白き蝶に導かれて……   作:なかムー

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 皆さまお待たせしました。

 今回は『死印』回の続きになります。

 ちなみに、今回はゲームをプレイする回となってる仕様上、『主人公』と表記されていますがここにはデフォルト名が入ります。そのため『主人公』の部分を自分の名前か自身のオリキャラ等で変換しながら読むと面白さが倍増すると思います。

 それでは、どうぞ。


夏休み特別編2024 夏の夜に浮かぶ死を招く恐怖の印─②

 『死印』のプレイが開始されて全員の目に映ったのは、女子高生のお喋りから始まるのであった。内容は物語の舞台となるH市という場所で、突如、体に謎の痣…シルシが刻まれ、原因不明の死を遂げる…という怪奇事件が発生しているのであった。

 

 そこから暫くするとプレイヤーなるものが九条館という場所に到着するも、そこで女性の遺体が発見した。その人物は『九条サヤ』という人物で、プレイヤーは記憶喪失である事と、唯一覚えていた『九条サヤに会う』という事は覚えていたのが発覚した。だが、彼女は亡くなってしまったため途方に暮れるのであった。

 

 しかし、館で出会った生きる西洋人形…メリイと出会い、彼女の助言の元、プレイヤーに刻まれたシルシと同じシルシを持つ者…印人が遠からず九条館を訪れるため、その者達と共に怪異を解決する事に尽力するという形でゲームがスタートとなった。

 

 「しかし、広町さんから内容はあらかじめ聞いていたとはいえ、ゲームが始まって数分も経たないうちにハードな内容ね……」

 

 ゲームが始まって数分後、瑠唯は片手で口元を抑えながら先程まで起こった事を思い出した。ゲームの序盤で女子高生が言ってたお喋りの内容…それは学校の教師が図書館で失踪した、というものだ。

 

 そのくらいなら全員が首を捻る程度で済むが、問題なのはその現状である。それは……痣が刻まれた、教師の右手首が残っていたからだ。

 

 この内容は開始数分で出たため、当然この先不安になる者の少なからず現れる。瑠唯の反応はまだ軽い方であるが、問題は燈と愛音である。燈はソファにあったクッションを震えながら抱きしめていた。愛音の方は、コントローラーはしっかり握られているが、涙目になりながらブルブルと震えていた。

 

 「確かに瑠唯の言う事は一理あるよ。ホラーに耐性があろうとなかろうと、心臓に悪い」

 

 瑠唯の隣に座ってる京介も、顎に手を当てながらそう呟く。実際京介も事前に実況動画を見て予習していた時には先程のシーンを見た時は唖然としていたのは記憶に新しい。

 

 「……愛音、大丈夫か?無理なら変わるが?」

 

 流石に気の毒と感じた颯樹は愛音に自分と変わろうかと提案をしてきた。今いるメンバーで大丈夫なのは颯樹を除くと、京介と七深、あとは瑠唯くらいなものだ。

 

 「だ、だだだだ大丈夫ですっ!」

 

 愛音は涙目になりながらもブルブルと震えているが、退く気は無かったのか、颯樹にサムズアップした。

 

 「それなら大丈夫か。それじゃあそろそろ再開しようか」

 

 颯樹に促されてゲームの再開をした。

 

 夜明けと共に死を迎える事実を告げられた『主人公』は、その事実思いに耽っていると、九条館に来訪者が来た。その人物は渡辺(わたなべ)(もえ)というオカルトマニアの女子高生と吉田(よしだ)つかさという名門の小学校に通う男子小学生であった。

 

 2人は『主人公』と同じく自分の身体にシルシを付けられて、九条サヤに相談に乗るため九条館(ここ)を訪れた……というわけだ。

 

 ちなみに、死が近づくに連れて記憶が失われる事についてはメリイから事前に聞かされていた『主人公』である。しかしそれに対して2人には記憶の欠落は酷く無かった為、主人公は情報収集の為に萌にシルシがどのようにつけられたのか確認した。

