人型ロボットが蔓延る世界で生きる俺のヒロインが全員ヤンデレだった件についてwww   作:門崎タッタ

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第3話

 

 ベルラ先輩に背中を押して貰いトレーニングルームに訪れた。

 そして、俺は自身の心情を赤裸々に話した上でリーゼロット隊長に魔導騎兵の指導を受けたいと誠心誠意頼み込んだ。

 その必死さが功を奏したのか、隊長は快く引き受けてくれたため、さっそく翌日から指導が始まる運びとなった。

 何となくクールなイメージがあった彼女がやけに嬉しそうにしていたのが印象に残る。

 

 親父曰く、これはギャップ萌えって奴らしい。

 ……俺には破壊力が抜群だった。

 

 軽い雑談を交わした後に隊長とは別れた。

 疲労が蓄積していたのか、眠気がピークに達した俺はこれから始まる第7小隊での生活を想像しながら、眠りにつき。

 その翌日、地獄を見ることになった。

 

「あと残り30回だ。踏ん張れ、ザント君!」

 

 腕立て伏せ100回、上体起こし100回、スクワット100回、そしてランニング10kmのトレーニングメニューを3セットほど行う。

 確かに、これはハードだ。

 訓練兵時代に同程度の負荷のトレーニングを何度かこなした事はあるが……とにかくインターバルが短い。

 たった2分休んだ後に、上記のトレーニングを再度行うのだ。

 これが、想定よりも遥かにキツい。

 

 流石に、このメニューを言い渡した隊長も無理があると思ったのか。

 「続けるのが困難だと判断した時にギブアップしていい」と言ってくれた。

 しかし、お時間を割いて頂いている以上、途中で音を上げて、生半可なところで辞める事はできない。

 

「うおおおお!!!」

 

「いいね、ザントくん。辛い時は声を出すんだ!」

 

 気合い、根性、精神論。

 それらを胸に体を動かす俺の横で……リーゼロット隊長は汗一つ流す事なく、同じメニューをこなす。

 ……普段から鍛えていたため、持久力や筋肉量には自信があった。

 けれども、俺はなけなしのプライドがぽきりと折れる音を、確かに耳にした。

 

「驚いたよ。まさか初回でここまでついてこれるとは……」

 

「ははっ。ま、まだまだ全然余裕ですよ。」

 

 地獄の時間が終わり、ドリンクを手渡される。

 簡潔な礼を述べた後に一息に飲み物を飲み干した俺を見て、隊長が目を輝かせる。

 

「本当か!それなら、今より負荷を三倍に……」

 

「御免なさい。嘘です。調子に乗りました。この量でもう限界ですから、どうか勘弁してください」

 

 一心不乱に言葉を紡ぐ俺の姿が面白かったのか、隊長は愉快そうにくすくすと笑う。

 そんな彼女の微笑みがとても美しく、俺は思わず、見惚れてしまった。

 

「そうだ。昨日からずっと尋ねようと思っていたんだが、君がこの小隊に入隊しようと考えた理由は何なんだ?」

 

「えっ、自己紹介の時に言った通り、国を守る盾として……」

 

「それは建前ではあるが、本音ではないだろう。君の目を見ればすぐにわかる……安心してくれ、どんな理由でも、私は君を軽蔑したりはしないよ」

 

 質問の意図がわからない。

 もしかしたら、意味なんてなくて。

 単なる好奇心で質問を投げかけたのかもしれないが、意表を突かれた俺は動揺してしまった。

 そんな胸中を見透かすように。

 隊長は俺の顔を見つめる。

 ……恐らく、嘘をついても、バレてしまうだろう。

 なんとなく、そんな気がしたから俺は……腹を括って、馬鹿正直に問いに答えた。

 

「出撃回数が多いこの部隊で、数多の戦果を上げて……俺は、親父を超えたいんです」

 

「……ふっ、あははははは!」

 

 ……そんな俺の予想に反して、隊長は腹の底から笑っていた。

思いがけない反応を見せた隊長の姿を見て、どんな言葉をかければいいのか分からず体が硬直する。

 

