目が覚めるともう朝だった。洞穴から朝日が差し込んできて眩しい。
私は寝転がったまま、昨日起きたことについて考えた。
自分は死んだはずだった。しかし、何故かここにいた。姿が変わっていた。もしかしたらここは地球ですらないかも知れない。にわかに信じ難いが、昨日見た景色と、腰から生えた尻尾がそれを如実に物語っている。
これからどうしていけばいいのだろうか。どうやって生きていけばいいのだろうか。いや、そもそも生きている必要も無いかもしれない。生きていても、辛いだけだから。
(そういえば、自分が何を着てるか気にして無かったな……)
体を起こすと、自分が何を着ているか確認してみる。上は簡素なTシャツ、下は7分丈程のズボン、下着もごく簡素なものだ。どれも使い古された跡がある。服を調べていると、自分がシャツの下に首から何か掛けていることに事に気付いた。何かの牙を模したペンダントのようだ。材質は分からない。よく見ると、裏に文字が刻まれている。
(C…a……mi…le。Camile。カミル?誰かの名前かな?)
(あれ……?私の名前ってなんだっけ……?)
必死に自分の名前を思い出そうとしたが、記憶に靄が掛かったかのようになって、思い出せない。しかし、その名前も今の自分には要らないかもしれない、とも思った。
(喉が渇いたな……。水を飲みに行こうか)
私はゆっくりと立ち上がると、外に出て、昨日の泉に行った。
水を飲み終えてぼーっとしていると、近くの岩場からカサカサと音がした。不思議に思って近づいてみると、そこには巨大な虫がいた。
体長は30㎝程だろうか。丸っこい体の下に6本の足が見え隠れしている。そして頭部には棘の様な角が生えており、大きな黄色い目をしている。
(き、気持ち悪い……)
私がそっと戻ろうとしたその瞬間、そいつは私の方を向き、襲い掛かってきた。とっさに左手を前に出して防いだが、そいつは私の腕に噛みついてきた。
腕に痛みが走る。その瞬間、ある光景がフラッシュバックする。私は体育館裏に居た。いじめっ子が私の頬をはたく。腹を殴られる。全身を蹴られる。痛い。止めて。助けて。声が出ない。心が恐怖に支配される……
「ぎゃっ」
あまりの痛みに我に返る。虫はまだ私の腕に噛みついている。無我夢中で腕を振ってそいつを引きはがそうとしたが、なかなか離れない。渾身の力を込めて右手で殴ると、そいつはグシャッと潰れた。虫の体液が体にかかる。腕が痛い。
私はその場に座り込んだ。
すると、またカサカサと音が聞こえ、さっきの虫が現れた。そいつは頭に長い触覚が生えていた。
「っ!」
私は直ぐに逃げようとした。しかしそいつは「シャシャシャ!」と鳴きながら私に向けて毒液を飛ばしてきた。
「ぐっ!」
右腕に当たった。焼けるような痛みが襲ってくる。右腕を見ると、服は破れ、焼けただれた様な皮膚が露出している。
私は逃亡を試みたが、再び飛んできた毒液を避け切れずに足に当たってしまった。
足にも激痛が走る。もう逃げられない。あいつはもう三度目の毒液を飛ばそうとしていた。
「ぐぅぅぅっ!」
私は本能に従いそいつに向かって飛び込んだ。足がまた毒液を喰らい悲鳴をあげる。しかし私はそれを無視して虫に殴りかかった。こぶしは躱されたが構わず殴り続ける。そいつは毒液を飛ばしてきたが、ギリギリで回避する。また殴りかかるが、機敏に躱される。そして体勢が崩れた私に、毒液を飛ばしてくる。避け切れずに被弾する。全身が激しく痛む中、私は半ば諦めていた。
(もう諦めよう。そうすれば楽になれる)
しかし、私の生存欲求と心の底にある微かな思いがそれを拒んだ。
そんな最中、私は不意に自分に付いているある
グシャッ
虫の体はバラバラになって絶命した。虫の酸が尻尾にかかったが、不思議と尻尾は痛まなかった。
「ハアッッ、ハアッッ」
私はその場に倒れこんだ。全身が痛い。
しばらくして、私は起き上がると、泉の水を飲み、傷口と尻尾を洗った。
私は這うようにして洞穴に帰り、そのまま泥の様に眠った。
お待たせしました。三話目です。
三話目から早速オリジムシと戦っている……
それはともかく実際のオリジムシは我々がゲームで見るよりもずっと気持ち悪いです。(多分)それに大きい……