それでは、どうぞ!
『京介さん、11月18日は何か予定などは入ってますか?』
いつも通り、生徒会にバンド練習のサポートを終えて自宅に帰って来た京介は、夕飯の支度の最中に突然瑠唯から電話が来たのだ。
その時『今お時間よろしいでしょうか?』と問われた。本来は桜雪の目を警戒したが、桜雪は今日は日菜の家でお泊まり会をしているため、聞かれる心配が無いので電話を出る事となった。そのため、都合と時間の許す限り電話でのやりとりができるのであった。
京介も『大丈夫だよ』と返すと、瑠唯は単刀直入に先程の一言を伝えたのであった。
「しかし18日でいいのか?その翌日にずらした方がいいんじゃあないの?」
「実はこの日有名なオーケストラのコンサートの最終公演日ですので、翌日だと遅いんです」
「あー、なるほど……」
どうやら瑠唯が指定した日にオーケストラのコンサートがあるようで、しかもそれの最終公演日となっていたのでそれじゃなければ間に合わないので18日を指定したのだ。しかも京介はスマホで軽く調べると、瑠唯が前から気になってるヴァイオリニストも参加者メンバーに入っていたので、瑠唯が行きたがる理由について納得した。
「分かった。せっかくだし俺も行こう」
「ありがとうございます。チケットは私の方で手配しておきます」
「オイオイ、それは流石に悪いよ。チケット代くらい自分の分は自分で支払うよ」
「私の
「ハァッ……分かったよ。代わりと言ってはなんだが、それに相応するプレゼントを上げるとするよ」
「分かりました。楽しみにしてますね」
そう言って瑠唯は『おやすみなさい』と一言言ってから電話を切った。電話が終わった京介は一息ついてから、パソコンを立ち上げて調べ物をするのであった。
────そして時間は流れ、11月18日。
「まさかコンサートの時間までデートをする事になるとは思いもしませんでした」
「嫌だった?」
「いえ、むしろ私としては嬉しいです」
京介は今、瑠唯と一緒にコンサート会場付近の商業施設に足を運んでいた。お互いのスケジュールは丸1日空いていたため、この際だから一日一緒に出かけようという京介提案の下、行われるのであった。この提案を受けた瑠唯は即座に賛成したのは記憶に新しかった。
そして2人が今立ち寄っているのが、とある住宅街の一角にローテンブルクの街並みを再現された場所であった。そこで2人は偶然目にしたカフェで軽くティータイムをしていた。
「……此処最近、京介さんも私もお互いが生徒会の役員…しかも重要な役職に就いていたので2人っきりの時間なんてそんなに取れなかったので、今回の件を聞いた時は思わず笑みを浮かべてました」
瑠唯が自分が嬉しい理由を補足するように、薄らと笑みを浮かべながら付け加えてきた。ちなみに2人はこの春……京介の場合は羽丘の生徒会長、瑠唯の場合は月ノ森の副会長に就任しているのであった(ちなみに月ノ森の生徒会長は京介の妹である桜雪が務めている)。
「それもそうだな……ちなみに桜雪は何かやらかしてない?」
「私がちゃんと監視してますのでご安心を」
「あー、やっぱり?」
その時京介はコーヒーを飲みながら妹の桜雪が生徒会長に就任してから
「月の森の生徒会はまだ大丈夫な方か。しかし問題は理事長の方か……」
京介は今のところはまだ大丈夫だと安堵したが、問題は別のところにあった。この春から就任した月ノ森の理事長が一筋縄では行かない人物で、少し唯ならぬ状況下に置かれているのである。
今年度から月ノ森の校則に今まで…というより今まで形骸化した校則を掘り返す形で、改正したのであった。もちろんMorfonicaの活動も例外ではないが、瑠唯が色々と手回ししたおかげで今まで通り活動はちゃんと出来ているのであった。