「ふ、ふふふ。いや、笑ってしまってすまない。私の想定し得る範囲を遥かに超越していたというか。思っていたよりも、純粋な回答でね。私の反応で君の気分を害してしまったのなら、本当に申し訳ない。誠心誠意謝罪するよ」

 

「え、あ、いや、それは全然問題無いです……っていうか、こんな子供地味た動機で、自分の部隊に入ってきた奴がいて隊長は不快ではないんですか?」

 

「不快になんてならないよ。私と君で志が異なっていても、王国に住む人々を守るために戦う仲間である事実は変わらないからね。それに、目標を実現させるために精一杯努力する君の姿はとても真摯だ。そんな人間に悪印象は抱けないよ」

 

「…………」

 

「君の父親は民を守り、王国を救った英雄。目標にしては些か大きいかもしれないが……腐らずに努力すれば、きっと越えられる。曲がりなりにも、王国一のパイロットと評されている私が保証するよ」

 

 隊長は聖女か?

 いや、それを超えた女神様か?

 今まで、俺の目標を聞いた人間で、こんな反応をしてくれた人はいなかった。

 どいつもこいつもお前には無理だ、とか。

 憧れるのはいいが、現実的じゃない、とか。

 ……偉そうな事ばかりで。

 真剣に向き合ってくれる人はいなかった。

 だからこそ、いつの間にか、この目標を口にすることは無くなって。

 テレシアにもベルラ先輩にも黙っていたのに。

 

「ザント君、なんかぬぼーっとしているけど、大丈夫? 体に負荷をかけ過ぎて体調が優れないのかな?」

 

「いえ、問題ありません。貴女様の威光を浴びて、気が動転していただけです」

 

「?」 

 

 不思議そうに首を傾げる女神様が美しすぎる。

 ……俺は今この瞬間から信仰する神を決めた。

 

 

 その後、俺と女神様はシュミレーターを利用して、一戦交えることになった。

 どうやら、本格的な指導を行う前に、俺の魔導騎兵の操縦技術がどの程度なのか見てみたいらしい。

 彼女曰く「訓練生時代の記録や映像は閲覧しているが、実際に対峙してみたいとわからない事もある」との事だ。

 俺と女神様が搭乗するのは、王国が量産に成功した唯一の機体である「ガラド」。

 白を主体としたシンプルなカラーリングが特徴的な魔導騎兵で。

 操縦するにあたって癖がなく、汎用性に優れたオーソドックスな機体である。

 フィールドは草原地帯で遮蔽物が一切存在しないため、純粋に搭乗者の魔導騎兵の腕前が試されるだろう。

 

 俺の武装は手持ち盾とブレード。

 女神様の武装は両手持ちの長柄のランスだ。

 

「それでは、宜しくお願いします」

 

「こちらこそ、宜しくね」

 

 戦闘準備を終えて、女神様と対峙する。

 彼女の構えを一目見ただけでも、実力が一線を画している事を理解できた。

 対面しているなのに、威圧感を感じる。

 俺の手がぶるぶると震えるが、これは臆している訳では無い。

 

 ……武者振るいだ。

 先日の任務と同様に、俺はワクワクしている。

 これから始まる戦いに心を躍らせているのだ……なんて事を考えていると、試合開始の合図である信号弾が上空に打ち上げられる。

 

 その瞬間、女神様は所持していたランスを俺に向かって勢い良く投擲し、スラスターの推進力を利用して全力で接近してきた。

 

「くっ……」

 

 想定外の行動に驚いた俺は、投擲されたランスを何とかブレードで弾き返す……が、その時に生まれた隙を突かれて、彼女の機体を見失ってしまった。

 捜索しようとモニターに目を戻すが、間髪入れずに機体の側面から衝撃を受けて。

 機体の制御がままならず、転倒してしまう。

 急いで立ち上がろうとするが、女神様の機体にマウントポジションを取られて、身動きが取れない。

 

 あっという間に勝負は決した。

 ……俺の負けだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひと勝負終えた後に俺と女神様は別室に移動する。

 ……完膚なきまでに負けた。

 ここまでタコ負けしたのは、テレシアと戦った時…‥いや、こんなにも早く勝負がついたのは生まれて初めてで。

 悔しくて悔しくて、仕方がない。

 俺は自分で思っているよりも、弱くて。

 その事が、不甲斐ない。

 

