白き蝶に導かれて……   作:なかムー

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 皆さま、お久しぶりでございます。

 今回は予定しておりました七深の生誕記念回を提供します。書き始めから1年経つけど、やはり誕生日の話しは結構難産します。

 それでは……どうぞ!


広町七深生誕記念回 玩具

 6月1日、彼女のある一言から始まった……

 

 「皆んなでななみの誕生日に何をプレゼントするか考えよう!」

 「偉く突然だな。」

 

 この日の放課後はバンドの練習も無いので京介はMorfonicaのメンバーを自宅に招き入れて全員でティータイムをしていた。ちなみに今此処にいるのは京介を除けば七深以外のMorfonica全員であり、当の本人は家の用事があって参加せずに真っ先に帰ったのであった。

 

 そしてティータイムが始まって数分後、透子が京介が出したお菓子を手に取りながら、突然七深の誕生日にプレゼントを何にするかについて話し合おうと言ってきたのである。

 

 「それで桐ヶ谷さん、広町さんの誕生日に何を贈るか考えたかしら?」

 「ふふん!考えて無い!」

 「威張って言えることじゃないでしょ……。」

 

 紅茶を一口飲んだ瑠唯は言い出しっぺの透子に具体的に何をするのか尋ねたが、当の本人はドヤ顔で考えてないと言った。それを聞いたつくしは呆れながらツッコミをいれた。

 

 「だからななみ以外の全員でななみに何贈るか考えるってワケ!」

 「「偉く他人任せだね……。」」

 「違うって!これはただ全員の意見を聞いてから何贈るか考えるの!」

 「桐ヶ谷さんの口からそんな言葉が出るとは思わなかったわ……。」

 

 普段から思いつきで提案する透子であるが、今回ばかりは何も考えてなかったのか全員で何をするかアイデアを募らせることにしたのだ。それを聞いた瑠唯は透子らしくないと口に出したのであった。それについて同意だったのかましろとつくしは無言で頷いた。

 

 「もー皆んなして! ……この際いいや、何贈るか考えよう!何かいいアイデアない?」

 

 そして透子は無理矢理話しを戻して七深に何をプレゼントするか考えるよう促した。そしてその場にいた全員が無言で七深に何をプレゼントするか考えたのであった。

 

 「広町さんは芸術家一家だから油絵の具や絵筆などの道具一式はどうかしら?」

 「安直すぎじゃね?却下。」

 「じゃあ遊園地に招待とかは?」

 「パンチが効いてないしなー……却下。」

 「じゃああえてゲーム大会!」

 「ルイがやらないし、仮にやったとしてもきょーさんとルイとななみの圧勝ゲーになりそうだから却下。」

 「なら桐ヶ谷さんは何かいいアイデアがあるのかしら?」

 「ふふーん!よーく聞いてくれました!」

 

 そして数分後、考えがまとまったのか瑠唯を筆頭に各々の意見を言うが、透子はそれらをことごとく一蹴するのであった。何か意見があるのか瑠唯は透子に尋ねた。

 

 「心霊スポット巡り!」

 「「「「却下。」」」」

 「満場一致で即ボツはヒドくね?」

 

 何か不穏な展開になる事を察したのか透子以外の全員が却下した。それを聞いた透子は涙目になりながらも追求してきた。涙目になるあたり自信があったのだろう……

 

 「「だって怖いし……。」」

 「そういう所はあまり立ち寄らない方がいいわ。」

 「阿保、下手すれば不法侵入で捕まる可能性があるぞ。」

 

 続けざまに透子以外が却下した理由を述べた。各々の意見にグサグサと刺さったのか透子は跪いてしまった。

 

 「他にいいアイデアが思いつかないですねぇ……。」

 「うーん……あ、なら……これなんていいんじゃないか?」

 

 ましろが困ったように呟いたが、京介が何か閃いたようで自身のスマホを取り出し操作した。そしてある画面を全員に見せた。それにつられるように全員がスマホの画面を見た。

 

 「なになに?えっ!『謎の未確認生物見つかる』⁉︎」

 「それじゃないからな。下だよ下。」

 

 透子が気になって画面を見た。するとそこは動画サイトのようであるが、そこにサムネイルとして写っていたのは生物と言っていいのか分からない姿をした水色の生命体であった。しかもその生物は虚な目をしており脚もどこか棒みたい細い不気味な姿であった。しかしそれが話しの本題では無いようで、京介はその生物の下に目を向けるよう促したのである。

