今回は夏という事で、ホラゲー回をお送りします。
それでは、どうぞ。
『すみませんね〜、こんな夜中に〜』
「問題無いよ。相談の一つや二つ、乗る事くらい容易いさ」
連日の猛暑により夏が本格的に暑くなってきた今日この頃。時刻は午後9時を回っており、今日は特に生徒会の仕事や課題も無いので、就寝時間まで本でも読んで暇を潰そうと考えていた京介であったが、突然七深から電話が来たので、対応する事にしたのだ。
『相談…という程ではないんですけど、お願いがありまして〜』
どうやら七深は相談…というより京介にお願いがあって
それもそのはず、七深が通う月ノ森は今年度から就任した理事長の手によって校内でスマホの使用は禁止という形骸化された校則が今になって発令されたのだ。
それに相まって京介は生徒会長に就任してMorfonicaの活動に足を運ぶ時間が大幅に減ってきた為、彼とコンタクトを取る時間や手段が限られているので、この時間になってしまったのだ。
「お願い?まさかデートのお誘い…なんて言うんじゃあないだろうな?」
『違いますよ〜。実は……あっ、説明するための写真がありますから、今送信しますね〜』
七深はそう言った直後、京介のスマホから着信音が鳴った。すぐさま七深から確認すると1枚の写真であった。しかし、その写真の中心には黒がメインのパッケージで『死印』と書かれていた。
「……七深、一応聞くがこれはなんだ?見たところ、ホラー関連ってのは理解できるが?」
『それは『死印』っていうホラゲーなんですよ〜』
七深がそう言うと、京介は頭を抱えて彼女がこれから何を言うのか概ね理解したようだ。
「このゲームを一緒にやりたいから俺に召集をかけたのか?」
『その通り〜!流石きょーさん先輩ですね〜!』
京介の懸念が見事に的中した瞬間であった。「出来れば嘘であってほしい……」と内心そう祈った京介であるが、七深の一言で
更に詳細を聞くと、『中々手に入らなかった
『あっ、私と2人きりじゃありませんよ〜。実は〜、きょーさん先輩の他にもあと2人参加する事になったんですよ〜。広町的には残念だけど〜……』
それに続くかのように、七深が補足事項として参加メンバーがいる事が明かしてきた。その時最後に七深は残念そうに何か言って来たが……。
「ほう、その2人というは誰だ?」
最後に何か言ってきた事に対してはスルーした京介だが、参加者が自分達を除けばあと2人いるようなので、誰なのか把握する意味で尋ねた。
『颯樹先輩とるいるいですよ〜』
七深の口から出た人物達の名を聞いた京介は驚きを隠さなかった。というより、前者はまだ納得できるが、後者の名が出たのが意外だったのだ。
瑠唯は本来、こういったイベントに自分から参加する事は(例外を除けば)ほぼ無いに等しいのだ。
「颯樹さんなら分かるが…瑠唯も参加するんだ」
『るいるいは始めは参加拒否だったんだけど〜、きょーさん先輩の名前を出したら掌返ししたんですよ〜』
七深のその言葉を聞いて京介は納得せざるを得なかった。瑠唯が大体参加する理由は『京介が参加してるから』が殆どであるからだ。
それなら他のMorfonicaのメンバーの名が出ないとおかしいと感じたのだが、七深曰く『参加拒否が多かったのと、用事があって来れないとの事で〜』との事らしい。
「……そうか。なら、参加するとしよう。それと、参加メンバーはそのくらいしかいないんだろ?」
『はい、そうですよ〜』
「分かった。明日、俺の方でも参加者を募ってみるとしよう。その後で詳細とか決めようか」
『分かりました〜!』
そう言って、七深は京介の返事に満足したからか電話を切った。
「さてと、それじゃあ俺も当日まで軽く予習でもしておくかね」
予定が軽く決まった京介は、スマホにイヤホンを接続すると、すぐさま動画サイトで『死印』の実況動画を就寝するまで視聴し始めるのであった。
「うーん、まさかこんなにも参加拒否と予定が空いて無い者がいるとはな……」
翌日の放課後……生徒会室にて、京介は生徒会の仕事をしながら参加メンバーが中々集まらないのに憂いていた。