「勝負の全容を君なりに言語化してみてくれ」

 

 手帳とペンを手に持っている女神様にそう指示される。

 ……これは推測に過ぎないが、彼女は俺が対戦時にどこまで行動を認識できていたのか、確かめようとしているのだろう。

 多分、見栄を張っても速攻でバレる。

 そのため、俺の覚えている範囲に限られるが、嘘偽りなく正直に話すことにした。

 

「まず、隊長がスラスターを利用して俺に接近しながらランスを投擲しました。そして、俺が戸惑っている隙を突いて機体の側面に回り込み、蹴りを喰らわして体勢を崩した後にマウントポジションを取った……感じだと思います」

 

 所々で間違っている部分もあると思うが、大体こんな感じの顛末だっただろう……というか、そうであって欲しい。

 俺の回答を聞いた女神様は考え込むような素振りを見せながら、手帳に物凄い速度で何かを書き込み始めた。

 

「……素晴らしい素質だな。率直に言って……想像以上だ」

 

 思いもよらない褒め言葉が女神様の口から飛び出し、俺は即座に顔を上げる。

 すると、そこには、頬を紅潮させて満足そうな表情を浮かべる女神様の麗しき立ち姿があった。

 ……なんてお美しいのだろう。

 やはり、俺はこの女神様に一生お使えする……。

 

「特に反射神経が優れている。まさか、一番初めの奇襲を防がれるとは思わなかったよ。それにあの不意打ちに動揺せず、しっかりと状況を把握していた冷静さもかなり良い。あとはどれだけ魔導騎兵の操縦技術を磨くかだな。それと君の優秀な反射神経に体を追いつかせる訓練も必要だ。あ、あとこれは提案なんだが、君がこの第7小隊の一員としての初任務に赴く前に万が一の事態に備えて奥の手を用意するのはどうかな?ザント君はまだ未熟だ。こんな言い方は不謹慎である事は重々理解しているが、その才能を生かせずに戦場で散ってしまう可能性も考えられる。そのリスクを極限まで少なくする為にも是非検討してみてくれ。お節介かもしれないが、参考までに私の場合は機体にサブアームを取り付けている。サブアームはいいぞ。たとえ機体の両手がもぎれようとも戦い続けることができるし、切羽詰まった状況を打開するための選択肢として非常に有用なんだ。ああ、もちろん、サブアームでなくてもいいんだ。あくまで具体的な例として挙げただけだからね。再三再四忠告するが、やはり命の危機が迫った時のために何かしらの対策を講じた方が絶対にいい。標準装備だけではどうしても心許ないし、それに奥の手があれば緊急時にも心に余裕が生まれるからね。要望や希望があるなら何でも言ってくれ。私がメカニック陣に口を聞いてあげよう。おっと、だいぶ話が逸れたが、君の指導はこれから毎日行うことに決めたよ。できればテレシア君やベルラ君にも訓練に参加するよう君から提案してくれないか?彼女らも君に負けず劣らずの才能の原石なんだ。彼女らの了承を得ることができたら是非私の手で磨き上げたいと思っている。しかし、私には理由がさっぱり分からないが、何故か彼女らは私と合同でトレーニングすることにあまり乗り気ではないんだ。しかし、仲の良い君が誘えば彼女らも意欲的に参加してくれるかもしれない。どうか宜しく頼む。それでこれは余談なんだが……」

 

「え………え?」

 

 嬉々とした表情を浮かべる彼女は、とてつもない早口で助言?のような内容の文字列をひたすらに羅列する。

 先程までの戦闘の敗北の悔しさも忘れて、俺はめが………リーゼロット隊長の様子の変化に驚いた。

 しかし、唖然とする俺が全く眼中に入っていないのか、マシンガントークは終わる気配すら見せない。

 ……そして、隊長に魔導騎兵の指導を受けたい事を告げた時にベルラ先輩が過剰すぎるほど心配してくれた理由を、俺はようやく理解することができたのだった。

 

 




筆者はトレーニングについての知識が全くありません。
そのため、かなり支離滅裂な事を書いているとは思いますが、どうか許してください!
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