白き蝶に導かれて……   作:なかムー

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 皆様、大変お待たせしました!

 今回は瑠唯の生誕記念回をお送りします!

 いやぁ、今回はとても気合いが入りました。特に終盤は熱を入れて尚且つ少し冒険もしてみました。

 京介「そんな事もあるんだな。」

 自分でも尻に火がついたつもりが全身に火が回って熱が入ったって感じだね。

 京介「それは一周回って心配なんだが……まぁ本編を見ればわかるか」

 そうだね。それじゃあ……

 京介「『どうぞ(!)』」



八潮瑠唯生誕記念回 湯煙

 11月に入り、外も肌寒くなって冬が本格的に始まりを告げるこの頃。いつも通り七深の家のアトリエでバンドの練習をしていたMorfonica達とマネージャーの仕事をしている京介であった。

 

 今は練習…というより合間に休憩を挟んでいるようで、水分補給をしたり楽器の調整をして練習時間を過ごしたりしていた。

 

 「京介さん、私の誕生日の事で相談があるのですが……。」

 「唐突に話しを持ちかけてくるなぁ。」

 

 しかしその休憩中に瑠唯が京介に相談を持ちかけてきた。しかも瑠唯本人は絶対にやらない急な相談を持ち込んできたことと、相談の内容が彼女の誕生日の事のため、京介は二重の意味で驚きを隠せなかった。

 

 「何だよルイ〜。せっかくあたしの企画でルイの誕生日を盛り上げようと計画してたのに〜。」

 「結構。それに貴女が企画したのは嫌な予感がするから尚更よ。」

 

 透子はテーブルに頬杖を着いて不満気に瑠唯を見つめて文句を言ったが、当の本人に一蹴されたのは言うまでもない。

 

 「でも何で誕生日の相談を……?」

 「したい事があるから……で理由になるかしら?」

 「「「したい事?」」」

 

 ましろは何故誕生日の相談をしたのか聞いてきたが、瑠唯は『したい事』があると返してきた。それを聞いた透子と七深とつくしは頭に疑問符を浮かべて聞き返した。

 

 「それで何をするんだ? 内容にもよるが考慮する。」

 「事情を説明します。 それはですね……」

 

 一応話しだけは聞くと言った京介に瑠唯は自分の鞄からある一枚の紙を取り出してテーブルに置いた。

 

 「これって、チケット……?」

 「あ!此処知ってる‼︎ メッチャ有名な温泉街じゃん!」

 

 どうやら瑠唯が取り出したのはチケットのようでましろが疑問に思うと透子が見覚えがあるのか直ぐに反応した。

 

 瑠唯が全員に見せた紙は旅館のチケットのようだ。

 

 「なるほど……誕生日当日は全員で温泉に行こうと言いたいのか?」

 「その通りです。」

 

 京介は彼女がしたい事がすぐに理解できたようで確認すると、瑠唯は即座に肯定した。

 

 「でもコレどうしたの〜?」

 「昨日母がこのチケットを私に渡してきたのよ。毎年家族旅行でこの旅館で泊まってる上に、此処の女将さんと母は中学時代からの同級生なのよ。だからそのツテでチケットを手に入ったのよ……それに『貴女がお世話になってる人達と行ってきなさい。私からの誕生日プレゼントよ』と言われたので、誕生日当日は此処に行こうという相談です。」

 

 瑠唯の母親から娘に少し早い誕生日プレゼントを渡されたのをキッカケとして温泉に行こうと提案したようだ。

 

 「なるほど……分かった、それじゃあ瑠唯の誕生日はMorfonica全員で此処に行こう。 皆んなはどうだ?」

 「「「行きます!」」」

 「即答だな……。」

 

 瑠唯の話しを聞いた京介は納得したようで瑠唯以外のMorfonica全員にも意見を聞いたがましろ以下の全員が行くと即答した。

 

 あまりの早さを見せられた京介と瑠唯は呆れていたがましろは苦笑いしていた。

 

 そして休憩を終わらせて練習に戻った。そして練習が終わった後、京介が瑠唯の誕生日当日のスケジュールを立てる事を提案して、全員が了承して早速計画を立てるのであった。

________________________________________________

 

 そして11月19日、瑠唯の誕生日当日

 

 東京駅で待ち合わせた京介とMorfonica全員は最初は新幹線に乗った。この時全員旅行用カバンを片手に携えていた。

 

