白き蝶に導かれて……   作:なかムー

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 皆さまお久しぶりです、2ヶ月振りの投稿になりますm(_ _)m
 リアルの方で仕事が忙しくてなかなか執筆に取り組めなかったことをお詫び申し上げます。

 ……まぁ、前書きはこの辺にして。今回は『Morfonica結成編』の最終話になります。この話しが終わったら原作キャラ達を更に出していきますので最後までお付き合い頂けたら幸いです。

 それでは……どうぞ!



第8話 結成

 「バンド名?」

 「はい、そうなんです〜。実は仮でつけてたのがあったんですけど、広町達にもそろそろちゃんとしたバンド名が欲しくて〜……。」

 

 音楽祭までのスケジュールの打ち合わせをするかと思いきや、七深が急にバンド名の話しになった。『順序があるだろ……』と思った京介だが、七深の弁明と、最初の全員の共同作業としては悪くないと感じたようで彼女の提案に乗ることにした。

 

 「なら……今呼んでいる仮のバンド名があるだろ?それを少し弄ってしっくりくる名前にすればいいだろ。で、仮でつけたバンド名ってなんだ?」

 

 仮のバンド名から多少弄ってこれから活動するにあたってのバンド名にすることを提案した。しかし、よくよく考えたらバンド名を知らない京介は彼女達にどんなものを尋ねた。

 

 「ツキノモリ(仮)です。」

 「仮だからって限度があるだろ……。」

 

 前まで呼んでいたバンド名を基に新しく考えようとしたが、ほとんどシンプル…というより大雑把すぎたので京介は頭を抱えて呆れてしまった。

 

 「とにかくその名前は却下だ、これから活動するにあたって、もし俺らが知れ渡ったらその名も知れ渡ることになる……名前を聞いた周りは第一にダサいと思われるぞ?だからここは一から考え直そう。」

 「そうですね……分かりました。」

 「とりあえず案を出そう、まずはそこからだ。」

 

 そして京介は『ツキノモリ(仮)』を却下して新しく考えることを提案した。それを聞いた透子もうんうんと頷いた。どうやら彼女もこのままのバンド名でいくにはダメだと察してたようだ。

 

 そして何かバンド名のアイデアはあるかとその場にいる全員に促した。全員が悩む素振りを見せたが、つくしが小さく手を上げた。

 

 「私、『変わる』とか『変化』っていう言葉を使いたいんですよ。」

 「『変わる』、『変化』をか?」

 「はい……私はもちろん、倉田さんも自分を変えるきっかけになるかもという思いでバンドを始めたんです。」

 

 つくしは『変化』という言葉を使いたいと提案してきた。それを聞いた瑠唯はつくしに『二葉さんも変わりたいと思う気持ちはあるの?』と指摘した。そしてつくしは周りが才能溢れる人がいるので、何か特別になりたいことを述べた。

 

 それを聞いたつくし以外の全員は納得したようで無言で頷いてた。そしてつくし『あとは……』と言って言葉を続けた。

 

 「私達のバンドにヴァイオリンがパートに入ってるからそれにちなんだ単語も使いたいですね」

 「ヴァイオリンにちなんだ単語か……。」

 

 一般的なバンドと違ってバンドのパートにヴァイオリンが入ってるからせっかくだしそれに見合う名前を取り入れようと提案したのだ。京介も全員のパートを聞いた時はまさかヴァイオリンが入っているとは思ってもいなかったようだ。

 

 ちなみに京介はバンドのパートはボーカル、ギター、ベース、ドラムくらいしか知らなかったが、密かに勉強してある程度の知識は知っているが、ヴァイオリンが入ってるのは予想外だったのか驚いていた。それもそのはず、バンドというのは何かロックなイメージがあったからである。

 

 ……それはさておいて、つくしの二つ目の案を聞いた瑠唯は小さく手を上げた。

 

 「なら二葉さん、『シンフォニック』なんてどうかしら?交響的な、交響曲のって意味にも使われているわ。元々交響曲はヴァイオリンやチェロのような弦楽器、トランペットのような管楽器で演奏される楽曲よ。」

 「なるほど……それいいね〜!」

 

 瑠唯の口からヴァイオリンにちなんだ単語……『シンフォニック』と単語が出てきた。そして瑠唯の説明を受けた七深もすぐに彼女の案に賛同した。そしてつくしはもちろん、ましろと透子も賛成のようでどこか納得した表情であった。そして京介も何か案が出たのか、手を上げた。

