人か喰種か両方か   作:札幌ポテト

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18話

3月j日

 

深夜の流島へ上陸した。

陽動役である私はCCGの船舶をいくつか破壊、多数の捜査官が現れたが全員倒した。

本島からの増援が来るには時間がかかるのでそれまでにエトさんへ夙成の回収をお願いしたが、既に持ち去られた後だったらしい。

元から管理も面倒というのもあり受け取らなかったが、今更必要になると貰ったけばよかったと勝手に後悔している。

 

流島は船で脱出に成功、今後の策を練りたいと思う。

 

3月k日

 

CCGの研究所、金木達が侵入した影響で警備が固くなっている。

指紋認証の他に虹彩認証、それにそれなりの数の警備が置いてある。

ただの兵ではない、Vが警邏を行なっている。

ただここまで警戒しているという事は、それだけ大切なものがあるとも言える。

 

少しばかり策を練らねばならないだろう。

 

4月l日

 

明日、決行

 

 

「思ったより荒れてますねー」

 

ラボに付いて出た一言目に、そう伊丙が口にする程ラボは至る所に破壊の跡がある。

目に見える監視カメラは全て破壊され、恐らく彼女達が来るまでにあらかた破壊を済ませているのだろう。

 

「……地下か、行きますよ」

 

だが、下から誘っているのか血の匂いがする。

この程度の相手に不覚をとる相手ではない、わざと傷でも付けたのか前もって準備したのか、その匂いが誘いなのは明らかだ。

 

だが、伊丙はそんなことは承知で向かう。

オッガイもまた、彼女について行く。

 

道中に気を失った警備兵、もといVもいたが特に気にせず進んでいくと。

 

「……久しぶりだな、伊丙」

 

そこにはもはや見慣れた存在、成がいる。

ただ手にあるクインケは見慣れないものがある、かなり大物の太刀と短刀が片手で4本持っている。

 

「殺される覚悟はできましたか?」

 

「できるわけないでしょ」

 

変則的な五刀流、ナイフを大量に扱う捜査官はいるが短刀はナイフよりも大きいものだ。

扱い方を知る人どころか扱える人間すら居なさそうな武器構成に、彼女からは思わず笑みが溢れる。

 

「新しいクインケですかー、じゃあ私もお披露目ですね」

 

向こうが曲芸的な何かを行おうと、それを根本から破壊する。

そうぎらつかせた双眸はあえてまだ赤くない、代わりに彼女の新たな相棒が展開される。

 

漆黒の長槍、それには成は見覚えがある。

 

「IXAですか」

 

「欲しかったんですよ、ずっーと。試し斬り、良いですよね?」

 

有馬貴将の使用した武器の一つ、S+レート甲赫のクインケだ。

盾としての機能のほかに、地面を這わせた触手で貫くといったギミックまで搭載した万能のクインケだ。

過去には当時SSレートの金木研を圧倒した武器でもある。

 

「自由に動いて良いですよ、ただ殺すのは私です」

 

だが今回は彼女だけではない。

周りにいるのはオッガイの中でもとりわけ、指示を聞く程度の制御のできる物が集まっている。

つまり、連携を行えるオッガイだ。

 

それぞれが赫子を展開し、Sレート以上の暴力が振るわれるのは間違いない。

 

しかし、その様子を見ても成に動揺はない。

すべて想定内といった様子だ。

 

「今回は、加減しませんから」

 

その上で、クインケを構えた。

 

「その減らず口、閉じるまで遊んであげますよ」

 

あえて伊丙は赫子を使わずに突っ込んだ、そうすればすぐに決着がつき面白くないと考えたからだろう。

この前と違い6人もオッガイがいる、それと戦うのすら辛いものになる。

実力的には拮抗していたからこそ、伊丙のその推測は間違っていない。

 

「……この前より動けてますね、ドーピングでもしましたか?」

 

だが瞬間、2人のオッガイが赫包を破壊された。

別に大きな隙があったわけではない、単純な事であるが前よりも動きが速いのだ。

以前の戦闘は映像としてデータがある、それを前もって頭の中にいれていたからこそオッガイ達は虚をつかれたといった様子だ。

 

「まぁ、そんな所ですね」

 

赫包を破壊した成だが、そのまま立ち上がろうとした2人の手を切り落とした上で気絶させる。

オッガイは並のグールの回復力すら超える生物だ、腕の欠損程度は後で修復できると知っての行動だろう。

 

「……殺さないなんて、甘すぎません?外の警備も全員生きてましたし、よく有馬さんのパートナーなんてできてましたね」

 

だからこそ、変わらないその姿勢が気に食わない。

外にいたのはV、つまり成熟した0番隊のような存在でありそれを全滅させただけで満足していないのも腹立たしい。

 

「あの命まで背負いたくないからですよ」

 

「……甘ったるいなぁ」

 

Vがどのような集団かはわかっている様子だ、しかしそれでも命を奪わないというやり方に嫌気がさしてくる。

 

「まぁ背負うとか意味わかりませんし、どうで良いですけど」

 

そう言うと彼女はT-humanも解放する。

同時にその瞳は今度こそ赤黒く変色して行く。

今度は少し本気を見せる、周りのオッガイにもそう喚起するとまた刃を向ける。

 

決着まで、あと25分。

 

 

「ラボには一度、クインケの改修で行ったことあるので内部構造は分かっています」

 

ラボの簡単な地図を地面に描く成、それなりの広さのある敷地の図解であるが要点は抑えられているようで話は通しやすそうだ。

と言ってもエトも全く知らない場所ではない、知識としては彼女も頭の中にある。

 

「地下にクインケの試運転ができる部屋があるので、ここへ伊丙を呼び込みます。かなり広いですし、邪魔も入り辛いでしょう」

 

「時間は?」

 

「長くて30分、それ以上はデッドラインです」

 

成は大勢の捜査官に囲まれたが、あの時逃げれたのは運の要素以外に草薙の存在が大きい。

地形を変え、斜線を切り、数の不利を緩和できたからだ。

だが、今はそのクインケが破壊されている。

グールとしてならば逃走は可能だが、人間として同じ状況になれば今度こそお縄につく。

 

「なので私は周りの制圧と監視施設の破壊を優先します。こっちは10分で蹴りをつけるので、エトさんは薬の奪取を」

 

オッガイを率いる彼女達の移動速度は地形を無視しているので車よりも早い、その気になれば10分もかからないだろう。

そして普通の捜査官は到着に20分、包囲網の構築に5分かかると成は推測している。

そこからラボへ無理に攻め込む必要はないが、体制の整った捜査官達と戦うのは非常に厳しいものとなるだろう。

 

ただこのデッドラインはあくまでも、伊丙との戦闘時間である。

 

「後、今回に関してはグールとしての力を存分に使ってください」

 

「何か心境の変化でもあったかい?」

 

「そうではないですよ、今回で目に見える共闘を演じます」

 

グールを守る為に戦う人間は出来た、後はグールと共に戦う人間の姿を見せれば成遼太郎の本気度が分かる。

だがこれ以外にも一計、講じるつもりではあるようだ。

 

「なので、包囲に来る部隊……S2かS3だとは思いますが、それも利用します。その時のために、赫子は温存しておいてくださいね」






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