性癖に正直に生きてたらヤンデレに追いかけられたんだが 作:鷲羽ユスラ
あと数話で終わろうが平気で数ヶ月放置するのだ(下手すれば年単位)
今までの投稿速度がおかしかったのだ。それが真実。信じるか信じないかは貴方次第。
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ゆるして。
いつからでしょう。己の内側に解き放つべきではないものが巣食うようになったのは。
いつからでしょう。その獣の牙が、私が最も信頼するあの人に向けられるようになったのは。
ああ、それは意味のない思考です。なぜならばそれはずっと……そう、この世に生誕したその時から、私と共にあったのですから。
あの人がハーレムを作ると宣言した時、正直殺してやろうかと思いました。
だって魂に関する権限は私が一番上ですからね。とりあえずサクッと逝去して頂いて諸々の事情を片付けたあと、旦那様♡ を私の愛の巣に永遠に縛り付けたほうが手っ取り早いと思ったのです。それに巻き込まれる民草の悲哀を思えば、真っ先に却下せざるを得ませんでしたが。
いつの世も簡単に、思い通りに物事が進むなんてありえません。地道な努力こそ実を結ぶ、これまで歩んだ生の道のりを思い出し、私は早速行動を開始したのです。
私は旦那様♡ との対話を試みることにしました。場所はもちろん、我らが主、ユラウツァバク様が創りたもう楽園、「なぞだーくうぇぶ」なる場所です。
そこには独特の文化が根付いているようで、私は旦那様♡ からたくさんのことを教わりました。それはそれでとても楽しく興味深かったのですが、これは旦那様♡ のお心を絡め取るための仕込みでもあります。
私の腹心、右腕であったあの人とは異体同心の関係でありました。たとえ仮初めであったとしても、その全てが嘘であると判断する理由はありません。
本当の旦那様♡ と共通する部分は確かにあり、それを探り、当てはめ、その心の姿を見極めるのに大した時間はかかりませんでした。
旦那様♡ は……はっきりと申し上げれば他人の心が理解できないお方です。共感性の欠如や精神構造の畸形というよりは、本当の意味で対等と呼べる存在がいないのでしょう。
無辜の人々は言うに及ばず、私たち三界の主と称される世界の頂点であっても、旦那様♡ にとっては愛玩動物も同然なのかもしれません。
良いか悪いかの話ではないのです。生まれ持った性質を曲げることなどできないのですから。旦那様♡ がそうであるように……私もまた、自らの浅ましい欲望をもうなかったことにはできないのです。
さて。改めて旦那様♡ の人となりを理解した私は、まず自分に正直になることにしました。
旦那様♡ を誰にも渡したくない。これは本当です。世界でただ一人、私だけを見てくださるのであれば、他の何にも代えられない至上の幸福であるのは間違いありません。
その上で旦那様♡ が永遠に赤ん坊であってくれれば言うことなしです♡ 一人では何にもできない旦那様♡ に精一杯尽くして差し上げる……ああ、それはなんと甘美な悦楽であることか……♡
私は旦那様♡ にこの胸にあふれる愛情のすべてを注ぎ込みたいのです♡ 骨抜きにしたいのです♡ 一杯甘やかして、甘えさせて、私なしではなぁんにもできない情けない大人になって欲しいのです♡♡♡
一方で、私は旦那様♡ の途方もない欲望に身を任せるのも悪くないと考えています。
悪くない……いいえ、良い。それはとても良いことでしょう。だって旦那様♡ の、その身に滾る欲の大きさといったら……♡ 想像しただけで壊れそうです♡ 私なんてもう、ひとたまりもないのですから♡
旦那様♡ になら乱暴されても構いません♡ むしろもっとしてくださいとはしたなくお願いしたいくらいです♡ それをぶつけて下さるのであれば、私の性癖なんてポイしても構いません♡ むしろどんと来いです♡♡♡
ああ……そうです。そうなのです。ここにきて私は悟りの境地へと至りました。
――気持ちよければそれで良い♡ 私の性癖でも、旦那様♡ の性癖でも、お互いに幸せであるならば何の問題もないのだと♡
勿論、【煌天女帝】や【主羅統娘】のことは忘れてなどいませんよ? 私とあの方々は相容れぬ存在。慈悲や言葉ではなく、剣を取らねばならない強大にして対等の王。
共に
しかしまあ、今となってはどうでもいい話でしょう。だって気持ちよければそれで良いのですから♡ あの方々がいようがいまいが、私はただ旦那様♡ との幸せな生活を追い求めるのみです♡
というわけで、私は早速旦那様♡ に一つ提案してみることにしました。
それは、ひとまずこの状況を受け入れること。そして私は旦那様♡ の都合の良い女になること。
その上で決して、旦那様♡ のハーレムに屈服しないと申し出たのです♡
ああ、旦那様♡ は疑うでしょう。私の真意、私の本命、一体何を狙っているのかと。
そして、それでも受け入れてくださるでしょう。だって旦那様♡ は人の心が分かりませんから♡ 疑わしいけど都合が良いからコロリと楽な方へ転がってくださると思います♡ 可愛いですよね、たまらないです♡ 頭脳明晰であるのに甘やかされると思考を放棄するところ、最高です♡ ドロドロに溶かして差し上げたくなります♡♡♡
