俺は四天王の中でも最弱...   作:胡椒こしょこしょ

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宣伝作品を書くのは初めてなので初投稿です。

※本作品は「#悪の組織杯」の宣伝作品です。
2021/06/16 00:00:00にて君もタグに 悪の組織杯 と入れて連載、短編、R18のいずれかで作品を投稿しよう!


キメてて速くて劣る奴!!

「うぐぅぁああ!!」

 

「駄目だ....こんなの、滅茶苦茶だ.....。」

 

とある埠頭。

一つの集団が呻き声を上げて一人、また一人凶弾に倒れていく。

そんな様を銃をマスケット銃のような物を構えるゴスロリ少女が一人笑みを浮かべて眺めている。

 

「あら....今回は雑魚しかいらっしゃいませんの?このセリーナ・ミグチャコフを応対するには少し貧相ではありませんこと?」

 

そう言いながら、また銃を発砲。

弾は空中を泳ぐように歪な軌道で飛んでいき、戦闘員を撃ち抜く。

 

「駄目だ...このままじゃ、船を守り切るなんて....、クソッ!ただの警備がなんでこんなことに!話が違うじゃねぇかぁ!!」

 

「落ち着けって!!今、掲示板に救援を申し込んだら四天王の一人が来てくれるって!」

 

「四天王だと!!それなら...なんとかなるかも!時刻さんか?それとも脳噛さんか!!?」

 

「バッカ!俺たちの上なんだからカミュ様に決まってるだろ!!」

 

恐慌状態になっている同僚に、救援が来ることを告げる男。

すると、俄かに男たちの士気が盛り上がる。

絶望に歪んでいた表情から希望が顕われる。

それを見て、セリーナは銃を唇に宛がいつつも言葉を紡ぐ。

 

「へぇ、四天王...ね。それならそれが来たら少しは楽しめるのかしら?」

 

「倒すことは考えるな!なんとしても救援が来るまで時間を稼げ!!」

 

俄かに沸き立ち、ナイフや警棒など各々武器を構えて臨戦態勢を取る戦闘員たち。

それを冷めた目で見つめながらも、左手の銃を自分の横へ。

そして右手に持った銃を自身の前へと構える。

 

男達はただ攻撃しようとはしない。

目的は防衛から時間稼ぎへと変わったからだ。

その意図を理解したのか、つまらなそうに鼻を鳴らすと左手の銃の引き金を引く。

飛び出した弾丸一つ。

それは、まるで意思を持つかのように空を泳ぐ。

それを見て、彼らの姿勢を低くしながらも彼女に突貫する。

 

一度放たれた銃弾は、視線の隙間を縫って一人の足を的確に撃ち抜く。

苦悶の声を上げる男。

そして、もう一度彼女から銃弾が鳴った瞬間。

その苦悶は連鎖状に広がっていった。

 

連続で引き金を引いていく。

自らの元まで近づくことが出来た相手に対しては、まるで舞踏会で踊りでも踊るかのようにひらりと避けて、脳天に零距離で弾丸をぶち込む。

さっきの比ではない程の速さでやられていく。

そして残りは3~4人。

 

「さて、時間切れということで.....あら?」

 

いとも容易く仲間たちがやられたのを見て足が竦む。

そんな彼らに銃を突きつけて、さながらチェックメイトを宣告するかのようなテンションで性悪な笑みを浮かべてセリーナ。

しかし、その言葉は尻すぼみになる。

 

彼女の視線は彼らの後ろへと向けられている。

目の前の強大な敵のその動作に警戒を示しながらも、その視線の先を見る。

すると、そこにはゴーグルを付けた茶髪の少年が一人立っている。

 

そして、彼はニヤリと笑みを浮かべると口を開いた。

 

「待たせたな....四天王が一人、“トリップ”。ただいま参上ォ!!!」

 

ハイテンションでそう叫ぶ少年。

待ちに待った四天王の到着。

しかし、彼らはどこか拍子抜けしたような表情を浮かべていた。

まるで、なんか思ってたのと違うと言ったような。

 

「...なんだ、その目は。四天王だぞ、強いんだぞ!」

 

『そりゃ四天王が来るって聞いて、お兄が来たらそんな反応になるわ....。寧ろ呆けているだけ優しいよ....。明らかに期待外れだもん....。期間限定SSR狙って恒常のSRが来たみたいなもんじゃん。』

 

「妹としての自覚があるのなら、お兄ちゃんに対して期待外れなんか言葉使うんじゃありません!あと兄ちゃんは恒常SRじゃない、せめて期間限定くらいの価値はある。」

 

少年はインカム越しに耳に響く少女の声に対して、諫めるように言葉を吐く。

そんな様を見て、セリーナは笑みを浮かべる。

 

「あらあら、四天王が来ると聞いて楽しみにしていたら、どうにも大したことなさそうではありません。前に一度お見受けした方の方が遥かにオーラがありましたわ。」

 

冷笑を浮かべるセリーナ。

そんな彼女を無視しながらも、周りの男に話しかける。

 

「お前たちは下がれ。後は俺がやる。」

 

「え”っ”!?ガンギマリさん自らが...!?」

 

どこか不安そうな表情を浮かべる彼ら。

そんな彼らの視線に溜息を吐きながらも、口を開く。

 

