人か喰種か両方か   作:札幌ポテト

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4話

11月16日

 

真戸上等の告別式が行われた。

20区での出来事だ、超凶悪なグールを相手したわけではないが殺されてしまった。

亜門一等からは頭を下げられてしまったが、これに関してはどうしようもない。

人の死ぬ日は、決まっている。それが真戸さんの場合は、その日だったという事だろう。

命を奪い続けていけば、報いを受ける。

いずれ私も、遅かれ早かれそうなる。

ただでさえ家系的に寿命は短そうなのだ、明日も生きらる保証はどこにもないのだと実感させられた日だった。

娘の暁さんにも会ったが、もうそろそろ彼女も捜査官になる。

こういった因果が回っていくのか、断ち切れないものなんだろう。

 

11月o日

 

真戸さんの事もあったので、グールとして20区に潜入しにいった。

のだが、情報はあまりオープンではなかった。

分かったこととしては『あんていく』という名の店が捜査官へ目をつけられないようにグールの支援をしていることぐらいだ。

私としてもあまり厄介方はごめん被りたかったので、噂話を聞く程度に収めた。

捜査官を殺した少女は直前に殺した親の子供、そのぐらいは資料でも知れていたが、やはり真戸さんは相当やっていた。

親の首を、鞄に詰めてプレゼントしたそうだ。

あの人の行動は全てグールを潰す為だ、これは肉体的にも精神的にも殺す為に。

なので何度かこの手の手法を試そうとしてる時に関しては真っ先に私がトドメを刺していた。

なので私の経歴では子供や親といった者の討伐が多い。

 

不必要に痛ぶるのは気持ちのいいものではない、真戸さんとは最後まで分かり合えなかったところであるが、因果だろう。

タイミングがあれば戦うし殺すが、自ら出向いてまで殺そうとまでは思わない。

 

暁さんや亜門一等がこの巡りに巻き込まれているのは少し心苦しいが、私のやる仕事ではない。

 

そもそもの目的は敵の存在と、何があったのかを知る為だ。

もう来ないだろう、そう思いながらこの日は20区を後にした。

 

12月p日

 

本格的にアオギリの樹が動いているらしい。

かなりまずい状況だ、私が駆り出される。

アオギリという組織に負けるとはカケラも思っていない、ただ相応の戦力のある場所なのは知っている。

そして私の所属するのは特等の部隊だ、1番強い人は当然1番強い敵と戦う。

よし、隙を見て逃げる言い訳を考えておこう。

 

12月19日

 

梟強い

 

12月q日

 

あれだ、この前の戦いは酷かった。

アオギリの樹の立てこもるアジトへCCGは襲撃した、その時に当然私はつれて行かれた。

遺書も書けと言われたが書く相手もいないので白紙で出したのもなんか言われて嫌な記憶ではあるが正直どうでもいい。

程々に出てくるグールと戦い、久しぶりに会った亜門一等なんかと行動していると、それは現れた。

隻眼の梟、SSSレートの現状最強のグールである。

立ち塞がる化け物、並の数は機能しないような存在だ。

 

そして当然、化け物と戦うのは殺されても大丈夫な人か対応できるような人である。

一応注意書きとして殺されても大丈夫な人というのは若さや家族の関係上、命の重さが比較的軽い人たちの事だ。

未来ある命を無益に散らさない、素晴らしい考え方である。

 

なので亜門一等なんかは追い出された。

 

ただ私も追い出されると思ったら首根っこ掴まれた。

 

亜門一等は追い出した癖に私は無理矢理残しやがったのである、おそらく過去に真戸上等とSレートの羽赫を倒した事があるせいだ。

梟は羽赫と甲赫を持つグールだ、ある程度の経験値の無いものが相手しても無惨に散る。

火力と経験が当然必要だ。

クインケとして過去に林一等がくれた物もあるが、選ばれたのは真戸さんのくれた物を持っていたせいもあるだろう。

 

普通に戦力として数えて来たのである。

 

一応この場で1番若いと軽く抗議したが、1番期待してると言われてしまい逃げるに逃げられない上に追い込まれた。

前を張りたくないのに張らされた、殆どの攻撃は紙一重で避けれたが気を抜けば簡単に殺されていただろう。

 

避けるのだけは上手いという評判が亡き真戸上等に広められたせいでこうなったのである、とりあえず地獄にいるであろうあの人は恨んでおく。

 

特等2人が凄いクインケを使っていたおかげで何とか戦いになりはしたが、回復力と耐久力が高過ぎたので勝負としては引き分けとなった。

ただ気分によっては全滅していただろう。

 

羽赫クインケ『大和』も然程効いていないように見えた、ああいった存在と戦うのはごめん被りたい。

 

