性癖に正直に生きてたらヤンデレに追いかけられたんだが 作:鷲羽ユスラ
新たなる妾になると決意した妾が最初に行ったのは、あやつに軍隊を差し向けることじゃった。
期待は何もしとらんかった。しかし妾がまだ全力を出せぬ状況であったのは事実。それ故に妾の奴隷どもに捜索を命じたのじゃ。
一度捕捉できれば良い。あとは妾の力でどうとでもなる。故に最初に探し出させる些事を、妾の役に立ちたいとさえずる衆愚どもに任せたのだ。
結果はまあ、予想通りじゃった。妾の軍隊どもはあやつを見つけておきながら、あっさりと取り逃がした。まあ良かろう。丁度良い機会じゃ。妾は罰則として愛玩奴隷の全面解放を命じた。
あやつがおる以上、あれらはもう要らん。妾の気慰みに飼っておったが、あやつに比べれば何もかもが足らぬ。色あせた過去とともに、妾はあれらを捨て去った。
さて。妾が体力の回復を待っておる間、あやつが死んだのを感じた。
不思議と衝撃はなかった。言葉通り本当に死んだのだと、あやつの行動力と実行力に対する素直な称賛すら覚えた。
まあ、称賛するのと許すかどうかは別の話じゃがな。妾は神の手のひらへ帰り逝くあやつの魂を強引に捕まえると、力任せに妾の下まで引っ張り寄せた。
絶対強者に技など要らん。かつてはそう思っておったが、今はその考えを修正すべきやもしれぬ。危うくあやつの魂を握り潰してしまいそうになった妾は、褥の側に拘束部屋を作り出し、そこであやつを復活させることにした。
復活の瞬間に立ち会うのは……とりあえずやめておこう。いや、今更になって怖気づいたとかそういう話ではない。ただ、復活すればあやつは裸じゃろうし、かといって妾が服を与えるのも何か違うし、裸のあやつを見るのは少し、心の準備が……
もじもじと勝手に動く体にいい加減苛立ちが募った妾は、強引に動いてあやつの前に出ることにした。大の字で拘束されているあやつに一瞬たじろいだが、バレてはおらんじゃろう……バレておらんよな? バレてたら殺す。
幸いにもあやつはそれを指摘せなんだが、妾に対し【煌天女帝】と尊称をつけて呼んでいるように感じたので一度殺してやった。
まったく、己の立ち位置を知らぬ愚物はこれじゃから困る。今のお前様は妾を下した勝者なのじゃぞ? 相応の振る舞いは求められて然るべきというもの。敗者たる妾の名を直接口にする栄誉くらい甘んじて良いというのに。
それを分からぬあやつは一度死んだくらいでは態度を改めなんだ。何度も殺してやり、妾手ずから教えてやることでようやく妾の名を呼ぶようになったと判断した。よってこれより、新たな妾に生まれ変わる儀式の準備を始めよう。
差し当たってはあやつの屈服が急務じゃな。妾は懇切丁寧に説明してやるが、何やら一行でまとめられた気配がする。やはりこやつは妾を見下しているとしか思えぬ。それが心底……腹立たしかった。妾はそう思い込んだ。
あやつは妾に永遠の忠誠を誓うか否か? という問いに即断で答えを返した。「否」じゃ。真顔で「いやです」と、それが本心であるかのように口にした。
あまりに苛立ったのでつい尻尾が動いてしもうた。こやつは馬鹿なのか? 拒否権などあるわけなかろうが。妾がそうしろと言ったらそうするのが礼節、摂理。それを当たり前のように破るのじゃから、こやつは始末に負えん。
怒りを通り越し、呆れ果てた目であやつを見ていると、不意に真剣な面持ちで妾を見つめ返してきた。その厳格な相貌に、思わず心臓が跳ね上がる。
くっ、流石は妾を下した男。視線一つでこうも緊張を強いるか……妾は対抗の意味で不敵な笑みを浮かべたつもりじゃったが、体の一部分、特に下腹部がいやにキュンキュンと引き締まったのは気のせいじゃ。気のせいじゃろう。気のせいと思え。
あやつを睨み、妾が回答を待っていると、あやつはとぼけたような、しかし歴然とした事実を語るようにまた妾を下すと申した。
なんと不遜な男よ。妾をまたあのような目に遭わせるつもりか! あのような、言葉にするのも憚られる、目に……
…………妾は特別に受けてやろうと口にした。そうじゃとも、あやつから挑まれるのならば是非もなし。今度こそ妾があやつを屈服させ、永遠の忠誠を誓わせるのじゃ。
何度も敗北する妾ではない。いずれ必ず勝者となる。それまでは、敗者の地位にも甘んじよう……そのつもりで受けた妾であったが、どうにもあやつの様子がおかしい。
また妾を名で呼ばなかった気配がしたので殺しておいた。それも数度じゃ。何を考えているかは分からんが、賢者であるならば多少は学習してもらわねば困る。じゃから……その、裏切られたような顔をするな! 本気で困るじゃろうが!