「あのね...確かに俺は他に比べれば少し見劣りするように見えるかもしれない。だけどな、俺だってお前たちよりも遥かに強いんだよ。良いから雑魚は引っ込んでろ。あと、その呼び方止めろ。」

 

『見劣りするかもしれないっていうか劣っているのは確かなんだよね。』

 

「...俺は普通だもん。他がインフレしてるだけだもん。」

 

耳に響く妹の言葉に拗ねたように反論する少年。

すると、おずおずと彼らは去っていく。

そんな彼らをただ見ているだけのセリーナ。

 

「...意外だな、背中とか撃つかなって思ったんだが。」

 

少年がそう言うと、彼女は鼻で笑う。

 

「私はこれでも貴族の出ですの。そのような野蛮な真似、思いつきもしませんわ。」

 

そう胸を張って言うセリーナに対して、彼は馬鹿にするかのような表情を浮かべる。

 

「へぇ?そうなんだぁ。ヘボAIMだから背中とか撃ってKILL数でも稼ぐのかなこのエセ貴族はって思ったんだけど。あっ、そっかぁ背中撃っても当たんねぇか。だからそんな力使ってるんだもんなァ?」

 

「,,,,なんですって?もう一度言ってみなさい。」

 

笑みを浮かべていた彼女の表情が一瞬強張る。

そのサインを見逃さずに彼は言葉を続ける。

 

「いや、別にぃ?何か遺物使ってやることが自分の射撃にオートエイム付けるとか頭足りてねぇんじゃねぇのかなぁ?って思ってさ。ベラベラベラベラ貴族だかなんだか知らないが、そうやって自分の努力じゃなくてズルしてる奴ってよく口は回るもんだなぁって思ってさぁ。」

 

『相手の遺物の詳細は未だ不明だよ。でも、あんな使い方してるってことはあまり貴重な物じゃないね。ほらっ、お兄ぃ屈伸!屈伸してやろうよ!おらっメスガキ冷えてっかぁ~?すぐお兄がボコして銃フェラさせてやるからなぁ~』

 

「俺隔てて煽るのやめろよ。」

 

少年は彼女を注意しながらも、屈伸をし始める。

そんな彼を見て、セリーナは青筋を浮かべた。

 

「安い挑発ですわ....、でも、私売られた喧嘩は買うことに決めてましてよ!!」

 

「お前がどうとかどうでもいいわ。御託は良いからさっさとかかって来いよ。チーミングお嬢様。」

 

少年は敢えて嘲笑しながらも、手招きする。

すると、彼女は銃口を彼らに向けて引き金を引こうとする。

その瞬間、彼の耳元で妹が言葉を発する。

 

『まぁ、さっきの連中の鼻を明かすって意味でも、兄ぃ楽しんじゃって!』

 

「せっかくここまで来た訳だし...なっ!」

 

ポケットからおどろおどろしい色の液体が入った注射を取り出すと、それを自分の腕に突き刺す。

ドクドクと液体が身体の中に入っていくにつれて、比例して心臓の鼓動がドクドクと早くなり、身体中にビキビキと筋のような物が広がっていく感覚。

頭の中が晴れるような解放感と共に、ジワジワ広がっていく痛みはいつの間にか快感へと変わっていた。

そして、身体を襲う衝動のまま血を蹴って駆け出した。

 

放たれた銃弾は、彼の元へと突き進む。

しかし、それはその向こう側の壁を撃ち抜くだけだった。

 

「なっ...!?い、居ない...一体どこ...キャァ!」

 

目の前に確かに居たはずの男が消えて、戸惑うセリーナ。

すると、視線がブレると共に顔に痛みが走る。

顔を殴られた。

セリーナが周りを見回すとそこにはさっきの少年が高速で周りを駆けまわっている姿が残像となって見える。

 

「高速移動....、小癪な真似を...ガッ!!」

 

『おぉ~、女の子相手にガチ腹パンって....流石兄鬼畜だねっ!そこに痺れる憧れる!!』

 

「...妹がリョナラーだった兄の気持ち考えたことあるか?」

 

苦悶の声を上げるセリーナと、それを見て喜々とした声を上げる妹。

そんな妹の言葉に複雑な表情を浮かべながらも、流れていく景色の中を駆けまわり、少女の身体に拳を叩きこんでいく。

すると、背後で警笛が鳴る。

視線を少し向ければ船が出航を始めていた。

 

(これで終わりだ....オートエイミングお嬢様。テメェなんか銃撃たせる暇与えなければこわかねぇんだよ。)

 

心中でそうほくそ笑みながら拳を握りしめる。

まっすぐに鼻っ面に拳をぶち込んで、その綺麗な鼻っ面へし折ってやる。

そう意気込みながらも拳を振りかぶった。

その瞬間、セリーナと彼の間に一人の人影が躍り出る。

 

その身は黒い装束に身に纏い、首元を長くて赤いマフラーが覆う。

手にはダガーを持っており、それで彼の拳を受け止める。

その姿はさながら忍者のようであった。

 

『えっ、なにこのミステリアスでエロティックなロリっ子。兄、私アレ欲しい!あ、あと5秒でヤクの効果切れるかも。』

 

「お兄ちゃん後半の方を先に言ってもらいたかったなっ!!」

 