 その後、一行は途中で電車に乗り換えて、温泉街がある最寄り駅に着くと、温泉街直行のバスがあったのでそれに乗って今回の目的地である温泉街へと向かっていった。ちなみにその時一部のメンバーはまだかまだかと言わんばかりにソワソワしていた。

 

 「しかしきょーさん先輩、今日は集合時間ギリギリでしたね〜。」

 

 目的地の到着まで待ち侘びて緊張しているメンバーの気を紛らすために七深は当たりざわりの無い質問を京介にした。

 

 本来なら京介は集合時間の30分前には集合場所に到着している筈だが、七深の指摘通り今回に限って時間ギリギリに到着したのであった。

 

 「仕方ない、桜雪が自分も連れてけと駄々をコネてきてな……ただでさえ説得するまでに数日かかったというのに……。」

 「まるで子供みたいですね……。」

 

 ブラコンの桜雪が当日になって駄々をコネたようで、どうやら説得に時間がかかったようだ。そんな桜雪の凶行を聞いたつくしはため息をついて呆れていた。

 

 「その後はどうしたんですか?」

 「桜雪が駄々をコネて暫くして家に優奈さんが来てくれて桜雪を連行した。何でも剣道部の校内合宿を今日と明日でやるらしいがマネージャーの一人が家の用事で来れなくなった上に人手が少ないから桜雪を連れに来たそうだ。」

 

 ましろがその後の顛末が気になるのか京介は桜雪のその後の詳細を話した。全員がそれを聞いて『なるほど……』と呟いて納得した。京介はまだ話しが終わってないのか、『それで……』と言って話しを続けた。

 

 「その際に『桜雪さんは私に任せて下さい。マネージャーの仕事と兼用で、剣道で桜雪さんが足りてない部分をこの2日間でみっっっっっっっっっちり鍛えておきますので♪』と言ってそのまま去って行った。」

 

 桜雪を鍛え直す名目で優奈は彼女を連れに来たのであった。その後の桜雪の姿は全員容易に想像できたのは言うまでもない。

 

 ちなみに余談だが、何故優奈が出てきたのかというと……事前に瑠唯が密かに、桜雪に自分の誕生日を邪魔されないようにどうすればいいか優奈に相談してたようで、優奈も剣道部の大会が近づいている名目で急遽剣道部の合宿を計画して桜雪も参加させる事で落ち着いたようだ。

 

 これは瑠唯以外のMorfonica全員は知る由も無いが、京介は直感でその事を察したようだ。

 

 そして話しが終わった所でバスが目的地のアナウンスをした。どうやら話し込んでたらいつの間にか時間が過ぎていたようだ。

 

 それから程なくしてバスが停車して京介達や他の乗客も降りた。

 

 「んー……着いたぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎

 「とーこちゃん、声が大きいよ〜。それに他の観光客もこっち見てるよ〜……。」

 

 そして透子が目的地に着いた途端、一回伸びをしてから大声を上げた。しかし隣りにいた七深に注意と指摘をされたのは言うまでもない。

 

 「それに透子ちゃん、今日はるいさんの誕生日なんだから主役より目立っちゃダメだよ!」

 「おそらく聞いてないと思うよ……。」

 

 それに加えてつくしは透子に対してダメ出しをしたが、ましろは話しを聞いてないと指摘してきた。

 

 「「やめろ(なさい)、透子(桐ヶ谷さん)。」」

 「アダッ⁉︎」

 

 透子の行動を見兼ねた京介と瑠唯は彼女の頭にチョップをした。二人同時にチョップされたので透子はこれをモロに受けてしまった。

 

 「此処で悪目立ちするな、後が大変になる。」

 「それに広町さんの言う通り、私達以外にも他の観光客がいるのよ? それだと迷惑になるわ。」

 「……はーい……ゴメン。」

 

 京介と瑠唯に注意された透子はすぐに周囲を見た。すると自分達を見ながらクスクスと笑って去る観光客を見かけた。すぐに理解できた透子は自分の非を認めて謝罪した。

 

 そしてこれ以上は時間を無駄にするわけにもいかないので、その後は透子に軽い注意をしてから、瑠唯の案内で今日泊まる旅館まで足を運ぶ事となった。

 

 

 その後は何も問題無く旅館に着いた。そしてちょうどチェックインの時間のため、そのままチェックインした後に一人の仲居がやってきて今日泊まる部屋まで案内された。

 