 

 すると、萌は『花彦くん』の呪いではないか推測していた。

 

 「「花彦、くん……?」」

 

 当然愛音と燈には聞き覚えのない単語なので、首を傾げて頭に疑問符を浮かべるくらいしか反応がなかった。

 

 主人公にも聞き覚えがないようで、鸚鵡(おうむ)返しで聞き返した。しかしメリイは『花彦くん』の事は聞いた事があるようでだ。彼女曰く『この街の子どもたちの間で噂になっている幽霊』のようで、『九条サヤも興味を持っていた』ようだ。

 

 そして、『主人公』に『花彦くん』について尋ねられたので、快く説明してくれると同時に第一章 花彦くんと話が始まるのであった。

 

 『花彦くん』の内容というのは……『H市のあちこちの学校で噂になっている男の子の幽霊の事で、『花彦くん』と呼ばれている。夜、学校のを覗くと現れるようで、『……ぼく、きれい?……』と質問してくる。その時、『いいえ』と答えたら大丈夫だそうで、『はい』と答えると『……じゃあ 赤いのちょうだい』と言い残して花彦くんは消えてしまう。しかしそれで終わりではないらしく、曰く『花彦くんは大人がキライ』だそうで、もし質問した人が大人だったら死ぬらしい。それも変な死に方らしく、体中の血液を抜かれいたそうだ。そして死体のそばには……血に濡れた真っ赤な一輪の薔薇が残っていた』……というものだそうだ。

 

 そしてメリイが話し終えると同時に萌に心当たりを尋ねられると、萌曰く『シルシが付けられたのは廃校のH小学校で花彦くんを調べてる最中に付いたもの』だそうだ。つかさからも事情を聞いたが、特に有力な手がかりは無かったが、メリイに『花彦くんの現れた場所を調べてみる必要がある』と進言されたためH小学校で調べてくる事になった。

 

 その際、萌もつかさも同行すると買って出るも、メリイに『印人の同行者は1人だけ連れて行く事。大勢で行くと怪異に気づかれて危険性を増す』、『道中は寄り道は食わないように』と助言されたのだ。

 

 そして同行者のチュートリアルがあったので手短に終わらせると、此処はH小学校な訪れた事のある萌を同行者として調査に向かう事となった。その際、萌に記憶が欠落を指摘された際に怪異についての記録を取るようになって『怪異ファイル』が見れるようになった。

 

 その後はメリイにガレージにある車を好きに使っていいとの事なので、それを使う事になるが、萌に記憶が欠落してる状態で車の運転ができるのか指摘されたが、曖昧気味に問題無いと返されたため、萌は不安になると同時に安全運転で頼むと釘を刺すのであった。

 

 「うわぁ、やっと始まるのかぁ……」

 

 画面では主人公の運転で、H小学校に向かっている最中であった。そんな中、本格的にゲームが始まる事を実感した愛音はさっきまでとは打って変わって不安になっていた。

 

 「不安……?」

 「不安、と一緒に怖さを感じるよぉ」

 「なら別の事を考えたらどうだ?今見ているものとは逆の事を考えたら気を紛らわす事も出来るはずだ

 「確かに……不安や恐怖も完全にとはいかないが、(やわ)らぐだろう」

 

 燈と会話してもまだ不安や恐怖を感じた愛音であるが、それを見兼ねた京介は今の現状と反対の事を考えてみる事を提案してきた。気休め程度ではあるが、上手くいけば効果覿面(てきめん)になると判断したようだ。京介の提案に颯樹達も首を縦に振った。

 

 「さっきーがそう言うなら……やってみようかな?」

 「うん……あのお人形、(さき)ちゃん家にあったものと、似てる気がする……」

 「西洋人形(ドール)の事だね。あのメリイの服、れおぽんに着せたら絶対似合いそうだなー。今度やってみようよ!ね、ともりん?」

 「う、うん……」

 