妹に対して苦言を呈しながらも彼は地面を蹴って後方に退く。

後方に退くと、身体が重くなって頭に微かな痛みが一瞬走る。

そして、セリーナは自分を守るように立つ少女を見て笑顔を見せる。

 

「貴方は....申し訳ありません。まさかまた、御手を煩わせてしまうなんて....。」

 

「...通りすがり。きにしないで。」

 

そう一言で済ませると、彼と対峙する。

ポケットに手を突っ込み、ヤクを手に取る。

 

(...人数が増えた...が、船は出た。ならば目の前のコイツらと戦闘する必要もない。...それに二人だと結構きついな。)

 

『兄ぃ、どうする?薬使って逃げる?ほら船出たよ?兄ィの仕事は終わったんだよ?必要外労働なんかしなくてもいいだよ?』

 

「カナちゃん....そうだな。そうするか。」

 

そう答えると、彼は薬をゆっくりと自分の身体に注入し出す。

差し込むのはさっきとは違って2本。

 

「すぅー、はぁー....すぅー、はぁ......。」

 

深呼吸をして、乱れる心臓の鼓動を一定に揃える。

身体は今も荒ぶらんとせんほどに活力が湧き出している。

 

「これで、2対1ですわね。」

 

「覚悟。」

 

二人は臨戦態勢になる。

内ポケットに手を突っ込むと笑みを浮かべる。

 

「いや、戦闘の必要もない程に俺の勝ちだ。だから....失礼!」

 

そう言うや否や、懐から一つのアンプルを取り出して叩きつける。

それは彼の妹が作った衝撃を与えると1LDKまるまるの面積を視認不可能にするほどのスモークを発生させる薬品、それが入ったアンプルだ。

周囲は白い煙に包まれる。

そして、それが自分を完全に覆うのを確認すると陸上の選手のようにクラウチングスタートの姿勢を取って、そのまま駆け出した。

 

さっき以上の速さで、まるで推進剤でも点けているかのごとく駆け抜ける。

背後を見れば、咳き込む二人。

それを見て、笑みを浮かべて彼は大きな声を出す。

 

「なんだだらしねぇなぁ、そんななら俺らの邪魔するの止めちまえよ!ちょうどコスプレとかしてるんだし、動物の耳でも点けて競争でもしてたらどうだ?流行ってんだろぉ?まっ、そうしたとしても俺の方が速いけどな!!!」

 

『凄いよ兄...!実質逃げてるのに勝ち誇ってる!』

 

「お前が仕事終わったから帰ったらって言ったんだろ!?」

 

妹の言葉に吼えながらも少年は風を纏って走り続けた。

 

 

 

 

 

“レイブンネスト”。

それが俺達の所属している組織の名前だ。

表向きはネット上で同好の士を集ってコレクションの情報を共有したりする、会員制サイト。

しかし実際には遺物と呼ばれる尋常でない力を持った物を集めたり、様々な組織に横流ししたりすることを目的としている組織である。

名前も遺物を集める様がカラスが光る物を集めるという習性に類似しているという所から来ている。

 

四天王と呼ばれる4人の創設者によって作られた組織である。

そして、俺はそんな組織の創設者の一人だったりする。

まぁ、創設者連中の中では一番若いし後から加わったんだが。

 

「うわぁぁぁぁん!カナえもぉ~ん!チャットで他の四天王の連中に『あの程度の相手なんか倒して当然でしょwなんで倒せないの?www』とか『ククク、所詮ガンギマリは四天王の中でも最弱、ゴスロリやくノ一ロリに負けるなんて四天王の面汚しよ....』って煽られたよぉ~!なんとかしてよぉ~カナえもぉ~ん!」

 

自分の部屋から俺の妹、佳苗の部屋に入ると、俺は佳苗に縋りつく。

すると、佳苗は俺を見ずにパソコンを見ながら口を開く。

 

「兄、ちょっと待って。今二つのソシャゲの間で対立煽りしてるから。」

 

「...お前、何してんの?」

 

びっくりした。

まさか実の妹が心に傷を負っている兄なんかよりも下らないネット上の口論を優先するだなんて。

控え目に言って嫉妬で身が焦がれそうだ。

 

「オラオラ、金絞られるだけしか能のない奴がピーピーピーピーどちらの作品が高尚かとか語って馬鹿らしいんだよっ!どうせどっちもポチポチゲーで、流行が過ぎてしまえばお前ら忘れるんだろ?やっぱコンシューマーとPCゲーサイコー!PCゲー神!!お前らスマホゲー信者は私がR18のゴリゴリ凌辱エロゲやっている間に思春期の小学生男子みたいにスマホゲーのエロスキンで妄想して抜いてろよ!」

 

「別にスマホゲー好きな人が居ても良いだろ?それに、スマホゲーのキャラで抜いている人なんて、エロ同人とかの二次創作で抜いているのが大半だろうし、カナちゃんの最後の言葉は的外れだと俺は思うぜ。それともっと兄ちゃんを心配するべきだと俺は思うなぁ。」

 

悪い笑みを浮かべながら黙々と持っている数々のアカウントから誘導しながらも、こちらに視線を向ける。

そして不満を表すかのように頬を膨らませる。

 

