白き蝶に導かれて……   作:なかムー

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 皆さまお待たせしました。

 今回は毎年恒例の瑠唯の生誕記念回をお送りします。

 それでは、本編をどうぞ。


瑠唯生誕記念回2025 夜空に誘われる光と揺蕩う波

 最近まで猛暑だった時とは一変して秋の景色となった今日この頃、この日Morfonicaのメンバー全員は屋内プールに来ていた。

 

 今の時期でプールは季節外れにしか見えないが、この施設内のプールは温水で、季節関係無く利用出来るのだ。

 

 というのも、メンバーの瑠唯の誕生日が数日前で、その際の誕生日パーティでプレゼントしたのが今回全員が訪れているプールのチケットなのだから。しかも人数分で宿泊付きである。

 

 ちなみに何故そのような経緯になったのかというと…「漸く訪れた秋だけど、どうせなら季節相応以外な事やりたい!」という透子の提案の元、瑠唯以外が検討した結果、一年中楽しめる温水プールで話が纏まったのだ。

 

 Morfonica全員が楽しんでいる中、京介は休憩も兼ねて荷物番をしているためかビーチチェアに座っていた。

 

 そして飲み物を飲みながら今現在プールで遊んでいるメンバー全員を見ていた。水鉄砲を持ってつくしに水を掛けている透子、それを必死に抵抗するつくし、それを自身と同じく微笑ましく見ているましろと七深…と反応はさまざまであった。

 

 「お隣、失礼します」

 

 そんな中、瑠唯が声を掛けてきて京介の隣のビーチチェアに腰を掛けた。

 

 「いいのか?一応君の誕生日祝いでもあるんだが…」

 「構わないわ。見学に徹してる方が性に合ってるので」

 

 瑠唯はそう言いながら飲み物を口に含みながら、いつのまにか水鉄砲を持ち込んできたつくしと透子の水の掛け合いを見物していた。

 

 「それに…貴方とはプールに遊びに行きましたから」

 「それは数ヶ月前の話だろうに…。まああの時は一味違うものだけどな」

 

 京介はそういうと共に、数ヶ月前に起きた事が脳裏に浮かぶのであった。

 


 

 「ナイトプール?」

 「そ!実は一回行ってみたかったんだ!」

 

 最近は猛暑に見舞われて熱中症患者が後を絶たない今日この頃、RiNGのカフェテリア内で一服していたところ、透子が突然話題に持ち出してきたのであった。

 

 「でも透子ちゃん、なんか大人が行きそうなところで私達高校生が入れるとは思えないよ?」

 「それになんか雰囲気も怪しく感じるし…」

 

 『ナイトプール』と聞いてつくしとましろは(いぶか)しい視線で透子を見た。

 

 「大丈夫だって!此処最近のナイトプールは高校生のあたしらも入場できるから!それに昼間と雰囲気が違うから楽しめる事間違い無し!」

 

 そんな二人に便宜を図っているつもりなのか、透子はドヤ顔でナイトプールの素晴らしさを説いていた。

 

 本来なら瑠唯が透子を指摘して黙らせるのだが、その彼女は月ノ森の生徒会があるため遅れて合流するので、ストッパー役不在をいい事に透子はペラペラと語っているのだ。

 

 「騒がしいぞ透子。店の外にまで声が聞こえてたぞ。他の利用客の迷惑だろうが」

 

 しかしそんな最中、京介がAfterglowのメンバーとロックと共にカフェテリアに来店してきた。彼は学校が彼女達と同じであるため、共に行動していたようだ。

 

 透子は京介に注意されたため黙って席に座るのであった。

 

 ちなみに、普段は七深の家のアトリエでバンド練をするのだが、何故Morfonica一同はRiNGにいるのかというと、今いるAfterglowとロックが所属するRASとポピパと合同で行われるライブの打ち合わせに来たのだ。

 

 しかし集まり具合を見るとまだ半分近くしか集まっていないのであった。仕方なく京介達はオーダーを頼んで全員が集合するまでティータイムをする事となった。

 