 

 「『新弾パックの1カートン開封!元は取れるか?』……?」

 

 そこには世界的にも大人気のカードゲームのパックが入ってるであろうダンボールを掲げた男女二人組の動画のサムネイルが表示されていた。しかしこれを見た全員は何故京介はこれを自分達に見せたのか理解出来なかったようで首を傾げた。

 

 「もしかして……この動画のように私達も何かを開封するのですか?」

 「その通りだ。」

 

 瑠唯は最初京介の考えてることが理解出来なかったが、動画を見て察したのか彼に開封会なるものをやるのかを尋ねた。すると京介は瑠唯の質問に肯定して答える。

 

 「それいいじゃん!」

 「確かに面白いかも。」

 「うん!七深ちゃんも喜ぶと思うよ。」

 「……私も同意します。しかし何を開封するのですか?この動画ではカードゲームのパックですけど、広町さんの趣味に合わせてみたらどうでしょう?」

 

 京介の考えを理解した全員は、透子を筆頭に全員が賛同したがその直後瑠唯がカードゲームより七深の趣味に合わせた方がいいと指摘してきた。

 

 「それならもう考えてある。七深の場合は食玩集めが趣味だから食玩の開封会にしないか?」

 

 しかし京介の方で考えてあるようで、七深の趣味は食玩集めと把握していたのでここはカードゲームではなく食玩にしようと提案したのであった。その場にいた全員も京介と同じく七深の趣味を知っているので納得したのであった。

 

 「決まりだな……なら、俺が何を集めているか七深から聞き出してその後情報が集まり透子と瑠唯で相場をチェックしながら何処で取り扱っているか探して、その後ましろとつくしで買いに行ってくれるか?その間に手の空いている者達で七深の誕生日のセッティングをするか。」それと

 「「「「分かりました。」」」」

 

 そして京介が各々の役割分担を指示してここにいない七深の誕生日に向けて色々とセッティングをするのであった。

________________________________________________

 

 ーーそして6月16日、七深の誕生日当日。

 

 この日はバンドの練習をオフにして全員が七深の家のアトリエではなく、京介の……正確には流川家で七深の誕生日パーティーを行うことにしたのであった。

 

 「七深、誕生日おめでとう。」

 「おめでとうございます♪」

 「「七深ちゃん、お誕生日おめでとう!」」

 「おめでとう、ななみー!」

 「おめでとう、広町さん。」

 「みんなありがと〜!」

 

 流川家のリビングではケーキやジュースが用意されており、部屋も飾り付けをしているなど如何にも誕生日を祝う態勢であった。ちなみに七深以外のMorfonicaや京介だけでなく、京介の妹である桜雪も七深の誕生日パーティーに参加していて、彼女も同じく七深に祝いの言葉を掛けたのである。

 

 「それでお前の誕生日プレゼントだが……」

 「何ですかきょーさん先輩〜?まさか広町のプレゼントは〜、とびっきり良い物なんですか〜?」

 「そのまさかよ。今回は京介さん発案よ。」

 

 そしてお待ちかねの七深にプレゼントを渡すのだが、肝心のプレゼントらしい物は此処には無いようで京介は一旦リビングを出た。そして数分後、京介はプレゼント用に包装された箱を数個担いで持ってきて七深の前に開いたのであった。

 

 「はいコレだ。」

 「コレって……開けてもいいですか?」

 

 中身が気になったのか七深は京介に開けてもいいか許可を取った。すると京介は『もちろん』と言って頷いた。そして京介から許可を取った七深は包装紙を取って中身を確認した。

 

 「うわぁ〜!『世界の建築物譚』と『深海諸島』、『古代動物物語』だ〜!どれもちょうど集めてたものだ〜!広町が集めてるのをチョイスしてくれたんですか〜⁉︎」

 「そうだ。今回はこれらの開封会の兼ねた誕生日をしようと思ってプレゼントしたんだ。」

 「そうだったんですか〜……きょーさん先輩、ありがとうございます〜!」

 「礼なら他のメンバーにも言えよ?今回は役割分担したからな。」

 

 包装されたプレゼントを開けるとそこには七深が今集めている食玩てあった。後から知ったか七深曰くこれらは『広町が今集めている食玩リスト』というリストの中で上位3位に入ってるとのことらしい。