「え~、兄が四天王の中でも最弱って言われてるのっていつものことじゃん?だったらいちいち気にするまでもないって言うか、実際一番弱いのは事実だし。」

 

「妹よ....、お前もか....。お前もお兄ちゃんの可能性を信じないのか....。」

 

本当に嘆かわしい。

兄である俺はこんなにも彼女の可能性を信じていると言うのに、どうやら片思いだったようだ。

すると、彼女は少し笑いながら言葉を続ける。

 

「いや、兄の可能性を信じる云々以前の問題でしょ?ほら兄が他の四天王の力と自分の力を思い出してみなよ。」

 

「分かったよ。少し待ってろ。」

 

俺以外の四天王。

時刻、彼は確か時を短い間だが止めることが出来る遺物を持っていた。

カミュ、彼女は空間転移だったか。

そして、業腹ではあるが実際に顔を合わせた回数が一番多い脳噛は精神干渉だった。

俺が出来ることはなんだ?

薬を使った高速移動。

....うん、明らかにインフレについて行けていない。

でもこれはしょうがなくないか?

俺以外の奴らみんな後半の少年漫画におけるインフレのような様相じゃないか。

 

それにコイツらどいつもこいつもムカつくことに、どいつもこいつも偽名だ。

自分が使いたい偽名を使っている。

その癖、俺が必死に使っているトリップと呼ばれる名前も、アイツらがふざけ半分で付けたガンギマリという名前で周知されてしまっている。

 

「...確かに俺が一番大人しい能力をしているな。でも、それでも俺が一番速いんだ!!弱くなんかないはず!!」

 

「速さでしか物考えられないのかよF1レーサーかよ。」

 

「俺は事故って爆発したりしないやい!!」

 

ましてや誰の指示がなくても角を曲がることだって可能だ。

バカにしないで欲しい。

心外だと言わんばかりにジト目で見つめていると、カナちゃんは溜息を吐く。

 

「わぁった、わぁったよ!あ~、可哀想でちゅね~。兄は速いからもうその時点で道徳的優位に立ってるもんねぇ~、走ってるだけで偉い偉い。」

 

「自分の使いたい遺物パチって使ってるだけなのに、薬だけで頑張ってる兄貴に色々言うのはおかしい、負け犬の理論、頭大英博物館って言わなきゃやだぁ~!」

 

「案外元気じゃん。」

 

ぺいっと俺をそこら辺に放る我が妹。

なんだ...最近冷たいな。

反抗期か?

 

「なんだお前、反抗期か....?お兄ちゃんが居なきゃ日頃の生活もままならない程にダメ人間の癖にお兄ちゃんに反抗して無事で済むと思っているのか?」

 

「うわっ、ノータイムで脅迫してきたよこの人....。ふんっ、その手は食わないもんね!お兄ちゃんはたとえ喧嘩した後でも私の髪と身体を洗った後に、歯を磨いてベッドで添い寝してきらきら星歌って寝かしつけてくれるもん!どうせ反抗したところでヘーキヘーキ。」

 

「...まぁ言葉の通りなんだが、そんな言い方されるとムカつくな。」

 

どうせ彼女のお世話をするのは合っているのだが。

兄として生まれてきた以上、妹が困っていると脊髄反射的に世話をしてしまう生き物なのだ。

だが、それをしたり顔で語られるのはムカつくな。

てか、結局の所俺に世話されることは否定しないのか....。

 

「まぁまぁ、ていうかなんとかしてって言われても私はあんまりここから出ないんだからどうしようもないっていうかさぁ....。」

 

「...まぁ、そうだな。」

 

「それなら、やっぱ兄が自分で行動を起こすしかないんじゃない?四天王最弱って言われるのが嫌なら。」

 

「そうだなぁ....。」

 

妹の言う通りだった。

四天王最弱って言われるのは本当に嫌だ。

俺も同じ創始メンバーなのになぜ俺だけおかしな渾名を付けられたり、軽んじられなきゃいけないのだろう。

それに.....。

 

「俺達さ、所謂悪の組織に居るわけじゃん。しかも創始メンバー。」

 

「そだね。」

 

「なのにさ、周りに舐められまくった挙句に救援とかに暇だろうって理由で回されるのっておかしくないか?他の連中が好き勝手にやってるのに。」

 

前回の船の護送もそうだった。

半ば多分他の奴らは行かないと言ったら本気で行かないんだろうな、自分の派閥の所が機器に瀕しているのになって思って、行ったのだが良く考えてみれば良いように使われているだけではないか。

 

「俺だって好き勝手悪いことしたいし、他の連中に舐められたままは嫌だ。多分アイツら、俺が創始メンバーの中で一番最後に入ったメンバーだからあんな軽いノリで弄って来るんだと思うんだ。だからすげぇでっかいことしてアイツらの鼻を明かしてやれば、俺の扱いもマシになるはずだ。」

 

「なんか凄いふわふわしてるね、そんでそれならそのでっかいことって何さ。」

 

妹は苦笑いを浮かべながらも話を聞いてくれる。

それなんだよなぁ。

デカい事と言ってもあんまり思いつかないのだ。

うーん。

 

「例えば、敵対勢力の排除とか?この前逃げた時のアイツらみたいなのを片っ端からちぎっては投げする感じの。」

 

