オレ氏、デウスエクスマキナ的なアラガミになる   作:真鳥

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4 威権の調停者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 炎を身に纏う半身が球体の巨体を持つ赤いアラガミが吠え、両手から紅蓮の火焔の塊を敵対者に投げ放つ。

 

 真っ赤な大口を開け歯向かう輩を喰らわんと。

 

 だが、目にも留まらぬ速さで繰り出された剣刃が文字通り真っ二つに両断してしまう。

 

 驚愕する灰域種アラガミ、ラー。

 

 あり得ない。この自分がここまで追い詰められるとは。

 

 眼前の太々しく両手の大剣をかざす余裕綽々気なアラガミを憎々しげに睨み付ける。

 

 黒塗りの重厚な三日月鎧兜に刺々しい鋭利な段平甲冑袴姿。

 

 人間のメスを模した流線型の華奢な肉体。

 

 己れの餌場を尽く荒らす不届きな厄介者。

 

 許せん。許すものか。その肉片、一片足りとも残らず食ろうてくれる。

 

 噴炎を迸らせ、激昂するラー。

 

『…………おー、おー、めちゃくちゃ激おこやんけ。マジ切れプンプン丸ですかあ? ラーさんや』

 

 オレはダブルブレードをかかげて嗤う。

 

 正直言って、灰域種はもうオレには役不足だ。

 

 あれからオレは灰域種を喰らい続け、ついに念願の進化をした。

 

 今のオレは『アメノハバキリ』だ。

 

 それも特別なヤツだ。様々なアラガミを捕食してきたオレはそんじょそこらのアラガミとは一線を画す存在だと自負出来る。

 

 昔、ゴッドイーターシリーズのゲームにいたアラガミ、ヴィーナスみたいなものかな。アイツもいろいろなアラガミ喰って進化した特別なアラガミだ。

 

 ちょうど女同士だし、似ているかも。

 

 まあ、オッパイもデカさを増してバルンバルン派手に揺れまくるから、胸部装甲で押さえてる。

 

 ラーが狂おしい雄叫びを上げ、瞬間移動しながら突っ込んでくる。

 

『はいはい。今すぐ喰ってやるからイキって騒ぐなよ。弱く見えるぞ』

 

 オレは両手の大剣を構えて、まるで料理のカトラリー、フォークやナイフを扱うように優雅に軽やかに振るった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…………ヤベエな。ありゃ絶対に手を出したら駄目なヤツだ」

 

「ユウゴもやっぱそう思うか? オレもさっきから身体の震えが止まらねーんだよ…………!」

 

「アレは危険過ぎるアラガミだな。見た目はアメノハバキリだが、生態は全く異なるイレギュラータイプだ。とても興味深い」

 

 黒髪の赤ジャンパーの青年、金髪の青いノースリーブの青年、赤緑のチェック柄の長い黒髪の女性が廃虚となって久しい教会の物陰から様子を見る。

 

「…………アイツはこちらから手を出さない限り攻撃はしてこない。もっとも交戦したとしても命までは取らないだろうがな」

 

 片目に傷のある年長者の青年が付け加える。

 

「…………それにとっくにコチラに気付いてる」

 

 青年が言うように『アメノハバキリ変異種』が倒した灰域種を捕食しながらもコチラにジッと視線を送っている。

 

「マジかよ。じゃあ居場所バレてんじゃん! 隠れてても意味なくねえっ!?」

 

「落ち着けジーク。アインさんの話聞いてたか? こっちが手を出さなければ奴さんは大丈夫、らしい」

 

「つまりアレは理性と自主性を併せ持つ知的生命体なのだな。益々以って興味深い存在だ。詳しく生態を調べたい」

 

「ルルの言う通りだ。アイツは普通のアラガミじゃない。コンタクトが取れるかもしれない。フィムのようにな」

 

 アインと呼ばれた青年が真っ白なノコ刃状の大剣を担ぎ、教会の物陰から姿を現す。

 

「…………正気か? いくらなんでも危険じゃないか」

 

「なにかあったら援護は頼む。ま、恐らく大丈夫だと思うが」

 

 片目に傷のある青年はゆっくりと対象のアラガミに近づいていく。

 

「…………こんなときに相棒がいないのが堪えるな」

 

 ユウゴは未知のアラガミに接触しようとする仲間を見守りつつここにはいない信頼たる心強い相方を想う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 なんかコッチをさっきからチラチラ見てくる人間たちがいる。

 

 闘う気配は今のところ感じ取れないからほっといてるけども。

 

 三人はAGE。一人はノーマルゴッドイーター。

 

 ん? あれ? なんだこの感じは…………

 

 なんか既視感がある妙な気配が…………

 

 人間なのに自分らアラガミと同じような感覚。

 

 オレが奇妙な気配に訝しんでいると、廃教会からひとり此方に向かって歩いてくる人物がいる。

 

 白髪に白いコートに白いノコギリのバスターブレードを肩に担いだ褐色肌の人間。

 

 あれ? この人、何処かで見たことあるような…………

 

「お前、俺の言葉が理解出来るか? こちらに攻撃する意思はない」

 

 そう言って神機を傍らに突き刺し手放す。

 

 正気か? アラガミ相手に生身で立ち向かうつもりか? 

 

 片目に傷あるイケメン過ぎる兄ちゃん。

 

 あっ、この人、ソー……いや、アインさんだっ! 

 

『アラヤダっ! 無印時代からお世話になってる推しメンっ! まさか本物に出逢えるなんてっ! どーするっ? どーしよっ! あわわわ…………』

 

 オレはこのゴッドイーターシリーズの中核を担うキーキャラクターの登場に感情が昂りオロオロしてしまう。

 

「…………どうした? 怖がってるのか? オレは何もしない。落ち着いてくれ」

 

 機械的なノイズをギーギー鳴らすオレ。アインさんがアラガミのオレを心配してくれてるうっ! はあ〜、やっぱメインキャラは貫禄が違うぜっ! 

 

 このとき、オレは変なテンションで舞い上がっていたせいでまたやっちまったんだ。

 

 索敵を怠った。

 

「待て。貴様ら。クリサンセマムのゴッドイーターだな? そのアラガミは我々の獲物だ。大人しく引っ込んでいろ」

 

 唐突に現れた別のゴッドイーターたちが神機を携え現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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