 2人が始めた話…それは何と此処にいないれおぽん…獅音の話であった。七深以外の颯樹達も頭を抱えてため息をつくのを尻目に、愛音達は獅音の話に持ちきりなってしまった。

 

 「2人とも、画面を見なさい。H小学校に到着したわ」

 

 瑠唯にそう促された愛音達は画面の方に目を向けると、そこには廃校となった学校…H小学校の前に主人公達が到着した場面であった。途中、警備員らしき人物に声を掛けられて質問されたので返すと、警備員はぶつぶつ言いながら廃校の中に入っていった。

 

 「思わぬできごとが、発生しちゃったね……」

 「うん……それじゃ気を取り直して早速校内に入ろう!」

 

 そう言って愛音はその直後に出てきた【怪異スポットでの移動】のチュートリアル通りに操作してH小学校の中に入っていった。校内は荒れに荒れていて言葉通りの廃校であった。しかも今は夜のため、周りが暗いので不気味さが一層漂っていた。

 

 「とりあえず最初は何すればいいの?」

 「早速聞くか……まあ軽くアドバイスをしよう。まずは探索するしか方法はない。しかも此処でゲットするアイテムを使わないとクリア出来ないから探索してアイテムを集める…ただそれだけだ」

 「探索……分かった!」

 

 颯樹にそうアドバイスされたので、教室を一つ一つ入って何かアイテムが無いか探索を始めた。しかし見つかるのは『ペットボトル』や『穴あき防災頭巾』といったハタから見たらガラクタばかりであった。

 

 愛音は最初は不服そうにしてたが、颯樹に「これらは後々重要になるから覚えておけ」と咎められたので「はーい」と返事をしてゲームを進めた。

 

 「ウサギ……?」

 「なんでこんな場所にウサギが……?」

 

 気を取り直して2年教室前廊下に足を踏み入れると、そこで毛並みが黒色のウサギに出くわすというイベントが発生した。『怪異ファイル』には『黒いウサギ』と付け加えられたのだ。

 

 「(野生のウサギにしては何処か不自然ね。これは何かの伏線かしら……?)」

 

 途中で出会ったウサギに腑に落ちなかったのか瑠唯は警戒するも、いつのまにか移動を済ませており、目的地である東階段踊り場の鏡の前まで到着していた。

 

 「ここが…問題の、鏡……」

 「ともりん、ここは意を決するよ……!」

 

 愛音にそう言われた燈は首を縦に振った。そして愛音は操作して鏡を調べた。すると鏡をよく見ると汚れているようで、シミだらけで自分の姿すらよく見えなかった。試しに鏡面を指で拭き取るも、やはり何も見えなかった。

 

 そして暫くすると、鏡面に映っていた自分の影が動いた。最初はそう思った。自分が動いたから、影も動いたのだと。だが次に影が動いた時、冷たいものが背中を走り抜けた。これは自分の影ではない、何かが我我の中にいると。

 

 鏡には、顔半分が植物に覆われた少年が映り込んでいた。この場にいる全員がこう思った。彼が『花彦くん』だと。

 

Life or Die

 

 『花彦くん』が映り出すと同時に、この一文が表示された。

 

 「デッドリーチョイスが始まった……」

 

 プレイヤーの生死を分ける選択…デッドリーチョイスが始まった。そして最初の問いは「ねぇ……ぼく、きれい……?」と聞かれたのだ。

 

 選択肢に「はい」「いいえ」「よく見えない」とあったが、愛音は最初をよく思い出して、「いいえ」と返す。答えると暫しの間『花彦くん』は黙るが、「赤いのが、あれば……なのに……」と言った後に、『花彦くん』は気づいたのか「おじさんなの?」と聞いてきた。これも先程と同じく愛音は()()()()()()()()()()「クラスで一番背が高い」と回答する。

 

 そして答えた直後に、画面にGoodと表示されたのだった。

 