 「それで透子、お前ナイトプールがどうのこうの言ってたが何があった…と聞きたいが、誰か説明できるか?」

 「あっ、それはですね〜……」

 

 来たのはついさっきだが、話の内容は断片的であるが、大まかに聞いていたようだ。更に事情を知るため、透子…以外に説明を求めた。

 

 ちなみに透子に尋ねなかったのは、話の論点とかがズレるおそれがあるため、敢えてそうしなかったのだ。

 

 京介の近くにいた七深が要点だけを掻い摘んで先程まで何があったのか説明した。

 

 「なるほどな。まさかナイトプールに行きたい話が此処でも出てくるとはな…」

 「どういう事ですか?」

 「何処ぞのひーちゃんが「ナイトプールに行きたい!」って昼休みに騒いでたからな」

 

 京介がそういうと図星を突かれたひまりは目を逸らした。それを受けてAfterglowのメンバー全員は呆れるも、その他は苦笑いするしかなかった。

 

 「やっぱひまりさんも?近年流行りのスポットだし行かない手はないっしょ!」

 「あっ、透子ちゃんも同じこと考えてたの?」

 

 その話を受けた透子が当然のように喰いついてきて、そのままひまりとどんな感じで()えるか論議を始めた。

 

 「そこのバカ二人、五月蝿いぞ」

 「「イタッ⁉︎」」

 

 また騒ぎ出す事を懸念した京介は二人の頭にチョップを落として無理やり黙らせた。

 

 「……この状況はなんなのかしら」

 

 騒がしい二人を黙らせたところで瑠唯も合流してきた。デジャヴと思いきや、話までは聞こえてなかったので多少困惑気味であった。そこで七深が先程の京介と同じように要点を掻い摘んで瑠唯に説明するのであった。

 

 「…なるほど。概ね理解したわ。要するに、貴女達はナイトプールに行きたいと」

 「そう!そうなんだよ!」

 「一度でいいから行ってみたいの!」

 

 話を受けて瑠唯が理解した事を機に、透子とひまりは行きたいと懇願し始めた。本来なら遠回しに行きたいと懇願するのが定石だが、この二人はそんな事お構いなしに変化球ではなく直球(ストレート)で話を持ちかけていた。

 

 「……分かったわ。それなら一度だけ付き合ってあげるわ」

 「なんか意外〜。普段のるいるいなら正論言って却下しそうだからね〜」

 「此処で断って、この後の打ち合わせで「行きたい」とごねられる方が迷惑になると踏んだだけよ。それを踏まえて…条件があるわ」

 「「条件…?」」

 「それは…」

 

 今後の事を予測してか、普段は賛成しない案件でも敢えて二人の意見に賛成すると同時に条件を出す瑠唯であった。

 

 曰く…

 

 1.行くのは合同ライブを終わらせてから。

 2.期間は夏休み。

 3.期間までに夏休みの宿題を可能な限り…5割程度を終わらせる事。

 

 …といったものだ。1と2はまだ分かるが、3は瑠唯からしたら少し甘すぎると指摘を受けそうではあるが、二人の学力を考慮した事と全部を終わらせるのは不可能とごねる可能性があると判断したからかある程度の救済措置を施したようだ。

 

 「……これが条件よ。理解出来たらこれでいいかしら?」

 「「了解!」」

 

 二人からしたら好条件と踏んだからかすぐさま了承するのであった。

 

 「あともう一つあるわ」

 「えっ、まだあんの?」

 「これは簡単なものよ。それは…」

 

 何か思い出したように瑠唯はそう言うと京介の腕を掴んで抱き寄せた。

 

 「京介さんも同行する事よ」

 「はいぃぃぃぃぃぃぃぃ⁉︎」

 「「あー。それならいいよ」」

 「おまっ!」

 

 まさか今回の一件に巻き込まれた事に京介は驚きを隠せなかったのは言うまでもなかった。

 

 その後は他のメンバーも合流した事でこの話は一旦置いといて、本題である合同ライブの打ち合わせに専念するのであった────。

 

