オレ氏、デウスエクスマキナ的なアラガミになる   作:真鳥

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15 蝶の誘い

 

 

 

 

 

 

 

 

 光の柱が立ち昇る。

 

 すべてを黒く塗り尽くしていた天蓋はヒビ割れ、陽光が差し込まれた。

 

 固唾を飲み見守るゴッドイーターたち。

 

 世界を壊さんと荒れ狂った八首の大蛇は、その頭から二つに引き裂かれてポロポロと細かな粒子と化し塵となり砕け散っていく。

 

 そうして、ヤマタノオロチの身体の中心から、神々しい光に包まれて尚、黒々しく反する闇の輝きを有する美しい黒髪の少女がゆったりとした動作で舞い降りる。

 

 その姿は人間の女性に非常に似通った形だが、側頭の両角、手脚の外骨格、片手に持つ禍々しい形状の大剣が彼女を似て非なる存在であると理解させる。

 

 そもそも巨大な大蛇のアラガミの中から唐突に現れた時点で人外決定であるのは致し方ないだろう。

 

 そしてこの場の誰もが、彼女こそヤマタノオロチを屠った人物であり、要因であることも。

 

 地上に降り立つ黒い少女。

 

 晴れ渡る青い空。嘘のように黒一色だったのに澄みきった蒼穹から柔らかな日差しをその身に浴びる姿は幻想的な女神像を彷彿とさせた。

 

 畏怖すべき禍々しさと揺るぎない神秘さを併せ持つ聖黒の乙女。

 

 そう皆の眼には映った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「な、何が起こった…………黒の大蛇が滅んで、中から別のアラガミが出てきただと…………? ど、どういうこだ? 侵蝕オラクル融合細胞の実験は成功したはずだ…………アメノハバキリ変異種を媒介に…………ッ! ラケル博士っ! これは一体なぜ……」

 

 一部始終を逐一観察していた犬飼は取り乱しながら、背後の車椅子の女性に返答を求める。

 

「…………しくじったわね、ネロ…………いけない子…………でも、とても面白いモノが見れたわ…………想定外…………予想以上の…………クっ、クククっ」

 

 車椅子の喪服姿の女が肩を震わし不気味に嗤う。

 

「…………ラ、ラケル博士?」

 

 困惑する犬飼。

 

 周りのスタッフたちも戸惑うばかりだ。

 

「…………あわよくば終末捕食を強制的に起こせればと思ったけど…………もっと楽しいお人形を見つけたわ。嗚呼、なんて楽しい玩具(おもちゃ)箱なのかしら、この世界は……ッ」

 

 恍惚とした声色を発し、そして車椅子から立ち上がった。

 

 金枝の髪が銀色に変わり、容貌が別人へと成り代わる。驚く犬飼、研究員たち。

 

「フフッ……挨拶に行かないと……あと出来の悪い可愛い妹も回収しないと」

 

 そう言うと、白銀の美女の身体から真っ白な蝶の群れが羽ばたいた。

 

「う、うわあああああああああッッッ」

 

 慌てる周囲の者。

 

 いつの間にか、その場にいた喪服の女だった何者かは消え去っていた。

 

 影も形も残さずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 オレが放った斬撃が白獅子を真っ二つにすると伴に白い閉鎖空間まで天井から真下まで真っ二つに切り裂いた。

 

 そしたら、あらまぁデッカい八つ首黒龍の身体までパッカーンと綺麗に分断してしまいました。

 

 そのまま空間はバラバラになり、大蛇ごと粉々に砕けていったわ。

 

 キラキラと塵となり、流れる風と一緒に消えていく。

 

 晴天。久方振りに見たような青空。そして太陽。

 

 地上に降り立ったオレを唖然とした顔で見てくるゴッドイーターの神機使いたち。

 

 ん? あれ、あの白髪のポニテのおっぱい大きな女の子って公式女主人公じゃん? それに、彼女の足元にちっちゃな褐色の女の子。ギュッと抱き付いてる天使な輪っかの可愛いあの子はフィム? うっはぁッ! 生だ、生で見ちゃったよっ! 女主人公のけしからんオパーイっ! 是非童貞殺しの横乳ニットでっ! 