 しかし『花彦くん』は最初から気づいていたのか、「学校には……大きい人は、来ちゃいけないんだ」と一言言い残した。その直後、鏡にヒビが入ったのだ。その後はSurvivedと表示された後、誰かの絶叫が響き渡ったのだった。

 

 おそらく中に入る前に会った警備員のようではあるが、その場所は校舎の反対側の方のようで、そこから叫び声を上げたようだ。

 

 叫び声のした方へ向かおうとしたその時、「……赤きもの……にて…… 清めよ……」と誰かが(ささや)いたのだ。もちろん声の方へ向くも、そこには誰もいなかった。

 

 しかしそれ以上何も進展は無いので、ここは素直に声のした校舎の反対側に向かう事となった。そして暫く歩を進めて職員室前に着くと、物音が聞こえた。音のした方にライトを向けた。すると扉が開かれた。

 

 そこには……

 

 『ッッッッッッッッッ⁉︎』

 

 扉から出てきたのは警備員であった。しかし、顔の左半分が植物に蝕まれた警備員で、「うああああああ"あ"あ"あ"あ"っ‼︎」と叫び声を上げながら昇降口の方に走り去ったのであった。

 

 先程の警備員を見た燈と愛音は思わず自分が手に持っているものを投げ出そうとしたが、自分の物では無いため、目に涙を浮かべながらも何とか堪えた。その後は燈達を気遣ったのか、暫く沈黙が続いた。

 

 「……大丈夫か?」

 「「は、はい……」」

 「そうか……それなら早く進めようか。そのままだと永遠に終わらないぞ?」

 

 颯樹に諭されてゲームを再開した。そして職員室に入って奥の扉に入ると、そこは職員準備室のようだ。しかしそこは床に扉がある以外、物が散乱していて物置に近かった。しかし役に立つ物があるかもしれないので散策を始めるのであった。

 

 すると、棚の上にあったダンボールを確認すると、『口紅』『赤のボールペン』『女子の上履き』を手に入れた。そして引き戸を引っ張るもガタつくだけで開く様子もないが、何かが引っかかっているようなので赤のボールペンを器用に使うと、手応えが消え、芯が向こう側へ突き抜けると……『発煙筒』を手に入れるのであった。

 

 しかし突然ライトが消えたのだ。それと同時に背後の扉から音が聞こえた。小さな鳴き声が聞こえたと同時にライトの光は点いたが、背後の扉が大きくたわんだ。

 

 「やばっ!誰か来る!」

 「愛音落ち着け。床の扉に入れ」

 「床の扉に⁉︎でも開かないよー!」

 「何かで、開けたら……?」

 「何か?……それなら!」

 

 燈の助言のお陰か、愛音は咄嗟にペーパーナイフを選択した。すると器用に扉を開けてそのまま床下に入っていった。

 

 床下で息を潜めていると、頭上から音が聞こえ誰かが準備室に入ってきたのが分かった。しかし暫くすると、何も無いと思ったのかその場を立ち去る音が聞こえた。

 

 そしてまた誰かが来る可能性も考慮してライトの光を慎重に点けて地下室の中を確認しようとした。しかし……

 

 「これって……」

 「なに、これ……」

 

 地下室には白骨化した死体と共に、薔薇のような植物と蔦が伸び放題になっていた。これには愛音達も唖然とするしかなかった。

 

 その後は京介に「早くしないとまた誰か来るぞ?」という一言で現実に戻り探索を開始した。すると、この部屋で『ビニールシート』を見つけるも、ベッドの下から何かが動いた気がした。誰かがこの部屋に潜んでいるようで動いた所に視線を向けると、ベッドの下からのそりと現れたのはコートを羽織った1人の男であった。

 

 このコートの男…真下(ました)(さとる)と名乗る元刑事であった。そして真下は自分の名前を名乗り終えると、地下室から出る。主人公達もそれに連れるように出ると、学校中薔薇の蔦で覆われていた。

 

