輝けなかったウマ娘トレーナーは芽吹く新芽に何を思うか   作:にらたま定食

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 おはこんばんちゃ。にらたま定食です。
 連投です。お昼寝のはずが夜に起きてしまいました。。。

 そんなことは置いといて、いよいよチーム結成です!
 それでは本編をどうぞ!



蠍の尾

 メンバー選抜の期日。その夕暮れ。

 カウンセリング室からトレーナー室に名前が変わった部屋の窓から、トレーニングに励むウマ娘達を眺めていた。

 

 

 朝、選抜したメンバーを理事長に提出した。

 

 

 「……確認ッ、本当にこのメンバーで良いのか?」

 —はい。その子達でお願いします。まあ、半分は昔の誼みというところですけれど。

 「承諾ッ!では今日中に君の部屋に向かわせるように声をかけておくぞ!」

 —はい。チーム『サルガス』よろしくお願いします。では、私はこれで失礼しますね。

 「……理事長、本当によろしかったのですか?」

 「苦悶……わたしも色々と悩んだのだ。だが彼女が預かったウマ娘達が今も燻っているように見えてな……どーーしてもそれが気になるのだっ!もう一度彼女達にも夢を与えて欲しいのだ!!」

 「その気持ちはわかりますが…。」

 「懇請ッ!頼むたづなっ!無理を言っているのは承知しているッ……後悔したくないのだ!」

 「……はぁ、分かりました。ですが理事長も気にかけてあげて下さいね?」

 「感謝ッ!恩に着るぞたづなッ!!!」

 

 

 そんなやり取りがあったような無かったような……なんて思っているとトレーナー室のドアがコンコンコンコンコンコンとノックされ、蹴破られた。

 

 

 「おう!遊びに来たぜトレーナー!」

 「お久しぶりですトレーナーさん!」

 (もぐもぐ…)

 —相変わらず元気そうだね。オグリちゃん、この後すぐにトレーニングをするからそこら辺にしておきなさい。

 「そうか………………わかった。コイツは君に預けるとしよう。」

 「えっ、私ですか?!」

 「トレーナーは食べないと言いつつも食べてる時があるから。」

 

 

 まず元気よく入ってきたのは『驀進王』と『黄金の不沈艦』と名高い二人だった。

 その後ろには小脇に抱えた徳用ドーナツを頬張る『芦毛の怪物』ことオグリキャップとドーナツを預けられて困惑しているティアラと八重歯が特徴の活発そうな子、一見大人しそうだが先ほどからオグリキャップのドーナツをチラ見している子、そして黒髪であたりをキョロキョロしている髪の長い小さな子がいた。

 皆速そうなウマ娘だ。

 

 

 —三人とはほとんど面識がありませんね。初めまして、アダマスマッシュと言います。これからよろしくお願いしますね。

 「だ、ダイワスカーレットです!よろしくお願いします!」

 「メジロマックイーンと申します。トレーナーさん、よろしくお願いしますわ。」

 「ライスシャワー…です。よ、よろしくお願いしましゅ!うぅ…」

 「さて、挨拶はこれくらいとしまして、トレーナーさん!今日のトレーニングはやはり鬼ごっこでしょうか?!」

 

 

 軽い自己紹介が済んだ途端、サクラバクシンオーが机に身を乗り出してきた。目をキラキラさせて、今か今かと少し跳ねながら答えを待っている。

 鹿毛の髪は今日もきっちり整えられており、瞳の桜模様はいつ見ても吸い込まれそうになる。

 

 

 「今日の鬼役は誰がすんだ?あ、言っとくけどあたしはそんな気分じゃないからな?」

 

 

 ゴールドシップと目が合うと、彼女は笑みを浮かべた。よく鬼役を買って出ていた彼女だが、どうやら今日は新入り達にサプライズを仕掛けたいらしい。

 

 

 —今日は初めての方が居るというのと、復帰戦というのを兼ねて私がやりましょう。私は準備してから向かいますので、後は任せましたよ。

 「よし、決まりだな!じゃあいくか。」

 「え、ちょっとゴールドシップ!今から一体何をするって言うのよ!」

 「何って、さっき言ってたろ?トレーナーと走るんだよ。」

 「え、でもトレーナーさんってウマ娘だけど走っても追いつけないんじゃ……(ドンッ)ひゃうっ!ごごめんなさい!」

 

 

 前を見ていなかったライスシャワーがぶつかった相手、それはトレセン学園の外でも中でも知らない者はいない。三日月のように長くくるりと流れた白い前髪、『皇帝』と名高いシンボリルドルフだった。

 

 

 「いや、こちらこそすまない。おや、諸君らは確か……成程、彼女もようやく重い腰を上げてくれたのか。君は確かライスシャワーだったね?彼女のトレーナーとしての腕はこの学園でも指折りだ、君にもきっと見えなかった何かを見せてくれるはず。楽しみにしておくといい、それでは私は失礼するよ。」

 

 

 ライスシャワーに優しく笑いかけ、シンボリルドルフは先程ゴールドシップ達が出てきた部屋の前に立った。彼女は部屋の前でピタリと止まり、しばらく立ち止まっていた。

 

 

 「ビックリしたぁ、急に生徒会長さんと会うなんて……ってバクシンオー先輩?」

 「あぁ、バクシンオーって2500mを超えると走れないからな。その距離でも走れる会長が羨ましいんだと。短距離だとほぼ敵無しなのにおかしな話だよな。」

 「おや、ゴールドシップさん。私の倒すべき相手の中にはあなたも含まれているのをお忘れになったのですか?もしそうならば今からでも思い出させてあげましょうか?」

 「ああん?!上等だぁ!!空でも海でも何処でだって受けてたってやらぁ!」

 「3人とも、2人はこうなると長い。先に行こう。」

 

 

 口論になり始めたゴールドシップとサクラバクシンオーをよそに、オグリキャップはダイワスカーレット達をトラックへ連れ出すのだった。

 

 

 「オグリキャップさん。その、トレーナーさんについて少しお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 「ん、トレーナー?私の主観で良ければ話すが…」

 「では、今から行われる鬼ごっこに何の意味があるのですか?」

 「普通のトレーナーさんなら私達が走るのを見て、そこから走り方を直したり、トレーニングしたりとかだよね……?」

 「第一トレーナーと鬼ごっこなんて聞いたことないわよ。もう子どもじゃないんだから、もっと真面目にやってほしいわ!」

 「まぁ君達がどう思っても構わないが……フフッ。」

 「今のやり取りに何か面白いところでもありましたの?」

 「すまない。だが彼女のトレーニングに無駄な事は一切ないから安心してくれ。今日はとにかく、思いっきり走る事だけを考えれば良いとだけ言っておこう。」

 「……分かりましたわ。」

 「え、今ので何かわかったの?」

 「さぁ何のことかさっぱりですわ。しかし、気を引き締めておかなければならないのは確かなようですわね。」

 

 

 オグリキャップのにこやかな表情から、僅かに漏れ出た闘志に気づいたのはメジロマックイーンだけだった。

 




 お疲れさまでした。
 今回は少し長めですが、いかがだったでしょうか?

 面子が一気に出揃いましたね。笑
 一時は分けようと思ったんですが、考えてるうちに原案の影が薄れそうになったので、もういっその事というわけで全員出しました。

 次回はトレーナーも走ります。
 それでは、また次のお話で。
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