心底悲しそうに顔を伏せるあやつに内心で慌てておると、あやつは急に顔を上げて表情を改めた。真剣な、雄の顔じゃ。妾もつい身構え、尻尾をピンと逆立て、無意識にゆらゆらと動かす。
あやつは真剣な顔のまま、拘束を破った。なんということじゃ……しかし、想定の範囲内。妾は泰然とあやつの動きを待つ。
――――たぷんっ♡
ッ!!! ぶッ、無礼な!!! よもや妾の胸に直接触れようなど!!!
じんわりとしたあやつの体温が体に染み込む。くっ、あの地獄のような日々を思い起こさせ妾の気を挫く算段か!
させぬ! ぷるぷると怒りで震える手を振り上げた妾は、しかし、それを振り下ろすことができず。
そうこうしておる内に、あやつはあろうことか消し去った淫紋を刻み始め……抗うこともできず、あっけなく全てを元に戻されたのじゃ。
なぜ、なぜじゃ……どうしてこうも思うように動けぬ。妾の口腔に指を入れ、舌先に刻まれる。股の間にも、腹にも、纏う布越しに淫紋が施される。
そうされる度に、ビリビリと快楽が駆け巡る。まるで体がその時を待っていたかのように、喜びを目に見える形で表しよる……
「よせ……やめろ、やめるのじゃ……不敬じゃぞ、この痴れ者が……」
どうにか言葉だけで釘を差しても、あやつの顔は険しくなるばかり。それどころかあの日々に見た、獣のそれへと移り変わり……
妾より小さな男に押し倒され、目の前に雄を見せつけられた妾は、そのまま食われるしかなかったのじゃ……♡
七日七晩に渡るあやつの陵辱をなんとか耐え抜いた妾は、逃げようとするあやつを尻尾で捕らえた。
まったく、油断も隙もない……妾でなければとても受け止めきれんぞ……♡ この時妾は初めて、頑丈な己の体に感謝したのじゃ。
さて、それではこの逃げようとした男をどうしてやろうか。妾が優しくその理由を聞いてやると、あやつはとぼけた答えを返したので少し脅しつけてやった。
顔を青くするあやつに溜飲が下がる思いをしておると、またもとぼけた答えを返しよった。さては死んで逃げようとしておるな? 呆れた妾は尻尾で巻き上げてやるのを答えとした。
仕方のない男じゃ。どれ、引き寄せて逃げられぬと思い知らせてやろうかのう……くっ…………なぜそのように真剣な瞳で見つめるのじゃ……
思わず妾は目を逸らす。羞恥を感じたわけではないぞ? 恥ずかしかったのではないからな? おい、聞いておるのかこのたわけ! 絶対に、絶対に、絶対に!!! 恥ずかしいわけではないからな!!!
コホン、と仕切り直した妾は、改めて忠誠を誓うかどうか尋ねる。七日七晩も妾を貪ったのじゃ、よもや否とは言うまいな?