 そしてスタッフに案内された部屋はまず一言目に『豪勢すぎる……』と出る『高校生六人が泊まるには贅沢すぎる和室』であった。ちなみに瑠唯曰く『この部屋は安い部類に入る』との事である。

 

 部屋に着いた全員だが、夕食までまだ余裕があるので温泉街を散策する事となった。そこに案内を務めてた仲居の薦めで全員和服に着替えた。その後は受付に事情を説明して部屋の鍵を一旦預けて温泉街に行く事となった。

 

 「それじゃあ何処か「あ、待ってきょーさん!」…何だよ透子……。」

 「あたしら四人は別行動とるから、きょーさんはルイと二人っきりで!」

 「偉く突然ね……。」

 

 いざ行こうとすると突然透子が待ったをかけて京介と瑠唯を二人っきりにすると言い出した。京介と瑠唯は突然の提案で呆れたが、瑠唯の方は呆れと同時に何処か嬉しそうな表情をした。それを見てたましろは少し不満気に頰を少し膨らませたのは言うまでもない。

 

 そして透子は集合場所と時間を京介と瑠唯に告げてから、ましろと七深とつくしを引き連れて駆け足気味で温泉街に向かって行った。その時ましろは行きたくないと言わんばかりの表情であったので、透子とつくしを手を引っ張られながらであったが。

 

 「……行きましょうか。」

 「だな。」

 

 透子達が去って間もなくして、京介と瑠唯は遅れて温泉街に向かう事となった。

 

_______________________________________________

 

 「全く透子のヤツ……。」

 「桐ヶ谷さんだから仕方ないわ。(でも私としてはありがたい事よ。こればかりは桐ヶ谷さんに感謝しないといけないわ)」

 

 別行動を取り始めて数分後、京介と瑠唯は温泉街の街並みを歩いていた。

 

 瑠唯はふと温泉街を見た。そこには甘味処、遊技場、土産屋と言った温泉街ならではの施設が目に入る。普段の自分なら見向きもしないほど興味を湧かないものばかりだが、隣りにいる京介の影響からか興味を惹かれるものに変わりつつあるのであった。

 

 「京介さん、あそこに寄ってみてはいかがでしょうか?」

 

 瑠唯は一つの施設を指差した。するとその先にあったのは射的場であった。しかし瑠唯は何故そこに行こうと提案したのか自分でも理解出来なかった、無意識のうちに言ってしまったようだ。

 

 それを聞いた京介は目が点になっていた。

 

 「意外だな、瑠唯が自分から娯楽施設とかに行きたいなんて言うの……。」

 「私も無意識のうちに言ってしまったようです。普段の自分なら言わないのに……。」

 「色々と心境が変化したって事だろ。 ま、もしこの場に透子がいたら『おや〜?ルーイー、もしかしてこういうの好きなんだー? 何か意外だけど、八潮センセも年頃って感じがするなー!』ってニヤニヤしながら弄りに入るな。」

 「フッ……そうですね。」

 

 京介が『もしこの場に透子がいたら?』のシチュエーションで彼女の真似をした。瑠唯は京介の透子の真似が似てると感じたのか少し笑いながら肯定した。

 

 立ち話も何なので、二人はそのまま射的場に入って行った。

 

 「いらっしゃい! お、お熱いカップルだこと!」

 「すみません、二人でやりたいのですが大丈夫ですか?」

 「大丈夫だ! 何回やってくかい?」

 「そうだな……ひとまず2回分でお願いします。」

 「あいよ!」

 

 射的場に入ると、店長らしき中年の男が威勢のいい声で出迎えてくれた。途中茶化されたが、京介はスルーして二人分をお願いしたが店長の男に回数について聞かれた。店内の看板に『1回五発 300円』と書かれていたので2回分と言って回数分と人数分の合計の値段を払った。

 

 そして料金を受け取った店長の男はコルク銃を二人分取り出し、コルクの弾を回数分渡した。

 

 「すみません、1回分多いのですが……。」

 「俺からのサービスだよ。 彼女に良いとこ見してやんな。」

 「ありがとうございます。(彼女と勘違いされてる……)」

 

 しかし弾が1回分多く手渡されたので間違いか確認すると、店長の男のサービスであった。京介は感謝の言葉を述べながら粋がいいなと感じたが同時に彼女じゃないと心の中で愚痴ったのは言うまでもない。

 

 そして射的初心者の瑠唯にコルク銃の使い方を説明しながらセッティングした。

 

 説明込みの準備を行なうこと数分、セッティングを完了したので二人は射的を始めようと射撃の構えをするのであった。

 