しかし最近では、ましろも理事長との抜き打ちの個人面談で、理事長に『月ノ森の生徒になりきれてない』と言われて自分の価値観を一方的に押し付けられた。その時ましろは悔しさで何も言い返せなかったそうだ。
七深から事情を聞いた京介も、その話を聞いた時は思わず……
『自分の価値観しか押し付けない教育者など上に立つ資格はない。もし次何かしたら……その時は慈悲など要らん』
……と思わず言い放つ始末であった。ちなみに京介がその言葉を言った事を知ってるのは、その場にいた七深と瑠唯くらいである。
「……まあ月ノ森の話は一旦やめよう。しかし何れにせよ俺も少なからず介入する事になるだろうからな」
「分かりました。すみません、貴方の手を煩わせる事になって……」
「話を聞いた上に俺もMorfonicaのメンバーだ。無関係は貫き通せないのは事実だ」
「……それもそうですね」
しんみりとした空気になってしまったので、この話は一旦切り上げて今回の本来の目的であるデートに話を戻すのであった。
「……そういえばこの前、白金さんと一緒にお出かけしまして、此処と似た雰囲気のカフェでお茶をしまして……」
「ほう、詳しく聞きたいな」
そこで瑠唯が話を完全に切り替えようと、つい最近の出来事についての話をし始めた。京介もその話は初耳のようで、話の切り替えにはちょうどいいと思っていたので食いつき気味である。
「…そこで、暫く談笑していたら、その…つい、うたた寝してしまいました」
「えっ、君が?」
瑠唯は少し頬を赤く染めて目を逸らしながらしどろもどろにその時の出来事を言った。京介も瑠唯の意外な事を言った瑠唯に驚きを隠さなかった。
「私も人間です。うたた寝の一つや二つ、する事だってあります」
「分かった分かった。謝るからそんなに怒らないでくれ」
しかし瑠唯は少々苛立ちながら反論してきた。普段は表情をあまり変えない瑠唯であるが、声のトーンから怒っている事を京介は察した。京介も流石に自分が悪いと自覚してるので、ちゃんと謝った。
「ほら、これでも食べて一旦落ち着け」
すると京介はコーヒーと一緒に頼んだチョコタルトを一口サイズに分けて、それをフォークで刺してそのまま瑠唯の口元に差し出す。瑠唯も京介の行為についてすぐに理解して口に含んだ。
瑠唯も自分で頼んだ抹茶タルトを京介と同じく一口サイズに分けて、それをフォークで刺して京介の口元に差し出す。京介も最初にやったのは自分だからと割り切っていたようで、そのまま口に含んだ。
そして2人は、暫くの間食べさせ合いをしてカフェを満喫するのであった。
「種類も豊富ですね」
「嗚呼。人気なのも納得がいく」
カフェを後にして次に2人が訪れたのは、そこから歩いて数分もかからない場所にある水族館であった。従来の水族館と比べると建物の都合上、外見は小さく感じるが、展示されている生き物は他とは負けず劣らずであった。
「京介さん、あと数分後にペンギンとアシカ、イルカのショーがあるみたいです。立ち寄ってみますか?」
「まあ折角だから行ってみるか。どうせまだ時間も充分にあるから問題ないだろ」
水族館の入り口で貰ったパンフレットを目にした瑠唯は、タイミング良くイルカなどのショーがあるので見に行かないかと提案した。時間もまだ余裕があるので、瑠唯の提案に賛成するのであった。
パンフレットの地図通りに行くと、数分でショーの会場に到着した。すると会場内にはショーを観にきた客で席が8割くらいに埋まっていた。ちょうどその時空いていた2人分の席を見つけたが、ショーの舞台からは離れていた。しかしそう考えても仕方ないので、そこに座ってショーが始まるまで静かに待っていた。
そして席に着いて数分後、ショーの始まりを告げるブザーが鳴った。
