オレ氏、デウスエクスマキナ的なアラガミになる   作:真鳥

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皆さん感想ありがとうございます。誤字報告もありがとうございます。気を付けていてもやっちゃうんですよねぇ…。




8 悪魔の視線

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いったい全体何事なのっ!? エイミーっ! キースっ!」

 

 イルダ・エンリケスは焦燥を顔に浮かべる。

 

「わ、分かりませんっ! ですが、強力な異常な密度の偏食場パルスが急発生して…………こ、こんな、ありえない…………っ!?」

 

 エイミーが忙しなくコンソールを操作しつつ、たじろぐ。

 

「………何が起きてるのか全然ワケ分かんないけど、とんでもないことが起きてるのは確かだよっ! 灰嵐発生時のエネルギー力場によく似てるけど、それとは全く別の、あ〜〜〜〜〜っ! と、に、か、く、めちゃくちゃ凄いヤバイッッッ!!!」

 

 キースがモニター前で妙なハイテンションで混乱しながら叫んでいる。

 

「…………こりゃ厄介だな。新たな灰嵐が発生したってことかねえ。ん? この発生場所…………おい、ここって、ユウゴたちとアインが一緒に調査に行ってる所じゃないのか?」

 

 リカルドがしかめ面し、腕組みしてモニターを見て、今いないメンバーたちの所在地に気付いたふうに言う。

 

「…………まさか、彼らに何か…………っ」

 

 イルダは過去に起きた世界を揺るがした事変の時と、似たような嫌な予感が拭えなかった。

 

 大災害。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「各自、速やかに帰投しろっ! ミナトの防衛に当たれっ!!」

 

「くそっ! なんでこんな時に……っ!」

 

「動ける神機使いは詳細を調べて報告しろっ!!」

 

「何度も言っているっ!これは訓練などではないっ!!」

 

 グレイプニルの施設会議室。

 

 慌しく、貴族たちの間に情報がひっきりなしに行き交う。

 

「…………大規模な灰嵐? いったい何が…………」

 

「クレアお嬢様、ここはフェンリル本部施設です。ここにいればなにが起きても安全でしょう」

 

 ヴィクトリア家の執事が混乱の渦中にあるクレアに話す。

 

「…………ええ」

 

 ヴィクトリア家当主として取り乱すわけにはいかない。

 

 でも、ゾワゾワするこの感覚は? 自分がゴッドイーターだからだろうか。

 

 戦いに赴くような緊張感が身体から滲む。

 

「…………みんな、無事かな……」

 

 クレアの中にどうしようもないもどかしさが募る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「なんだ、この感じ……? とてもイヤな気配だ…………」

 

 ニールは後進の指導のために、元朱の女王の構成員たちに実地訓練を行なっていた。

 

 遥か遠方からドス黒いナニカが迫るのが解る。

 

 これは、やり場のない怒りや不安や、憎しみ……? 

 

 かつての自分が内に秘めた暗い感情ともいうべき負のスパイラル。

 

 自然とヴァリアントサイズのポールを握る手に力が籠もった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 闇。

 

 

 その一言に尽きる。

 

 

 空を覆う黒いナニカ。

 

 

 地表の裂け目からあふれる間欠泉のごとく噴き上がるそれは、一匹のアラガミの身体から大量に漏れ出している。

 

 まるで煮固められた血の溶岩流。

 

 すすり泣くような怖気立つ濁流音。ゆらめくドロドロしたそれらは、うかつに触れたら一瞬で死をもたらすような途方もない深淵さと、狂気と、おぞましさを担って。

 

 絡み合う樹木のように、乾き切った曇天を彷徨い枝を這わし、やがて空深く澱む流れる川は八つの巨大な大河となり、黒々とした影を伸び上がらせ、日を翳らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空が割れた────

 

 

 

 

 

 その日、それを見たものはそう言うだろう。

 

 

 

 立ち上がる瘴気は黒々と渦巻き、地上より伸び上がるは、長い八頭の首をもたげる黒い龍。

 

 ゆるやかにのたうつ巨影に光は囚われ、陽は遮り、日蝕となり、死の匂いが満ちた天蓋を埋め尽くす。

 

 昏い淀みから覗く、見るものを凍りつかせる、血の色に燃える巨大な眼。

 

 十六の連なる紅蓮の瞳のどれひとつとして、慈悲を宿すものはない。

 

 "憤怒"

 

 この魔竜は世界を、すべてを憎んでいる。

 

 誰もが言い知れぬ恐怖に立ちすくんだ。

 

 人も、アラガミさえも、小石のひとつ、花の一輪に至るまで。

 

 彼らは知った。

 

 自分たちがちっぽけな取るに足りない矮小な存在であることを。

 

 

 八つの首からけたたましい咆哮が暗闇の空に鳴り轟いた。

 

 

 それは恐ろしくも物哀しい響きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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