人か喰種か両方か   作:札幌ポテト

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3話

捜査官の中でも異端である人物がいる。

隻眼の梟に妻を殺され、特等に至れる実力と実績を持ちながらも上等のままでいる男がいる。

 

真戸呉緒、それが彼の名だ。

今しがた片付けたグールを前に、特に気にせず部位の良さを語ったりしながら世間話を始める程に倫理観がぶっ壊れている。

グールは殺す、子供であろうと変わらない。

そしてそれに付き従っている青年の名は成遼太郎、二等捜査官だ。

世間話に付き合わされている。

一応は亜門一等を含めたトリオなのではあるが、今は2人だけだ。

 

「成くん、君は私を変人だと思っているね」

 

「私に限らないと思うんですが……」

 

死体を放置しておくほどやばい組織ではないので、片付けが来るまで待機している2人、一般人が見れば卒倒するだろうし、必要な仕事だ。

 

また、最初の頃とは違い気を使わないコミュニケーションが取れている。

 

「そして君も同様に扱われているんだが」

 

「え、そうなんですか!?」

 

「だがまぁ、君は今のを聞いて気にしていないだろ?」

 

「まぁ……そうですけど。何となく真戸さんとトリオになってから皆距離の取り方エグかったですし。亜門さん連れずに私だけ連れた時は大抵無茶振りですし……結構一緒にいた気がします。それでもまぁ……何言われても気にはしないですね」

 

「私もだ」

 

お前は気にしとけよという目で軽く睨む成二等、ただその目はまたこの人変な事を言い始めたよという若干の諦めの入った親愛のある目をしている。

 

「私には絶対的な自信と使命がある。それは君も同様だろう、そして……それに裏付けられたものは、5年前にあった地下での生還かな?」

 

睨みつけていた成であるが、軽く目を逸らす。知られたくない何かへ迫っていたのだろう、何も言わず無言の時間ができてしまう。

だが、話し始めたのはそんな事を追及する為ではない。そんな事をするのが少なくとも、幸か不幸かこの真戸のパートナーとなった者へ与える試練ではない。

 

「こんな所で腐っているのはよしたまえ、良い上司を勧めよう」

 

ビクッと肩が揺れた。

以前はもっと素直に反応して面白かったのだが、大人へなるに連れて反応が薄くなって来た成の拒絶反応。

また見られたのは良かったが、それ相応の事をしてもらい続けて来た。

 

「……一応確認しますが、真戸さんよりマシですか?いや真戸さんじゃなければそうだと思いますけど」

 

「太々しくなったねぇ、最初は必死に敬語で相手してくれたのに」

 

口を開いてくれたが、警戒心は解かれていない。

結局、彼の核心までは真戸でも知る事は出来なかったがそんな事はどうでも良いのだろう。

ただ、良い素質は良い形で終わらせたいのである。

 

「上等に振り回されてたらそうもなります、何回囮にしたか覚えてますか?」

 

「10回を超えてからは気にしてないねぇ」

 

「はは、娘さんに泣きつきますよ?」

 

娘に泣きつくと言っても歳はそう変わらないのだが、流石に愛する娘を盾にされては敵わない。

この歳でも亡き妻へ泣き付くだろう、それぐらい愛おしい。

だからこそ、この若者に真戸はその娘の未来が明るくなるような世界にして欲しいのだ。

もう喰種捜査官になる事を決めている娘を、この界隈で任せられる少ない人間である。

 

「これからも、頑張りたまえ。ちょうどいいし、この前片した奴を持っていくといい。そろそろ出来上がる頃合いだ」

 

「あの、さらっとSレートの羽赫渡さないで貰えませんか……?」

 

「あいにくと、私は羽赫をあまり使わないからね」

 

成遼太郎を見た真戸の評価であるが、ある程度のレートを単独で倒せるだけの実力はあると考えている。

特に、攻撃を避けるのが上手い。

この羽赫も彼がいたから容易に真戸はトドメをさせた、餞別としては申し分のない物だろう。

 

「ところで、どこの班へ?」

 

「そのうちわかるさ」

 

これからCCGに何かしら影響を与え、牽引していく者。

その途上者であると、この時から見抜かれていたのを成は知ることは無かった。

 

 

◯月k日

 

あの人ぶっ殺してやろうかな。

そう思うのも仕方ないと思うんだ。

 

黒磐特等の部隊へ編入させやがった、幸いなのはパートナーがいない事だけである。

案件が基本的にAレートを超えている、しかも捜査そのものは単独でやらせようとしてくる。

出会ったら処理しろとでも?こちとらまだまだ人生走り始めた19歳やぞ、老い先短いあんたが勝手にやれやジジイ!とか心の中でクソほど思ったが言えるような立場でもメンタルでもない。

頑張ってバレない程度に戦うのをサボろうと思う。

 

◯月l日

 

グールというのはマスクを被っている、面が割れない為だ。

そこから名称がつけられたりするのだが、最近とあるグールがこの界隈で有名になっている。隻眼の白虎、レートはSで白い虎のマスクをしている。

身体能力、特に体術が凄まじく被害は確認されていないが相対した准特等と上等を素手で撃退したらしい。

またその赫眼は片目のみ、つまり隻眼であった事で不吉な存在としてレートはSで評価されたらしい。

事実、隻眼の喰種は不吉の象徴であるのだから妥当な判断だろう。

 

……うん、私だね。

 

いや違うんだ、違くないけど違うんだ。

 

マスクはグールとして試してるのが見られてもバレないようにするのと、グールそのものへの聞き込みが出来てどこにやばいグールがいるか調べるのに良かったのだ。

 

街中での移動練習にもなるし、そこは気にしなかった。

いつもの情報屋の所へ行ったら情報屋が殺されてその2人がいただけなのだ、断じて私は悪くない。

ぶっ飛ばしたが殺されそうになったんだから仕方ない、殺してないし怪我もそこまで大きくしないように心掛けた。

 

ただ被害なしでSにするのはヤバいな、これ特等動いてくるんじゃん。

 

朝一番で要注意グール扱いされたわ、しかも担当黒磐班ですけど。

しばらく、不用意な外出は控えよう。そうしよう。

 

◯月n日

 

父が亡くなった、母と同様老衰だった。

しかし42歳である、若過ぎるがそういう家系なのだろう。

 

峠を迎える日、私は病院へ行った。

ぐったりとした様子で、もう私の顔も見えないだろう。

 

しかし雰囲気で分かったのか、父は私を呼ぶと耳元で呟いた。

 

和修に気をつけろ、それが父の最後の言葉であった。

 

×月m日

 

最近グール界隈が賑わっている。

いやもっと前から名前そのものは知られていたそうだが。

アオギリの樹、という組織が本格的に動き始めたらしい。

私にすら声がかかって来た、情報屋経由ではあるが断りを入れておいて貰った。

流石にやべー奴らには関わりたいくないのである。

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