 「しかし瑠唯、姿勢がいいな……もしかすると実は慣れてるとか?」

 「えぇ、正確には身内に射撃が趣味の方がいまして。私も付き合う事が多いんです。」

 

 瑠唯の構え方が初心者ではないので京介が尋ねると、彼女の身内にその手に詳しい人物がいたのでその人物から手ほどきを受けたのだと京介は解釈した。

 

 そして始める前に京介がどっちが多く当てられるか競って、勝った方は何でもお願いを聞くと提案した。それを聞いた瑠唯は即座に承諾した。

 

 「それでは始めましょうか。」

 「嗚呼。」

 

 そして二人は構えてそのままコルク銃の引き金を引いたのであったーー。

 

 

 「瑠唯、中々スジが良かったな。」

 「京介さんほどではありません。」

 

 射的を終えた二人はそこから少し離れた甘味処で休憩を取っていた。勝敗は引き分けに終わったのであった。その光景を見ていた店長の男から『良い物が見れた!』と言って二人に甘味処の割引クーポンをサービスとして貰ったので休憩を兼ねて寄る事にしたのであった。

 

 勝負の事が終わった後は注文した物が来るまで談笑しているのであった。そして談笑して暫くして店員がやって来て、白玉ぜんざいとおしるこを瑠唯と京介、それぞれに差し出してから伝票を置いて去って行った。注文した物が来た二人は行儀よく『いただきます』と言って、和菓子を舌鼓するのであった。

 

 「……京介さん。」

 「何だ?」

 「一口貰いたいのですが……。」

 

 少し経って、突然瑠唯が京介のおしるこを一口食べたいと言い出したのだ。京介は瑠唯とおしるこを交互に見ながら何か考えていた。

 

 「(おしること白玉ぜんざいって違いなんてそんなに無いだろ……でも仕方ないか)そら。」

 

 京介は脳内で考え事をしたが、諦めて匙でおしるこをよそってそのままそれを刺して瑠唯の口元に差し出した。瑠唯は『ありがとうございます』と言っておしるこを食べた。

 

 おしるこを食べ終えた瑠唯は即座に自分の白玉ぜんざいを匙で一掬いして京介に差し出した。どうやら等価交換で自分の白玉ぜんざいを一口分けてくれるようだ。

 

 「(待て、コレとさっきの……関節キスになるんじゃ……?)」

 

 しかし今更自分の行ないに気づいた京介だが時遅し、匙が口元にまで近づいたのであった。すかさず瑠唯を見るといつもと冷たい表情だが、その眼は何処か期待と嬉しさが込められていた。

 

 こればかりは京介も観念したようで、そのまま白玉ぜんざいを一口食べるのであった。

 

 「どうですか?」

 「うん、美味い。」

 「そう、お口にあって何よりです♪」

 

 瑠唯は食べてくれた事に対してか京介と関節キスができたからか、彼の方を見て微笑んだ。

 

 「(やれやれ、次から気をつけないとな……)」

 

 京介は先程の自分の行ないを反省しながら、関節キスした事を照れ隠ししながらお茶を飲んだ。

 

 

 そして甘味処で休憩を終えた二人は温泉街の街並みを歩いていた。途中土産屋に寄ったり遊技場を覗いたりしたが、コレが二人にとっては性に合ってるようだ。

 

 「さて、そろそろ時間だし旅館に戻るとするか。」

 「そうですね、遅刻は流石に駄目ですからね。」

 

 ふと何時か気になった京介は時計を見ると、集合時間まであと数十分後の所まで差し掛かっていた。

 

 二人のいる所から旅館までの距離は今から行っても集合時間に充分間に合うが、余裕を持たせて早めに集合場所に行く事となった。

 

 そしてその道中、京介は一つの土産屋に立ち止まって店内をジーッと見ていた。

 

 「どうしました?」

 「……すまない、少し待っててくれ。 寄る所がある。」

 

 そう言って京介は瑠唯に此処で待つようお願いして、先程まで見てた土産屋に早足で入って行った。店に入って数分経過して京介が小包一つ持って店を出た。

 

 「それは……?」

 「……俺から一足早い誕生日プレゼントだ。」

 

 瑠唯は京介が持ってる小包について聞いたが、京介は誕生日プレゼントだと返した。しかし京介の先程の行動で全てを察したようだが、予想通りになったのか嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

 そして京介はそのまま瑠唯に『誕生日おめでとう。』と言って小包を渡した。その後、二人は旅館まで足を運ぶ事となったーー。

 