そう思っておったが、あやつはまたも「いやです」と言い放ちおった。しかも「そう言ったではありませんか、お忘れになられたのですか?」と妾が悪いかのように言う始末。思わず尻尾で絞め殺したのも道理じゃろう。
何なんじゃこやつは……額に手を当てる妾は、尻尾で巻いたまま蘇生する。奇しくも妾と似たような表情をあやつは浮かべておったが、それはこっちの顔じゃと言いたい気分じゃった。
……んっ♡……なぜ、あやつの雄が自己主張しておる? 妾の尻尾を押し返す感触に、思わず漏れそうになった声を抑える。
また何か画策しておるのか? そう思っておったら、あろうことかあの男はその場で暴発しおった。
なっ、なっ、なんたる無礼♡ 妾の尻尾にべっとりと雄の匂いをこすりつけるとは♡
思わず尻尾の力を緩めてしまったのも仕方ないじゃろう……♡ くぅ、ひどい匂いじゃ♡ 自らの尻尾を眼前に寄せ、妾は匂いを嗅いでしまう♡ これは、舐め取って綺麗にしなければのう……♡
そうしておると、あやつもベトベトになっておるのに気づいた♡ 仕方のないやつじゃ……よもや妾にこのような恥辱を受けさせるために、こうしたのではあるまいな……♡
仕方ない♡ 仕方ないのう♡ これはあやつの策、策なのじゃ♡ 妾にはどうにもできぬ♡ 抗えぬ♡ どう考えてもその結論に達した妾は、尻尾にそうしたようにあやつにもそうしようとした……♡
しかしあやつはそれを止めた。お預けとは、ひどい男じゃ……♡ まあ良い、これから機会はたっぷりあるであろうからな……♡
あやつは自分の体を綺麗にし、妾の尻尾も丁寧に拭き取った。もったいなかったが、あやつ自らの行動じゃ。妾は受け入れた。
そう、本来妾とあやつの関係はこうでなくては。奉仕するのはお前様♡ の仕事なのじゃぞ……♡ 絹を扱うように妾の尻尾を綺麗にする男に満足気にしておると、あやつは急に妾の真意を問い質してきおった。
よもや、よもやじゃ。まさかここに来て、そのようなことを聞かれるとはのう。存外、こやつは察しが悪いのやもしれぬ。いや、いや……察することを忌避しておると見るべきか。
仕方のないやつじゃ。妾はため息をこれでもかと吐き、こやつが如何に救いようのない外道であるかコンコンと説明してやった。
そもそも、妾を欲したその時点で無礼かつ不遜である。その上妾をこれでもかと食らい、自らの所有物であるかのように淫紋を刻み、果ては子まで成そうとした。
無礼千万、厚顔無恥じゃ。これには寛大な妾であってもほとほと呆れ果てる。お前様のような下賤者はこの先現れることはないじゃろうな。
なればこそ、妾が繋ぎ止めねばならぬ。お前様は獣よ。妾を貪ることしか知らぬ、欲望の獣。そのような哀れな珍獣を飼ってやれるのは妾くらいしかおらんじゃろう。
じゃから飼う。従える。永遠の忠誠をもって儀式とする。お前様を下敷きに、妾は新たなる妾へと生まれ変わるのじゃ。
故に――妾は許さない。未来永劫お前様を許さない。何があろうとも、決して、絶対に、見放したりせぬ。
諦めて頭を垂れよ。地に伏せ、つくばうがいい。さすればお前様は妾という存在の偉大さを知り、感涙して自ら全てを捧げるじゃろう。
そうしたところで、許しはしないがのう……? それでもまあ、多少、お前様の扱いを良くしてやってもよい。最終的には…………む、婿にしてやっても良いかも、しれぬ、のう?
ということを延々と言い続けておると、あやつは止め、妾との対話を望んだ。仕方ないから受け入れてやったのじゃが、途中から見る見る落ち込んでしもうた。
なんじゃなんじゃ、妾がせっかく答えてやったのにその有様は。これでは不満げに尻尾をペシペシする妾が、あやつの背中に胸を押し付けて男らしい肩に顎を乗せるのも仕方なかろう。
うむ、良い心地じゃ。中身は最悪じゃが、体は中々好みである。そういえば妾の趣味に外見を合わせたとか言っておったかのう? そうであれば、くくっ……少しばかり愛いところもあるではないか。
思わず首や耳を舐めてしまったが些事じゃ。こやつの体がこんなにも妾の好みに合うのが悪い。じっくり丁寧に舐めておると、急にあやつは立ち上がり、またしても妾に猛々しい雄を見せつけおった……♡
な、なんじゃ?♡ や、やるのか!?♡ う、受けて立つぞ妾は!♡ 逃げはせぬ、決して逃げはせぬからな!♡ じゃから好きにするが良……い、一時間じゃと!?♡ しかもあの七日七晩が可愛く思えるほどの……?♡♡♡
む、無理じゃ♡ 無理じゃぁ♡ そのようなことをされては流石の妾でも壊れてしまう♡ お前様という存在を骨の髄まで刻み込まれ、忘れられなくなってしまう♡
思わず身を引くと、更に猛々しさを増したあやつは妾を無理やり引っ張り、押し倒した……♡ ああ、止まらぬ……♡ こうなってしもうては、もはや誰にも止められぬ……♡♡♡
それにしても、好きだの愛してるだのと戯れ事を……♡♡♡ 今更じゃろう?♡ 騙されぬぞ♡ 仮に騙されたとて、それはまやかし♡ 妾が何を口にしようとも、それはお前様にそう誘われただけなのじゃ……♡♡♡
そうやって言い訳を重ねながら♡ 妾はお前様を逃さぬよう、手足と尻尾をゆるゆると絡めたのじゃなぁ……♡♡♡
気がつけば、あやつの気配が遠ざかってるのを感じた。
瞬間、妾は褥を破壊し、一直線にあやつへ飛びかかった。
逃さぬ、許さぬ! 少し目を離せばこれじゃ、躾けてやらねば分からぬか!