まず最初にショーのトップバッターを務めたのはペンギンからであった。まずペンギン達は1列に並んで歩いて舞台に登場した。ペンギン達が登場したのを確認した飼育員が芸に使う小道具を用意した後、何やらペンギンに耳打ちするように指示を出した。するとペンギン達は飼育員が用意した玉に乗って玉乗りをしたり、(ペンギンが跳べる大きさの)跳び箱4段を(人間で言う)開脚跳びをして観客を大いに賑わせた。
「随分と芸達者なペンギンだこと」
「飼育員も相当芸を仕組んだようですね」
その一方で、京介と瑠唯はショーに出ているペンギン達を冷静に分析した。そしてペンギンのショーが始まって15分後、終わりを迎えて次はアシカのショーをするとアナウンスが入った。するとペンギン達はまた1列になって退場した。飼育員達も次のショーに入るための準備に取り掛かるため、5分後に再開するとアナウンスが入った。
「あの玉乗りしたヒゲペンギン、とても可愛いかった!跳び箱を跳んだフンボルトペンギンもなかなかよかった……!あとは腹筋に挑戦したけど失敗したケープペンギンも面白かったよ」
「うん。分かった、分かったから一度落ち着こうか」
アナウンスが終わると、京介達が座ってる席の隣で男女の声が聞こえた。声からして、女子の方が興奮気味に先程のペンギンショーの感想を早口で喋った。それを聞いて落ち着くよう男子が諭した。
その時、女子の左手が右隣にいた京介の右腕に当たる。女子も悪いと感じたようで喋るのを一旦止めた。
「ご、ごめんさ……」
「大丈夫だ、問題な……」
女子と京介も何か言おうとしたが、2人の目が合った瞬間、最後まで言わずに急に止まった。
「流川会長……?」
「高松、さん……?」
女子と京介は知り合いのようで、それぞれがお互いの名前を呼んだ。ちなみに余談だが、この高松と呼ばれた女子は
「どうしたの、燈さん?」
燈の隣から、彼女の友達であろう人物が声をかけた。その人物は紺色に近い青髪のショートヘアの黄色の瞳の少年であった。
「その声は……雨宮少年か?」
「先輩、何故ここに……?それと先輩、少年をつけるのはやめて下さい」
青髪の少年を見た京介は何故此処にいるのか尋ねた。ちなみに燈の隣にいるこの少年は…
「俺らはデートだよ。オタクらもデートなの?」
京介は少年…獅音に此処にいる理由を尋ねられたので、断る理由もないので答える。その後は何故獅音達は此処にいるのかを尋ねた。
「僕は燈さんに此処のペンギンショーが観たいと言い出したのでその付き添いに……」
「へぇ……」
「? でもそれなら他のMyGO!!!!!のメンバーに声がかかるでしょう?何故貴方と高松さんだけかしら?」
どうやら燈の付き添いで
「全員用事で来れなくて……」
『なるほど……』
獅音と燈以外のメンバーは予定が入っていたようで参加するには至らなかったのだった。
ちなみに京介達は知る由も無いが、獅音は前日、同じメンバーの承認欲求の高いギタリストから揶揄われたり、目つきの鋭いドラマーに『燈に危害を加えたら絶対息の根を止める。逃げても無駄だぞ、地の果てまで絶対追いかける』と牽制され、その光景を呆れながら見ていたベーシストと興味無さそうに抹茶味のクッキーを食べている野良猫系ギタリストに助けを求めたのはまた別の話である。
『大変お待たせしました。次はアシカのショーになります』
ちょうどその時、アシカのショーが入るとアナウンスが入った。そのアナウンスを聞いた全員は此処でお喋りをやめて、舞台に目を向ける。アナウンスが終わると同時にアシカが水の中から出てきて舞台に登場するのであった────。
「まさか思いもよらない出会いをしましたね」
「嗚呼、ホント偶然だがな」
アシカとイルカのショーが終わった後は、獅音と燈とは別れて、本来の目的であるオーケストラが行われるコンサート会場に向かっている最中であった。移動中、京介と瑠唯は先程の水族館の出来事を振り返っていた。
「しかし……」
「?」