おっと、いけないいけない。妄想ではもう満足できないのですから、ほどほどにしておかないといけませんね。後でいくらでも、そういくらでも、実践♡ する機会はあるのですから♡
旦那様は疑いの目を向けつつも受け入れてくださいました。チョロいですね♡ キュンキュンします♡
あとはじっくり事を進めていくだけです。これから先、長い長いハーレム生活が私を待っているでしょう。
その中で私は慎ましく、時にはしたなく、時に許しをもって誠心誠意旦那様♡ の女として都合よく振る舞うのです。
そうすればいずれ【煌天女帝】は屈辱に耐えきれなくなり、あるいは【主羅統娘】が暖簾に腕押しの私に不満を募らせるでしょう。
いくら旦那様♡ であっても、そのような状況が一生続けば逃げ出したくもなるというもの……というかこれまで散々逃げていたのですからそうなるに違いありません。
そこで私が旦那様♡ の唯一の癒しとなれば……もう勝ちです♡ ビクトリーです♡ 絶対生涯何があろうとどう泣き喚こうと逃しません離しません捕まえます♡♡♡
とまあ、そんな迂遠なやり口を実行しようとしているのですが……旦那様、何を勘違いされたのか、私が【煌天女帝】と【主羅統娘】を性的に狙っているのかと尋ねてきました。
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ふう。許しましょう。こんなことで目くじらを立ててもしょうがないです。
ええ、私は同性を意図せず惑わしてしまいますからね。聖王たる振る舞いにおいてこのようなたおやかさは不要ですし。自然と言葉は鋭くなり、私の容姿も相まって夢見る乙女の心を撃ち抜くことも何度も何度もありました。
しかし私がそれに応えたことなど一度もないと、旦那様も分かっているでしょうに。本当にこの方は、人の心が分からないのですね……ちょっと本気で襲いかかりたくなりました。性的に。
そもそも【煌天女帝】も【主羅統娘】も女性ですから、私の趣味じゃないんですよね。同性とのスキンシップに抵抗はありませんが、性的にぬっちょぬっちょすることにまず興味が湧きません。
仮に旦那様がそれを望んだとしても、事務的以上の対応はできないでしょう。しょうがないですよね、性癖に合わないんですもの。この話題、思いの外旦那様♡ に共感されて大変盛り上がったのが記憶に新しいです。
とかく、この一件について旦那様♡ を責めるつもりはありません。おそらくは私の怒りの本質を理解できないでしょうから。時に諦めも大事ですよね。
しかし余計な言葉を吹き込んだ方々には……ちょっと優しくしてあげましょうか。大丈夫ですよ、怖くないですよ。ちょっとだけ、ちょーっとだけお招きするだけですからね。
私の権能たる『慈愛の手』を因果応報に従い展開して、旦那様♡ のハーレム計画に加担するすれみんの一部に優しくしてあげました。これで少しは慈しむ心を知ることができるでしょう。
そんな風に旦那様♡ との会話を楽しむ裏で密やかなお茶目をしていると、不意に旦那様♡ が真剣な眼差しで、けれど猛々しく笑みを浮かべました……♡
そうして私に堂々と、全てを受け入れた上で屈服せしめると宣言したのです♡
どのような形になろうとも――絶対に気持ちよくなれるという確信をもった表情で♡♡♡
ああ……それでこそ私の旦那様♡ 私が唯一、この受け入れがたい欲望をぶつけても良いと思えるお方……♡
これは愛なのでしょう。恋なのでしょう。性欲でもありますし、知性体が持ちうる欲望の塊であるのでしょう。
私は聖王として、自らを戒めて参りました。苦しんでいる誰かを助けたい、救いたいという願いが、私の原点だからです。
他ならぬ私自身の浅ましさで、誰かを傷つけることなんてあってはならない……そう思ったからこそ、この欲望から目を背けていました。
けれど……貴方はそれを受け入れてくれる。願いのために押し殺してきたこの思いさえ、掬い上げて楽しんでくれる。
誰かを救いたいと願いながら、誰かを犠牲にしなければ得られない快楽を、私は両方手に入れることができるのです。
何に憚るものですか。それこそを幸福と呼ばずして、一体何が幸せだと言うのでしょう!
私は【覇界聖王】エウラリア・カリエントゥス。
その名に恥じぬよう、努めて生きて参りました。それはこれからも変わることはありません。
我が身は無辜の人々のために。誰かの幸福、安寧を願い、そのために全てを捧げる所存です。
その上で、ただ一人の女として。私は貴方に尽くしましょう。
貴方と私の幸福のために。貴方と私の快楽のために。
ああ、それこそが――私の性癖であるのならば。
共に歩み、共に生きて――一緒に幸せになりましょうね♡ 旦那様♡♡♡
…………ところで、このまじっくみらーごうというものは何でしょうか? いえ、大したことではないのですよ? ただの興味本位ですから……フフフ……♡
後書き書く暇があったらさっさと感想返しして次話を書く作業に入るのだ。