それとグールの収容所『コクリア』が落とされた、同時並行でアオギリの樹がやった。

今後、忙しくなるだろうと特等から肩を叩かれた。

何がエースじゃ、ぶっ殺すぞ。

口に出せるようなメンタルはないけどな……。

 

1月1日

 

久しぶりに孤児院へ顔を出して来た。

育てのババア共には少なくないお年玉を渡して帰った、金は真戸さんの下にいたせいで少なくない量がある。

家を買えるほどではないが、今のボロアパートを出るには良い機会かもしれない。

 

ついでに0番隊の方にも顔を出してみた、いつの間にか女性になっている伊丙を見たが向こうは特に私を気にしている様子はなかった、ありがたい。

そういえばいつか泣かせるつもりだったのだが、さすがに17の少女と書いてバケモノと呼ぶ子にやるほど命知らずではないし、関わりたく無い。

 

なので嫌な記憶はさっさと忘れ、目的の後輩たちのところへ向かった。

後輩何人かそれはそれは良い子たちだったのでお年玉をあげた、正直私より稼いでそうだけどそこは気にしないでおいた。

 

 

捜査官達の話題というのは基本的にどのグールが出たとか、討伐したとか、階級が上がっただとか、そのような話が多くなってくる。

仕事柄仕方ないとは思うが、今の流行はやはりこの前現れた隻眼の梟の事である。

 

しかし、それを塗り潰す話題が今は多い。

 

「聞いたか、有馬の再来」

 

「あぁ……梟相手に、1人で時間稼いだんだって?」

 

「元0番隊だってよ、そりゃやべぇよ」

 

「二階級特進もあるんじゃねぇか」

 

「持ってるクインケも凄いらしいぞ」

 

局内を歩けばそんな話が何処からともなく聞こえてくる。

それだけ梟という存在はCCGの歴史の中でも大きな存在であり、それと渡り合うだけでもその捜査官の名が知れ渡るのだ。

 

そして今回渡り合った捜査官の名は成遼太郎、19歳の二等捜査官だ。

ただそれだけならばここまで話は大きくならない。

この話題が広まった一つの理由、それは有馬貴将と同年齢同階級での偉業が影響している。

 

当時19歳、二等捜査官の有馬は梟の腕を奪って撃退している。

 

そして成は特等達の支援ありきではあるが、梟を結果として撃退している。その事実は大いに話題を盛り上がらせた。

 

そして、ここにはその反響に対して苛立ちを抑えている人間がいる。

 

「どうした入、目付きが悪いぞ」

 

0番隊の副隊長を務める宇井のパートナーでもある人物の名は伊丙入、ニ等捜査官だ。

記録上16歳での入局になっているがその才能を買われ12歳から活動し、今でもその化け物じみた殲滅力は0番隊でも随一である。

 

「郡先輩は嫌じゃないんですか、あの雑魚成が有馬さんみたいに持ち上げられて」

 

「雑魚成って、今はそうじゃないみたいだが」

 

そしてここまでつっかかるのは、14歳で同じ部隊に長く共にいた成の事を知る人物でもあるからだ。

 

「有馬さんは梟を追い詰めて撃退してるんです、あんな内容知ってたら同じ言葉は言えませんよ」

 

今回の内容は今の盛り上がり方にしては確かに良くない。

成の行った事は基本的に囮である事と、何度か羽赫のクインケで敵の攻撃を牽制した程度だ。大局に絡む偉業を為しては断じてない。

 

ただ一緒に戦って救われた命が多いことや、その動きそのものは特等達に引けを取らなかった事から目にした捜査官が噂を広め、今に至っているのだ。

 

何かを為していないのに、自身の崇拝する有馬と同等に評価されているのが気に食わないのだ。

自身との打ち合いでは一度として負けなかった相手ならば、尚更である。

 

過去に地下で殿を務めた時も「よく死ななかったわ、運だけは良いのね」というほど、彼女は成をそもそも好きでない。

 

「まぁ、そのうち分かる。嫌でも成には、厄介ごとが増えていく」

 

宇井は有馬の事となれば熱くなる伊丙を宥めるが、確かに宇井としても今の評価が過大であるとは考えている。

多少なりとも0番隊にいた時期の成遼太郎を知っていれば、そう判断せざるを得ない。

 

「それを見てから、判断すれば良いだろ」

 

なのでそう言うしかない、伊丙のこれも話題が変わるまでの数日もしたら落ち着くだろう。

 

成遼太郎はただ若いだけの捜査官、それが浸透するのはいつまでか。

あげて来た少ない功績を思い浮かべながら、彼へどの様な無茶振りがされるのかを宇井は考えるのであった。

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