すると京介は突然立ち止まり、何かを思い出した。それに対し瑠唯は頭に疑問符を浮かべた。
「君も可愛げな一面も見れてよかったな。さっきのショーだって、少し微笑みながら見てたぞ?」
先程から振り返ってた出来事の内、京介が瑠唯に対しての良い点を指摘した。すると瑠唯は頬を少し赤らめて目を逸らした。
「あまり揶揄わないでください……。動物達のショーがどういったものか興味があっただけです……」
瑠唯は目を逸らしながら言い訳を取り繕う。しかし京介の言われた事が図星だったため、何処かチグハグであった。
「分かった分かった、この話はおしまい。早くコンサート会場に行こうか」
「……そうですね」
流石にやりすぎたと感じた京介はこの話をやめてコンサート会場に行く事を促す。すると瑠唯は京介の左腕に抱きついた。
「オイ、コラ!」
「先程のお返しです♪」
突然の出来事に京介は瑠唯に注意しようとしたが、彼女は少し笑みを浮かべて、更に抱きついている状態で京介に擦り寄った。
京介も驚きはしたが、瑠唯も引かない事は既に察したのか観念した。そして、そのままの状態でコンサート会場まで足を運ぶのであった。
そして移動して暫くすると、コンサート会場に到着した。受付で瑠唯が予め手配したチケットを係員に見せて無事に会場内に入れた。その後は係員の案内でコンサートが行なわれるコンサートホールに到着した。
コンサートホールにはスタッフが演奏者の楽器の準備をしたり、観客の座席案内……と、コンサートの準備に取り掛かっている最中である。
「いよいよですね……」
「待ち遠しくて堪らなそうだな」
ホールの座席に着いた2人だが、瑠唯はこの時を待ち侘びたようで、普段通りの表情であるが、まだかまだかと期待に満ちた眼をしていた。
『大変お待たせしました。まもなく、開演の時間となります────』
暫く座席で待っていると、オーケストラの開演を告げるアナウンスが聞こえた。そして終わると同時に、冒頭からドアの叩く音を表現したフレーズが聞こえた。どうやら曲の入り方からして「交響曲第五番『運命』第一楽章」から始まるようだ。
「交響曲第五番『運命』第一楽章」が終わった後も、「フィガロの結婚〜序曲」や「ワルキューレの騎行」……だったりと、オーケストラでも最も定番の曲が流れてくるものが多かったが、演奏者の技術が相当凄かったのか、普段聴いている曲でも違って聴こえてくるのであった────。
「今回のコンサートはとても充実したひと時でした」
「そう言ってもらえて何よりだよ」
コンサートを終えて2人が会場を出た2人は今、コンサート会場に近い高級ホテルのレストランで席に座りながら料理が来るのを待っていた。しかし、高校生の身分である2人には場違いであった。
では何故こうなったかというと、2人が会場を出る頃には、季節の都合上外は暗くなっていたがそれでも時刻は18時を差していた。このまま何処かで早い夕食をとって帰宅…といきたい所であったが、途中から大雨に見舞われたのであった。
本当なら今日の降水確率は0%であったが、それが大きく外れて天気が崩れたのであった。当然2人は傘など持ち合わせていなかったので、2人は急遽、近くにある高級ホテルで雨宿りをする事となったのだ。
雨が止むまでどの時間帯なのか調べた所、今から明日の朝まで雨は止まないと予報で出ていたのであった。それならタクシーで最寄駅に行こうと画策するも、人身事故と車両トラブルの影響でダイヤに大きな乱れが発生して復旧までに時間がかかるという事で八方塞がりとなったのであった。
しかし完全に運は見放してはくれなかった。何故なら、偶然にも雨宿りしたホテルは瑠唯の父親の知り合いが支配人を務めるホテルで、彼女とも面識があったのだ。瑠唯がホテルに掛け合って、此処で1泊する事となった。