 全員が突如変貌した学校に呆気を取られていると、場面は画面は振り子時計に変わって『シルシがさらにその色を鮮やかにした……』と表示された。その後は『死の刻限まであと数時間』と宣告されるのであった。

 

 「さっきー、これはあとどのくらい続くのー?」

 「此処で折り返し地点だよ」

 

 長時間プレイした影響で疲れたからか、愛音は一度水を飲んで颯樹にあとどのくらいで終わるかを確認した。すると漸く半分が終わった事を告げられたので、一度伸びをしてゲームを再開した。

 

 そしてゲームを進めていくと、真下から黒い手帳を渡されたり、萌が途中離脱するなどが起こったが、パートナーを真下に変えて再びH小学校に戻って探索を再開した。

 

 その矢先、颯樹のアドバイスで最後に訪れた地下室に再度向かって白骨死体を確認すると、『手鏡』を手に入れた。愛音は最初疑問に思うも、先程颯樹に言われた事を思い出して、それを胸に受け止めた上で探索を続けた。

 

 その後は多目的教室A前の廊下で『学校の鍵束』を発見したのでまずは多目的教室Aの鍵を開けて中を調べると、『骨だけの傘』を入手したり、水槽を調べると『ペットボトル』が『水入りペットボトル』になったり、壁の掲示物を剥がすと『台風へっちゃら』『雑草強化計画』を入手した。

 

 此処ではもう調べ尽くしたので今度は隣の多目的教室Bに入ろうとすると、Life or Dieと表示されたのでデッドリーチョイスが発生するのであった。

 

 『主人公』は左肩を掴まれた……と表示され、選択肢には『振り払って確かめる』『強引に振りほどく』『同行者に声をかける』と出た。

 

 「(ここは……どうにかするしかないけど、一度間違えても問題ないはずッ!)」

 

 そう決心した愛音は『強引に振りほどく』を選択した。しかし彼女は気づかなかった、その浅はかな決断が自分の首を絞める事に……

 

 『⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎』

 

 選択を終えると、画面は急に口元と服に血がついた男の子が映り、その直後、【霊魂】という他のゲームでいうLP(ライフポイント)が0となり、続け様にGame Overとなったのだった。

 

 「エ、ナニコレ……」

 

 愛音は呆然とテレビの画面を見ていた。まさか自分が選んだ選択肢が一発アウトになるとは思いもしなかったからだ。

 

 「愛音さぁ……『デッドリーチョイス』の説明、真面目に見てないでしょ?霊魂が減りきるのもダメだけど、誤答をするのもアウトなんだって」

 「そう言うこった。たまに間違えても少ししか減らない場合もあるが、そんなのはほんの首の皮一枚繋がっただけだ阿呆が」

 

 そんな愛音を見兼ねた颯樹と京介は、呆れながら彼女にダメ出しをした。

 

 「むーっ、アホって言った方がアホだもん!こーなったら、ここからノーミスクリアしてさっきーときょーたんをびっくりさせてやるッ!」

 

 2人のダメ出しに対して頭に来たのか、ノーミスクリア宣言をして気合いを入れ直してゲームを再開した。そしてセーブをし忘れるという凡ミスを犯すも、幸い『最後のセーブデータ』の他に『少し前に戻る』と出ていたので其方を選んだ。

 

 そしてまた『デッドリーチョイス』からゲームは再開するのであった。

 

 「(でも次はどうしよう……『強引に振りほどく』は一発アウトだし残りは『振り返って確かめる』か『同行者に声をかける』しかないよ〜!もうこうなったら……!)」

 

 どちらを選べばいいか分からなかった愛音は、ヤケクソ気味に『同行者に声をかける』を選んだ。すると、先程と同じシチュエーションになるも、Goodと表示された。

 

 その選択に安堵するも、その束の間、視線の先には『花彦くん』らしき人影が見えるも、そこでまた『デッドリーチョイス』が発生した。今度はどうする……?と表示され、選択肢は『大声で威嚇する』『目閉じて祈る』『走って逃げる』と出た。

 

