文才が欲しい。
「覚えていますか〜目と目があった時を〜♪」
「それ何の歌?」
「一夏は知らなくていい」
「何でだよ」
三人と出会ってから一年がたった。
あれからしばらくは驚きの連続だったね。
一つ目は織斑家がお隣さんだった。
引越した日の夜、挨拶にいったら表札が織斑だったというわけだ。
何故気がつかなかった。
二つ目、あまりこういうことは言いたくないのだが、一夏たちに両親がいた。
原作だと一夏が小学校に入学する頃には両親はいないはずなのだが、これも願い事のおかげだろう。
そして三つ目、重要ではないが転校先の学校で笑うようにしたら前みたいなぼっち生活をしなくなった。
人としては小さな一歩だが僕としては大きな一歩だ。
ちなみに一夏、箒と同じクラスだよ。
マドカとは違うけど。
「あー…勝ちてえなぁ」
朝練でまた負けた一夏がつぶやくように言った。
一夏と箒はまだ仲が悪い。
「相手の太刀筋が見えない内は勝てないと思うよ」
「ハルだって俺に勝った事ねーじゃん」
「ザクッ」
言葉という刃が僕の心を抉る。
僕も剣道を始めてから一年がたった。
実力は………聞かないで。
今はサボった子の多い中、僕、一夏、箒の三人で教室の掃除をしてる。
「おい男女〜。今日は木刀持ってないのかよ〜」
「竹刀だ」
「お前みたいな男女には武器が似合いだよな〜」
「………」
「しゃべり方変だもんな〜」
三人の男子が箒をからかっている。
3:1なのでどちらかといえばイジメだよね。
「やーいやーい、男女〜 」
これはもしかして。
一夏と箒が仲よくなるきっかけになったイベントだよね!
確かこの後。
「てめーら暇なら帰れよ。それか手伝えよ。ああ?」
キター☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
「なんだよ織斑、お前こいつの味方かよ」
「この男女が好きなのか?」
「掃除の邪魔。どっか行けよ。うぜえ」
「まじめに掃除なんてばっかじゃねーの、おわっ⁉︎」
突然箒が一人の胸ぐらを掴んだ。
クラスメイトのケンカっていい気がしないよね。
「まじめにすることの何がバカだ?お前らよりはるかにマシだ」
「何ムキになってんだよ。離せよっ」
「やっぱりそうなんだぜ。こいつら夫婦なんだよ。知ってるぜ俺。お前ら朝からイチャイチャしてるんだろ」
助けてあげないのは優しさ?
なんか嫌な空気になってきた。
よしここは人肌脱ごう。
「えっ二人って結婚してたの?なんで僕に教えてくれなかったの?そしたら僕はスピーチでも何でも」
「黙ってろ」
「グフッ」
見事に空振った。
やめて睨まないで怖いから。
「この間なんか、リボンしてたもんな!笑っちま」
その子の言葉は最後まで続かなかった。
何故なら一夏が殴ったからだ。
「笑う?あいつがリボンしてたらおかしいかよ。すげえ似合ってただろうが」
一夏が怒りをあらわにした。
確かにあれは可愛いかったね。
「せっ先生に言うからな!」
「言ってろクソ野郎。その前にお前らは」
「はいストーップ」
これ以上は見過ごせない。
「どっちもごめんなさいってすればいいじゃん。君達がケンカしてる内に掃除終わらせたよ。僕がね!」
「うっせえ黙ってろチビ」
「「あ」」
言ってはならないことを言ったな。
わざわざ僕が追記しなかった事を。
この際だからいうが、僕は周りの子より背が低い。
コンプレックスだ。
だから。
「ヤッチャッテモイイヨネ?」
「「「ひぃっ!」」」
後に聞いた事だが、この時僕の後ろには黒くて大きい何かが見えたらしい。
一歩、一歩、また一歩と近づく。
すこしづつ恐怖を植え付けるように。
「くっ来るな!」
一人が何かを投げてきた。
それは僕の頭に当たって床に落ちた。
石だった。
一体何故彼らが持ってたのか分からなかったが、きっとろくでもないことだろう。
三人は逃げて行った。
「大丈夫か⁉︎」
一夏と箒が駆け寄ってきた。
「大丈夫」
なんかくらくらするけど。
「でも頭から血が出てる!」
「とりあえず保健室に!」
少年診察中
その後イジメをしていた子と僕達、それぞれの親が集められた。
初めは向こう側の親が警察だの裁判だのうるさかったが、診察を終えた僕の登場により何も言わなくなった。
ちなみに母さんは頭の傷を。
「子供はよく怪我をするから」
の一言で片付けた。
結果まじめに掃除をしていた僕がイジメから発展したケンカに巻き込まれ頭部を怪我した、ということになり現状注意で幕を閉じた。
帰りは織斑家と一緒になった。
日はすっかり暮れていた。
その時、校門でずっと待っていたマドカが、
「ハルは小さくない。周りが無駄に大きいだけだ」
と言ってくれた。
僕より背が高いのに。
だから僕は、
「ありがとう」
と言い返した。
そしたらマドカも笑い返してくれた。
ああ、こういう関係いいな。
数日後、箒が僕に話し掛けてきた。
「ハル、織斑と仲よくなるにはどうしたらいい?」
「ん?なんで?」
「いや、それは、あの」
なんか顔が赤い。
これはまさか。
「一夏のこと好きになっちゃったの?」
「はぁ⁉︎ばばば馬鹿なことを言うな!わ、私はただお礼がしたいだけで」
「なら仲よくなる必要はないよね」
「それは、その」
あ、なんか可愛い。
じゃあ人生の先輩としてアドバイスしないとね。
精神年齢三十歳は伊達じゃない。
「それじゃあね」
「う、うむ」
「笑えば、いいと思うよ」
「え?」
ふ、ふざけてなんかないよ!
確かに一度言ってみたかったけど。
「僕はね、前の学校に友達がいなかったんだ。でもここに来て笑っていたらいつの間にか友達が出来た。だからね、笑えばいいと思うよ」
思えばぼっちは寂しかった。
「あと素直にね、失敗してからだと遅いから。一夏は井戸の方にいるよ」
「わかった。ありがとうハル!」
僕にできるのはこの位かな?
まあ見に行くけどね。
「何をしている?」
「マドカ⁉︎どうして」
気配がしなかったよ⁉︎
「いいから教えろ」
「実はカクカクシカジカダイハツエコカーで」
「ほう、箒がか。私もいいか?」
「まあ、いいかな」
少年少女移動中
顔を洗っている一夏に箒が話し掛ける。
「お、織斑」
「何か用か?」
「その、この前の事なのだが、あ、ありがとう」
お、言えた。
一夏も普段と違う箒に面食らってる感じだし。
いけるか?
「ああ、あれな。止めたのはハルだし気にすんなよ。前にしてたリボン似合ってたしまたしろよ」
「う、うむ」
「じゃ、マドカと帰るからまたな篠ノ之」
「つ、次からは名前で呼んで、ほ、欲しぃ」
お、攻めた。
黙れ今いいところだ。
ドムッ
「わかった。なら俺も一夏な」
「わ、分かった」
「またな箒」
「ああ、一夏」
そろそろ私も行く。
ばいばいマドカ。
一夏と別れた箒が戻って来た。
「どうだハル!言えたぞ!」
「うん、つっかえてたけどよく言えたね」
そして時は流れ篠ノ之家は要人保護プログラムで引越す事が決定した。
千冬「ほうイジメか。束、ISを貸せ」
束「OKだよちーちゃん!」
春雪「イジメ・ダメ・ゼッタイ」