________________________________________________

 

 その後はましろ達と合流して全員で大浴場で温泉に浸かった後は、食堂で夕食をとる事となった。(温泉は男女別なのは言うまでもない)

 

 食堂に着いた一行は仲居に食事の席まで案内された。案内された席には一人分の鍋や小分けにされた料理が全員分並べられていた。

 

 そして全員が座ったのを確認した京介は飲み物のリクエストをして全員分に飲み物が届き渡った後に、全員で乾杯して食事を始めたのだった。

 

 「うん、美味い!」

 「美味しいねぇ〜。」

 

 料理を一口食べた透子や七深が味を絶賛していた。ましろとつくしも透子に同意するようにウンウンと首を縦に振って、瑠唯も表情を表に出さないがぜんと同意しているようだ。

 

 そこから数分後、料理を堪能した全員は、途中話しをしたりだけど殆ど完食に近い状態まで食べ終えていた。普段好き嫌いの多いましろの食器でさえ綺麗に食べ終えているのであった。

 

 そして全員が完食して暫くした後、厨房にいた調理スタッフがお盆に乗せるバースデーケーキを持って京介達の元まで向かっていった。

 

 「こちらは?」

 「八潮様とそのお友達にと女将さんからです。 何でも八潮さんが今日誕生日だと言うので旅館側からのサービスです。」

 

 どうやら女将の計らいでバースデーケーキまで用意してくれたようだ。これには瑠唯だけでなく京介やましろ達も『ありがとうございます(!)』と言ってお礼を言ったのであった。

 

 そして京介と瑠唯以外の全員で『Happy birthday to you』を歌ったり(他の客の迷惑にならない程度にだが)、ましろ達が別行動中に買ってきたバースデープレゼントを瑠唯に渡した後は全員でケーキを食したのだった。

 

 

 そして食堂でケーキを食べ終えて部屋に戻る一行であったが……

 

 「でぁかぁら〜、うぁたすぃもきょーすけすぁんといきたくぁったんですぅ〜!(訳:だからー、私も京介さんと行きたかったんですー!)」

 「分かったから落ち着けましろ。」

 

 京介は今眼がトロンとして呂律が回っていないましろをおぶって部屋に戻っている最中であった。ましろ以外にも熟睡してる透子とつくしをそれぞれおぶっている瑠唯と七深も京介の後を追っていた。

 

 実はケーキを食べてる最中にスタッフが飲み物を持ってきたのでそれを飲んだましろと透子とつくしだが、スタッフが誤って出した飲み物は実はお酒で、それを知らずに飲んでしまったのであった。

 

 透子とつくしはアルコールに慣れていないのは当然で、飲み終えた時に眠ってしまったのだ。それならまだ良い部類なのだが、ましろがお酒を飲んだ影響で酔ってしまい京介に対して酔った勢いで愚痴を言っていたのだった。

 

 ちなみに京介と瑠唯は口に含む前に匂いで、七深は口に含んだ時に違和感を感じたので、飲むのをやめたので何も影響はなかったのであった。

 

 その後は女将と配膳してきたスタッフが頭を下げた事でこの場は何とか収まったが、酔い潰れた二人と酔って騒ぐましろを部屋へ連れて戻る事にしたのだった。

 

 そして暫くして……

 

 「…………」スースー

 「眠っちゃったねぇ〜。」

 「本当ね。 まるで嵐が去った後のようだわ。」

 

 京介の背中で騒いでたましろは急に事が切れたのかぐっすりと眠ってしまった。その様子を見ていた瑠唯と七深はましろが何とか収まった事で呆れていたが安堵したようだ。

 

 そして部屋に着いて、早急にましろ達を事前に仲居が用意した布団に寝かせた後、京介達はお茶を飲んで一息ついた。

 

 時計を見ると時間は8時半を指していたが、三人とも眠気はまだ無かったので何をしようか考えた。

 

 「……仕方ない、ここはシンプルにトランプでもするか。それで構わないよな?」

 「私はいいですよ〜? ルイルイはやる〜?」

 「私もせっかくなので参加します。」

 

 少しして、京介が自分の鞄からトランプを取り出してこれで遊ぼうかと提案した。七深は即OKして瑠唯にやるか聞いたが、彼女も参加すると言った。七深はこの時普段はやらない瑠唯も参加するのは少し驚いたが何処か興味ありげに彼女を見ていた。

