目の前の白い美女が眼を丸く見開く。
お姫様抱っこされた白少女も一緒に。
ん〜。あんまり似てるってわけじゃないね。全身白いのは共通だけど。
「…………ふ、ふふふ。貴女とは一度ゆっくり話をしてみたかったのですよアメノハバキリさん」
美女が直ぐに表情を余裕あるものに変える。
胸に抱かれた白獅子少女はオレのことを恨みがましく、怯え半分と言った具合に睨み付けてくる。めっちゃ嫌われてるねぇ、これ。
しかし、アメノハバキリ、ねえ?
オレは自分を見る。艶々な流れる黒髪。長い角。
だが、違うともハッキリ言えない。しかし、アメノハバキリ
でもね〜、名前ねえ〜。
ゴッドイーターシリーズをプレイしてバスターブレードを愛用していたプレイヤーはご存知だろう。
実はゴッドイーターシリーズには、バスターブレードでシリーズ通して、『アメノムラクモ』という有名な神機がすでに存在しているのだ。
八岐大蛇の尾から現れた剣『
無論ゴッドイーター3にも実装されているくらいに常連だ。
だったら開き直ってまんまアメノムラクモ名乗れば? 別にいいんじゃね? 名前被りなんてよくあるある、気にしない気にしない、というのはちょっと、ね。
確かにヤマタノオロチ倒したけど、あの大蛇は元々オレの暗いネガティブな思考が生み出したモノ。思考誘導されていたとしても。
またオレのココロから産み出されることもあるかもしれない。
身から出た
…………よし、決めたぞ。名前。
ここまで長々と考えてる時間は現実にして僅か数秒。超速思考もちょちょいっと。頭の回転は良くなったけど知能が上がったわけではないので、あしからず。
「オレはもうアメノハバキリじゃない。オレは─────オレの名前は『オロチノカラサビ』だ」
オレの名乗りに白い美女は一瞬だけどポカンとしたが、何かしら得たように肯く。
「オロチノカラサビ……? ああ、それは、もしや
「まあね。あのヤマタノオロチはオレの弱いココロが産んだようなもんだ。例え
オレの敢えて強調した言葉に眼を鋭く細める白い美女。一瞬だが。
「
「…………なるほど。
白い美女はしきりに肯く。
「…………お、お姉ちゃん……?」
姉の様子がおかしいのに気付き、恐る恐る話しかける妹。
「貴女、とても面白い考え方をしてるわッッッ!!!」
「ひゃわわっ?!」
姉の満面の笑顔に驚いて素っ頓狂な声を上げる妹が、慌てて姉の身体から降りて背後にサッと隠れた。
「とても独創的で、とても素敵で、とても理性的で、とても魅力的で、とても自戒的で、とても偽善的で…………」
白い美女の綺麗な表情が醜悪に歪む。
「…………とても人間的だわぁ…………」
恍惚としているのか苦悶してるのか判別出来ない。まさに病んでそうな。そんな顔。
「そりゃそうだろう? 中身は『人間』なんだからな」
"元"が付くけど。
「ふふふ…………ははは……あはははハハハハハハハハハハハハハッッッ」
愉快そうに笑い出す美女。なんか変なスイッチ入ったみたいだ。
「イイわっ! 貴女、とてもイイっ!! オロチノカラサビッッッ!!!」
焼けたような赤銀の瞳が見開く。
「嗚呼、いけない。せっかく名乗ってくれたのに自己紹介がまだだったわ。私はネルウァ。この子は妹のネロ」
丁寧にお辞儀をするネルウァ。その後ろに隠れて顔半分だけ出して相変わらずオレを睨み付けてくるネロ。
この子、フィムと同じくらいな歳なんだな、と改めて見て思う。バルムンクレガリアみたいな凶悪なアラガミになるとは全く思えない。
「…………ああ、ですが折角こうして互いに名乗り合え、知り会えたのに時間切れのようですね」
遠くからクリサンセマムのゴッドイーターたちの声が近づいて来るのが聴こえる。
「名残惜しいですが、いずれまた逢いましょう。オロチノカラサビさん」
ふと気付き辺りを見廻すとネルウァとネロの姿は見当たらなかった。オラクルを絞って広範囲に索敵するが、何処にも居なかった。少なくともここら一帯からは彼女たちの反応が感じられない。
「…………上手く逃げられたな」
オレは声がする方向に向かって踵を返して歩いて行く。
そう遠くない未来にまた逢うだろうことを確信しながら。
******
「…………お姉ちゃん」
「ふふふ…………ふふふふ…………うふふふふふふふふ…………」
倒壊したかつての街並みを見渡せる小高い丘の上で、上機嫌な姉、ネルウァと妹、ネロが佇む。
「…………世界って、こんなにも面白いモノがあるのね…………」
荒廃した最早何者もいない、アラガミ以外が跋扈しない大地を眺める。
「つまらないオモチャしか存在しないから、さっさと壊そうかと思っていたけど…………」
ネルウァの白銀糸の髪が風に
「…………もう少し、遊んでみたくなったわ…………」
微笑みを讃え、何処か遠くを見ている姉を不安そうに見つめる妹。
冷たい風がいつまでも吹いていた。
******
オレこと『オロチノカラサビ』は今、灰域踏破船クリサンセマムのブリッジのメインルームにいた。
周囲には、お馴染みの神機使いのゴッドイーターたちが取り囲む。
イルダさん、エイミーちゃんも。
オレはみんなが驚愕する中で─────
意識が遠退き─────
ゆっくりと─────
倒れ伏した─────
皆さん申し訳ない。エピソード修正しますね。深夜の変なテンションでらしくない展開をしたようです。自分で首傾げてます。しばし新話をお待ちを。徹夜明けだからかな………