それなら瑠唯に頼んで誰かしら使用人などに迎えを頼んだ方がいいと京介はそう指摘した。しかし、生憎今日は両親は一昨日から仕事の出張で家を空けており、明日の夕方まで帰って来ない。それも相まって、使用人達も今日に限って休暇を取っているのであった。そのため、そうする事が出来なかったのだった。
その話を聞いた京介は『それなら仕方ない』と言って、割り切った。その後はホテルの支配人らしき人物がやって来て、部屋の準備が出来るまでレストランで食事をするよう促されたのであった。
その後はスタッフにレストランまで案内されて、料理が来るのを待っているのであった。(ちなみに食事の代金は支配人のご厚意で無料になった)
「京介さん、今日は色々付き合ってもらってありがとうございます」
「大丈夫だよ、このくらい問題無い」
食事を待ってる最中、京介と瑠唯は今日の振り返りを兼ねた談笑をしていた。その際、瑠唯は軽く会釈して京介にお礼を告げた。それに対し京介は問題無いとだけ返す。その後は暫く談笑していると料理が来て、そのまま食事をする事となった。
そして食事が終わると、スタッフが来てフロントまで案内された。そこから暫くフロントで待機していると、案内を務めたスタッフが来て部屋の番号を教えると同時にルームキーを瑠唯に渡した。
その後は教えられた番号の部屋まで移動して瑠唯は部屋の鍵を開けた。
「これは凄いな……一生に3回も泊まれたら充分すぎるぞ」
京介は部屋の内部を見ながら感嘆した。内部はドラマとかバラエティでもよく見かける高級ホテルの内装そのものであった。
「喜んでもらえて何よりです。早速ですが、私はシャワーを浴びますが…京介さんも一緒に入りますか?」
「なっ⁉︎」
「フフフ、冗談です」
そう言うと瑠唯は場所まで把握してるのか、慣れた手つきでクローゼットからバスタオルやバスローブを取り出すと浴室に向かった。
浴室に入る前に京介に一緒にシャワーを浴びないかと問われたが京介は驚きを隠せなかった。その京介の反応を見た瑠唯は軽く笑みを浮かべてそのまま浴室に入った。
「冗談でも言うなよ、心臓に悪い……」
京介は瑠唯の言葉に内心ドキドキしながら呆れていた。その際ベッドに腰をかけたが、その時一つの疑問が生まれた。
「(あれ?そういえばこの部屋のベッド、一つしかなくね……?)」
この部屋に置かれているベッドは今、京介が座っているものだけである。しかもダブルベッド式であった。
「……これ、瑠唯と一緒に寝ないといけないパターンになったぞ」
京介は今おかれている現状と数時間後の未来に予想がついたのかため息をつきながら嘆いた。
「(どうしよう……この状況をましろとレイが聞いたら絶対後で2人にお説教を食らいそうだ。あの2人ならまだ大丈夫だが、問題は桜雪だ。一体どうすれば……)」
「京介さん、上がりましたよ?」
京介はその後をどうしようか思考を張り巡らせていると、シャワーから上がった瑠唯に声をかけられた。京介はその時無意識に瑠唯を見た。そこには、バスローブを身に纏って頭にタオルを巻いた瑠唯がいたのであった。
「あ、ああ…ありがとう。俺もシャワーを浴びてくるよ」
「そうですか。行ってらっしゃいませ♪」
京介は今の瑠唯にドギマギしながらもシャワーの準備を手早く済ませて浴室に入って行った。
「……アレは反則だろ」
浴室に入った京介は、先程の瑠唯の姿を見て、そう呟きながら頭を抱えた。その後は鍵を閉めて服を脱ぎ捨て、シャワーを浴びるのであった────。
シャワーを浴び終えた京介は、一足先にシャワーを終えた瑠唯と一緒に部屋にあった紅茶を飲みながら雑談をしていた。その間、瑠唯のスマホから着信音がしたので誰かと確認すると、透子から電話があったので出た。すると.……
「ルイ!明日12時にななみんちのアトリエに集合な!」