今朝方蘭達にも声をかけたが、大半が『絶対イヤ!』と参加拒否、唯一ホラーに耐性のあるモカも『バイトがあるので〜』との事で予定が合わなかったのだ。
昼休みにも知り合いに片っ端から連絡を入れたが、残念な事に全員予定があるので全然メンバーが集まらない状況であった。正に八方塞がり…どうしようかと背もたれに寄りかかりながら考えていたその時……
「ヤッホー、きょーたーん!」
「し、失礼…します……」
「2人とも…特に
その時生徒会室の扉が勢いよく開かれた。室内に入ってきたのは、
ちなみに愛音と呼ばれた扉を開けたピンク髪の少女は
それと、愛音の後ろにいるショートカットの少女は
そんな燈と愛音は最近結成されたガールズバンド
「これ、天文部の活動報告書です……」
燈が訪れた理由…それは天文部の活動報告であった。今の天文部は燈1人しかいないため、部員数は1人であるが…京介は『最低月一で活動報告をするように』と約束を交わしていたためであった。
しかし、愛音は天文部の部員では無い事は京介も把握してるので、彼女も一緒に生徒会室に来る理由は無いが、おそらく燈の付き添い感覚で来たのだとすぐに理解できたのであった。
「分かった。早速拝見させて貰うよ」
京介は燈から活動報告書を受け取ると、すぐさま書類に目を通した。内容は、最近訪れたプラネタリウムの公演内容を経て実際に星を見た事であった。
しかもご丁寧に、活動報告書に補足するようなレポート用紙が数枚で正確に纏められていて、この夏に見頃な星座をピックアップしたものであった。内容からしても、専門的な用語は多少見られたが、それを差し引いても星に関して何も知らない初心者でもすぐに理解できるものであった。
「よく纏められているな……確かに承った。次回も忘れずに提出しろよ?」
「分かりました…」
そう言って京介は活動報告書に承認の印鑑を押した。それを見た燈はホッとして胸を撫で下ろした。
「ねーねーきょーたーん!何か眉間に皺寄って深刻そうな顔してたけど何かあった?」
しかしそんな燈とは逆に、愛音は馴れ馴れしく京介に寄り添った。
「暑苦しいからやめろ。それと大した事ないから大丈夫だ」
「えーっ、気になるじゃん!教えてよー、きょーたーん!」
愛音を退かそうと左手で制止するも、彼女は一向に退く姿勢すら見受けなかった。これ以上無駄だと判断した京介は、一度ため息をついて昨日の話も交えて愛音と燈に事情を説明した。
「お泊まり会⁉︎それ楽しそうじゃんっ!私も参加していい⁉︎」
事情を聞いた愛音の食いつき具合が半端なく良かったようで、自分から参加を買って出た。しかし燈は内容が内容なだけに、少し震えていた。
「……構わん、好きにしろ。参加メンバーが集まらない状況だからな」
「ホントにっ⁉︎ありがとうきょーたん‼︎」
そう言って愛音は京介に抱きついて、顔を口付けできそうな距離まで近寄ってきた。そして京介は左手で制止すると同時に、愛音の頭部頂に拳骨をするのであった。
そして時は過ぎ、お泊まり会当日。
「すまないな京介。お前の家を使わせてもらって……」
「申し出たのはウチの七深だからな……ウチのメンバーのワガママを聞いて貰ったわけだからそれなりの対応はしないといけないっしょ?」
京介と颯樹は、お泊まり会の準備を終えてキッチンで昼食を作っている最中であった。参加メンバーである七深と瑠唯もリビングでテーブルを拭いたり皿を出したりと昼食の準備に取り掛かっていた。
本来なら集合を夕方にする予定であったが、「たまには早く集まってお昼ご飯やお茶とかもしたいですよね〜」という発案者の七深の言葉を機に、昼頃に集合したのであった。
あとは他の4人以外にも参加メンバーはいるのだが、そのメンバーというのは愛音と燈なのだが……今日は生憎バンド練習と被ってしまったので、夕方に合流する予定であるのだ。ちなみに燈もその場にいたからか愛音に誘われて参加する事になったのであった。
