ様も可能性の一つとしてお気づきかもしれませんが、これ自体が王国首脳部な仕掛けて来た謀略という線もございます」
その馬鹿貴族が起こした証人としてヒルマがやってくる。
ある程度事情を聞くと
「貴族からの返事を見せてもらったが、あれは完全にお前に魅了されていた様子だった。あれが魔導国に敵対するとは到底思えんぞ」
「はい。その辺りは詳しく調べましたが、旗印として食料を奪ったのは間違いございません。ただ…魅了や洗脳などといった手段によって操られたという可能性もないわけではありません。実行したのは事実です」
「しかし、我々の上を行く知者による謀略という点も捨てがたいのです。そうなると下手に動くと相手の良いように利用されるだけで終わることもありますし…」
アルベドが苦い顔をし、デミウルゴスも同じ顔をした
「その貴族が何も考えずに行動しただけじゃないのか?」
「アインズ様、いくらなんでもそれなはないかと思うのですが…」
アルベドが申し訳なさそうにそう言う。
「いや、待ちたまえ、アルベド。私たちは知者の策を先回りする程度しかできないが、アインズ様は愚者の暴発でさえ読み切る。もしかするとその可能性もあるんじゃないか?」
「で、でも、そこまでのバカなんて…ありえるの……?でも、アインズ様が……」
「あのアインズ様がそう言うんだから正解なんじゃないの?アルベド」
ー玉藻前ー
玉藻前は一人、宮殿から離れて王国の街を歩こうとしていた
《一人で出歩くのは危険だが》
そう闇から声をかけてくる存在に玉藻前はハァとため息をつく
「むやみやたらに歩き回りませんよ〜ただ気分転換をしたいから出てきたんですよ」
《そうか》
キングハサンの声にため息をつく
玉藻前が外に出ていたことに気づいた粛清の騎士達が出てくる。
「…まーたく、仰々しいですねぇ」
《それもまた仕方のないこと、主は以前に…「はいはい!ごめんなさい!それは」》
割り込んで言ってくる玉藻前にキングハサンが『分かっているならよし』と言って姿を消す。
「玉藻前」
「…キングハサンの次はゴリラですかぁ〜?」
「ゴリラ……」
粛清の騎士達が間を開ける。
「この国についてどう思います?」
その言葉にガウェインは街並みを見る。
「人に罪はない、しかし、あの王には罪があります」
市民に罪はない。
むしろ、無辜の人々である市民は守る対象になる。
「そうですねぇ…優しいだけの王は王として失格ですし〜?」
獅子王と英雄王を思い出す玉藻前
あの二人は全く似ていないが、ランポッサ三世とは大きく違うところがある。
それは、国のためなら、多数のためなら少数を切り捨てるのも辞さないところだ。
玉藻前の言葉にガウェインは『そうですね』と返してくる。
「おや、珍しいですね〜他国の王であろうと批判しないのに」
ニマニマと笑う玉藻前に真面目な表情で
「えぇ、よその人間が他国の王を酷評するのは間違っています。しかし、今は状況が違う。かの王は判断を見誤った、今すべき選択はあれではないというのに…」
ランポッサ三世は優しさで人を救おうとしている節がある。
すると…
「ガウェイン卿、玉藻様、報せです」
小太郎が二人の横に現れる。
「どうしました?」
「魔導国が宣戦布告をリ・エスティーゼ王国に突き付けました」
「どうします?庇います?」
「………」
ガウェインは《伝言》で獅子王に報告する。
「王、魔導国がリ・エスティーゼ王国に宣戦布告を行いました。どうされますか」
その質問に獅子王は冷静な声で
『戻って来るのだ、ガウェイン卿』
「かしこまりました。市民の避難はいかがされますか?」
『来るべき時が来れば行う』
「はっ」
転移門が現れる。
「アグラヴェィンを待ちましょう」
そう言うと玉藻前が「遅いですねぇ」と言って中をのぞいていた。