 

 「変化なら『メタモルフォーゼ』はどうだ?『チェンジ』とかよりしっくりくるだろ?」

 「め、メタ……?」

 「『メタモルフォーゼ』……ドイツ語で変化、変身って意味よ。」

 

 『変化』という言葉をあえて英語にせず、別の言葉に置き換えることを提案したのだ。『メタモルフォーゼ』という単語に聞き覚えがなかったつくしだが、瑠唯から補足の言葉を受け、納得した様子で頷いた。

 

 「それじゃあ二つを組み合わせて……『シンフォニックメタモルフォーゼ』!」

 「まんまじゃん、却下。」

 「それに長すぎる、却下だ。」

 「そんなぁ……。」

 

 そしてつくしはウンウンと頷いて二つの単語を組み合わせ、ドヤ顔で自信満々にバンド名を発表したが、即座に透子と京介に二人に一蹴され、彼女は項垂れてしまった。

 

 「なら倉田さん、どんな名前がいい?」

 「私……?」

 

 二人に自分が考案したバンド名を却下されたつくしは隣りにいたましろに何か良いバンド名があるか尋ねた。急に尋ねられたましろは驚きはしたが議題の内容を理解してるため何かないか考え始めた、

 

 「『シンフォニック』……『メタモルフォーゼ』…………。」

 「ましろ?」

 

 そして意見が出た二つの単語を俯きながら交互に呟いた。疑問に思った京介はましろの顔を覗き込んだ。その表情は何処か真剣な顔つきで考えているようだ。今ましろと話す状況じゃないと察した京介は他のメンバーにも一応何かないか促そうとしたが、彼女は急に頭を上げた。どうやらまとまったようだ。

 

 「……『モルフォニカ』、何てどうかな?」

 「おぉー、それいいねー!」

 「いーじゃん!二葉の案より最高じゃん!」

 「それ失礼だよ桐ヶ谷さん!」

 「私はそれで構わないわ。」

 「皆んな……京介さんはどうですか?」

 

 『シンフォニック』と『メタモルフォーゼ』の組み合わせ……《モルフォニカ》と口に出したのだ。それを聞いたメンバーは納得したようで、満場一致でOKが出たのだ。それを聞いた京介はウンウンと頷いてましろの肩にポンと手を置いたのであった。

 

 「いいじゃないか、『モルフォニカ』。さっき挙げた二つの単語をうまく組み合わせてるじゃないか。それに加えて『モルフォ蝶』も掛けてるじゃないか。」

 「モルフォ蝶って何ですか?名前からして蝶の仲間とは思うんですが……。」

 「北アメリカ南部から南アメリカにかけて生息している蝶の一種だ。その美しさから『世界で最も美しい蝶』や『生きた宝石』などと呼ばれている。」

 

 ましろが二つの単語を掛け合わせて考えた《モルフォニカ》に対し京介は上手い感じに組み合わせられたこととモルフォ蝶と掛けてよく出来ていると絶賛した。途中モルフォ蝶が何かを知らないつくしは何なのかを尋ねたが、京介はこれに対して自分が知っている知識の範囲内で返した。

 

 質問したつくしと隣りで聞いていた透子は『おー!』と関心したような声を上げた。一方瑠唯は『お詳しいんですね。』と聞き返してきたが、京介は『偶然知ってただけだ』と言って返した。

 

 「『モルフォニカ』を英語表記にしたらどうだ?そっちの方が響きがいいんじゃないか?」

 「それいいかも!それじゃあ採用ってことで!」

 「……だ、そうだ。他のみんなは?」

 

 更に京介は表記を英語にしてみようと提案した。それを聞いた透子は即OKを出したが、周りのメンバーにも聞くべきだろ……と呆れながらに思いながら全員に聞いた。すると賛成の雰囲気が漂っていたので聞くことじゃなかったか……と思いながら首を軽く縦に振って確認した。そして表記はどうするか全員が考えていると京介と瑠唯の指導のもと、表記は《Morfonica》となったのであった。

 

 「よし。バンド名も決めたことだし、あと他にやることがあるとすれば……。」

 「あ、私一つ思いついたことがあるんですけど……。」

 「どうした二葉?」

 