 

 余談だが、『世界の建築物譚』と『古代動物物語』は名前の通り世界の建築物と古代動物がモチーフの食玩が入っているが、『深海諸島』は名前では分かりにくいが深海動物がモチーフの食玩が入っている。

 

 ちなみに京介はこれらを何故知っているのかは、先日の練習中に七深に怪しまれずに世間話と称して何を集めているか聞いていたからである。余談だが、1つの商品につき2ダースずつある。

 

 「それなら早く開けましょうよー!あたし中身が気になる!」

 「一応これは広町さんの誕生日なのだけれど……。まぁ、貴女にこれ以上言っても無駄だから早くしましょうか。」

 「るいさんの言う通りだけど、でも結果も気になるし……。」

 

 中身が気になるからか、透子は早く開けようと催促してくる。一方、本日の主役である七深を差し置いて開封会を取り仕切る透子に呆れたのか溜め息をついた。しかしましろも瑠唯の言い分に同意してるがそれと同時に結果が気になる気持ちは同じのようだ。

 

 「お目当てのモノはあるか?」

 「もちろんシークレットでしょ!」

 「だから貴女が答えてどうするの……。」

 

 京介は七深にお目当てのモノを尋ねたが、彼女の口が出る前に透子が真っ先に答えてしまった。透子が答えたことに瑠唯は呆れながら彼女にツッコミを入れた。

 

 「あははは……でも私も同じかな〜。折角手に入れたんだから、シークレットは狙いたいよ〜。」

 「でも広町さん、2ダースずつ買っただけでシークレットが来るとは限らないわ。どちらかというと、ハズレの可能性が高いわ。」

 

 透子と瑠唯のやりとりを見ていた七深は苦笑いしながらも透子と同じ気持ちのようでシークレットを狙うようだ。一方、七深の考えにお構いなく、『出る確率が低いんじゃないか?』と瑠唯は指摘してきた。

 

 「確かにね〜。でもるいるい、蓋を開けてみないことに変わらないよ〜。」

 

 瑠唯の言い分に肯定はしたが、まだ開け始めてないのでそこは確かめてみないと分からないと七深は言った。そして『それに……』と言って言葉を続けた。しかし当の瑠唯は頭に『?』が浮かんでいた。

 

 「こういうのって、なんかワクワクしてこない?何が起こるか分からない、だけどそこが面白い。少なくとも私は感じるよ〜。」

 「……そう。」

 

 普段の瑠唯なら七深の言ってることが理解できなかったが、今回は目の前にいる七深に対して同調してか、彼女もまた無意識に面白いと感じてるようだ。そして透子の号令の元、開封式が始まったのであった。

 

 ・

 ・

 ・

 

 そして数分後……

 

 「ダメだ、でねー!」

 「被っちゃったね……。」

 「こっちも被りましたわ。」

 

 本来七深一人で開封するハズだが、数の都合上七深以外の除く六人で開けてラスト一つになったら七深が開ける、ということにした。ちなみに『世界の建築物譚』は桜雪と瑠唯、『深海諸島』は透子とつくし、『古代動物物語』は京介とましろが担当している。(余談だが、どれを開けるかは始める直前にあみだくじで決めた。)

 

 「あっという間にラスト一つになっちまったな。」

 「やはり2ダースで当てるのは無理があったようですね。」

 

 そして開封式が始まって数分後、どれもラスト一つずつまで開け終わったところである。

 

 「どれ、最後の一つは七深、お前に託そう。」

 「そうですわね。」

 「広町さん、泣いても笑ってもコレで最後よ。」

 「りょ〜か〜い。」

 

 京介、桜雪、瑠唯がそれぞれラスト一つの未開封の食玩を手に持ち七深に手渡した。七深はそれをいつのもペースで受け取った。

 

 「それじゃあ、いきま〜す……」

 「…………。」

 

 受け取ると同時に開封宣言をして箱の封を開けたが中身が何か気になって緊張してるのか箱を見つめながら沈黙した。一方七深以外も彼女と同じ気持ちなのか、全員沈黙して七深のことを見ていた。

 

 そして沈黙して数分後、漸く決心したのか七深は箱の中身から食玩を取り出した。その結果は……

 