 

 それと、フィムめっちゃ可愛いすぎるうっ! オレのこと、お母さんて呼んで欲しいっ! やべえっ!想像したら母乳出そうっ! ぴったり抱き着いてる二人の姿が微笑ましすぎるっ!どっちも可愛いねっ! 

 

 あと、あの特徴的な上乳のランドセルガールはクレア? うほぉっ! 堪んねえなぁっ! あの谷間に挟まりたいっ! はぁ……はぁ……ああ、い、いかん落ち着け。今のオレにはマイジュニアはない。大丈夫、大丈夫だ(悲しみ)。

 

 ていうか主要メンバー全員勢揃いじゃん! あそこに移動キャラバン灰域踏破走行車あるし、イルダさんもエイミーちゃんもいるのは確定間違いない。

 

 それにこれ、ゲームタイトル画面の全員集合って感じだっ! ひゃーっ! コイツはスゲェぜっ!! オレも混ざって写真撮ってアーカイブに残したいっ!! 

 

 

 …………ふう、ふう……また変なテンションに…………しかし、なんでそんなオレのことみんなしてジーっと凝視してんの? 

 

 んん? ややっ、オレの足元にあの白いモフモフ鬣の少女がズタボロで倒れてるぞっ! あ〜、いくらイベントボスだったとはいえ、女の子ボコったのは流石に心に来るねー(目逸らし)

 

「…………お前、まさか……あのアメノハバキリ変異種……なのか?」

 

 ボロボロ血だらけアインさんがオレに近づいて話しかけてきた。

 

 ん? アメノハバキリ変異種? オレってそんな風に呼ばれてたのか? 

 

「…………まぁ、認識上はそれで間違いないな。オレがその元アメノハバキリ変異種だ」

 

「「「しゃ、喋ったああああああああああッッッ?!!!」」」

 

 その場のゴッドイーターたち、アインさんを除いて、あと不思議そうにしているフィムも、以外全員がハモった。

 

 いや、アラガミだって普通に喋る奴いるじゃん。片言だったり笑ったりだけど。そんなびっくりする? それにいるよね、あんたらの仲間に。ヒトにそっくりなアラガミの女の子が。

 

 その時、どこからともなく現れた無数の白い蝶の大群がオレたちを包み込んできた。

 

「きゃあああああッッッ!?」

 

「おわァッ!? なんだ、なんだぁっ!?」

 

「どっから湧いたっ!? この蝶っ!!」

 

 突然に出現し、羽ばたき舞う白蝶に慌てる神機使い。

 

 そして蝶たちは螺旋を描き、一同から離れた場所に集まり形を成していく。

 

 白い蝶の群勢が見る間に人の形を形成し、やがて女性の姿になった。

 

 真っ白なゆったりとしたトーガのような衣装を纏う、白銀に輝く長い髪を蓄えた妖しい美女に。

 

 その美女の両腕には倒したオレの足元にいた白獅子の少女が抱かれていた。

 

「…………う、ネルウァお姉ちゃん……?」

 

「目が覚めた? ネロ。ふふ……」

 

 美女が胸元に抱く少女に微笑む。

 

「…………ひいぃっ!? ご、ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! ごめんなさいごめんなさいごめなさい…………っ!」

 

 白獅子少女の顔が青褪め引き吊り、謝り出す。

 

 …………仲の良い姉妹だねえ(棒)。妹さん震えてるよー。

 

「…………謝らなくていいのよ。あなたには感謝しているくらいだもの。だってこんな素敵な、お人形が来てくれたから」

 

 白獅子少女の頭を撫でながら、美女はコッチを見る。

 

 すっごいネチっこいギラつく視線なんですが……ヤダ、ナニコレ。背筋がとってもゾワリとしちゃう。

 

 …………う〜ん、正直言って不快極まりない。ヤマタノオロチの視線より胸糞悪い。オレには解る。コイツは根本的にダメなヤツだ。何がというかオレのアラガミとしての本能が受け付けない。

 

 多分、恐らくコイツは…………

 