 「(これは……祈ったほうが正解かもっ!困った時は神頼みってね!)」

 

 神頼みをするかのように今度は『目閉じて祈る』を選択した。すると暫くしてGoodと表示され、同行者に声を掛けられると同時にSurvivedと表示されるのであった。

 

 そして場面はまた変わって、画面は振り子時計に変わるが、今度は『シルシが灼けるように紅く輝く……』と表示され、その後は『死の刻限まであと数十分』と宣告されるのであった。

 

 時間も無いので鍵を開けて教室に入って探索を開始すると、今度は壁の掲示物から『OL観察』や『雑草全滅計画』という小学生が使う単語には少々難ありの内容の自由研究のポスターを手に入れ、今度は教室で塩を発見したためそれを先程手に入れた『水入りペットボトル』の中に入れ『食塩水』となった。

 

 そして探索が全て終わったのか、今度はなぜかイベントが発生して『その者の血は……その者を拒む……』と表示され、怪異ファイルに『血を傘に…』記載するが、そこから間もなくして画面は先程と同じ振り子時計になった。しかし先程とは違い、『シルシが真紅に染まっている……』と表示されて、『死の刻限まであと数分』と宣告されるのであった。

 

 そしてその時、探索を始めた序盤で会った黒いウサギに出会った。そしてウサギに『着いてない』と促されて後を追いかけると東階段に到着した。そこで『萌のバッグ』が見つかった。それと同時に、何かが頭上から落ちていた。それは薔薇の花びらであった。嫌な予感を察したのか踊り場の天井をゆっくりと見上げると……

 

 「こ、これって……」

 「そんな事ある……?」

 

 そこには『薔薇の蔦に捕らわれ、宙吊りにされた萌の姿』であった。しかし萌だけでなく、警備員らしき死体も確認された。その時、蔦が千切れて萌は無残に落下した。

 

 そして萌を起こしてバッグに入っていたジャージに着替えさせると、その場にいた全員が身震いした。どうやら近くまで『花彦くん』が迫ってきているようだ。

 

 「(大丈夫、やってきた事を思い出せば大丈夫……)」

 

 緊張しているからか、愛音は心中そう呟きながら自分に言い聞かせた。その後は萌か真下のいずれかの同行者の変更はないかの選択肢が与えられた。ここは正直誰でもよかったと思っていた愛音だったが、『花彦くんは大人が嫌い』なのを思い出し、萌を同行させるのであった。

 

 そして話は少し進み、遂に『花彦くん』と対峙する事となった。『怪異』との直接対決の際のチュートリアルをよく読んだ愛音は、『花彦くん』の攻撃に当たらないためにはどうすればいいか考えていた。

 

 「(ここはどうしよう〜?当たらなければいいんでしょ?一度ビニールシートで……は脆そうだから当たりそうだよー……そうか、アレを使うんだねっ!)」

 

 脳裏に何かを浮かんだ愛音は『骨だけの傘』と『ビニールシート』を選んだ。すると攻撃は防げたようで、防御は成功した。その後も先程と同じ組み合わせを選択して攻撃を防いだ。その後は『花彦くん』が再接近してきた。

 

 「ここは清めればいいんだねっ!」

 

 愛音がそう答えると颯樹は無言で首を縦に振った。それが正しいと感じた愛音は『食塩水』を選択した。その時『花彦くん』の反応は変わったが何処かヤバいと感じる雰囲気を露わにした。そして怪異をアイテムを使って倒すところまで来たのだが、回数は一回だけという実にシビアな展開であった。

 

 「(最後は何使えばいいの〜?)」

 

 最後にアイテムは何を使うか愛音は悩み始めた。この一回でどう成功に導くか慎重になっているのだ。それに、先程の()()()()()()()()で一発アウトの経験からか更に顕著になっていた。

 

 「…………」

 「どうした、高松さん?」

 

 一方、燈は顎に手を当てながらブツブツと何かを呟いていた。

 