「えぇ....大丈夫それ?噂によると他の四天王とも匹敵するような奴がいるらしいじゃん。兄、あっけなくやられない?」

 

そう、それなのだ。

一番困るのは敵対している勢力は一つではなく、そしてその複数の勢力の中で他の四天王と匹敵する実力者が居る組織は結構な数あるのだ。

それこそ、マジで俺はインフレから置いて行かれてしまっている。

余り現実的ではない。

だけど、それ以外ならどうやって。

 

「それではいけないでしょ、この愚か者が。」

 

俺が考えていると、背後のドアが開く。

すると、そこにはメイド服に身を包みながらも扉に体重を預けてクールに決めている女が立っていた。

 

「あっ、バイト終わったんすか樒さん!相変わらず麗しいお姿ですね少し匂いを嗅がせてもらっていいですか!?いいですよね!?!いっただきまぁ~す!!!」

 

彼女の姿を見た瞬間、我が妹が目を輝かせて狂ったように息を吸い始めた。

俺はこんなのと血縁上繋がってるのか、死にたくなるな。

まぁ妹はバイらしく、彼女が綺麗なお姉さん系だからこんな感じなんだろう。

度し難いね。

 

「じゃあどうすんだよ、てか今までの話聞いてたの?えっ、いなかったよね?」

 

俺がそう言うと、樒は鼻で笑う。

 

「壁に耳あり障子にメアリーよ。脇が甘いのね貴方、そういうところよ。」

 

「障子に目ありな。外国人少女が現れてるじゃねぇか。」

 

「敵対勢力を倒すのは不可能かどうか目を瞑れば確かに地位向上にはつながるでしょうね。でも、貴方の力量を考えるとそれは効率的とは言い切れない。であれば、最もいい方法は一つよ。」

 

「それはなんだよ....。」

 

突っ込んだのに、スルーされた....。

コイツが振ってきたボケなのに。

会話の梯子を外されて、凹みつつも彼女の言葉を聞く。

そして俺が質問をすると、彼女は笑みを浮かべて答えた。

 

「...勢力拡大と人員増加。まずは他の組織と色々繋がりを作って遺物に関するネットワークを独自に広げつつ、顔の効く組織を増やす。そして現状私達しかいないチームに使い物になりそうな子を探して組み込むのよ。そうなれば四天王の中でも重要度は上がっていくでしょう?そして、これは可能であればなんだけど....一つでも多く遺物を私物化するわ。」

 

「...おい、それはその...会則に反してるだろ。」

 

本来、会則によって遺物の使用は四天王だけに許されており、そして会議無しでの私有化は禁じられている。

他の連中が守っていないからと言って、俺が守らなければその秩序は崩壊したも同義だ。

それは、なんというか....俺が入った頃の“レイブンネスト”からの逸脱を意味しているようで気が進まない。

 

「でも、他の四天王の鼻を明かすならまず彼らと同条件に立つ必要があるわね。それが嫌なら後一つ方法がないことも....ないわ。」

 

コイツまだ躊躇ってんのかよと言わんばかりに呆れた目をする彼女。

しかし、少し考えながらも代案を出してくれる。

 

「本当か!?」

 

「えぇ。」

 

自信満々に頷く樒。

妹以外では、仲間はコイツ以外に居ないがそれでも俺は有能な人材に恵まれたようだ。

彼女の案とやらを聞こうじゃないか。

 

「敵対勢力と他の四天王勢力、そいつらの間で暗躍するのよ。できれば敵対勢力の一つは自分の物に出来たらいいわね。」

 

「出来るわけないだろ何言ってんだ。」

 

無茶言い出したんだけどこの子。

敵対勢力と言えば、公安の対異常物管理課やアカデミア、そしてラウンズ財団と色々ある。

俺達が遺物を他者に売りさばくことで起こる社会的不和を良しとしない勢力が。

そんな奴らや他の四天王勢力の間で暗躍する?

速く動けるだけの俺が?

そんなの命が幾つあっても足りないだろ。

 

「心配しなくて良いわ。貴方に出来なくても私には出来る。私が貴方を四天王最弱から四天王最凶へとプロデュースしてあげるわ。安心なさい、私これでも家にアイドルマスターのアーケード版があるくらいのプロデュースガチ勢よ。」

 

「ゲームじゃん。」

 

ゲームとリアルを一緒にするな。

もししくじった場合、俺の命がガメオベラなんだぞ。

 

「大丈夫だよ兄!兄がガメオベラになっても妹が樒さんと二人でこのチームをコンテニューしてあげるから!なんなら今すぐに逝って来ても良いんだよ!」

 

「お兄ちゃん泣くぞ。」

 

妹が女と二人きりになる為に兄を死地に追いやろうとする....。

なんだこの妹は、誰がこんな子に育てたんだ!