妾の治める衆愚の前じゃ、一応服は纏い直しておる。無論、見られたところで蟻に見られたようなものじゃが、今はあやつ以外に肌を晒すつもりはなかった。
あやつは自殺の魔法陣を構築しておる最中のようじゃった。させぬ! 妾は全力であやつを捕らえ、連れ戻そうとする。
その瞬間、あやつは何かをバラまいた。思わず注視すると、それはあやつの成長記録のようじゃった。
おのれ! このような児戯で妾を止められるとでも! 妾は力を解き放ち、脆い写真の数々を破らぬよう全てをそっと回収する。
そうしておる内にあやつは魔法陣を完成させ、自殺を敢行してしまった。まあ、仕方あるまい。また力づくで呼び戻せば――――
――――なぜ、お前様の魂を貴様が握っておる? 女。
神を除き、妾に歯向かう片割れの一つ。神の操り人形たる女は、大聖堂の最奥で妾を待ち構えていた。
その姿を見た時、憤激が走ったのは否めぬ。なぜなら女の体には、あやつが貪った痕がこれでもかと残っていたからじゃ。
しかもその鮮度……つい先程まで耽っていたに違いない。妾の手足に力が宿り、それは急速に密度を高めていく。
許さぬ。あやつに良いようにされるのはいい。敗北は妾も認めるところじゃ。すでに出た結果に文句など言わぬ。
じゃが、貴様は駄目じゃ。妾からあやつを奪うなど絶対に許さぬ。絶対に、絶対にじゃ。神が認めようと関係あるものか。
妾は生涯二度目の殺意を抱いた。そうとも。これまで妾がそれを覚えたのはあの男のみ。その時よりも遥かに大きく、霞むほど、女に向ける意志は巨大じゃった。
しかし、またも邪魔が入った。今度は小娘じゃ。妾に歯向かうもう一人が、今度はあやつを横取りしおった。
どいつもこいつも、どういう真似じゃ! なぜ妾の邪魔をする! なぜ妾の男を奪う! まったく度し難い! あの男を取り戻した後、あやつらの世界程度滅ぼしてやらねば割に合わぬ!
女の戯れ事を無視して妾は走った。世界横断、次元の超越など生身でもたやすい。世界の壁を破り走る妾に、小娘の衆愚どもはなぜかつっかかってくる。
ええい、鬱陶しいわ! 妾が走るだけで踏み潰されるくせに、なぜこうも群がるのか! 腕を振り、尻尾を振り回し、銀河の彼方まで飛ばしても奴らは笑いながら妾に矛を向けてきよる。
そのせいでほんの少しばかり時間を要した。妾が到着する頃には、あやつの頬に――妾の男に、小娘の印が刻み込まれておった。
許さぬ――許さぬ! 許さぬ! 許さぬ! 貴様も、女も、あやつもじゃ! 妾が猛り、一撃を見舞うと、小娘は霞のように消えおった。
何処へ行った! 妾が探知する間、女が先に動いた。思わず追いかければ、その先にあやつの気配がした。
そして、小娘は――妾にそれを見せつけるように、目の前にあの忌々しい映像を映したのじゃ。
殺意とは、根本的に同じ土俵に立つ者にしか向けることはできぬ。
空を殺そうとする弱者がおるか? 地を割り、二つに裂こうとする貧者が存在するのか?
