1-1 目覚め
目が覚めたら洞穴の中にいた。入り口から光が差し込んで来ている。
(ここは……どこだ?なんで生きている?私は死んだはずじゃ……)
混乱した。私は死んだはずだ。あの高さから落ちて生きているはずがない。それに私は自分が死んだという謎めいた確信があった。
不意に腰の方から違和感を感じた。自分の後ろの触れていないはずの地面の感触がするのだ。
不思議に思って振り返って見てみると、そこには
恐る恐る触ってみると、ツヤツヤした感触と同時に、尻尾に触られている感触もあった。まるでこの尻尾が自分から生えているみたいだ。いや、実際自分の腰から生えている。
試しに尻尾を意識して力を入れてみると、尻尾が動く。不思議な感覚だ。
しばらく夢中で尻尾を動かしていたが、その内また最初の疑問が鎌首をもたげてきた。
(なんでこんな事になっているんだろう。)
しかし、それに対する答えはいくら経っても出て来なかった。私は仕方なく立ち上がった。
(死ぬはずだった身だ。もうどうにでもなれ。)
取り敢えず外に出てみる事にした。
外に出ると、まず目に飛び込んで来たのは見渡す限りの大地。地平線だ。しかし、そこには明らかに異様な物があった。結晶……と呼ぶべきだろうか、巨大な黒い物体が幾つも大地から
(なに……あれ……。あんな物がある場所なんて聞いた事が無い。ここは一体どこなんだろう?)
周りをよく見ると、所々に大小様々な黒い透き通った石が転がっている。一つ手に取ってみると、思っていたよりも重い。表面はツルツルしている。そしてそれは何とも言えぬ魅力を放っている。
(綺麗……何だろうこれ。)
地面に捨ててその場から動こうとしたが、その魅力に抗えず、結局持って行く事になった。
私が出てきた洞穴は、小高い岩山の麓にあった。やはりと言うべきか、その山のあちこちに黒い石が生えている。
私は、岩山に沿って歩き始めた。しばらく行くと、小さな泉があった。澄んだ水が湧き出ている。
水を見た途端、私は強烈な喉の渇きを覚え、泉に駆け寄って水を飲もうとした。水面を覗き込んだとき、私はそこに映り込んだ
それに私の顔はこんなに整った顔ではなかった。銀色の瞳孔、少し上がった目尻、形のいい眉、整った鼻筋。所謂「美人」の顔だ。私は自分の体の変化が尻尾だけでは無かったことを知った。いや、最早元々の体かどうかすら怪しい。そんなことを思っていると、驚きが醒めたのか、先程の渇きがまた襲ってきた。慌てて水を飲んだ。
ゴクッゴクッ
とても美味しい水だ。
喉の渇きを癒すと、急に眠気が襲ってきた。私は急いで洞穴に戻った。様々な疑問が頭の中で渦巻いていたが、とても眠いので寝ることにした。体を洞穴の壁に寄せると直ぐに眠りに就いた。