追い風を受け、ヒカリへと飛び立つ者   作:モルモット0816番

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作者「A→今から書くから待ってて」

ウマ娘の設定に対しての理解度が足りてないかもなんで、気づいた時は言ってください。

というかぶっちゃけた話。感想ください(切実)
どこが良いとかここが悪いとかそういうの知りたいんで。


ヒカリフライトのトレーナー「Q.私の存在ってどうなってるんですか〜?」

 

 

「じゃあ後は軽く流して終わりにしよーねー」

 

「はい、今日もありがとうございます」

 

「いいんだよー。ほんとに無理はしないでね…」

 

「善処はします」

 

「そこは断言してよぉ!?」

 

ここまで4戦4勝と無敗のウマ娘『ヒカリフライト』ですが、トレーニングはいつもこんな感じのゆる〜い雰囲気でやってます。

 

トレーニングメニューも、強豪チームばりのかなりハードなものもあったりすれば、寮の門限ギリギリまでトレーナーの自室のベッドで溶けたアイスのように、『べちゃ〜 ̄▽ ̄』って寝っ転がってトレーニングしない事もあったり…

 

性格も本当にこの子トレーナー?ってくらいには超ゆるいです。自室で他の目がないことをいい事に、アイス食べたりしてます。

 

まぁ、彼女がヒカリフライトのトレーナーになったきっかけは、少し特殊なものではありましたが…

 

 

 

 

 

 

 

 

選抜レース。

 

このレース、超簡単に端折った説明をするなら、ウマ娘たちがただ走るだけでなく、その結果を踏まえて、トレーナーがウマ娘をスカウトする場でもあった。

 

芝の1900m。中距離ではあるがかなり半端な距離。ヒカリフライトが絶対に走らなきゃいけないレースはすべて2000m。なので最低でも2000mは欲しかったが、トレーナーが居ないことにはそもそもレースへの登録が出来ないので諦めた。

 

2000mに合わせた距離の感覚からほんの少しだけズラして、1900mをゴールする為のペースの計算を行う。中距離のペース配分については、教え方が上手いだけ(ヒカリフライト基準)の教官なんかよりずっと頼りになる副教官や母親という分かりやすい前例があった。

 

その前例をゲート内で反芻していたヒカリフライトの出した結論は、

 

「(私のスタミナから考えて…スパートは残り600mくらいかな…)」

 

先行して差すくらいの勢いで行く事。

 

母親が言うには逃げて差す…なんていうトンデモ走法としか言えない走りをしていたウマ娘も居たそうなので、出来ないことはないだろうと考えた末のものである。

 

息を整えた直後、ゲートが開く。

 

出遅れたとまでは言わないが、完璧なスタートとは口が裂けても言えなかった。

 

それでもなお自分のペースを保ち、前方にいるウマ娘の背後を走る。そして、時折ほんの少しだけ左右に身体をズラし、前のウマ娘の集中力を散らしにかかる。

 

そうして残り600mに差し掛かったところで

 

「(ここ!)」

 

ヒカリフライトがスパートをかける。

 

それに負けじと他のウマ娘も速度を上げようとするが、選抜レースというプレッシャーからか、持久力が既に切れておりスピードを伸ばしきれず、ヒカリフライトがゴールを突っ切る背中を見るだけとなった。

 

 

 

 

 

「俺にトレーナーをさせてくれないか?」「私が貴女を1番速く走らせてあげるわ!」「僕に任せてくれないかな?」「自分なら君を輝かせられる!」

 

「あ、えっと…」

 

ヒカリフライトは困惑していた。

 

選抜レースで1着を取ったウマ娘なのだから、取り合いになる事は確実ではあるが、いかんせん数が多かったのだ。そんな中でトレーナーを選ぼうとしたのだが、

 

「君の憧れているウマ娘は誰だい?僕ならそのウマ娘より強く出来る!」

 

「確かに気になるね!やはりあの伝説の生徒会長、シンボリルドルフかな!?」

 

「…」

 

そんな事を言われて急激に思考が冷めた。と同時にトレーナーに選ぶ者の基準が明確になった。

 

「そんなに知りたいならお教えします。私の憧れているウマ娘は、アグネスタキオンただ1人です」

 

そう言った瞬間、ほぼ全員の顔が歪んだ。この時点でヒカリフライトはその者たちにトレーナーを任せるという選択肢を排除した。

 

アグネスタキオン…」「それってドーピングしてたっていう…」「なんであんなウマ娘を…」「勿体ない…」「知らないって罪だよな…

 

「…ウマ娘の聴力舐めてませんか?あなた方の顔は覚えました。今後勧誘されてもNOとしか言いませんので」

 

「〜〜〜〜!!お前みたいなウマ娘、こちらから願い下げだ!」

 

そんな罵声を真正面から浴び、蜘蛛の子を散らすように離れていくトレーナー達をやはり冷めた目で眺めていたが、ただ1人残っているトレーナーを見つけた。

 

「…貴女は行かないの?」

 

「えっと〜…ヒカリフライト…で合ってる?アグネスタキオンが憧れって言ってた、よね?」

 

「はい」

 

「なら、ちょ〜っと付き合ってくれないかな…?」

 

「…?」

 

怪訝そうにしているヒカリフライトだが、自身の憧れに対して否定から入られなかったので、着いてくことにした。

 

そうして着いた先は彼女のトレーナーとしての自室。ドアを開けた先にあったのは、

 

「凄い…!」

 

壁一面にタキオンの競走バとしてのデータや新聞・雑誌の切り抜き、果てはレース中のタキオンの走りを常に捉え続け連写したのであろう写真すら貼られてある部屋だった。

 

「私もあの人の走りを見て、トレーナーになろうって決めたんだ〜。一生懸命勉強して、いつかは彼女のようなウマ娘を育てるんだ〜ってね…」

 

「この写真、ホープフルステークスですよね…てことは、貴女が見たレースって」

 

「そ、メイクデビュー。目も心も奪われちゃった…けど、アグネスタキオンは…」

 

「先天的な体質による脚の故障で、引退を余儀無くされました。なのに、新聞や雑誌は…!」

 

「『ドーピングによる副作用か?』『担当トレーナーを実験台にする狂気のウマ娘』、挙げ句の果てには『ライバルを薬で蹴落としたのでは?』なんて言ってたね…」

 

お母さんはそんな事してない!!!!!!