妾という圧倒的な存在を前に、全ては等しく弱かった。なればこそ、妾は感情を昂ぶらせることなどなかった。
それを、あの男が壊した。あの女が狂わせた。あの小娘が薪を焚べた。
誰も彼もが、妾を変えようとする。世界と共に生まれ、永きを生きたこの妾を。
これは運命なのか。それとも神の仕組んだ天命なのか。どちらでも良い、今はただ――死人のような顔で妾を見る、小娘を可愛がったであろうお前様を殺すのみ。
脚を踏みしめた。爪を振り上げた。あと一瞬で、小娘ごと、お前様を殺せた。
なのに――「待て」と。そう言われた瞬間。
妾の体は、動かなくなった。
お前様に、そう言われただけ。言われただけなのじゃ。なのに、妾は動けない。一歩も、指の先すらも、何も動かせなくなってしもうた。
そしてお前様と、小娘のそれを見せつけられる。ふつふつと湧き上がるのは、怒りではなく羨望。体の奥底が、子を成す場所が、お前様を求めて仕方ない。
ギリッッッ!!! 奥歯を噛み締め、妾はそれを踏破する。小娘とのことを終えたお前様に、渾身をもって襲いかかる。
なのに、組み敷かれた。押し倒された。妾は怒り、絶望を噛みしめるのみ。
ここまでしても、駄目なのか? これほどの情を抱いても、結局はお前様の好きにされる運命なのか?
認めぬ。認められぬ。認めたくない。
けれど。お前様の雄が、妾に向かったその瞬間。
全てがただ、どうでも良くなり……妾は一匹の、無様な鳴き声をあげるメスになる他、なかったのじゃ……♡♡♡
目が覚めると、お前様♡ は妾に口づけをしておった。
物語の姫と王子のつもりか? じゃが、悪くない。悪くない気分じゃ……♡
しかしそれは、褥を共にする女と小娘のせいで霧散する。
「なんじゃ貴様ら、まだいたのか。お前様♡ と褥を共にして良いのは妾だけぞ、分を弁え、早々に立ち去るが良い。
ここが貴様の領域じゃと? 知らぬわ、小娘。だから何だと言うのじゃ。元より世界とは、全てが妾のもの。それを借り受けているだけの貴様が持てる財など何もないわ。
くだらぬ言い草じゃな、女。神に認められたからそこまで浮かれておるのか? 結局世とは、力が道理。その権化たる妾に為せぬことなど、何もないのだぞ。
……大層な言い草じゃな。小娘風情が、妾を笑うつもりか? なれば呆れ果てる他あるまい。優しく食われたというのであれば、貴様はお前様♡ の全力に値せぬのじゃ。
女、貴様も大概じゃぞ。全てに勝る妾の肉体、すなわちお前様♡ を全力で受け止められるのもまた、妾のみよ。そもそも貴様の貧弱な体で、お前様♡ は満足しておるのかのう?
…………どいつもこいつも、どうしてこうも身の程を知らぬのか。一度殴ってやらねば分からぬか?
おい、お前様も何とか言え……何を、笑っておる……?
その目は何じゃ……?♡ まるで妾を、妾たちを……愛しておるようではないか……♡♡♡」
その目に貫かれた時、妾は真に屈服したのやもしれぬ……♡
なぜならば、お前様は……そんなにも熱い目で、妾を見たことなどなかったのじゃから……♡
……――いいや。いいや! それでも妾は、決して屈せぬ!
必ずお前様に勝利し、妾が最上じゃと見せつけてやろうぞ! その日まで、妾はお前様に挑戦し続ける……!
絶対に、絶対に絶対に絶対に、許さぬからな……!♡ その時まで、永遠に付き合ってもらうぞ、お前様♡♡♡
もっと文字数いるかなと思ったけど、正直女帝って何言っても前フリにしかならんからもういいかなって。どうせ体はとっくに堕ちてるし、時間の問題なんだよね。
というわけで、ヒロイン視点終わり! 次から第三幕、「イッチ決戦編」が始まります。
まあやること言ったら一つだけなんだけど。まあええよな。ワイは最後まで突っ走るだけやで。