 無事バンド名を決めて、次に何をするか考えてたところつくしが小さく手を上げた。どうやら何か考えがあるのだろうと感じた京介はつくしにどんな案なのか尋ねた。

 

 「音楽祭に向けて、もう一つオリジナル楽曲を作るってのはどうですか?」

 「オリジナル楽曲を?」

 「オリジナルを作るのか……でも心得はあるのか?」

 

 つくしが自分達のバンドのオリジナル曲を作ることを提案してきた。それを聞いたましろは聞き返したが、京介は大丈夫なのかつくしに質問した。

 

 「あぁそうか、流川先輩は知らないんだった……オリジナルの楽曲、一曲だけであるんです。それにもう一曲あったほうが私達らしさが見せられるなと思って。」

 「なるほどな……。」

 

 どうやら自分の加入する前に一つ作っていたんだろうとつくしの回答に京介は納得したように頷いた。どうやらそれなりのノウハウはあるのだと感じたのであった。納得する京介を傍らにつくしは『だから……』と言って言葉を続けた。

 

 「音楽祭までまだ時間があるから、一曲ならできるかもってことです。」

 「いいじゃん、作ろーよ!オリジナルならじゃんじゃん欲しいし!」

 

 京介がカレンダーを見て音楽祭の日にちを見るとつくしの言う通り音楽祭までまだ日数があると確認できた。そしてつくしの案に賛成なのか透子を中心に全員が賛同した。

 

 「でも作るにしても作詞作曲が必要だろ、誰が担当するんだ?」

 「それなら……作曲は八潮さんに任せることになっちゃうんだけど……。」

 

 なら誰が楽曲作りの担当を務めるのか尋ねたところまず作曲は瑠唯とつくしは推薦した。それを聞いた京介は『いいのか?』と瑠唯に尋ねたが……

 

 「構わないわ。音楽から離れてブランクがあるし、作曲の勘を取り戻すにはいい機会だと思うから。」

 

 二つ返事で瑠唯は作曲を引き受けることになった。京介は瑠唯の言葉に疑問に思ったのか頭に『?』を浮かべた。七深に『るいるいは音楽の経験者なんだよ〜。』と言って教えてくれた。更に補足として元ヴァイオリンを習っていたことが判明したのである。

 

 「じゃあ決まり!作詞……はやっぱりしろちゃんだよね!」

 「だな!また自信無いとか言うなよ〜?」

 「もう言わないよ……任せてもらえるなら、私にできること頑張ってみたいから……!」

 

 続いて作詞は七深の強い希望と透子の後押しを受けてましろが担当することになった。当のましろは自信が持てずに躊躇うのかと思ったら、彼女からは何か決意したような表情になっていた。どうやら真剣に取り組むようだ。

 

 「何だかまとまってきたな。」

 「これがバンドらしくなってきた……ことですかね?」

 「おそらくそうだろうな。よし……作詞はましろ、作曲は瑠唯。衣装は桐ヶ谷と広町。各々の役割分担は出来てるようだ。」

 「あれ?それだと二葉は何もやってなくね?」

 「わ、私?私はほら、立派にリーダーやってるじゃない!それに流川先輩も何もやってないじゃん!」

 「あはは、自分で立派って言っちゃうんだ〜!」

 「わ、笑わないでー!」

 

 バンドらしくまとまってきたことを実感できた京介とつくしだが、透子につくしだけ何もやってないと指摘を受けたが、リーダーをやっていると主張してきた。その時『立派』と自画自賛してきたため、それを聞いた七深に笑われたのであった。

 

 「それに二葉、京介さんは何もやってないって言ってるけどちゃんと取り仕切ってるじゃん!それにさっきからさりげなくあたしらまとめてるし京介さんの方がリーダーにピッタリだよ!」

 「そうか?」

 

 透子がリーダーは京介が向いていると主張してきた。確かに先程から全員に意見を促していたり、バンド名を決める際にも彼の助言が一端を担ったりにしているから無理もないが。しかし当の本人は自覚がなかったようだ。

 

 「ま、俺はこの中じゃあ新参者だ。そんな短期間でリーダーに成り上がるなんて都合のいい話しはないよ。」

 「そっかー、残念……。」

 「何で残念がる?」

 

 京介は透子の肩にポンと手を置いて彼女を諭すが、当の本人は残念がっていた。それを見たましろと七深は苦笑していたがつくしはどこかホッとして瑠唯は呆れていた。

 

