オレ氏、デウスエクスマキナ的なアラガミになる   作:真鳥

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3 潜む恐怖

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すべてが氷に閉ざされた廃虚。

 

 凄まじい咆哮が響き渡る。

 

 蒼い竜麟を幾重にも刀傷で刻まれた巨大なアラガミが地鳴らし、倒れ伏す。

 

『カリギュラ討伐終了。これで灰域種、灰嵐種以外はだいたい喰らったな』

 

 女武者の姿を持つアラガミが倒したアラガミのコアを捕食する。

 

『…………最近、やたらとゴッドイーターに喧嘩吹っかけられるんだよな。オレから神機使いにちょっかいかけたことなんてないのに』

 

 一応、間違えて殺さないように手加減しながら戦って、隙あらば戦略的撤退している。捕食もしない。人間相手にリアル捕食はヤバいから。

 

 神機使いなんかに恨まれたら厄介だ。ヤツら躍起になって地の果てまで追いかけてくるだろうし。懸賞金かけられて何処ぞの、ひと狩りいこうぜっ! みたいにハンティングされるのはゴメンだ。

 

『…………だいぶ力を蓄えた。これなら大型灰域種と戦えるだろ。この前、渓谷の深い谷間の水底で沈んでいたプロトタイプオーディンの残骸を偶然発見して捕食出来たのはラッキーだった。槍展開無双攻撃を覚えたし、そろそろイケるだろう』

 

 灰域種とは、『ゴッドイーター3』に登場し、世界を再び危機に陥れた新種のアラガミである。

 

 一般人はおろかゴッドイーター、従来のアラガミでさえその場に居るだけで死する危険地帯「灰域」と呼ばれる地帯に適応した進化したアラガミ。

 

 攻撃を受ければ掠り傷でも急速に肉体を侵食されて死に至る桁外れの捕喰能力、中型種ですら一般アラガミの大型種を圧倒する戦闘力、そして特異な捕喰攻撃によってゴッドイーターの感応能力を奪い、自らのオラクル細胞を爆発的に活性化させる……つまり、ゴッドイーターに見られる「バースト状態」に近しい状態となることで飛躍的に戦闘力を強化する特性を持つ事などから、その危険性は「即死不可避」と称され、従来のアラガミとは一線を画す脅威となっている。

 

 これらに対抗出来るのは、灰域と灰域種の攻撃に耐性を持つ新型の対抗適応型ゴッドイーター「AGE」のみとされており、その脅威は留まるところを知らない。

 

 このゲームの台詞を引用するなら「一個大隊でも小型の灰域種相手に勝率五割以下」とされており(ただし、小型の灰域種は劇中未登場)、基本は生息地を避けて通るか逃げるかしか手はなかったが、主人公たちAGEのチーム「ハウンド」がラーをはじめとする灰域種の小隊での討伐に成功。決して勝てない相手ではなくなった。

 

 ただし、現状ハウンド以外で灰域種と戦える部隊はほぼ存在せず、そういった部隊はハウンドが戦闘で集めた灰域種の情報をもとになんとか対応している模様。

 

 すると、凍り付く施設に尚、凍えるような冷気と殺気を持つ気配がもの凄い速さでこっちに向かってくるのを感知した。

 

 きたきた。ヤツの縄張りで散々に餌のアラガミを横取りしまくってやったから相当ブチ切れてるな、これ。

 

 ズッドオオオンと壁を破壊して突貫してきたのは、真っ白なホワイトライオン。灰域種バルムンク。

 

 真っ赤な眼光を光らせ、ゾイドっぽいアラガミが真っ直ぐにオレに向かって駆けて来る。

 

 さあて、先ずはコイツを喰って肩慣らししますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…………なんだこのアラガミのデータは? 何処で手に入れた?」

 

 片目に傷のある白髪の偉丈夫が資料を訝しげに見やる。

 

「ふふ、グレイプニルの研究データからちょっと拝借しましてね。実に興味深い案件だったもので、貴方にお知らせしようかと思いまして」

 

 ローブを深く被った怪しげな人物。長い銀糸の髪、若い女の声だ。

 

「ハッキングか。相当腕の立つ、もしくは命知らずか。幾らだ?」

 

「いえいえ、お代は結構です。ただ私は貴方ならその研究データを役に立てると見込んでお渡ししたに過ぎません」

 

 ローブの人物はさも当然ばかり、謝礼を要らないという。

 

「…………何を企んでいる? このデータが外部に流出したならば少なからずも影響を与えることだろう」

 

 ギロリと剣呑な眼差しで睨む白髪の男。

 

「…………ふふふ、貴方の「例の研究」に役立つと良いのですが────」

 

 男はいきなりローブを掴み取り引き剥がす。

 

「なんだと…………?」

 

 だが、ローブの中身は何者も存在していなかった。

 

「…………あの声、聞き覚えのある…………嫌な感じがしやがる…………」

 

 ソーマ・シックザール、今はアインと名乗る男は抜け殻のローブを握り締めて、渡された資料を見て、そして夜空に浮かぶ白く丸い月を見上げた。

 

「…………また、何か起きるというのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「まんまるお月様♪ まんまるお月様♪ 美味しそうなまんまる形♪」

 

 

 瓦礫の鉄塔の切っ先に真っ白な幼い少女が腰掛ける。

 

 廃虚の足元には無数の大小のアラガミたちが伏せている。

 

 まるで主人に頭を垂れる従者のように。

 

 

「月も美味しそうだけど、コッチを綺麗に片付けてからだね♪」

 

 

 獅子の鬣のような銀髪の少女がニヤリと無邪気に獰猛に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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