 

 その後はババ抜き、7並べ、大富豪と一通りポピュラーなものをした。途中で七深に睡魔が来たようで、彼女は離脱した。そしてそのまま布団の中に入って眠ってしまった。

 

 そして今は京介と瑠唯は先程の射的が引き分けだったのを思い出して、その延長戦としてポーカーをしている最中であった。そして……

 

 「フルハウス、ジャック3枚と7が2枚。瑠唯は?」

 「私も同じくフルハウス、クイーン3枚で10が2枚……私の勝ちですね。」

 

 お互いがフルハウスを出したが、瑠唯の方が役が大きいため彼女の勝利となった。そして用意された紙にペンで一本線を引き『正』の字が出来た。

 

 余談だが、ポーカーの勝負は先に5回勝った方が勝ちという至ってシンプルなルールである。

 

 「これで5勝、私の勝ちですね。」

 「お前、強いなぁ。」

 

 延長戦の勝者は瑠唯のようで、薄らと笑みを浮かべた。それを見た京介は何処か関心したように頷いた。

 

 「それで何をお望みだ? 何でも聞くよ。」

 「そうですね……」

 

 『勝った方は何でもお願いを聞く』と最初にルールを設けていたのと、言い出したのは自分の方なので瑠唯のお願いを聞く京介であったが、当の瑠唯は顎に手を当てて願い事は何にするか考えていた。

 

 「……今はありません。思いついたら、でいいですよね?」

 「もちろん、今じゃなくて構わない。 ちゃんと聞くよ。」

 「そうですか……ありがとうございます。」

 

 暫く考えたが何も思い浮かばなかったようで、思いつき次第になるが京介はそれを了承してくれた。

 

 そして時計を見ると11時半を差していて眠るにはちょうどいい時間となったが、京介は少し寒そうにしていた。

 

 「少し寒いな……俺は風呂に入ってから寝るから先に寝てていいぞ。」

 「分かりました、いってらっしゃい。」

 

 寝る前に風呂に入って温まってから寝ようと考えたのか、京介は風呂の準備をして部屋に備え付けてある露天風呂に向かった。

 

 

 露天風呂に入ってから数分、京介は風呂に浸かりながら星空を見上げていた。

 

 「あぁ……気持ちいいなぁ。星空と紅葉を見ながらの温泉なんてそう滅多に見れないなぁ。」

 

 京介は星空と紅葉を眼で交互に見ながら露天風呂を楽しんでいた。しかし京介は気づかなかった、景色に気を取られて露天風呂の出入り口の引き戸の開いた音に……。

 

 「失礼します。」

 「ん? っておわっ⁉︎」

 

 急に声をかけられたので誰だと思いながら京介は声のする方向に振り向くとそこには瑠唯がいた。

 

 今の瑠唯は脱衣所で着ている物は全て脱いでいるが、身体にバスタオルを巻いていて大事な所は見えてない状態で正座していた。

 

 「瑠唯!何をして「シッ」うぐっ⁉︎」

 「大声を出さないでください、倉田さん達が起きてしまうわ。」

 「……」コクコク

 

 京介が瑠唯を問い詰めようとしたが、彼女の手で口が塞がれてしまった。そして頷いた後、早く手を退けるようジェスチャーでお願いして瑠唯はすんなりと手を京介の口から退けた。

 

 「それでお前は何故此処に?」

 「私もお風呂に入りに来たからですよ、それ以外に理由が要りますか?」

 

 京介が目を逸らしながら何故瑠唯が此処にいるのか尋ねたが、彼女は真顔で風呂に入りに来たと答えた。そして瑠唯は『それに……』と言って言葉を続けた。

 

 「貴方と一緒に入りたかったから……それだけじゃあ駄目ですか?」

 「いや、流石にこれはアウトだろ……。」

 

 瑠唯は頬をほんのり赤くしながら京介と入りたかったと素直に述べた。その答えに京介は頭を抱えた。

 

 「それなら……先程のお願いを此処で使いましょう。一緒に入って下さい♪」

 「グッ⁉︎ 此処で使って来るとは……!」

 

 瑠唯が笑みを浮かべて先程言ってた『何でもお願いを聞く』という罰ゲームをここで提示してきた。京介も言い出したのは自分の方なので言葉が詰まってしまったのであった。

 

 「……分かったよ、好きにしろ。」

 「ありがとうございます♪」

 

 遂に観念したのか京介は了承した。それを聞いた瑠唯は『失礼します。』と言って湯舟に浸かり京介の隣まで近寄った。

 

