オレ氏、デウスエクスマキナ的なアラガミになる   作:真鳥

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30 嵐を切り裂いて 〜闘志の閃き〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 八千八声 鳴いて血を吐くホトトギス。

 

 

 

 ────少女の歌には、血が流れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アラガミの山、大群、大軍団、中型、大型、追随する小型も含め、地表を舐め尽くすとばかりに軒を連ねる。

 

「これは…………っ!」

 

「な、何だ、この数のアラガミは…………っ!?」

 

「感応現象で呼びせたのではなく、無機物からアラガミを創り出したのっ!? そんな…………っ!!」

 

 

 驚愕するクリサンセマムの女性メンバーたち。

 

 数体程度ならともかく、あまりにも数が多過ぎるアラガミどもに絶句するしかない。

 

「ふふふ…………どうでしょうか? 圧巻でしょう? このアラガミたちの大行進っ! とても役に立ってくれたわ。あの人間、ええと……名前は、そうそう、犬なんとか言ったかしら? まあ、どうでもいいわ。研究成果はとっても満足する出来だったから」

 

 ネルウァは満足そうに邪悪に微笑う。

 

「…………犬? 研究? それはもしや犬飼のことなのか? まさかイルダの言っていた研究データを盗んだというのは…………っ!?」

 

 ルルが訝しんだ後、ハッとした顔になる。

 

「…………研究データ。確か、『侵食融合細胞』という名前だけが、残されたデータベースからサルベージされたとか…………それが盗まれた研究…………犯人は貴女ということですか…………ッ!」

 

 クレアも考え、合点が入ったように頷き結論づけ、ビシリと指先を突き付ける。

 

「…………人間の知識は時に神の領域に達することもあります。オラクル細胞然り、神機然り、さすが禁断の知恵の果実を食したモノの末裔…………存分に有効活用させて貰いますよ、ふふ」

 

 無数のアラガミをまるで操り人形の如く自在に従えるネルウァ。

 

 アラガミたちの群影がじわりじわりと、にじり寄る。

 

 これではこのまま文字通り蹂躙、嬲り殺しにされてしまうのではないか? 

 

 最悪な結末が脳裏を過ぎる。

 

 

「…………みんな、を、守るッ…………」

 

 フィムが戦鎚を構え立ちはだかるも、その足取りはフラつき覚束ない。

 

『…………ムウウウ、万全の状態のフィムならば、この程度のアラガミ共ならやれたんだが…………オレの力を大量に消費してしまうが、やはりココは作戦第2プランを発動するしかないなっ! やるぞ、アバドンっ!!』

 

『ピッギィッ!』

 

 フィムのヘッドギアから、にゅにゅっとアバドンの頭が伸び生え、口を大きく広げる。

 

 その口から丸い塊りの物体が次々と吐き出される。

 

 その数三つ。

 

 そのひとつは、形を変えて白い体色のアバドンと同じ姿形をしたアラガミ『アモル』となる。

 

 二つ目の塊りは、モコモコした身体とムニムニした兎のような白黒のアラガミ『ムニマロ』となる。

 

 三つ目の塊りは、蝙蝠の翼が生えた単眼の目玉、ギザ歯を持つ赤い奇妙な謎のアラガミ『ナゾメイク』となる。

 

 アバドンから生み出された三体の小型アラガミが、それぞれクリサンセマムの女性ゴッドイーターたちの元にダッシュし向かう。

 

「…………白いアバドン? いったいこれは…………」

 

『ピギィッ! ピギィッ!』

 

 クリサンセマムの鬼神にはアモルが。

 

「わぁっ! 可愛いっ! でもこれもアラガミなんだよね?」

 

『キュポッ! キュポポポッ!』

 

 クレアにはムニマロが。

 

「むむっ! この小型アラガミたちは、まさか希少種っ!? アバドンと同じく滅多にお目にかかれない珍しいタイプのアラガミかっ!」

 

『ナゾ? ナゾナゾ?』

 

 ルルの下にはナゾメイクが。

 

 三人の女性神機使いに三体の小さなアラガミたちが追従する。

 

『さあ、みんなっ! 歌うんだっ! その小型アラガミたちがみんなに力を与えてくれるっ! 絶望に立ち向かうんだっ! 自分自身の、生まれたままの感情を隠さないでっ! 生きることを諦めるなっ!』

