人型ロボットが蔓延る世界で生きる俺のヒロインが全員ヤンデレだった件についてwww   作:門崎タッタ

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第6話

 

 俺は先輩とテレシアが撃破した機体を輸送機に運び、戦闘中に発見した少女を保護したが。

 ……結局、俺が発見した少女以外に村の生存者はいなかった。

 どうやら、俺たちが交戦した賊はマナに順応できる体を持つ人間を他国から攫って帝国で売る人攫いの集団だったらしく。

 

 テレシアが不意打ちした敵の機体に残されていたデータから……奴らは「暁の騎兵団」と名乗って活動している賊だと判明した。

 奴らはかなり大規模な騎兵団らしく、野放しにはしておけない。

 そのため、近々大規模な討伐作戦が行われるらしい。

 

 また、俺が交戦していた少女が用いた煙幕は未確認の兵装であり、帝国が生産している兵装との類似点が見受けられたため、「暁の騎兵団」は帝国と繋がっている可能性が極めて高い。

 そうなれば、帝国が何らかの目的を持って「暁の騎兵団」に兵装を提供している可能性が浮上してくるため……色々と大変そうだ。

 もちろん、他人事ではないのだけれど。

 ひとまず、そうやって、人生で2回目となる任務が終わったのだ。

 

「俺は本当に何してんだ……」

 

 2回目の任務の1週間後、休暇を貰った俺は自室のベットの中で芋虫のように布団にくるまっていた。

 胸の中は先輩やテレシアに対する申し訳なさでいっぱいだ。

 俺は作戦中に失態を犯した。

 それに飽き足らず、先輩やテレシアに迷惑が掛かる事を顧みずに自らの欲求に身を任せて敵と交戦した。

 

 ……俺はクズだ。

 最低の人間だ。

 先輩やテレシアは人数的に不利な戦いを強いられていた。

 勝利できたから良かったものの、もしも仮に二人が敗北していたら……本当に俺は取り返しのつかない過ちを犯す所だった。

 

 戦闘前、確かに俺は恐怖を感じていた。

 自らの手で人の命を奪う恐怖と自分が死ぬかもしれないという恐怖を。

 しかし、それらの恐怖は赤髪の少女との戦闘中に命を賭けて戦うことへの愉悦へと形を変えた。

 

「やっと見つけました。私の、同類さんを……運命の相手を……」

 

 赤髪の少女の言葉が脳内で反芻する。

 彼女のこの言葉の意味が分からないほど、俺も鈍感ではなくて……俺は騎士という称号に相応しくない人間かもしれない。

 楽しいという感情のままに戦うのは、卑しい獣のする事だ。

 王国に住む人々を守るために戦う騎士のすることではない。

 

 自分一人が危険な目に遭うのは構わない。

 だが、俺の行動のせいで仲間である隊長や先輩、そしてテレシアが命の危機に瀕する可能性が僅かでも存在するのならば、俺は……。

 ひたすら考え込んでいると、激しい音を立てて俺の部屋の扉が開かれる。

 

「後輩くん! 暇なら一緒にお出かけしようよ!」

 

 驚いた俺が扉の方に目をやると、そこには満面の笑みを浮かべている先輩が仁王立ちしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ〜ん、ふん、ふふ〜ん」

 

「…………」

 

 ベージュのキャスケットを被り、チェックのワンピースを着ている先輩が楽しげに鼻歌を歌いながらとてとてと先に進む。

 あの後、先輩に半ば強引に外に連れ出された俺は、彼女と共に王都の繁華街を散策していた。

 正直に言うと、今日は外出する気分ではない。

 そのため、無邪気にはしゃぐ先輩を見て、微笑ましさを感じる気持ちもあるが。

 それに反して、場の雰囲気にいまいち乗り切れない自分もいた。

 

「ねぇねぇ、後輩くん。まずはお昼食べちゃわない?」

 

「いいですね。どこで食べます?」

 

「う〜ん、私が決めていいかな?」

 

 こくりと頷き、肯定の意を示す。

 

「それじゃあ、イタリアンにするね。案内するから着いてきて!」

 