尤も、お泊まり会の一件は立希が初めて聞いたのは昨日で、自分にも知らされていなかったからか愛音に対しての嫌がらせ目的であったために急遽練習と被ったと偽ってスケジュールに無理矢理組み込んだだけであるが。
その後は準備はスムーズに終わったが、時刻は昼ご飯の買い出しに行っていた事もあってか14時を迎えようとしていたため、少し遅めの昼食となったのだ。ちなみに昼食は、少し遅めなのと外の暑さも尋常ではないため素麺みたいな軽めの物にして、夕食時にその分多めの物にする予定である。
「しかし今回コントローラーを握るのは愛音になるとはね……」
「不服?」
「いや、どうせ提案した理由は愛音が粗相をしたからだろ?なら問題無いよ」
そして昼ご飯が終わると、燈達はまだバンド練をしていたため、暫しの間全員で雑談をしながらお茶を飲んでいた。その際、今回プレイするホラゲー…『死印』のプレイヤーが愛音になる事を中心として話をしていた。
ちなみに愛音や燈含めた今回の参加メンバー全員には、『愛音が操作担当となる』という話が行き届いている。理由としては、京介に必要以上に密着した上に口付けまで交わそうとした事で京介の怒りを買う事となり、1時間以上のお説教と反省文もした上で今回の一件も担う事になったのだ。
「それじゃあ僕は2人を迎えに行ってくる」
「お気をつけて」
暫くティータイムをしていると、颯樹のスマホから通知音が聞こえた。誰か確認すると、連絡してきた相手は愛音で、『練習が終わったよー!』と一言添えられていた。
時間を確認すると、時刻は16時を差しており、颯樹は2人の迎えのために一度席を外すのであった。ちなみにその際に夕飯の買い出しも兼ねているので、颯樹達が来る(颯樹の場合は戻ってくるが正しいが……)のは最低1時間程度になるが。
「颯樹先輩、行っちゃいましたね〜。広町達はこの後どうしますか〜?」
「その前に広町さん。貴女は京介さんに近づきすぎよ、早く離れなさい」
「何の事かなー?」
颯樹が席を外して暫くすると、七深は京介の膝に座りながら雑談を再開した。そんな七深の状態に、瑠唯は喝を入れるのであった。しかし七深は目を逸らしながら知らない振りをして惚けていた。
そんな七深に呆れたのか、
「あのー2人とも?流石に退いてほしいんだけど……」
「「イヤです(〜)」」
「アッ、ハイ……」
そんな2人に退くよう促すも即座に拒否されてしまったので、これ以上何を言っても無駄になると悟った京介はただ黙ってお茶を飲む事になった。途中、瑠唯の誘惑や七深が身体を密着し始めるも、平静を保ちながら耐える羽目になったのだ。
そしてその状態から暫くすると、玄関の方から扉が開く音が聞こえた。どうやら颯樹が燈達を連れて買い出しを終えて此処に戻ってきたのだろうという事はすぐさま理解できる。しかし……
「おっじゃましまーす!」
「お邪魔、します……」
間もなくしてリビングの扉が勢いよく開かれた。そこには八重歯を見せながらニカッと笑っている愛音と、その後ろには燈が申し訳無さそうに入ってきた。
「あーっ!きょーたん他の女の子とイチャイチャしてるー!私も混ぜてーっ!」
瑠唯と七深に身体を密着されてソファに座っている京介を見ると、愛音もすぐさま空いている京介の隣の席に座って自分も混ざろうとした。
「愛音、少しは自重しろ。今すぐに手を洗って夕食の準備を手伝え。でないとどうなるか、分かっているよな?」
そこに、エコバッグを片手に持っている颯樹に制止された。その際、空いている手の指をワナワナと鳴らしながら威嚇をしていた。
「……失礼しましたー」
颯樹に反抗するとその後の未来を容易に想像できているからか、愛音は即座に離れて手を洗いに洗面所に向かった。
「ありがとう、颯樹さん」
「大丈夫だ。それに……その状態は辛くないか?」
「問題ない。もう慣れた」
「……お互い、苦労してるな」
「おかげさまで」