 

 フィムのヘッドギアアバドンから女性メンバーたちに語りかけるオロチノカラサビ。

 

「…………この声は、オロチノカラサビ?」

 

「アバドンから聴こえる、のか…………?」

 

「歌う? 不思議なメロディがこの子たちから伝わってくる? これを歌えばいいのね?」

 

 

 

 

 

 

 このまま絶望に手を拱いていてはならない。闘わなければ。

 

 そして意を決した彼女たちは歌う。

 

 声高らかに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜  The Lore of the Whare-wānanga (ザ ロア オブ ザ ファラウアナンガ) Te Awhiorangi(テアフィオランギ) tron(トローン)〜〜〜〜

 

 優しい温かな慈愛に満ちた聖詠を紡ぐ女リーダー。

 

 白いアバドン、アモルが輝き淡い緑光の粒子となり、クリサンセマムの鬼神を包み込む。

 

 長い白銀糸の髪が緩やかにたなびき、一糸纏わぬ生まれたままの裸身となり、豊満な肉体美を曝け出す。

 

 緑樹色のメタリックガントレットが掌から腕に装着され、逞しくも艶やかな脚先からメカニカルなバトルレガースが組み上がる。

 

 括れた華奢な腰回り、母のような温もりを持つ女性的な双丘を緑色のプロテクターが覆い、背中から枝幹のようにバーニアユニットが装着される。

 

『System ARMS "Te Awhiorangi" convert』

 

 メタルグリーンのヘッドギア、フェイスガード、側頭部に耀葉の形を模したグリーンリーフのウィングライザーが形成されていく。

 

 空間に超巨大な緑黄の両刃のバトルアクスが顕現する。

 

 オセアニア、マオリの神話に語られる大地と森の地母神ターネが天と地をふたつに割った聖遺物。神斧『テアフィオランギ』。

 

 大樹の幹の如く太く雄々しい両刃の大戦斧をガシリと握り締め、すべてを薙ぎ払うよう豪快に掲げ上げ振り回す女リーダー。

 

 豊穣たる大地の女神を体現する勇美なる戦乙女が誕生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜shm-hr(セヘムヘル) sgmh (セゲメフ) hedj-ur(へージュウル) tron(トローン)〜〜〜〜

 

 

 クレアが紡ぐ清らな歌声。心安らぐ聖詠。清流のハーモニー。

 

 ムニマロの身体が蒼光の粒子となり、惜しげもなく裸体を晒すクレアの滑らかな曲線を描くボディを覆う。

 

 華奢な腕先から水色のメタルガントレットが装着され、しなやかな肉付きの良い魅力的な脚先をブルーのバトルレガースが纏う。

 

 大きな双ふりの膨らみが弾み、アーマーが支えるように装着される。腰元から丸みある臀部へと蒼いプロテクターが取り付けられていく。

 

『System ARMS "hedj-ur" convert』

 

 フェイスギア、イヤーガードが順次に造られ流れる水が形を得て、アクアブルーのウィングライザーが頭部に添えられる。

 

 空間に遍く大量の水流が激しく渦を巻いて、それらがひとつに合わさり長大流々な蒼き一式の槍となる。

 

 古代エジプト神話にて、遥か原初の海の一滴より取り出されたホルス神の聖遺物。霊槍『へージュウル』。

 

 水色のガントレットが蒼き神槍の長柄を握り、演舞を舞うように華麗に流麗に振るい()て廻り、勇しき涼やかなる蒼碧の乙女闘士クレアは構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜gladius (グラディウス)  versatilis(ウェルサティリュウス) lahat haChereb(ラハトハヘレブ) tron(トローン)〜〜〜〜

 

 

 

 紡がれるルルの凛々しい歌声。力強い聖詠。燃える魂の旋律。

 

 ナゾメイクの身体が光り輝き紅光の粒子となり、裸体のルルを取り巻き包み込む。

 

 両腕に真っ赤なガントレットが形作られ、両脚にも燃えるようなバトルレガースが覆い武装される。

 

 スレンダーな胸元から腰元まで炎が渦巻き、太陽の如き紅き光がプロテクターとなり纏い、背部にバーニングレッドのブースターが装着される。

 

『System ARMS "lahat haChereb" convert』

 