★★★

 

 ナイトプールに行こうと提案があった後は、合同ライブからの夏休み、更に宿題や何処の施設を利用するか入念に打ち合わせや計画を立てるのであった。

 

 そして当日を迎えたのだが────

 

 「まさかの言い出しっぺ二人が来れないなんて事あるのか…?」

 

 今回ナイトプールを利用するホテルの前で京介は頭を抱えてそんな事を呟いた。隣にいる瑠唯も同じ事を考えていたのか、無言でため息をついた。

 

 実は、今回の言い出しっぺである透子とひまりだが…透子は家族旅行、ひまりは自身が通ってる予備校の合宿が急遽入り込んだため其方を優先する事になったのだ。

 

 しかし、今回はホテルの宿泊も兼ねているので、既に予約しているためキャンセルすると、キャンセル料が発生する事態になるのだ。そのため、急遽知り合いに声を掛けたのだ。

 

 その結果…

 

 「いやー、こんな豪華なホテルでナイトプールが楽しめるなんてラッキーだね☆」

 「ルカくんと一緒に行けるなんて夢にも思わなかった!」

 

 今回京介達の呼び掛けに応じてくれたのはリサとレイヤであった。リサはホテルをマジマジと見ながら嬉しさを露わにしているも、レイヤも同様だが、京介と一緒に来れる事の方が嬉しいようだ。今もなお目を輝かせているのが証拠である。

 

 そんなレイヤだが、京介とナイトプールに行けるのが嬉しかったのか、今は彼の左腕に抱きついていた。

 

 だが瑠唯はその状況を良しとしていないようで、レイヤに取られなくない…もしくは対抗心が沸いたのか京介の右腕に抱きついていた。

 

 「しかし京介も両手に華だね〜。こんな美人二人に挟まれて幸せ者じゃん☆」

 

 そんな光景をリサはニヤつきながら京介を揶揄っていた。

 

 「ほう?そこまで言うのなら、今回の料金をアンタ宛に請求書を回そうか?この中で一番歳上だし、駆け出しとはいえプロミュージシャンだし」

 

 そんな茶々を入れるリサに対して京介は遠回しの圧力を彼女に掛けるのであった。瑠唯とレイヤもそれに倣うように笑顔で圧を掛けた。

 

 「……ごめんなさい。歳上なのに大人げ無い事しました」

 「分かればよろしい」

 

 この場で部が悪いと判断したリサはその場で京介達に土下座するのであった。『するしかなかった』…が的確ではあるが。

 

 「…京介さん。そろそろチェックインの時間です」

 「そうだな。それじゃ、さっさとチェックインして利用可能時間までのんびり待つとしようか」

 

 そういって4人はホテルでチェックインを済ませると、自由時間を過ごすと共に少し早い夕食を済ませるとナイトプールに向かうのであった。

 

☆☆☆

 

 まずは手っ取り早く水着に着替えた京介は防水性の手提げカバンに必要最低限の所持金と防水ケースに入れたスマホを入れた後は、一足先にナイトプールに到着していた。

 

 女性陣は準備に時間がかかるのは分かりきっていた事なので、待ち合わせ場所として分かりやすいパラソルも備わっているビーチチェアを

見つけたので、一席確保した後はチェアに腰掛けると待ち合わせの目印になる近くのものを写真に撮ってリサのスマホにメッセージと共に送信するのであった。

 

 送信してまもなくして『OK♪少し時間はかかるけど待っててね☆』とメッセージが返ってきた。

 

 そこまではよかったが、すぐ後に『お礼として、アタシと瑠唯とレイヤの着替え中の写真を送ろうか?』と送られてきたのだ。

 

 「送る相手を間違えたようだ…」

 

 リサと自分に対して怒りを感じるも、此処で流血沙汰は御法度なのは分かりきっているので、怒りを抑えて『要らん。後で沈めるから楽しみにしてろ』と返してスマホをカバンに仕舞った。

 

 その後は時間が空いたので、チェアに座ったまま読書で来るのを待つ京介であった。

 