 「……あのちゃん」

 「なに、ともりん?」

 「私に、貸して……!」

 

 すると、今度は燈が突然愛音と変わるよう促してきた。愛音は一度颯樹と目を合わせるも、軽く頷いて『変わってみろ』という目で彼女を見てきた。そこで愛音は渋々燈にコントローラーを差し出して一時的に交代をした。

 

 愛音からコントローラーを渡された燈は、すぐさまアイテムの『口紅』、『手鏡』の順番で選択した。

 

 「えっ、この2つ⁉︎そこは『発煙筒』じゃないのっ⁉︎」

 

 燈の想定外な選択に愛音は驚いた。この場において燈の選んだアイテムは場違い以外何物でもないからだ。しかし……

 

 「……あれ?」

 

 画面には、花彦くんが『主人公』達に何もせず、鏡をジッと見ていたのが映し出されていた。

 

「これ、赤いのだ……。ずっとずっと、探してた……。ママのおもいで……」

 

 そしてにんまりと微笑むと、「ぼく、きれい……?」と最後に言い残して闇に溶けるように消えていったのだった。

 

 「こ、これって……」

 「……『救済』、無事にできたようだな」

 

 颯樹のその一言で愛音と燈は安堵の表情を浮かべた。これで失敗だと思うとヒヤヒヤしていたようだ。

 

 「ちなみに愛音、そこで『発煙筒』を使ってたらパートナーは死んでいたよ。あと真下がパートナーだったら強制的にゲームオーバーだ」

 

 そこに追い討ちをかけるように颯樹から真実が告げられた。その一言に愛音は背筋が凍った感覚がした。もしあそこで燈と変わっていなかったらと思うとゾッとしたようだ。

 

 「しかし燈、よく気づいたな。あそこで『口紅』と『手鏡』を選ぶなんて……」

 「思い出は、大事…だから……多分、幽霊とかになっても、思い出の物は、思い入れ、強いと思ったの……」

 

 燈の一言に颯樹はもちろん、京介も納得をしていた。彼女は過去にバンドを結成するも間もなくして解散して、1年の時を経てまたバンド活動を再開したという経歴がある。前のバンドとの思い出が強いから彼女のその一言は重く、心に響く、そう感じていたからだ。

 

 その後は萌や真下、つかさのシルシは消えるも、肝心の『主人公』のシルシは残ってままなので一番詳しいメリイに相談したところシルシをつけられたのが花彦くんでなかった事と告げられた。それを聞いた『主人公』は死を待つのを覚悟するも、続け様に夜明けになっても死ぬ事はないと告げられると同時に花彦くん以外にもまだ怪異がある事を知ったのだ。

 

 「まだ怪異があるなんて……」

 「まだ1話しか終わってない。それだけで「ハイ、終わり」で通用はしないよ」

 

 京介の一言で愛音はテーブルに突っ伏しながら項垂れてしまった。それを見兼ねた燈は愛音の頭を軽く撫でていた。

 

 「ははは……でもここは一度10分くらい休憩してまた再開しようか。流石に連続してプレイは身体が持たないよ」

 

 颯樹にそう言われると全員が時間を確認すると、プレイして1時間近く経っていたのだ。流石に続けるのは酷だと感じたのか、全員お手洗いや水分補給をして一度気分転換をするのであった。

 

 「……さて、ここからどうなる事やら」

 

 いち早く水分補給を終えた京介はテレビの画面を見ながらそう呟いた。そして数分経ち、『死印』はまた再開されるのであった。




 まずは読んでくださった方、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!こんな拙作読んでくれるだけでもありがたいです。

 今回、長くなってしまった……。これだけ深掘りしようとは思わんだですよ、はい。次回はこの話の続きを投稿しようと思います。ちなみに、前回3話構成と言ってましたが、長くなりそうなのでもしかしたらもう1〜2話追加されると思います。つきましては次回の投稿で後書きに記載しますので今暫くお待ちください。

 それでは、また次回。

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