 そして時間も惜しいと感じた京介は各々の作業に取り組むよう指示した。そこから音楽祭まで作詞作曲や衣装作りといった各自の作業、メインである自主練や全体を通しての練習に励むのであった。

________________________________________________

 

 そして音楽祭当日

 

 月の森の空き教室でステージの衣装に身を纏ってたMorfonicaのメンバーと首に来院許可証を掲げた京介がほぼ全員がソワソワしながら出番を待っていた。

 

 余談だが、京介はこの日都合よく学校が休みだったので月の森に足を運ぶことはできた。ちなみに来院許可証は前回所持していたものは返却したため、瑠唯が手配したのを使用しているのであった。

 

 「いよいよ来ちゃったね、この日が……」

 「そ、そうだね……!いよいよだね……!」

 

 七深とつくしがこの日を待ち侘びたかのように呟いた。しかしつくしは何処か緊張しているように見えた。

 

 「だ、大丈夫……つーちゃん?かなり緊張してるみたいだけど……?」

 「き、緊張なんかするわけないでしょ。こ、これはそのライブ前の興奮的なアレだよ!」

 「もしかして『武者震い』と言いたいのか?」

 「そう、それです!」

 

 七深はつくしの心配をしたが、彼女は問題ないと主張していたが何処か緊張気味のよう、その様子を見ていた京介にすぐさま見抜かれてしまったが。『まさか『武者震い』って言葉が出ないほどとは……』と思いながら京介は少し呆れて小さい溜め息をついた。近くにいた瑠唯も京介と同じように小さく溜め息をついていた。どうやら瑠唯も京介の気持ちと共鳴したようだ。

 

 「ライブ、絶対うまくいくし、心配することなんて一つもないんだから……!」

 「そ、そうだよ!本気の本気で練習してきたんだし今度こそ大成功するって!」

 「貴女も緊張していない?」

 「う、うっさいなー!1ミリもしてないから!」

 「二人共、そうは見えないんだけどなー……。」

 

 つくしは根拠がないが自信満々に成功すると主張してそれを聞いた透子は賛同した。しかし、瑠唯に緊張しているのかと指摘されたが彼女の言い分に否定したが、七深に呆れながら緊張してないように見えないと言われてしまった。

 

 「瑠唯と広町は平気なんだな。」

 「えぇ……特に問題はありません。」

 「右に同じく〜。」

 

 透子とつくしと違って平然としている瑠唯と七深に緊張はしていないのか?と京介は尋ねたが、問題無いと返ってきたので『そうか……』と言ってましろの元へ近づいた。

 

 「ましろは問題ないか?」

 「え?」

 「こういう状況で貴女が一番緊張しそうだからよ。」

 「あ……そ、そうだよねそう見えるよね……。」

 

 京介はましろの肩にポンと置いて彼女の心配をした。ましろは突然の事で戸惑いを隠せなかったが、瑠唯が何故京介が彼女の心配をしたのか簡潔に補足した。

 

 するとましろはすぐに理解して瑠唯の言ったことに自嘲気味になりながらも肯定した。そしてましろは一旦落ち着いて眼を閉じて沈黙した。そして数秒経って眼を開いた。

 

 「今日は『ライブを成功させよう』ってあんまり考えないようにしたから。」

 

 なんとライブの成功させることを考えないと言い出したのだ。それを聞いた全員はましろの言ったことに理解できなかったのか黙ってしまった。そこから沈黙が流れたが、瑠唯が口を開いた。

 

 「失敗してもいいものなんてないと思うけど?」

 「あ、ううん、失敗してもしてもいいとか、そういうことじゃなくて……!」

 「つまり、目標がある……ってことか?」

 

 失敗してもいいことはないと瑠唯に指摘されたが、ましろは何処かぎこちないながらも否定した。ましろの瑠唯のやりとりを見ていた京介はましろの言ったことを自分なりに解釈した様で、二人の話しに割って入ってきた。その京介の一言に瑠唯は頭に『?』を浮かべたが、ましろの方は言いたいことがあるのか一度咳払いをした。

 

 「はい……今日の一番の目標は、『私達のステージを観てもらう』ことにしようと思って。」

 「ステージを観てもらう?」

 