 「お隣、いいですか?」

 「どうぞ」

 

 瑠唯達を待っている最中、誰かが京介に声を掛けてきた。しかし声の主は女性で、京介にとって聞いた事のある人物なので敢えて何も言わずに座るよう促した。

 

 「お一人で来られたのですか?」

 「いや。連れを待っているので。そういうアンタの方は一人で来たのか?」

 「私も同行人がいますので。貴方と同じです」

 

 お互い顔を合わせずに何故か世間話に花を咲かせるのであった。

 

 「それならお連れの人が来るまで私と…なんて如何です?」

 「それは結構。てか、アンタがそれを言うと洒落にならんしマスコミの格好の的になるからやめな……千聖さん」

 「あら、バレちゃったかしら?」

 「アンタの声は家族の顔を見る程聞いてるからな」

 

 京介と世間話していた女性…千聖は彼を茶化すと、悪戯っ子のように舌を出してウインクをした。

 

 「まさかアンタも来てたとは…」

 「颯樹とお泊まりデートよ♪」

 

 千聖も京介達とは経緯は違うが、同じ客としてナイトプールに来ていたようだ。ちなみに千聖と颯樹はどちらも仕事がオフで、何処に行きたいと颯樹が尋ねたところ、千聖が此処に行きたいという要望の元、叶ったのだ。

 

 「しかし千聖さん、アンタ結構攻めすぎだろ…」

 

 千聖の水着姿を見るなり、京介は彼女の水着について指摘した。

 

 今千聖が着用している水着は、黒がメインのビキニだが、ブラジリアンタイプのようで、肌の露出が多いものだが、何処か大人っぽく艶やかな印象が見受けられた。

 

 しかし目のやり場には困るが、唯一の救いとしては白のパーカータイプのラッシュガードを羽織ってるくらいだが、布地が少し薄いためか透けて見えそうになるのが難点である。

 

 大学生になったからこんなに攻めてるのか…と感じた京介であった。

 

 「アンタは名の知れた女優なんだから、少しは周りを意識しないと…」

 「これも一応作戦よ。『木を隠すなら森の中』、周囲に溶け込んでしまえば見つかる危険も無いと踏んだからよ。それに有名人も利用するから、一人くらい混ざっても問題無いし、外はライトアップの影響と外の暗さで見分けはつかないわよ」

 

 場所の現状を利用して、短所を長所に変える算段を建てていたようだ。それに対し京介は千聖にある種の感服を抱いた。

 

 「ま、本当は颯樹に見せたかったのが本音だけどね♪」

 

 しかし其れ等はあくまでも建前のようで、本音を京介にだけ暴露した。呆れると同時に、平常運転を受けてある種の安心をした。

 

 「まぁ、それでも構わないが…」

 「?」

 「オタクの旦那、見知らぬ女に逆ナンされてるぞ」

 

 京介は何かに気づいたようである方向に指を差した。その先には、颯樹と女性が何か話していた。

 

 しかし周囲に人がいたのと、その女性は後ろを向いていたため、何処の誰かまでは分からなかった。

 

 「何処の誰かしら、私の許可なく颯樹(ダーリン)を口説こうとする命知らずのオンナは……!」

 

 その現場を目撃した千聖は黒い笑みを浮かべて、威圧感を出してると言わんばかりであった。何処かから『ゴゴゴゴゴ』と震えるような効果音が聞こえたり、彼女の背後には何処ぞの奇妙な冒険のように背後霊が見えそうであった。

 

 ちなみに余談だが、千聖は颯樹の事はダーリンと呼んでいるが、颯樹本人はそれについてはまだ認めてないのは此処だけの話である。

 

 「貴女、私の連れを口説くのはやめてもらえ……!」

 

 有無を言わさず、千聖は颯樹の元に歩み寄った、が…そこで先程まで開いていた口が止まったのだ。何故なら…

 