 先輩は意気揚々と歩き出す。

 不意に辺りを見渡すと、雑居ビルのような建物がちらほら見えた。

 こうやって散策してみて改めて感じたが、王都の繁華街の装いは綺麗なモノだ。

 前にも言ったが、この世界には転生者と呼ばれる存在がいる。

 この街並みも、転生者の前世の街を参考にしているらしい。

 転生者は、前世の記憶を有効に利用し、魔導騎兵を開発したのに加えて、前世の文化や娯楽などを異世界にもたらした。

 それらは瞬く間に人々に広まり、年月を重ねるごとにこの世界に馴染んでいったのだ。

 

「着いたよ、後輩くん」

 

 そう告げた先輩が指を刺したのは、白の外壁にアンティークな扉が印象に残る外観のイタリアンレストランだった。

 

「おお、中々小洒落た外装のお店ですね」

 

「でしょでしょ!お料理もね、とってもおいしいんだよ。楽しみにしててね!」

 

 意気揚々と入店する先輩に続いて店に入ると、笑顔が素敵なウェイターにテラス席へと案内された。

 先輩はもう食べるものを決めているようでメニューを開くそぶりすら見せない。

 しかし、パスタの種類が想定よりも多いため、俺は中々これというものが思いつかない。

 結局、先輩がお勧めしたカルボナーラを注文することにした。

 

「ねぇ、後輩くん。変に誤魔化さずに単刀直入に言うけど、何か悩んでいること……あるよね?」

 

 注文した料理を待っていると、目の前に座っている先輩が真剣な表情で脈絡もなくそう切り出した。

 俺はすっかり唖然としてしまい、言葉が出ない。

 

「後輩くんさえ良ければ、話してほしいな。私に何かできることとかあるかもしれないから……」

 

 ……部隊の仲間に余計な心配をかけたくない。

 だからこそ、俺は悩みを抱えているような素振りは見せていないつもりだったのだが、先輩にはお見通しだったらしい。

 俺が抱えている悩みを先輩に話すか、話さないか。

 そんな選択肢が唐突に現れるが、可能ならば俺は……悩みを打ち明けたくなかった。

 魔導騎兵を用いた戦闘では、負けたとしたも勝ったとしてもほぼ必ず人が死ぬ。

 それなのに戦いを楽しんでいる……と、言ったら先輩はどう思うだろうか。

 

 そんなのは分かり切っている。

 ……俺は怖いのだ。

 先輩に軽蔑されるのが。

 だから、俺は話したくない。

 気持ちはありがたいが、この事を打ち明ける勇気はない。

 申し訳ないが……。

 

「後輩くんは覚えているかな。私と後輩くんが初めて会った時のこと」

 

 断ろうと心に決めて、口を開こうとすると、不意に先輩がそう切り出した。

 ……覚えていない訳がない。

 俺がまだ訓練兵だった頃、深夜に散歩をしていたら広場のベンチに座っている少女を見つけて、声をかけた。

 

「こんな時間で一人だと危ないよ」と。

 

 まさか、その時の少女が自分の上司になるなんて、昔の俺は全く思いもよらなかったが。

 

「あの頃はね、まだこの国に来たばっかりで色んな悩みがあって、でも知り合いなんて一人もいないから誰にも話せなくて……」

 

 今のように笑うことなんかなかったその時の先輩はすぐにでも消えてしまいそうな雰囲気を纏っていて、そんな姿が俺と重なって見えた。

 偉大なパイロットだった親父への憧れと羨望で押し潰されそうになっていて、苦しんでいた当時の俺と。

 だからこそ、放っておくことが出来なかったのだ。

 

「そんな時に後輩くんが見ず知らずの私の話を親身に聞いてくれて、本当に心が楽になったんだ」

 

 何時になく、真面目なトーンで話を続ける。

 そんな先輩の姿を見て、確実に俺の心は揺らぎ始めていた。

 

「私はね、あの時の後輩くんのように、少しでも後輩くんの助けになりたいの」

 

 ……その言葉を聞いて、俺は悩みを打ち明ける決意をした。

 俺が戦いを楽しんでいる事を話したら、先輩に軽蔑されるかもしれないし、気持ち悪いと思われるかもしれない。

 先輩に嫌われるのが、何よりも怖いのは紛れもない俺の本心だ。

 でも、先輩は俺に真摯に向き合ってくれて。

 今度は俺が先輩の誠意に応える番だ。

 たとえ、どんな結果になろうと後悔はしない……。

 そう確信した俺は、全ての悩みを赤裸々に打ち明けた。

 

 

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