Fate/End of Avalon〜ラスエピ士郎くんと神聖円卓領域キャメロット〜   作:FGOキッズ

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プロローグ

星に焦がれた代償は────この(つるぎ)を砕き、終わりなき絶望の道を歩む事だった────

 

星は遠く、手を幾度伸ばそうと、焦がれようとも、どれほどその鮮明な記憶を元に道を歩もうと決して届かぬ輝き。

 

少年と少女が交わしたたった一つの契り、たった一度の夢の狭間。その間で紡がれた羨望と渇望

 

────そして愛の誓い。

 

万能の願望気を持ってしても尚、決して叶わぬ願い(わがまま)

 

多くの絶望を知り、尚のこと────なおさらの如く縋る。

 

僅かな希望を持って挑み、倍以上の絶望を与えれる。

 

 

 

 

──それでも、少年は今も歩みを止めない。

 

その旅路の果てに確かな再会があると信じて────

 

「ああ、まだ歩けるさ。まだ、この(つるぎ)は砕けていない。」

 

 

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─────いつもと変わらぬ天井の下で目が覚めた。

 

自分の体温を測り、五感が正常に働いてるかを確認する。

 

客観的にも分かるようにわたしの名前を口にする。

 

まるで自己を定義するかの如く、“自分“という機械を起動させるための暗号のように名を口にし、自分を定義した。

 

「“マシュ・キリエライト“

 これが私という人間(にんぎょう)につけられた名だ。」

 

止まったような日々を繰り返してるような、今日も同じ日を始めようとした。

 

まるで■■■■■が為されたような、永遠には程遠くとも、今が永遠の如きを日々を開始しようとしていた───。

 

だから、これは転機たり得た。変わらない日々に違和感を感じた瞬間に、私の運命はようやく動きを始める事となる。

 

「こんにちは。初めまして。召喚例第二号・・・・いや、これは違うな。」

 

「今日ぐらいはちゃんと名前を呼ばないと。大丈夫。レコーダーは止めてあるから。」

 

初めて会うその人は、初めて会うにしては妙に馴れ馴れしく、妙に安心できる人だった。

 

「改めてこんにちは。マシュ・キリエライト君。僕はロマニ・アーキマン。これからはボクが君の主治医を担当する。あ、ここ座っていい?」

 

・・・今まで経験したことのない出来事に、私は返すべき言葉を遅らせてしまった。

 

「今まで、私の部屋の中に入ってきたドクターはいなかった。」

誰も彼もが皆要領よく、ガラス越しの会話で済ませていたからだ。そのなんと空な事か。今までの会話と明らかに異質な事だ。

 

──だから、貴方のような人がいる事に驚いてしまうのだ。

 

「あ、そうなの?ガラス越しでも気持ちを伝えられるなんて、カルデアは進んでるなぁ。でもね、ボクは未熟者でさ、こうして直接会話しないとうまく話すことができないんだ。」

 

良くも悪くも古い人だからさ。と、彼女には聞こえもしない声で呟いた。

 

「だからキミも遠慮することなく、思ったこと、感じたことを、とにかくなんでも話してほしい。」

と言い

「相互の理解にはコミュニケーションが最適だ。手に入る情報量は断然多いし、何より“温かい“だろ?」

と続けた。

 

「なるほど」と、私は無機質ながら頷いた。それは一理ある。境界(ガラス)の有無では得られる情報は大きく差が生まれる。

 

言葉遣い、視線、体温、匂い、仕草、境界(ガラス)に阻まれた空間の中では決して得られ無い人との距離の中で得られる繋がり。それらの経験はマシュ・キリエライトという人間(人形)にはない体験であった。他者の意思関係なく、私という人間の反応。これを人間らしいと表すのであれば私は初めて人間たり得る反応をしたのだろう。

 

「はい」

相槌を打ち、彼の意見を快諾した。」

 

「こんにちは。初めまして。ドクター・ロマニ」

「あー。それはね────ロマニって名前はそんなに好きじゃ無いんだ。それにアーキマンという名前もちょっと驕りすぎた。」

「ボクの事は“ロマン“と呼んでくれ。ドクター・“ロマン“。いい響きだろう?」

 

ロマン、もとい浪漫という言葉を私は知っている。

 

世界を理屈、理論、確定された要素のみで観測するのではなく、精神、主観、不確定的な要素によって観測する在り方。人の未開への挑戦の意思そのもの、あるいは────

 

それは「より良い未来を思い描く」という思考方針。「自分の人生(みち)を生きている」という充実感。わたし(にんぎょう)のこれからの稼働時間のように精密に組み込まれ定められた「余白のない予定」とは対極的な道だ。「明日にはもっと多くの可能性があるのだろう」という希望的観測こそ、ロマンと表現されるかもしれない。

 

「おや、随分の可愛げのない感想だね。君は十二の小さい子供というのに、その考え方はまるで先輩みたいだ。あ、でもその通りといえばその通りだ。ボクがここに来たのは5年前だから、君の方が先輩だ。ああ、本当に情けない話でね。ボクは医療部門のトップとして呼ばれたはずなのに、このセクションに5年間も気づかなかった。本当に申し訳ない。」

 

理由も、非もないのにドクター・ロマニは誤った。実に、実に不思議な人だ。そして───間違っている。

 

「先輩と後輩」は教え、学ぶという相互の関係だ。わたしはまだ、ドクターから何も学んでいないし、学ばせていない。だから、わたしと彼の間に先輩・後輩の関係はないはずだ。それに、わたしの知識はシバから与えられたものなので知識でのわたしの先輩はシバにあたる。であるのなら、知識、情報に関してはわたしは後輩だ。

 

でも、もし、もし、それ以外に“人“としての、“生命“として先輩ができるのなら────

 

 

それは、人間としてごくごく自然な、平均的な数値の人。“最高“ではなく“最善“を望む、普通の一般人。他者を傷つけず、自分を弛めず、まっすぐ、自分の意思で立つことのできる、そんな誰かだと思った。

 

だって、わたしは“そういう人“を手本にして生み出されたのだから。

 

「そうか……。確かにそういう意味では、このカルデアにそう言える、それたり得る人物は少ないだろうね。ボクも含めて、どんな人も一角の異常者(天才)だからね。善悪両方を孕むのが人間だからさ。君のいう善人と言える人はいないのかもしれない。けど、きっといつか、君も心の底から頼れる“先輩“に出会えるよ。」

 

ー先輩に出会えるよー

 

ドクターのその言葉はとても強く印象に残った。わたしという人間にとっても心の底から頼れる先輩。自分の意思を持ち、生きる先輩。そんな未来は確かに思い描くたびに目がチカチカする。ロマン、それに満ちたきっと来るだろう未来だった。

 

「それじゃあ、改めてよろしく、マシュ。お互いこれから長い付き合いになるよう頑張ろう。」

真っ直ぐな目で、彼は言ったのだ。

 

────はい。とわたしは答えた。

 

 

 

 

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荒野に歩く外套を羽織ったものがいた。体ひどくボロボロで、心はすでに荒みきっている。

 

そこに、もはや一個人としての感情は無に等しい。限りなくゼロに近い生命力を、無理くり動かして道を歩む。

 

己が犯した罪、償いようのない罪を償うための罰。

 

そのものは決して揺るがぬ決意の眼差しを持って(いし)を動かす。

 

今度こそ、今度こそ───わたしは─────この手で─────

 

 

────我が王を殺すのだ。

 

 

 

 

大罪人と、魔術師と、唯一(ゆいひと)つの贋作。

 

彼らの運命が交差する。

 

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