と一言だけ残して電話を切った。それに対し瑠唯は『まるで嵐のようね……』と呆れながら溜め息をついた。
その時京介はチラッと部屋の時計を見ると、時刻は23時58分を差していた。普段の瑠唯なら、もう就寝しているはずだが、この時に限ってはまだ眠気の兆しが無かった。まるで何かを待っているように……。
「もうすぐで日付が変わりますね……」
瑠唯はそう言うと、ジーっと京介を見つめ始めた。その瞳からはまるで何かを待ち侘びている様子であった。
その様子を見た京介は一息ついて、自分のバッグの中から、プレゼント用にラッピングされた一つの小包みを取り出した。
そしてその瞬間、部屋の時計が0時になり日付が11月19日に変わった。
「誕生日おめでとう、瑠唯。これは俺からのささやかなプレゼントだ」
「ありがとうございます、京介さん。中身を見てもよろしいでしょうか?」
日付が変わると同時に京介は瑠唯に小包みを差し出した。瑠唯はお礼を言って受け取り、許可を取って中身の確認した。すると中からシルバーの指輪が出てきた。しかも指輪はグリーンのラインが入った、蝶の模様が彫られていた。
「ありがとうございます。大切にしますね」
「そう言ってもらえて何より」
瑠唯はそう言うと、早速左手の薬指に指輪をはめた。しかもちゃんと寸法通りに作られていたようで、サイズはちょうど良かった。
「実はもう一つ欲しい
「何だ?遠慮なく言ってくれ」
そして瑠唯はソワソワしながら京介に欲しい物があると言い出した。京介は何も疑いなく話に乗る事となった。
「では……」
そう言うと、瑠唯は京介をベッドの上に押し倒された。しかも京介を逃がさないように、彼の両脚を自分の脚で、両腕も自分の腕で押さえていた。
「欲しいのは……貴方です。」
そう告げた瑠唯は京介を押さえながら器用にバスローブの胸元を肌けさせる。その時瑠唯は妖艶な笑みを京介を向けて浮かべていた。
「(あっ、これは逃げられそうにないな……)」
全てを悟った京介は瑠唯の行為を受け入れる他なかった。完全に瑠唯のペースに乗られた、と……。
その後、京介と瑠唯は肌と肌を重ね合わせて、濃厚な一夜を過ごす事になった。
そして翌日、七深の家のアトリエで瑠唯の誕生日パーティが行われたが、京介と瑠唯が同時に来た事で透子がニヤニヤしながら問いただしてきたり、ましろが頬を膨らませて拗ねたり、七深は全てを察して敢えて何も言及しなかったり、つくしはその光景を慌てふためくのは、また別の話である────。
まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです!
今回の瑠唯の生誕記念回、結構気合いが入ってしまった。だから終盤も少し冒険してみました。それと、今回はMorfonicaの箱イベが印象にあったことと瑠唯のキラフェス限定迎え入れ、そのムービーとストーリーを見た影響で、今回の話に少しだけ差し込んでみました。
あとは、私が最近投稿したBanG Dream!の小説…MyGO!!!!!とAve Mujicaメインの『迷子になるか、仮面を着けるか……』(以降、
次回は前書きにもお伝えした通り本編をお送りします。その前に迷仮を1話投稿してからとなりますので今一度お待ち下さいますよいよろしくお願いします。
それでは、また次回。
※それと、今回の本編中での京介と瑠唯の衣装が描写されてなかったので、纏めて補足しますので想像してくれたら幸いです。
京介→黒の革ジャンのロングコートにグレーのタートルネックのセーターに黒のパンツ、黒の革手袋と革靴を着用。あとは紫のショルダーバッグを所持。
瑠唯→キラフェス限定の衣装(【甘い眠りに誘われて】を参照)
R-18の小説を……
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