俺だったわ。

こんな形で今までの所業が帰って来るなんて....。

 

「まぁ何はともあれ、今は別にどうやって成り上がるかは決める必要はないわ。こういうのはケースバイケース。時と場合によるのだから。でも貴方はこれからどうするつもりか決めておくべきよ。」

 

「俺が...どうするつもり....か。」

 

「えぇ。貴方はこれからどうしたい?このまま他の連中に四天王最弱だと舐められたままか、それとも向上心を持って抗うか。」

 

俺はどうしたいか。

...そんなのは決まっていた。

会則を守ろうとする余りに他の連中と戦力差が開き、アイツらが付けた渾名が広まりガンギマリ呼ばわり。

思えば一番最後に創始メンバー入りしたからって馬鹿を見ている。

そんな扱いに甘んじるのは御免だ。

 

「...そんな物、決まってらぁ。速さが正義、俺が一番速いイコール俺が一番最強だ。それを思い知らせてやる。いつまでもガンギマリ呼ばわりは御免だね!!」

 

「そう言うと思ったわ。私も姉と話す時にネストに居るのになんでそんな所に居るの?って聞かれるの、堪えられなかったのよ。やる気になってくれて嬉しいわ。」

 

彼女は俺を見て、笑う。

なんだが、複雑な気分だった。

それにコイツ姉までレイブンネスト入ってるのか....。

 

「私達、やっぱりそんなところ扱いなんだ....。これはより一層これから頑張らないといけないって分かってる?分かってないと死んだほうがいいって分かってる兄、殺すよ?」

 

「お前、今日よく喋んな。」

 

そっちの方向ではすぐにやる気出すのかコイツ....。

中々、現金な女だった。

もっと兄だけの場合でもやる気満々になって欲しい。

なんというか悲しくなるから。

 

「さて、大方方針は決まったわね。じゃ、まずはリーダーさんに一つアドバイスよ。」

 

「なんだよ、アドバイスって。」

 

俺が言うと、樒は笑みを浮かべる。

 

「私達のチームよ。チームのことをチームと呼んでるの。前から単純だと思ってたのよ。他の四天王の所はもっとちゃんと名前を付けていたみたいよ?姉が言ってた。名前がダサいと人も来ないに決まってるわ。」

 

「お前の情報ソース、お姉ちゃんだけなの?てか、別に他が凝った名前付けてるんだったら単純にそのまんまでも構わないだろ。てかダサくなくない?無難でしょ。」

 

確か時刻は時計台、カミュは異邦人、そしてあのクソったれの脳噛はクオリアだったか。

どいつもこいつも気取った名前を付けていたので、なんかそいつらと違って妹しか居ないのに、自分も態々考えるの恥ずかしくなって普通にチームって付けたんだよなぁ。

 

俺が言うと、呆れたように樒は溜息を吐いた。

 

「はぁ...無難じゃダメだってなんで分からないのかしら。組織にも特徴がないからあなたの特徴も薄いのよ。」

 

「そーだ!そーだ!」

 

「カナちゃん....今日はお前一人で風呂に入れ。」

 

「あぁぁ!兄嘘だよ!う、うぅ...そ、その樒さんの言葉も分かるけど、兄はい、一応妹がいるって特徴があるかな....へへ....」

 

キョロキョロと俺と樒の顔を窺いながらそう言葉を告げる妹。

それさ、なんのフォローになってなくない?

いや、妹がいると言うことはこの上ない程に俺を構成しているファクターではある。

だがそれが第一の特徴なんて認めたくないやい!

 

「そうね、そんなに嫌がるならこういう名前はどう?小さい組織でありながら大きな大元へ下剋上。そこからリトルバ.....。」

 

「いや、駄目だろそれは。うん、駄目だよ。」

 

その名前は絶対にないな、うん。

それならチームのままで良いよ。

すると、再度彼女は顎に手を添えた後に、言葉を口にした。

 

「それならどうせ遺物を扱うことになるんだしアイテ...」

 

「いや、それもダメだから。リーダーがなんかビーム出せるような奴じゃないとその名前には釣り合わないだろ。」

 

コイツ、真面目に考える気があるのか?

すると彼女は心底うんざりしたかのように顔を歪めると、言葉を吐いた。

 

「さっきから人の案にケチ付けるだけで....それならあなたも考えてみなさいよ。たく、これだから脳味噌年中シャブ漬けは...イマジネーションが欠如してるんでしょうね?そんなだからガンギマリって呼ばれてるのよ。」

 

...は?

今コイツ、なんて言った?

俺の使っている薬をシャブだと??

 

「もう一遍言ってみろ!この薬はシャブなんかじゃねぇ!ちゃんとカナちゃんが俺の為に作ってくれた活性剤なんだぞ!脳に対しての影響も抑えられてるんだ!!そこまで言うなら、やってやるよ。名前ぐらい自分で考えることなんか容易いからね。お前なんかよりカッコイイ名前考えられるわ!!」

 

「へぇ、言うじゃない。じゃあこれから時刻が9時に回るまで名前を交互に出し合ってどちらが一番良いか決めるってのはどうよ。」

 

そう提案してくる彼女。

これから2時間後...か。

上等だコラ...後悔すんなよ。

 

「良いぜ、カナちゃん。」

 

「ふぇ、な、なに....てかなんでこんな話になってるの....?」

 

どこか困ったような表情になるカナちゃん。

話聞いてなかったのか?