 自然とオレの視線も剣呑なものに変わる。

 

 美女と熱烈な視線のアイコンタクトを交わしていると、

 

「…………何者だ。お前」

 

 アインさんがオレと美女の間に入り、バスターブレードを白い美女に向ける。

 

 アインさんッ、カックイイ…………ッ(トゥンク)

 

 アインさんも感じたのかもしれない。あの白い美女の違和感を。己れの中のアラガミが。

 

 アインさんと謎の闖入者の美女を見守る一同。

 

「ふ、ふふふ……あはっ、あハハはハハハはハはハッッッ」

 

 声高らかに笑い声を上げる美女。

 

 ヤベえよ、完全にヤンデレサイコパス入ってんじゃん。

 

「…………私の贈り物は気に入ってくれたかしら? アイン……今はそう名乗ってるようね」

 

 美女は紅光の瞳を細める。

 

「…………やはりな、あの時の……姿形は違うが…………亡霊か、あの女の。今度は何を企んでいる? あの大蛇、ヤマタノオロチはお前が仕組んだんだな?」

 

 アインの詰問に美女は口元を僅かに笑みに変える。

 

 そうだろうな。オレも思ってたわ。明らかに雰囲気が黒幕のそれじゃん(小並感)。

 

「…………亡霊、そうかもしれないし、そうでないかもしれない…………妄執、悔恨、叶わぬ想い、残された残滓の哀れで儚い女の切望した悪夢の集合体。それはやがて自我という名の個を得た…………」

 

 沈痛な面持ちで静かに語り、一旦、言葉を区切る。

 

「という設定は、どうかしら?」

 

 美女はにっこりと見惚れるほどの朗らかな微笑を讃える。

 

「…………言葉遊びなら、他所でやってくれ。で? お前は誰だ? さっきお前が抱いてる少女が確か名前を言ったな? ネルウァ、がお前の名前で、その少女がネロ、か? なるほど。お前たちは姉妹か?」

 

 アインがジャリと荒砂を踏み締め、バスターブレードを構える。

 

「ふふふ…………私からはなんとも…………あなた方がそう思えばそれでいいじゃないですか?」

 

「なら、目的は何だ? 何をするつもりだ?」

 

 神機を手に、にじり寄るアインに白い美女は少女を抱いたまま微笑む。

 

「…………そうですねぇ。出来れば終末捕食を、と言いたいとこですが……先程見事に失敗してしまいましたから…………」

 

「終末捕食…………それがお前たちの目的か……?」

 

「まぁ、結果はご覧の通りですけど。さて、次はどうしましょうか? …………そうですね…………ああ、では次は、月にいるあなたの想い人を地上に引き摺り下ろす、というのはいかがでしょうか?」

 

 美女は答える。侮蔑と嘲笑を交えた冷酷な微笑みを浮かべて。

 

 瞬間、アインのバスターブレードが美女の頭から叩っ斬った。

 

 速い。今の速さを認識出来たのは主人公ちゃんとオレぐらいじゃないか? 

 

 しかし、斬られた筈の姿は無く、白い蝶が舞い上がり別の場所に集まり美女の姿となる。

 

「あらあら……何か気に障ることを喋ったかしら? ふふふ……」

 

「ッッッ!!!」

 

 瞬時に距離を詰めて横薙ぎにバスターブレードを払うアイン。

 

 だが、またしても白い蝶の群れをブレードは切り裂いただけだ。

 

「チッ! 何処だっ!?」

 

「ふふふ、今日は軽い挨拶をしに来ただけです。日を改めてまた…………」

 

 少女を抱いた美女が倒壊したビル群の高所にいつの間にか移動していた。

 

「くッ!? 待てっ!!」

 

 呼びかけるアインを尻目に美女は遠目にオレにチラッと一瞥し、そしてそのまま向きを変え去ろうと…………

 

「まあ待てよ。オレもアンタらに挨拶したいんだ」

 

「なッッッ!?」

 

 去り際の目の前にオレが一瞬で先回りし、道を塞ぐように通せんぼしてやる。

 

 そして意地悪く不敵に、ニヤリと笑ってやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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