 「颯樹、久しぶり〜♪元気にしてた?」

 「あ、あぁ…久しぶりだな、リサ。でも僕は千聖を待たせてるからそろそろ離してくれるか?」

 「いやだね♪どうせなら千聖を無視してアタシと遊ぼうよ☆」

 「あのリサさん、一応私やルカくん達もいますからね?」

 

 …颯樹に逆ナンを仕掛けていたのがリサであったからだ。しかもリサは颯樹を逃がさないと言わんばかりに彼の右腕に抱きついていた。しかもさりげなく自身の豊満な双丘を颯樹の腕に押し付けていた。

 

 リサの対応にレイヤは困惑しながらやめるよう促していた。しかし瑠唯は呆れて何も言えない…というよりリサに天罰がくだるのを見越しているからかため息をついた。

 

 「ねぇ京介くん。私の目が正しければ、リサちゃんが颯樹を口説いているのだけれど…?」

 「リサさんだよ。ちなみにさっき言ってた連れがリサさん含めたあの3人」

 

 目を疑ったようで千聖は念のために京介に確認を取るも、返ってきたのは無慈悲な一言であった。思わず膝から崩れ落ちそうになりそうになったのは言うまでもなかった。

 

 「ちょうどよかった。あのままとっ捕まえるとするか」

 「どういう事かしら?」

 「実は……」

 

 京介は先程何があったか千聖に耳打ちをするのであった。

 

 「……京介くん、私が許可するわ。他のお客様の迷惑にならない程度に、リサちゃんにオシオキしてちょうだい」

 「御意」

 

 事情を知った千聖はなんの躊躇もなく京介に敢行のOKサインを出した。

 

 「リサさん、その辺でやめないと本気でプールの底に沈めるぞ?」

 「アタシがそんな脅しでやめると思う?」

 

 まず京介が行なったのは、牽制目的で相手の様子を窺った。しかしリサは反省する気は皆無であった。

 

 「ほう、忠告を無視するか?それなら逃げられないようにするか」

 

 京介はそう言いながらカバンからスマホを取り出し操作した。そして画面を颯樹達に見せた。

 

 「…ほう?これはリサから面白い話が聞けそうだな」

 「…今井さん。これはどういった事か説明出来ないでしょうか?」

 「リサさん。私もこれは流石にやりすぎですよ?」

 

 此処で事情を知った颯樹達はリサを逃がさないように取り囲んだ。瑠唯はおろか、温和なレイヤまでリサを擁護する気は無いようで、彼女を非難した。リサは、蛇に睨まれた蛙の気持ちを理解した瞬間であった。

 

★★★

 

 「しかし雰囲気が昼と違って違う世界に来たみたいですね」

 「あら?瑠唯ちゃんもそんな事考える時もあるのね」

 「普段は…おそらく倉田さんの影響かと」

 「あら。ま、私も同じ事を考えてたわ♪」

 

 レンタルしたプール用ボートに乗りながら、瑠唯は辺りを見て自身が思っていた事を口に出した。それを千聖に聞かれるも、自身も瑠唯と同じと述べた。

 

 千聖の目には、同じくプール用ボートに乗りながらゆったりと楽しむ颯樹と、水を掛け合う京介とレイヤの姿が見えた。各々の楽しむ姿を見て微笑ましく感じるのであった。

 

 「…そろそろアタシを解放して〜!」

 

 ちなみに余談だが、この場にリサはいないのだが…彼女は荷物番(京介達と颯樹達の合わせて)を強制的に命じると共に、正座をさせて膝に重しを載せて逃げられないようにしてあった。

 

 リサは泣きながら解放するよう懇願するも、周りに人が多いのと、ナイトプールを楽しんでいるため聞こえてなかったのだ。

 

 「白鷺さんはもう少し楽しまなくてよろしいのですか?」

 「…というと?」

 「…私も興が乗ったので少し楽しんできます」

 

 瑠唯はそう言うと、腰に巻いてあるパレオを解くと、そのまま千聖に預けてプールに軽く飛び込んだ。するとそのまま静かに京介達の元まで泳いで行った。

 

