オレ氏、デウスエクスマキナ的なアラガミになる   作:真鳥

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9 この胸にあるもの

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナガルルチシオハイノチノヒカリ

 

 

 

 

 

 

 ヤミヨニトモルハイノチノヒカリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空を縫うようにのたくる黒を塗り込め覆う八頭の龍。

 

 

 赤き眼差しで地上の生きとし生けるものを()めつける。

 

 

 

「は、ははははははは…………す、素晴らしい…………なんだ、あれは…………私は夢を、悪夢を見ているのか…………?」

 

 引きつった渇いた笑いを浮かべる犬飼。

 

「…………我想う故に我有り…………この世界が胡蝶の夢というのもあながち間違いではないのかもしれませんね」

 

 車椅子の、ラケルを自称する美女がモニターに映る8本の首をくねらせる禍々しい魔竜を見詰める。

 

 その瞳にモニターに映る魔竜と同じく赤色を燈らせて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「気のせいかな…………オレ、さっきからずっと見られてるような視線を感じるんだけど…………」

 

 黒い八頭の巨大な龍をボンヤリ見上げるジーク。

 

「奇遇だな…………オレも同じだ。熱いどころか薄ら寒い視線を感じるぜ」

 

 ユウゴもジークと同様に禍々しい魔竜を見上げる。

 

「…………アラガミを観察するのは好きだが、逆に観察されるというのは、妙な気分だ…………」

 

 紅い双眸に射竦められ微動だにしようもないルルの額に汗が流れる。

 

 震えが止まらない。

 

 本能的な、ゴッドイーターの、アラガミ細胞が畏怖している。

 

 

 蛇に睨まれた蛙。

 

 

「…………気をしっかり持て。呑まれるな。アレに心まで喰われたらおしまいだ」

 

 バスターブレードを握りしめて立ち上がるアイン。

 

 その瞳は迷いなく巨軀をうねらす魔竜を捉えて。

 

「…………おい、まさか。アレと闘おうっていうのかっ!?」

 

 ユウゴが信じられないと、アインの肩を掴む。

 

「!? …………あんた、震えて…………」

 

「…………情けない。久々のとんでもない大物を前にして、ひよっちまったようだ」

 

 苦笑いを浮かべるアイン。

 

 己れのうちの荒ぶる神すら警告を連打する。

 

 それほどまでに、この目の前に鎮座する異形は危険過ぎる存在であると訴える。

 

「…………今、ヤツを足止め出来るのはオレたちしかいない。悪いが付き合ってもらうぞ」

 

 当たり前のように言うアイン。

 

 まるでいつものようにアラガミ討伐のミッションに挑むように軽々しくバスターブレードを担ぐ。

 

 そんなアインの悠然とした後ろ姿に呆気にとられるユウゴたち。

 

 そして、

 

「…………ふっ、オレたちを誰だと思っていやがる。どんな強い厄介な相手だろうと、どんな困難な高い壁でもオレたちは常に乗り越えてきたんだ。イケるさ────だよな?」

 

 ユウゴが不敵に笑い、信頼する仲間たちに顔を向ける。

 

「…………まったく、いつも思うことだが、ユウゴは人遣いが荒いな。まあ、それに付き合う私たちも大概だが」

 

「…………へっ! んなの昔から毎回だぜ。いい加減慣れたっつーの」

 

 ルル、ジークがにやりと太々しく笑いを浮かべる。

 

「と、いうわけだ、アイン。オレたちはいつでもヤレるぜ。伊達に鬼神の側で常日頃戦ってないからな」

 

 ユウゴがアインに自信に満ちた眼で答える。

 

「…………そうか。そうだな。ならいつも通りにいくか。オレたちはゴッドイーターだからな」

 

 アインが隻眼の片目を閉じ、ゆっくり開く。

 

 そこには強い決意を宿した歴戦の頼れる戦士の輝きがあった。

 

 アイン、ユウゴ、ジーク、ルル。

 

 四人のゴッドイーターが神機を構える。

 

 立ち向かうは目前にそびえる空を見上げるほどの巨大なアラガミ。

 

 8本の首をもたげ揺らめかせ、小さな敵対者を血濡れた眼差しで見下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 白い。

 

 真っ白な空間。

 

 何もない。

 

 白墨(はくぼ)の世界。

 

 見渡す限り延々と境なく続く虚ろな次元。

 

 

『ここは…………何処だ…………?』

 

 オレは白い何処か判らない謎の空間にいた。

 

 見慣れたアラガミの肉体。

 

 アメノハバキリのメカニカルな身体。

 

 いや、相変わらずデッカいおっぱいだな。ちゃんと張りがあって柔らかい。女として誇らしくもある。って、オレどうなった? なんか記憶が曖昧だけど。

 

 周りを見渡しつつ感応レーダーで探ってみるが、どこまでもただただ白塗りの空虚な領域が広がっているだけだった。

 

『そういやオレ、腹を神機でブッ刺されたんだっけ』

 

 刺された腹を撫でる。

 

 傷も無くてツルツルした肌。

 

 

『…………おかしいな。なんか違和感を感じたんだよなあ、あの時。神機を取り込んで、暫くしたら、ナニカが身体に入り込んで────』

 

 そうだ。オレは神機の中のナニカに身体を侵食されて…………

 

「驚いた。まだ自意識が残ってるなんて」

 

「!?」

 

 突如背後から聴こえた幼い少女の声。

 

 慌てて振り返る。

 

 そこには白い空間内により白く映えるワンピースの白銀の鬣を持つ少女が佇んでいた。

 

 真っ赤な双眸で此方を見据えて。

 

 

 

 

 

 

 

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