この作品には独自設定とか、ご都合主義があるので注意。
近未来、あらゆるものを「捕喰」する謎の生命体「アラガミ」にその大部分を食い荒らされ、世界は崩壊の危機にあった。
生化学企業フェンリルが開発した生体兵器「神機」を扱うことができる特殊部隊、通称“ゴッドイーター”だけがその脅威に抗う唯一の希望となっている時代──。
人類は未知の厄災『
空気中を漂う「灰域」は発生直後よりその領域を拡大し続け、接触する全ての構造物を喰らい、灰へと変えていった。フェンリル各支部は「灰域」の侵攻に為す術なく、フェンリルの統治体制は程なくして崩壊した。
辛うじて生き存えた人々は各地で通称「ミナト」と呼ばれる地下拠点を建造した。
さらに「灰域」への高い耐性を持つ「対抗適応型ゴッドイーター(Adaptive God Eater)」通称“AGE”という兵士を造り出し、地表を覆う脅威に抗い続けていた。
振り下ろされる電光の刃が強靭な外骨格を両断する。
ドリル状の腕ごと袈裟懸けに断ち切られたアラガミが断末魔を上げて倒れ伏す。
アラガミを屠るは極東の古代戦士であるサムライを彷彿とさせる異形の存在。
脚部には鎧袴のような機械的なブースターユニット。武者兜のような頭部。
胸元は豊満な双丘。括れた逞ましい腹筋の腰。未だバチバチとエネルギーの余波を燻らせる二対の禍々しい両腕と同化した大剣。
『ふう…………バルバルス堕天種も、なんなく倒せるようになったな』
異形の戦乙女を思わせる妖しくも美しさと勇ましさを併せ持つソレが機械的なノイズを発する。人間には到底聞き取れない言語だ。
そして腕と一体化したブレードを構えると、上下に刀身の刃が割れて巨大な生物の生々しい顎門に変形し、倒したアラガミの亡骸に喰らい付かせた。
『…………うむ。よしよし、また新たなる形態変化が出来るようになったぜっ!』
アラガミを捕食し、新たなる力を感じたオレはブレードにエネルギーを送り込み、その形状を変化させる。
硬質な刃は瞬く間に変質し、螺旋状の鋭利なフォルムにチェンジした。
『キタ────ッ! 男のロマンッ! ドリルッ!! カッコいいっ!! これで天元突破出来るっ!!』
オレは変化させた巨大ドリルをギュリンギュリンと回して、そこいらの岩棚を破壊して穴を開けまくる。
『いやぁ、アラガミの身体って凄えな。捕食対象のいろいろな特徴を取り込めるんだからなぁ』
調子に乗っていたオレは油断して、いつもやってる索敵を忘れていた。
普段から気をつけていたことを失念していたんだ。
ゴッドイーターの存在を。
******
「…………目標のアラガミを捕捉。個体名『ハバキリ変異種』。ターゲットはこちらに気付いていない。指示を仰ぐ」
『…………そのままターゲットを討伐しろ。ハバキリ自体、稀有な存在だが、ヤツは中でも特別だ。コアは貴重なサンプルだ。なんとしても入手しろ』
岩棚の影に身を潜めるは両腕に腕輪を装着した武装したゴッドイーター数名。
"AGE"
虎視眈々と補足対象のアラガミの動向を伺う。
「…………了解。善処する」
彼らは、仲間同士でアイコンタクトすると神機を携え一気に隠れていた場所から躍り出た。
『!!!!?』
ドリルで遊んでいたら、いきなりゴッドイーターたちが襲い掛かってきた。
しまった! 索敵忘れてたあっ! コイツらこんな距離まで近づいていたのか!
ステルススキル持ってやがるな、ちょこざいなっ!
正面から二人、ショート使いとバイティングエッジ使いが斬り込んでくる。
オレはすかさずブレードで薙ぎ払い牽制し、ドリルで地面を穿ち破片を撒き散らす。
遠方からスナイパーでチマチマ狙撃してくるヤツがいる。ウザい。
オレは背中から『クアドリガ』から捕食したミサイルポッドを生やしてミサイルをかましてやると、慌てて逃げる。
連続でばら撒かれるミサイルの雨から逃げる神機使いたち。
ふと、上から重圧感を感じ、両腕をクロスし『ボルグカムラン』の盾を形成した瞬間、ハンマーが降ってきた。
けたたましい重低音と金属音が響く。
ハンマー使いか。めんどくせーなっ! 生意気に真上からブーストかましてオレを押さえつけようとしてくる。
周囲のゴッドイーターどもが、チャンスとばかり足止めされたオレに一斉に群がってくる。
甘い。甘味スィーツ、スィートレーションより甘い。
オレは全身から赤いエネルギーの力場を発生させる。
活性化だ。
赤い波動を咄嗟にガードし耐えるゴッドイーターたち。
さらに追い討ちに背中から蠍の尻尾を生やし突き刺し攻撃、大回転で距離を離し『ネヴァン』の咆哮。
耳をつんざく金切り声が渓谷に谺する。
すると、周囲の岩山を超えて小型のアラガミどもが続々と集まってきた。オウガテイル、ザイゴード、コクーンメイデン、マインスパイダー、アックスレイダー。
たちまちのうちに乱戦状態。誘引成功。中型以上は倒してしまったので雑魚しか呼べなかったが、十分だ。
面食らったのは神機使いたち。
何処からか蟻の群れのごとく出現した雑魚に群がられ対処に翻弄される。
オレは小型アラガミと揉み合う神機使いもろともに『ヴァジュラ』の雷球と放電フィールドをお見舞いしてやる。
ガードと回避を駆使して凌ぐ神機使いたち。
甘い。甘味スィーツ、アンプルだんごより甘い。
ブースターを加速、間合いを瞬時に詰めて牙突、唐竹割り、居合斬りで小型アラガミごと斬り飛ばす。
吹っ飛んだところで腕を厳つい砲身にフォルムチェンジ。
波動砲。
青白い電磁スパークのエネルギー波が駆け抜けて、直撃した小型アラガミどもは消し飛び、まともに喰らった神機使いたちはピヨピヨと頭に星をぐるぐるさせてスタンする。
『オレをそこらのアラガミと一緒にするんじゃねぇよ』
ブレードを横薙ぎに構えて、エネルギーを集約し溜める。
神機使いたちの顔が青褪め、絶望感に染まるのが解る。
そして無慈悲に解き放たれた刃。
一閃。
******
「…………ターゲットロスト。補足範囲から離脱。AGE各員行動不能。生命反応は有り。直ちに回収班を出動」
大型トレーラー内でコンソールモニターを忙しなく操作する者たち。
「チッ…………また逃げられたか。忌々しいアラガミが。私の研究を邪魔しおって…………っ!」
白衣にメガネの痩せた男がモニターを睨み付け愚痴を零す。
「…………まあ、いい。戦闘データは収集出来た。次は逃がさん」
メガネを光らせ、犬飼は呟いた。