 そして京介の問いに答えるかのようにましろは自分達のステージを観てもらうことを目標にすると言った。それを聞いた七深はましろの答えに疑問があったのか彼女に聞き返した。そしてましろは七深の問いがあっているらしく小さく頷いて言葉を続けた。

 

 「曲も素敵だし、みんなの演奏も凄く格好いい。あと、私の書いた歌詞もちょっとだけ自信があるし……。」

 

 ましろは自身が思っている事を語っていた。そしてそれを聴いていた全員が黙って彼女を見ていた。

 

 「そういうの全部、会場にいる人達に観てもらえたらいいなって。私達、こういうことしてるんだよっていうのを……ライブの成功ってそのあとに付いてくるものだと思うから……まずは観てもらう大事にしたいなって思うんだ。バンドは私達が好きでやってることだし……。」

 

 自分の思っている事を喋り終えたましろは『ふぅ……』と息を吐いていた。どうやら言い慣れてないだろうと京介は察した。そしてそれを聞いていた透子とつくしは『倉田(さん)……。』と口を揃えて何処か関心したようだ。

 

 「……悪くない。そうだ、むしろそれが今回の目標だと思うぞ。まずは自分達を知ってもらうのが大事だ。」

 「京介先輩……そっか、そうだね。よし、じゃあ私もそうする。」

 「……結果が全てだと思うけど、貴女が堂々とステージに立てるならそれでいいわ。」

 「うん、今日はちゃんと胸を張ってステージに立つよ……!」

 

 京介はましろに対し、ウンウンと頷いて彼女の肩にポンと手を置いて自分なりの助言を送った。『知ってもらうのが大事。』と京介が言ったことに同調してか七深もましろの言った事を自分もそれを今日の目標にすると言った。一方瑠唯は『結果が全て。』とは言っているものの(表には出してないが)遠回しにましろの意見に賛同してくれた。全員の反応を見たましろは更に頑張ると決意を顕にしたのであった。

 

 そして教室に生徒が入ってきた。どうやら音楽祭の係員のようで『出番ですよ。』と言われたので、その場にいる全員が会場に向かうのであった。

 

 ・

 ・

 ・

 

 会場に案内されて数分後、ましろ達はステージの上に立っていた。一方京介は舞台裏で彼女達を静かに見守っていた。

 

 「(いよいよ始まるのか……お前達の初陣が)」

 

 京介がそう思いながらも透子がMCを終わらせて、その役割がましろに回ってきた。ましろは何処かぎこちないながらもMCを務めていた。

 

 「それでは聴いてください、《金色のプレリュード》……!」

 

 そしてMCを終えたましろは、楽曲名を言ったと同時に曲のイントロが流れてきた。ここからMorfonicaのライブが始まる、そう実感したのであった。

________________________________________________

 

 「うう、楽しかったー!」

 「ちゃんと弾けてマジよかったー!」

 「ライブ、盛り上がってよかったね。みんな楽しそうに聴いてくれてた。」

 「うんうん!拍手もたくさんもらえたし、ちょっと感動しちゃったよ〜!」

 

 初ライブを終えた全員が最初の一言は各々で変わるが、どれも音楽祭でライブを成功させたという達成感であった。『楽しかった』『成功した』

……ほとんどが口を揃えてそう言った。途中透子が瑠唯に茶々を入れていたが、京介は気にせずましろに声を掛けた。

 

 「それでましろ」

 「どうしました?」

 「お前が見たいものは見れたか?」

 「少しだけ……。ライブもできた、まだまだけど……でも見えた気がするんだ。」

 「?」

 「あの日、CiRCLEのライブで見た輝く世界に続く道が……。」

 「……そうか。」

 

 京介はましろに見たいものが見れたか尋ねた。するとましろは完全にとはいかないが、『見たいものが見れた。』らしい。ちなみに後に言ったCiRCLEのライブの件は京介は触れてなかったため何の事かわからなかったが、目の前の彼女…ましろの表情から何か憧れを感じたのであった。

 

 「それって、うちの学校の教訓みたいだね〜。」

 「校訓?何それ?」

 「何それって……校訓だよ、校訓!入学式の時、先生も言ってたでしょ!」

 「……貴女はもう少し自分のいる場所のことを知った方がいいわね。」

 