 「京介さん、私も混ぜて貰えますか?」

 「まさか君から来るなんて…」

 「意外でしたか?」

 「嗚呼。でもこの際だ、目いっぱい遊ぶとしよう」

 「喜んで」

 「私も忘れないでね?」

 「当然だ」

 

 そう言って京介とレイヤは瑠唯も交えて遊ぶ事となった。それを見た千聖は微笑ましい表情で三人を見ると、羽織ってたラッシュガードを脱ぎ捨てて颯樹の元に近寄った。

 

 「それなら颯樹、私達も遊びましょう?」

 「分かったよ。どうせ嫌だと言っても、僕が首を縦に振るまで誘い続ける気でしょ?」

 「よく分かってるじゃない」

 「君とは付き合いは長いからな」

 「それじゃ、時間まで遊びましょうね♪」

 

 颯樹の承諾を得た千聖は、そのまま彼と共に遊ぶのであった。その後暫く二人で遊んだ後は、京介達と合流して施設内で販売されているトロピカルジュースを堪能したり、プールで遊んだり、音楽を聴いたり、写真撮影をするなど、時間いっぱい楽しむのであった────。

 


 

 「あの時は一部除けば楽しかったな」

 「そうですね。今井さんが余計な事をしなければもう少し楽しめる事は出来ましたね」

 

 京介と瑠唯は、数ヶ月に行ったナイトプールを事を思い出しながら、あの時の思い出を延々と語っていた。

 

 「きょーさ〜ん!ルイ〜!二人もそこにいないで遊ぼう!」

 

 しかしそんな最中、それに水を差すように透子が二人を遊びに勧誘してきた。

 

 「桐ヶ谷さんは何処にいても元気ね…」

 

 そんな透子の姿に瑠唯は呆れながらため息をつくと、そこに何故かつくしが駆けつけてきた。

 

 「るいさん!京介先輩!私の仇を取ると思って透子ちゃんの誘いに乗ってください!」

 

 つくしが泣きながら参加するよう懇願してきた。ちなみにつくしの顔面や髪は濡れていたので一方的に透子に水鉄砲を掛けられたのが窺える。

 

 「……分かったよ。それなら選手交代といこうか」

 「それなら私も参加してもよろしいでしょうか?」

 「構わんよ」

 

 それを受けて、京介が彼女と交代して水鉄砲の準備をするのであった。瑠唯も興に乗ったようで、京介の準備しているところを倣って、水鉄砲の準備をするのであった。

 

 「おっ、きょーさんとルイも参加するのか〜!あたし的には楽しみだ!」

 

 先程までつくしにワンマンゲームをかまして有頂天になっている透子は楽しそうに笑っていた。しかし彼女は知らなかった、その余裕はすぐに消える事に──。

 

 「それじゃ、始めるぞー!よーい、スタート…って、うわっ⁉︎」

 

 透子の号令で水鉄砲の掛け合いが始まるが、開始同時に二方向から突然彼女は水を掛けされるのであった。

 

 「えっ、ちょっ、待て、なんで、あたし、ばかり、あっ、ちょっ、やめ…あっー⁉︎」

 

 そこからは無慈悲にも透子に水鉄砲を掛ける京介と瑠唯であった。つくしは因果応報だと言わんばかりにドヤ顔で胸を張っていた。しかしそれを見たましろと七深は苦笑いしていた。

 

 だが、本日の主役である瑠唯は何処か楽しそうに透子に水鉄砲を掛けるのであった。まだ時間はある、時間まで目いっぱい楽しむ…普段やらない事をやろうとした、瞬間であった────。




 まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。

 今回、季節外れのナイトプール回をお送りしました。実のところ、裏話を言っちゃいますと……本来は来年の夏に投稿する予定でしたが、『書きたい、見たい!』という欲求に駆られて、『夏の出来事として回想にしちゃおう!』って事にしました(苦笑)

 次回の投稿はまだ未定ですが、Ave Mujicaかポケモンを予定しております。ちなみに此方はそろそろ本編の再開かましろの生誕記念回を予定しております。

 それでは、次回をお楽しみに。

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