 炎の輪郭がメタリックレッドなヘッドギア、フェイスアーマーを創造、立ち昇る火の粉がウィングライザーとなり装着される。

 

 空間に火炎流が車輪の如く吹き荒れ、ルルは迷わず炎を両の手で掴み上げると、二対の刀剣が形を成して引き抜かれ現れた。

 

 創世記の大天使、智天使ケルビムの回転する炎剣にして、バビロニアの軍神マルドゥークが持つ聖遺物。炎の神剣『ラハトハヘレブ』。

 

 二対の燃え盛る神剣を斬り上げ、薙ぎ払い、柄元を合体させ両刃薙刀に変形させ巻き上がる炎をバックに紅き烈炎の女戦士ルルが堂々と構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 四人の戦乙女の装者が一同に集う。

 

「みんな、変身しちゃった……っ! フィム、びっくりしたっ!!」

 

 ウォーハンマーを持つ金甲のヘビィーファイターのフィムが驚いた。

 

「とても強い力を感じる…………これがオロチノカラサビの力?」

 

「確かに凄いパワーだわ…………まるで全身が神機になったみたいにオラクルエネルギーに溢れている…………」

 

「…………ああ、これならアラガミどもと戦りあえるだろう。しかし、なかなかに際どい格好だな。だが、センスは悪くない」

 

 碧樹のバトルアクスラーの女リーダー、蒼流のスピアランサーのクレア、紅焔のデュアルブレーダーのルル。

 

 彼女たちの周囲を取り囲んでいたアラガミの大軍団が怯み、背後に退く。

 

 それは自分より強い捕食者に怯えた動物のように。

 

「…………これは…………いったい…………何というエネルギーの輝きかしら…………未知のオラクルエネルギー?」

 

 ネルウァがクリサンセマムの女性神機使いたちが様変わりした姿に隠すことなく驚嘆する。

 

『な、なンでアイツら全員、変身しテるんダヨッ!? ヤバイよ、お姉ちゃんッッッ』

 

 白獅子ネロはプルプル身を震わせる。

 

 あの人型アラガミの少女でさえ、とんでもない力を持っていた。自分がズタボロになった程なのに、それが三人も増えた。

 

「…………この感じる力は彼女の、オロチノカラサビの力のようね。他者にも己れの力を与えられる、それもなんて規格外。造ったアラガミたちが本能で怯えて…………私の予想の斜め上を遥かにぶっ飛んでいる…………まったく…………ふふ、益々、気に入ったわ。その力、たっぷりと見せてもらいましょう」

 

『お、お姉ちャン…………』

 

 ネルウァは恍惚とし、ネロはそんな姉に戸惑いを隠せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『み、皆さーんっ!! 皆さんからも凄まじいパワーの反応を感知してますっ! どうなっちゃったんですか、これっ!? オペレーションどころじゃないですよっ!!』

 

 エイミーが通信していると、傍から興奮したキースも通信してきた。

 

『おーい、みんなっ! 無事? 何だかヤバいエネルギー反応たくさん感知したと思ったら、みんなの方もスッゲェヤバかったッ! たぶん、みんなのそれは極限まで高まったオラクルエネルギーと謎のエネルギーがセットになって絶妙なバランスで共鳴してるだっ! この謎の何だか解らないエネルギーは、『フォニックゲイン』て仮称するよっ! ビビッと来たっ! オロチノカラサビと酷似した数値データが観測されたけど、訳分かんない凄いパワーってことは分かるッッッ』

 

 早口で捲し立てるキース。

 

 遠巻きに様子を伺っていたアラガミの軍団が一斉に雄叫び、再び此方に歩みを始める。

 

「…………ッ! アラガミがッ!!」

 

「フィムも戦うっ! お母さんっ!」

 

「やるしかないようだな…………っ!」

 

「今なら闘える…………みんなを守るッ!!」

 

 クリサンセマムの装者たちが武器を構え、迫り来るアラガミの群れに立ち向かう。

 

 

 

 美しさと気高さを備えた戦乙女、戦女神。

 

 新たなる『奏者=装者』たちが奇跡の産ぶ声を今此処に奏で、爆誕した。

 

 戦姫絶唱ッッッ!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────運命を切り開け。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





多分まだギリギリゴッドイーター。(`・ω・´)
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