 突然七深が月の森の校訓に似ていると言った。それを聞いた透子は知らないみたいで頭に『?』を浮かべながら首を傾げた。その様子を見たつくしは透子に知らないのかと指摘する一方、瑠唯はそんな透子の反応を見て呆れながら溜め息をついた。

 

 その光景を見た京介は月の森の校訓がどんなのかを思い出していた。余談だが、妹の桜雪からどんな学校行事があるのかよく聞かされるので、京介の頭の中には月の森の事は新入生以上にあるのだ。

 

 「『あなたの輝きが道を照らす』……だな。」

 「はい……自分の中の輝くもの、自分にとって大切なものが進むべき道を照らしてくれるってことですよ。」

 「なるほど……。」

 

 月の森の校訓を口に出した京介に答えるかのようにつくしはその意味を補足したのであった。桜雪から聞かされたこともあるが、改めて校訓を聞いた京介は何処か納得したように頷いた。そして校訓を聞いた七深は何か思いついたように手をポンと叩いた。

 

 「ね。これ、私達の目標にしない?輝きを見つけて、いつか輝く景色にたどり着くの。」

 「いいじゃん、それ!輝ける場所を目指すバンドってなんかカッコいい!」

 「校訓をバンドの目標に……うん、月の森らしくていいと思う。」

 「私も構わないわ。」

 「私も。あの景色が見れるように頑張ろうね。」

 

 自分達の通う学校(京介を除いてだが)の校訓を自分達の目標にしようと七深が提案してきた。輝きが道を照らして、いつか輝ける場所を目指す……その言葉に惹かれたのか、それを聞いたメンバーは全員が概ね賛同したようだ。

 

 そして目標を見つけたその時、その場にいた全員の前に一匹の蝶が通り過ぎた。どうやらこの蝶が導いてくれるようだ……。と感じた京介はこの一匹の蝶の導きがいつか輝く場所まで導いてくれるように、心の中で祈るのであった。

 

 Morfonica結成編……完




 『Morfonica結成編』、最後までお付き合いいただきありがとうございますm(_ _)m
 執筆から11ヶ月、やっとか……とお思いかと思いますが、スローペースでの執筆は申し訳ございません。じっくり書いてたので遅くなってしまいました……。

 最新話兼新章はPoppin'PartyやRoseliaといったお馴染みのガールズバンドを中心とした話しになりますのでお楽しみにしてください。ちなみにRASはこの章では登場しませんが、それ以降の章でメインに飾りますのでRASファンはしばらくお待ちください。

 あとここで二つほど告知、まず一点……最新話の前に『咲野 皐月』様の作品『新日常はパステルカラーの病みと共に(Rev.)』(以降パス病み)とのコラボ回を予定してます。パス病みの主人公の『盛谷 颯樹』くんとメインヒロインである白鷺千聖さんとの絡みのお話になりますのでお楽しみください。

 もう一つはD4DJの小説を始めることにしましたのでここに報告致します。この話しはこの小説の主人公である京介が共学の有栖川の生徒だったら……という話しで進めていきます。(もちろんメインはLyrical Lilyになります)こちらはまだ執筆中ですので出来次第、投稿しますのでしばらくお待ちいただけますようよろしくお願いします。

 最後になりますが……次回も楽しみにして頂けたら幸いです!

 ※最後に軽い後日談になります。セリフメインなのでサクサク読めますので流し読みしても構いません。

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 音楽祭から数日後、七深の家のアトリエ……

 透子「京介さんさぁー……。」
 京介「どうした?」
 透子「何でシロとルイは名前で呼んであたしとななみとふーすけは苗字で呼んでるのー?」
 七深「あ、それ広町も思った〜。」
 つくし「確かに……ならましろちゃんとるいさんだけだと何か不公平だから私達も名前で呼んでくださいよ!」
 京介「……もしかしてリーダー命令か?」
 つくし「もちろん!」ドヤッ
 京介「分かったよリーダー……透子、七深、つくし……これでいいか?」
 透子「バッチリです、きょーさん!」
 京介「お前はフランクになりすぎだろ。」
 七深「改めてよろしくお願いします、きょーさん先輩〜♪」
 京介「お前はさんづけか先輩かハッキリしろ……(呆)」
 つくし「ハハハ……(苦笑)。突然すみません、京介先輩……。」
 京介「いや、問題ない。」

 こうして京介はMorfonica全員を名前呼びすることになったとさ。

 ホントに終わり!

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