 「あのー、瑠唯さん? もう少し離れてくれたら嬉しいんだけど……。」

 「イヤです。」

 

 瑠唯のスタイルは外見含めて『ホントに高校一年生?』って疑われるレベルで良いのだ。そんな瑠唯は今タオル一枚だけであり、男子高校生にとっては刺激が強すぎるくらいなのだ。もちろん京介も例外では無いが、脳内で素数を数えて平静を保っているのであった。

 

 「……京介さん。」

 「何だ?」

 「今日は私のワガママに付き合ってくれてありがとうございます。おそらく人生の中で一番素晴らしい誕生日を迎える事が出来ました。」

 

 突然瑠唯に尋ねられたので何事か聞き返すと、感謝の言葉を贈られたのだった。

 

 「俺達は当然の事をしたまでだ。 それとお前はまだ10代だろ?だったらその言葉はまだ使うな。人生なんて長い年月で見ればまだ歩き始めたばかりだ。これ以上に素晴らしい事があるかもしれないだろ?ならその時までその言葉は使わずとっておけ。」

 

 しかし『人生の中で』と言った瑠唯に対して京介は今は使うべき言葉では無いと返した。それと同時に、遠い未来で今日の事以上が起きた時に使えと諭したのだった。

 

 「それもそうですね……では先程の言葉は今後のためにとっておきます。」

 

 瑠唯は考え直してくれたようで、さっき言った事は別の機会に使うと誓ったのであった。

 

 「それと京介さん。」

 「何だ?」

 「こっちを振り向いて下さい、目を逸らしてばかりでは先程の言葉なんて意味が無くなりますよ?」

 

 京介は今の瑠唯の姿を視界に入れないように、ずっと目を逸らしながらの状態であった。瑠唯に痛いところを突かれたので渋々瑠唯の方へ振り向いた。すると……

 

 「……」チュ♡

 「⁉︎」

 

 振り向いた直後に京介の唇が何かに塞がれた。突然の事だったが京介は恐る恐る確認すると瑠唯が目の前にいたのだった。此処で京介は瑠唯にキスをされてるのだと初めて自覚したようだ。

 

 キスをする事数分後、瑠唯はゆっくりと京介の口を離しそのまま湯舟を出て出入り口まで歩いて行った。

 

 「では私は先に上がります。ゆっくりしていってくださいね♪」

 

 そう言って瑠唯は露天風呂から出たのであった。

 

 「……それは反則だろ。」

 

 京介は湯舟に浸かりながら顔を赤くしてただただ呆然とするのであったーー。

 

________________________________________________

 

 そして時間が経ち……翌日

 

 「いやー! 今回は楽しかった!」

 「そうだね、こんな機会全然ないもん。」

 

 一行はチェックアウトまで温泉に入ったりお土産を買ったりなどして時間が許してくれるまで楽しんだ。

 

 その後はチェックアウトをして送迎バスに乗って、新幹線に乗り継ぎをした。その後は席に座りながら今回の小旅行の感想を透子とつくしを中心に語りあってた。

 

 「眠そうですね〜。」

 「昨日は眠れなくてな……。」

 

 七深に眠たそうにしていると指摘された京介は自分の座席をフルリライニングしてアイマスクを着用してた。

 

 あの後、瑠唯との一件が中々頭から離れられなくて布団の中で素数を数えてたが、途中で朝日が昇ってきたため一睡もしてなかったのである。

 

 そして七深はましろ達が話し合っている所を見かけると、京介の耳元に顔を近づけた。

 

 「(……昨日はるいるいとお楽しみでしたね〜。)」

 「(知ってたのか……⁉︎)」

 「(こっそりとついて着て一部始終を見てたそうです。)」

 「(マジか……。)」

 

 昨日の瑠唯との一件について耳打ちしてきたのであった。それについて聞いた京介は静かに起き上がった。何故七深が知ってるかと言うと、瑠唯が露天風呂に入っていくのを布団の中からこっそり覗いていたので気になって後を付けたら京介と一緒に露天風呂に浸かっているところを見かけたとの事だ。

 

 瑠唯が脱衣所に入ってきた時にばったりと遭遇したが、これについて口外無用にする事で何とか場は収まったのだ。

 

 ちなみに京介達はこの時ヒソヒソ声で喋っていたのとましろ達は今回の旅の話しに夢中になってて、三人には聞こえていないのであった。

 