やれやれ....困った妹だ。

 

「これから二人で名前を出し合ってどちらが良いか決める。カナちゃんがどちらが良いか決めてくれ。」

 

「公平な目線で頼んだわ。」

 

「いや、だから普通にちゃんと話し合って決めれば良いじゃん....いや、何ホワイトボード出してきてんの?話聞きなよ頭デュエリストかよ。」

 

佳苗は呆れた目で二人を見る。

しかし、二人は最早打倒すべき敵であるお互いの姿しか見えず、そして戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

「はぁ...はぁ....ドラッグ...オン、ドラグー...がはっ....。」

 

「キメ...セク....っ!」

 

「いや、2時間ぶっ続けで名前出し続けるのはキツイのは分かるけどなんで満身創痍なの?なんの傷なの?私は目の前で何故かボロボロになってる兄と樒さんが怖いよ....。私の知らない何かが起きてるの?...あと、汗まみれの樒さんなんかエロイ、要保存!!」

 

服もボロボロで体中汗ダラダラの二人。

それを見て、困惑しながらもボソリと所感を述べつつ携帯で写真を撮る佳苗。

しかし、そんな彼女のことなんか目に入らないと言った様子で思いついた名前を出しながら膝を突く。

そして、樒は彼を見て笑った。

 

「中々...やるじゃない。少し見直したわ。流石は四天王だけあるわね。」

 

「お前もな....、まさかここまで苦しめられるなんて....こんなことは生まれて初めてだ....。」

 

互いの健闘を褒め合う。

そして、不意に樒は顔を伏せた。

 

「貴方が名前を決められなかった気持ち、少し分かるわ。名は体を為す。だから...下手な名前で妥協なんか出来ない。名前を決めるって....こんなにも難しかったのね.....。」

 

「そう考えると、子供に名前を決める親って本当凄いよな....。」

 

どこか清々しい表情をした二人。

そして二人はゆっくりと立ち上がると、お互いの顔を見やる。

 

「..やっとわかったわ。危うくなって初めて、その尊さが分かるなんて...皮肉な物ね。」

 

「なに、まだ取り返せるさ.....。まだ決まっちゃいない。」

 

そう言うと、二人はゆっくりと佳苗の方を見やる。

そして口を開いた。

 

「カナちゃん、俺たちの組織の名前...決まったよ。」

 

「えぇ、もう論議の必要もない程にね。」

 

「えっ!?あ、あの...私が審査するって話じゃ.....」

 

聞いていた話と違うことに戸惑う佳苗。

しかし彼女の兄と憧れの女性はそのまま彼女の言葉を流して二人で息を合わせて言葉を紡いだ。

 

「「俺たち(私達)の組織名は『チーム』で決まりだ(よ)。」」

 

「....は?はぁぁぁあああ!?」

 

二人の言葉に詰め寄る佳苗。

そして、彼女は兄の襟元を掴む。

 

「ちょっ、何言ってんの!?結局はじめのまんまだし、それならさっきまでの二時間はなに!?いや、兄と樒さんは良いかもしれないけど、付き合わされた私の二時間返してよ!!」

 

ガクガクと首を揺さぶる佳苗。

しかし兄の表情は変わることはない。

 

「俺達は既に辿り着いてたんだ...大事な物はこんなに近くにあったんだな。」

 

「青い鳥ね....分かるわ。それに、なんか組織の名前とか言って変な名前付けるの、なんか寒いわ。やっぱりシンプルなのが一番なのよ....。」

 

「なんか成し遂げた顔してんのがメッチャムカつく.....!実際何も進んじゃいないのにぃ.....!!あと、青い鳥どこから出て来た!?それとそのシンプルなの変えようって言い出したの樒さん!!!」

 

必死に訴えかけるも二人は達成感に浸りながらも、お互いの意見に同調するばかり。

佳苗の話を聞こうともしない。

そんな二人に嫌気が差し、溜息吐きながらパソコンの前に座るとレイブンネストのチャットにメッセージが来ている事に気づく。

二人が二人だけの世界に入ってしまって暇な彼女は現実逃避と言わんばかりにチャットの内容を見始める。

 

「ねぇ、兄....兄ぃ!....いつまでやってんだ二人とも!!呼んでるんだから答えてよ!一瞬壁に話しかけてるのかと思ったよ!!」

 

「ん....?なんだいきなり。」

 

「なんかテンション上がってるわね。何か良い事でもあったのかしら?」

 

二人は佳苗が声を荒げてる理由に気づけておらず、首を傾げる。

そんな二人を見て、溜息を吐きながらもういいと口にしつつも、PCの画面を見せた。

 

「異邦人からのメッセージだよ。先日自分達が取引した梅松会がとある人物の護送を頼んだ。ただその日時に我々異邦人の方から出せる人員は居ない。よって君たちにこの仕事の代行を頼みたい。また、その際に梅松会の遺物所持状況なども調べることが出来るのであれば、本来の報酬に色を付けよう。君にとっても悪い話じゃないと思うよガンギマリ君。君の親愛なる友より...だって。」

 

かなり舐め腐ったような書き方。

彼はこれは多分書いたのはカミュだなと確信する。

彼には異邦人ではカミュ以外にコンタクトを取ったことのある人物はいない。

それに加えてカミュとはチャット上でしか喋ったことはないのだ。

 

「....かなり直球で顎で使われてるじゃない。」

 

「...あぁ。しかもこれ多分人員出せないんじゃなくて出さないんだぜ。しかも護送する人物の情報もない。そもそも護送なら俺らに頼むよりも時計塔に頼んだ方が良いに決まってるしな。」

 