 「うわぁ〜……《ねじれた家》に《シーラカンス》、《アノマロカリス》……どれもシークレットだぁ〜!」

 

 どうやらどれもラスト一つでお目当てのシークレットを引き当てたようだ。全部のシークレットを当てることが出来たのか、七深の眼はとても輝いていたのであった。

 

 「おめでとうななみ!」

 「よかったね七深ちゃん♪」

 「おめでとうございます♪」

 「でもシーラカンスやアノマロカリスはまだ分かるけど、ねじれた家って……?」

 「ねじれた家というのはポーランド北部のソポトという街に実際にある建築物よ。」

 「そ、そうなんだ……。」

 

 透子とつくし、桜雪は七深のお目当てのモノを引き当てたことに対しそれぞれがおめでとうと言葉を掛けた。しかしましろはねじれた家に対してピンと来なかったのか頭に『?』を浮かべて首を傾げたが、即座に瑠唯は彼女の疑問に補足した。

 

 「よかったな、七深。」

 「はい!」

 

 タイミングを見計らったのか京介もニカッと笑いながら七深に祝福の言葉を掛けた。すると七深は笑顔になって返事をした。ちなみにこの光景に嫉妬したのか、桜雪は何処からか取り出した鉄パイプを構えたが即座に瑠唯に組み伏せられたのは別の話しである。

 

 「じゃあ皆んなで写真撮らね?」

 「それいいね!それじゃあ七深ちゃんは中心ね!」

 「えぇ……中心はちょっと……。」

 「今時誰も迷信なんて信じる人はいないわ、タカを括りなさい。」

 

 シークレットを当てた記念からか、透子が写真を撮ろうと提案してきた。それを聞いたつくしは透子の案に乗って七深を中心にしようと言ってきたが、当の本人は躊躇したが瑠唯に即一蹴された。

 

 そして七深を中心として後ろに京介と瑠唯、真ん中に桜雪と透子、前につくし、七深、ましろの順の体制になった。そして透子は一旦離れて自分のスマホを操作してカメラを起動してタイマーをセットしてすぐに自分のいた場所に戻ってきた。

 

 「はい、チーズ!」

 

 つくしがそう言った直後、カメラのシャッター音が鳴ったーー

 

______________________________________________

 

 ーーそして、その日の夜 広町家

 

 「あ〜あ、楽しかったなぁ〜。」

 

 全体写真を撮り終えた後、その時点で時刻が7時30分を迎えた為七深の誕生日パーティーはお開きとなったのである。ちなみに七深だけ帰らせてそれ以外の全員が後片付けをしたのは言うまでもない。

 

 その後自宅に帰ってきた七深は誕生日パーティーの余韻に浸りながら夕飯やお風呂、明日の準備や宿題を済ませると11時を過ぎていたため寝る事にしたのだ。そして今はベッドの上で寝転んで微笑みながらヘッドボードに置いてある今回当てたシークレットのフィギュアを指でつついていた。

 

 「今日は楽しかったなぁ〜。ありがとうみんな〜……特に今回企画したきょーさん先輩♪」

 

 なんて言いながら七深はナイトテーブルに置いてあるライトを消して掛け布団を掛けてそのまま夢の中に入っていった。その直後、七深のスマホから誰かから通知が来たが、彼女は寝息を立てて眠ったので気づかなかったのである。

 

 そして七深のスマホに通知の表示が出たとともに、先程全員で撮った全体写真がロック画面に写っていたのであった。

 

 ーー終わり

 




 お気に入り登録をしてくれたみなさん、ありがとうございます!こんな拙作にお付き合い頂き光栄です。

 去年はホラー映画の鑑賞がメインのデートだったけど、今回は舵を切って食玩の開封会になりました。私、カードゲームが趣味なものでYouTubeでよく見る開封動画を見てやってみたら面白いと思い今回やってみました♪

 次回の投稿は本編を予定しておりますので次回もお楽しみにしてください♪

 ※ちなみに作中で言ってた《ねじれた家》は瑠唯さんの言葉通り、ポーランド北部のソポトという街に実際にあります。ちなみにこの建物はポーランド出身のとあるイラストレーターの作品に影響を受けて造られたと言われていて、4階建ての30のテナントが入っているショッピングモールです。ブティックやカフェ、書店などが入っていて内装もおしゃれで、世界中からの観光客が立ち寄ってるそうです。

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