 「(大丈夫ですよ〜、この事は誰にも口外しないので 〜)」

 

 この件については誰にも口外しないと約束してくれたのだ。ホントかと思いつつ瑠唯に聞くと『ホントです』と耳打ちしてくれたのであった。

 

 そしてそこから何もトラブルも無く、新幹線は無事東京駅に着いた。

 

 駅の改札口まで進むと優奈と桜雪が出迎えてくれたが、桜雪は顔中絆創膏だらけで杖で体を支えるのがやっとのくらい満身創痍であった。優奈曰く『多少手荒になってしまいました。』との事である。

 

 その後は各自解散となったーー。

 

 

 その日の夜 瑠唯の家

 

 瑠唯は自身の部屋で、椅子に座りながら昨日渡されたプレゼントを机に並べながら整理していた。ましろ達からはハンカチやグラスといった旅先の土産屋で買ったものが並んでいた。その中にひときわ目立つプレゼントがあった。それを瑠唯は手に取ってマジマジと見ていた。

 

 「フフフ……京介さん、ありがとうございます。このプレゼントは気に入りました♪」

 

 京介がくれたプレゼントを手に取りながら瑠唯は表情が表に出るほど笑みを浮かべた。おそらくこの光景を見たMorfonicaや彼女を知るものがいたら『瑠唯が笑ってる……!』と驚愕するだろう。

 

 そして瑠唯は部屋の時計を見ると11時を差していた。少し遅くなったと思いながら京介に渡されたプレゼントを机に置いて、ベッドの中に入って部屋の電気を消した。

 

 机の上には先程整理したプレゼントが置いてある。その中でひときわ目立ったのは、京介がプレゼントした『全体が黒色で、赤色の椿が象られた櫛形の簪』であったーー。

 

 ーー終わり




 まずは感想、お気に入り登録をしてくれた方、こんな拙作を応援いただきありがとうございます!

 今回の瑠唯の生誕記念回は自分の中で結構気合い入れた部類に入ります!いやぁ、京介と混浴とはね……。

 京介「マジ勘弁してほしいぜ……。」
 瑠唯「♪」

 あははは……。あと次回は本編にしようかと思ったんだけど、D4DJの方をそろそろ執筆しないとね……それととある作家さんから合同小説のオファーを受けたのでそれの執筆をしないといけないから本編まで手が回らないのよ。だから今年中に出来るとしたら1話になっちゃうな。あとは遅くても年明けの1月になるね。

 瑠唯「結構スケジュールが過密だけど大丈夫かしら?」

 そこは気合いで何とかするよ。それじゃあそろそろお開きにしようか。それじゃあ……

 京介・瑠唯「次回をお楽しみに(してください)」

 次回の投稿はまだ未定になります。でもなるべく早く投稿できるよう努力しますので皆様お楽しみにして下さい。

 あとちょっとしたオマケもあるので興味のある方はこのままゆっくりスクロールしてくださいm(_ _)m

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 ひまり・モカ「「ちょっとした裏話〜!」」
 京介「オイ、今回出てきてないお前らが何故出てくる?」
 ひまり「だって出番欲しかったの……。」
 京介「ハァ……(溜め息)。それで裏話というのは?」
 モカ「今から発表しま〜す、それではどうぞ〜。」

 ○ちょっとした裏話
 その1 京介の好物

 ひまり「実は流川くん、プロローグのキャラ紹介のプロフィールではナポリタンとかりんとうが好物ってなってたけど、あとはあんこ類も好きなんだよ!」
 モカ「やまぶきベーカリーでもチョココロネが無いとアンパンを買ってるね〜。」
 京介「まぁな。ちなみにこしあんと粒あんは両方とも好きだ。」

 その2 京介の意外な特技

 モカ「ルカッチって意外とモノマネが得意だよね〜。劇中でもとーこちゃんのマネが上手かったもん。」
 ひまり「ちなみに本編未登場のRAS含めたガールズバンドのメンバーのモノマネだったらチュチュちゃんのマネが一番上手いんだよ!やってみて流川くん!」
 京介「しょうがねぇなぁ…………コホン、Hello Everyone。RAISE A SUILENプロデューサーのチュチュと申します。」声真似しながら
 モカ・ひまり「「に、似てる……。」」
 チュチュ「勝手に人のモノマネしてんじゃないわよ!」ゴミ箱を蹴りながら
 蘭「ハァ……(溜め息)」

 ホントに終わり!

R-18の小説を……

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