「...これ、絶対に面倒臭い裏事情ある奴だよ兄ぃ~。どうするよこれぇ。」

 

三人は顔を見合わせて考え込む。

明らかに面倒な仕事の匂いがプンプンしている。

三人の間を漂う沈黙。

しかし、その沈黙を樒が破った。

 

「でも、これで他の組織...しかも他四天王と繋がりのある組織と接触出来るわね。しかも、相手側の遺物を探る理由も出来た。」

 

「そうだな....なら、この仕事受けるか!」

 

「えっ、マジィ?もし失敗とかしたらどうするの兄....?」

 

佳苗は彼を心配する。

すると、兄は彼女の頭を撫でた。

 

「大丈夫だ、考えてみろ。俺は今まさに四天王最弱なんだぜ?もう失敗しても落ちようがないんだよ。階段の一番下に居る。つまりは後は何も考えずに駆け上がる以外に出来ることもないってことだ!速い俺なら余裕だな。」

 

「失敗した時は失敗した時に考えれば良いのよ。それに、佳苗さんの医術と私の情報網、そしてリーダーの走破緑があれば中々良い所まで行けるはず。信じて....。」

 

「....うん、そうだね。じゃあ受けるって返信する。」

 

二人の言葉を聞いて、弱弱しくも受け入れる佳苗。

組織の名前も、人数も何も変わっていない。

しかし、確かに今日彼らの組織は生まれ変わったのだ。

自身の現状を受け止めて、向上心のままに成り上がろうという目的を抱いたのだ。

確かに今、始めの一歩を踏み出した。

 

「あ”っ”っ”!!」

 

「どうしたカナちゃん!?ワンクリック詐欺にでもかかったか!?」

 

急に声を張り上げた妹に駆け寄る。

すると、どこか震えながら顔色を青くして彼女は兄の問いに答えた。

 

「やばっ....やっちゃった....。対立煽りしてた時にコピーした煽り文、間違えてペーストして送っちゃった....。」

 

文面には喜々として相手を煽りつくした、受け取れば明らかに不快感を感じるであろう有り様。

それが仕事を頼んできた相手に、しかも自分と同じ四天王の一人へと送られたのだ。

そんな彼女に冷めた目を向けながら、彼は妹に告げた。

 

「....カナちゃん、お前今日から一か月SNS禁止な。」

 

「ネット断ちして性根叩きなおした方が良いと思うわ。将来を考えると。」

 

「ご、ごめんなさい!ネット断ちは勘弁してください!私にとってネットは酸素と同じくらいなくてはならない物なんだ!ネットがないとお兄ちゃん死んじゃうよ!ねっ?ねっ!?そんな酷いことしないよね?ね?」

 

必死に手を合わせ、兄に対して精一杯の上目遣いをしながら頼み込む彼女。

そんな彼女の奮闘も虚しく、彼はパソコンに手を伸ばしていき、樒も黙認する。

こうして、彼らの四天王最弱から脱する為の日々が始まったのだった。




Q.レイブンネストってどんな組織なの?
A.簡単に言うとネット上のコミュニティのような物です。レイブンネストという大きな枠組みの中で創始者である四天王が運営する四つの小さな組織があって、主人公以外の組織ではさらにその下に傘下となる集団があります。この世界では、遺物と呼ばれる特殊な能力を持つ物品があり、それをそれぞれの組織が集めて、四天王がレイブンネストのチャット欄で保管するのか、四天王の誰かが所持するか、どこか別の組織に売り渡すか決めます。
ただ、最近ではその会議に上がる前に四天王の何人かが使えると思えば独占してしまうので形骸化しています。
そして、ネット上の繋がりなのでもはや四天王たちも人員全てを把握しているとは言い切れません。実際かなり緩い組織で危ういです。
遺物の拡散による秩序の崩壊を防ごうとする所謂正義の味方と言える勢力と共に、他にも反対にそれぞれの組織がそれぞれ違った組織とつるんだりしている為、組織間で敵対組織が違います。

Q.主人公が薬撃ったらすごく走れてたけど、あれも遺物なの?
A.あれはただ身体が頑丈な兄ちゃんがヤク決めて走ってただけで遺物とはなんら関係ありません。おかしいね。


このように悪の組織という形であれば、別に敵対勢力であるヒーローを描写することに拘泥せずに組織の中で成り上がるか描写する方式を取るなど、どのような書き方をしても構いません。
好きに君の中の悪の組織を形にしよう!!


悪の組織杯の簡単な要綱
・概要:君の考える悪の組織を見せてみろ!!
・規定:文字数、オリジナル二次創作、連載・短編・R18など書きたいように書いてどうぞ?。公平性を保つため6/16、0:00:00投稿を決めていますが
タグに 悪の組織杯 とつけ匿名で投稿していただければ参加できます。
・評価方法:総合評価ポイントを活用。部門は連載・短編・R18(こちらは連載・短編合算)の三部門で審査いたします。
・さらに詳しく参加条件などを知りたい方は私のTwitter(@QWzGYWcc0nPjtzv)の固定ツイート、もしくはTwitterで#悪の組織杯で検索されますと分かりやすいです。

評価締め切り日などもこれから決めて発信していくつもりなので、この企画に興味のある人は#悪の組織杯で検索検索ゥ!

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