 

「もちろん知ってるよ!って、お母さん…?」

 

「…!」

 

言った後でヒカリフライトは思い出した。自分はタキオンの娘であると公表していなかったのだ。

これはタキオンとモルモット君からの『自分たちの事については何も言わない事』という言いつけをしっかり守っていたからである。

 

そんなカミングアウトに対してこのトレーナーは

 

「そっか…アグネスタキオンの娘さんかぁ…今までよく頑張ってきたね」

 

そんな事を言いながら、優しくヒカリフライトの頭を撫でていた。

 

「…え?」

 

「あんな悪意に晒されて、ずっと耐えてきたんだよね…それでもずっと憧れているお母さんの事を言い出せなくて…ほんとに…づらがっだよね…」

 

「あぅ、えっと…泣かないでください…」

 

「ぐずっ、キミも泣いていいんだよ…さっきだって、必死に叫ぶの我慢してたでしょ?追い返した後も泣くの堪えてたでしょ?もう誰もいないから…泣いていいんだよ…」

 

「…ひっく、なんでみんな、お母さんの事を悪く言うの…?お母さんが何したの…?みんなより速いのがそんなにいけないの…?なんでお母さんをあんなに悲しませるの!?」

 

「…そうだよね、許せないよね」

 

「ドーピングの検査にも引っかかってない!証明書だって持っていったって!でも誰も相手にしなかった!お金を稼げたらそれでいいの!?お母さんの後の人生めちゃくちゃにしていいの!?教えてよ…なんでお母さんが泣かなきゃいけなかったの…?」

 

ヒカリフライトは小学生の頃に1度、本当にただ1度だけ、雑誌の見出しを見て悔しそうに涙を流す、タキオンの姿を見た事がある。自分の前では常に笑顔で優しい母が泣いているのを、ただ見る事しかできなかった。

 

父のように、すぐにそばに寄り添えるくらいの行動力が無かったのと、理由を聞いてまた泣かせたくないと思ったからだ。

 

「…ねぇ、キミが走りたいレースを教えて」

 

それを聞いたトレーナーは、真剣な表情でヒカリフライトに問いかけた。

 

「絶対に、何を言われようとも走るレースはあります。ホープフルステークス、弥生賞、皐月賞です」

 

「お母さんと同じ道を行く…うぅん、きっと証明したいのかな」

 

「はい、お母さんの娘である私が同じ戦績を出せば、お母さんが何もしてないって…4戦4勝のウマ娘『アグネスタキオン』の娘は、同じ戦績を持ってここにいるって、証明出来るはずだからです」

 

「メイクデビューを含めて4戦4勝がスタートライン…どのレースも落とせない、か。辛いよ?」

 

「お母さんとお父さんを泣かせない為なら、辛さなんてありません」

 

「…なら、お願いしていいかな?トレーナー契約結んで下さい!」

 

「いえ、こちらこそお願いします。私と契約を結んで下さい」

 

「うん、もちろん!」

 

そうして2人はトレーナーと担当ウマ娘という関係になった。

 

「とりあえず〜…どのレース見る~?」

 

「じゃあやっぱり、あのレースがいいです」

 

「ふふ、多分同じ事考えてるだろうなぁ〜…せーの、」

 

「「皐月賞!」」

 

 

 

 

「で、トレーナーさん、次のレースは?」

 

トレーナーの自室でいちごアイス(1個151円)に舌鼓を打ちながらヒカリフライトが問いかけます。

 

「もちろん決まってるよ〜。次は日本ダービー。皐月賞を勝って優先出走権貰ったからね〜。あ、会見で何言うか考えといてね」

 

「ふふっ、なら堂々と言っちゃおうかな。私が『超光速のプリンセス』アグネスタキオンの娘だって!あ、そうだ!私とお母さんのドーピング検査の証明書の原本も公開しちゃおう!」

 

「はっはっはっ!!いいね〜!記者達のキモ冷やしてやろ〜!」

 

「あぁ、お母さんを泣かせた人達がどんな顔するのか楽しみ…!」

 

ヒカリフライト、めちゃくちゃ恍惚としています。掛かっているかも知れません。

 

「おやおやヒカリフライトさん…悪い顔しとるのぉ〜」

 

「そういうトレーナーさんこそ〜」

 

「「…あはははっ!!」

 

 

 

 

ヒカリフライト、日本ダービーまであと25日。

 




「お母さんはそんな(お父さんをモルモットにする)事(以外)してない!!!!!!」

ちなみに、休みの日に寮ではなくトレーナーの自室でくつろがせるのは、トレーナー曰く『メニュー以外での練習はさせたくない…というか、自主練とか勝手にするのを防止するためと、フライトは今までが頑張り過ぎてたから、リラックスする事を覚えさせるのとで半分半分』とのこと。

あと、タキオンが屈腱炎を患ったとされる日は、ダービーの25日前だそうですね…
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