その後は夕飯の準備を理由に、京介に退くよう促された瑠唯と七深は、残念そうにしながらも渋々退いた。その際、「またお願いしますね?」と耳打ちするも、それを知るのは当人達を除けば颯樹くらいである(ちなみに颯樹は何を言ってたか聞き取れなかったが、直感で言った事を察知したようで軽くため息をついていた)。
その後は全員で夕飯の準備に取り掛かる事となった。ちなみにメニューは、お泊まり会で尚且つ全員でシェアできるという事でお好み焼きとなったのだ。
京介がテーブルを拭き上げてホットプレートを準備している間、颯樹達は野菜をカットしたり、生地を作るなど下準備をしていた。
「瑠唯、上手いな……」
下準備している最中、颯樹は自身の隣でキャベツをみじん切りにしている瑠唯を見てそう呟いた。他のメンバーも、手際よく尚且つリズミカルにキャベツを切っているその姿を見て感じたのは、彼女はただのお嬢様ではなく、立派な女性なのだと関心から来るものであった。
「食事を作るのも花嫁修行の一環ですので」
瑠唯はそう言いながら淡々とキャベツをみじん切りにしていた。しかも手際の良さもあってか、準備に時間がかかるであろうと予想はしていたが、大幅に時間が前倒しする事になり、全ての準備を終えたのは18時過ぎで、そのまま夕飯を食べる事となった。
その後は全員がお風呂を済ませた頃合いで今回の目的であるホラゲーのプレイをするための準備が始まった。ちなみにお風呂に入る際、京介は瑠唯と七深に無理矢理連行されてお風呂に入ったのはまた別の話である(ちなみに颯樹は無言で京介を見送り、燈は顔を赤くさせて戸惑って、愛音は自分も混ざろうとしたが颯樹に制された)。
その間、手が空いている者(主に京介や颯樹だが)がゲーム機をテレビに接続とカセットの準備を終えて、最後にテレビの表示を切り替えてゲーム機の電源を入れるだけでもうプレイできる状態にまで持ち込んでいた。
しかし、まだ始まらずに京介と颯樹は愛音を正座させて最後の確認をしていた。
「さて愛音、お前がプレイする事は充分に承知しているが……大丈夫か?」
最後の確認……それはこれからプレイするにあたって、愛音がホラー系統に耐性があるかのどうかであった。流石に耐性が皆無の人間に(しかも年下)無理矢理プレイさせるのは、愛音の自業自得とはいえ酷な話であるのは流石に熟知しているため
「はい!大丈夫ですっ!」
しかし颯樹の心配は杞憂に終わったようで、愛音はドヤ顔でサムズアップをして、如何にも自分は余裕であるアピールをした。
「そうか…なら問題は無さそうだな」
京介はそう言うと、コントローラーを愛音に差し出した。京介からコントローラーを受け取った愛音は黒縁眼鏡を掛けてテレビの前にちょこんと座った。
「それじゃあ早速始まるけど、いいか?」
颯樹は京介と愛音以外のメンバーにも確認を取った。だが、全員は特に問題無いようで無言で首を縦に振った。確認を取った颯樹はゲーム機の電源を入れて愛音の隣に座った。その後は京介を筆頭に全員が颯樹と愛音の周りに集まり一緒になって座り込んだ。
『死印』、これから起こる数時間何が起こるか、その先はまだ誰も知らず……─────。
まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。
今回は実際にあるホラーゲームの『死印』をBanG Dream!メンバー…というより愛音がプレイする話でした。ちなみに私も『死印』自体は、読者様のおススメで、YouTubeで実況動画を拝見した程度ですが、この話を機にプレイしてみよう事と、執筆に踏み切りました。
それと、今回も毎度お馴染み『咲野 皐月』様のオリキャラ…盛谷 颯樹くんも出演しました。皐月さん、毎度ありがとうございますm(_ _)m
次回はこの話の続きから…もとい実際の『死印』のプレイ回となります。予定では今回を含めて3話構成で予定してます(話の内容次第では、話数が前後する可能性がありますのでご了承ください)。
それでは、また次回。
R-18の小説を……
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