ムラクモ   作:ノイフェル

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 東京に居るので筆が進む

ついでに体の調子も下がる下がる


 Chapter2

 フェル視点

 

ちょ、ヤバっ!

 

なんぞこれ。さっきまでの魔物とはレベル違いすぎだろ!

 

 

「トーコ、アオイ!

回復を最優先にするぞっ!明らかにブレス吐きそうな奴だ

広域放射の可能性は常に考えろっ!」

 

「心得たっ!

が、無茶を言うなっ!」

 

「分かった!

けど効いてるの、これっ!」

 

「外皮は堅いが内部はわからんっ!

そこに勝機があると考えろっ!」

 

 

ヤバいな

分かってた事だけど、2人とも余裕がない

 

ガトウのおっさんが気絶してんのもあかんし、どうする?

退くのも選択肢だ

 

 

 

実際トーコにせよ、アオイにせよ待ち合わせの武器でアレに致命傷を与えれるかと言われると、非常に怪しい

 

 

 

 

 

 

 

んげっ!!

追加のドラゴンかよっ!

 

 

 

 

 

 

しゃあねぇな

 

「トーコはそこのにいちゃん背負って撤退!

アオイは退路の確保だ!

急げっ!」

 

「已むをえんかっ!」

 

「わかった!ガトウさんは?」

 

「俺が運ぶ!急げっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

???視点

 

 

「ふむ、ドラゴンの編隊を見て撤退か」

 

「悪くないな、判断は」

 

「え、でも間に合うのかなぁ

明らかに素人でしょ、アイツら」

 

フードを被った女性は疑問を口に出す

 

「あの野郎の駒にしちゃ、惜しいかもな」

 

「どうする?タケハヤ?」

 

タケハヤと呼ばれた男は肩をすくめて

 

「ま、手並み拝見ってとこだな」

 

 

 

 

 

彼等との出会いはもう少し先の話である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トーコ視点

 

「くそっ!」

 

「落ち着け、流亜。焦ってもどうにもならんだろうに」

 

駆けながら幼馴染は苛立ちを口に出す

 

確かに苛立つ気持ちもわかる

 

 

失神した参加者は恐らく自衛隊やムラクモの隊員によって移送されているのだろう

 

だが、こちらには何の援護もない

 

 

しかも、頼りのムラクモの人間は私と流亜の背中で意識を失ってるときた

 

 

 

明らかに危険な状況だろう

 

 

 

「はあっ!」

 

「アオイ!最低限の魔物だけで良い!

お前が保たなくなるぞ!」

 

 

 

今まで、私と2人でしていた前衛をアオイ1人に任せているのだ

アオイの消耗は目に見える形となっている

 

 

 

「くっそ!

無駄に高い建造物作りやがって!!」

 

エレベーターも電源は生きている

だが『今のところ』という危険極まる単語がつく以上、利用は自殺行為だろう

 

だが、都庁はエレベーターでの移動が前提の高層建築物だ

 

流亜が毒づくのも無理はない

 

 

 

 

 

 

 

 キリノ視点

 

 

魔物討伐の試験を行なっていると、いきなり上空に巨大な影が複数現れた

 

自衛隊は迎撃を試みているが、効果はないだろう

 

此方としても、撤退すべきだとは思う

 

 

だが、せめてガトウとアカツキを回収しないとならないとのナツメさんの意見で未だ此処にいる

 

 

しかし、回収班は現在候補生達の移送で手一杯

自衛隊も同じだろう

 

いや、仮に自衛隊がフリーだったとしても、此方に協力するとは思えない

 

今回はイヌヅカ総理からマカベ大臣への要請があったから、自衛隊も動いた。だが、彼等の言動に此方への好意などある訳もない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フェル視点

 

 

やっと、一階か!

ホント役に立たないんだな!ムラクモってのはさぁ!!

 

何で支援の一つもしやがらねぇ!

貴重なベテラン枠じゃねぇのかよっ!

 

「流亜、出口っ!」

 

「トーコ、アオイ!

駆け抜けんぞッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして俺たちは都庁からの脱出を果たした

 

 

 

だが、これはこれから始まる苦難の序章に過ぎなかった事を俺たちは直ぐに知ることになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 第三者視点

 

 

 

「んだよ、これは」

 

「そんなっ!」

 

「嘘、でしょ?」

 

 

都庁の外は地獄だった

 

 

自衛隊の戦車や装甲車両は全て火をあげており、周囲には謎の赤い花が群生していた

 

 

「君たちっ!

急いでこっちへ!」

 

ムラクモの特殊車両を回してきたキリノが叫ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フェル視点

 

 

車両の中で俺等は漸く一息つけた

 

 

 

「酷いもんだな」

 

「あの、屋上にいたドラゴンが沢山」

 

「っ!」

 

 

「貴方達、良くガトウとアカツキを助けてくれました」

 

「此方から救援に行けなくてすまなかった」

 

 

 

緑のは確かキリノだったよな?そっちの謝罪は多分本心だろう

だが、このナツメとかいう奴の発言からは貴重な戦力を助けたって感じしか受けない

 

悲しいやっちゃな、こいつ

 

 

「これから、我々ムラクモの拠点に向かいます。そこで一息つけるでしょうね」

 

 

どうだかな、今の状況を見ると主要な建物はほぼ占拠されてるかんじがするんだが、ホントに大丈夫なのかねぇ?

 

 

 

「流亜、おいっ!」

 

「フェル、あれっ!」

 

あ、どうし、た?

 

 

 

 

 

 

 

 

目を疑った

 

 

さっき都庁の屋上でやり合ったのなんかと比較にならない様な巨体の赤い竜が都庁に向けて飛んでいきやがった

 

しかも、側を飛んでたドラゴンも明らかにさっきのよりも強そうだった

 

 

 

マジかよ、おい

 

 

 

 

 

「ナ、ナツメさん」

 

「ええ、嫌な予感しかしないわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムラクモの拠点に着いた

 

 

 

 

いや、拠点『だったもの』だな、こりゃ

 

 

跡形も無いってのはこういうことなのかねぇ

 

 

 

 

予想はしてたが、アイツらにゃ『知能』があるな、間違いなく

 

 

頭か、それとも末端まで全てかは知らんが。都庁の時の奴、アレも挙動が大分おかしかった。トーコやアオイの攻撃をほとんどかわすのに、反撃する時には的確すぎるカウンター。しかもトーコとアオイの息が切れた瞬間をねらってた

 

トドメはあの増援のタイミングだ。襲来したのは少なくとも五体。

だが、戦闘に参加したのは一体のみ。こちらの消耗を狙ってたと見るべきだろう

 

って事は、ここに何らかのドラゴン達にとっての不利益になるもんがあるって事か、若しくは拠点自体を潰す気が?

 

 

どちらにせよ厄介に過ぎるな、こりゃ

 

 

 

 

 アオイ視点

 

 

「トーコ、良いの?」

 

「ああ、私達が話を聞いておけば大丈夫だろう

フェルがああしてる時は思考に沈んでいるからな。邪魔しない方がいいだろうさ」

 

トーコは苦笑いしてるけど、その瞳は優しい

 

 

はぁ、羨ましいなぁ。学校でもトーコ先輩とフェル先輩ってお似合いの2人だもんなぁ

 

 

 

『剣姫トーコ』と『謀刃フェル』だもんねぇ

 

剣姫はそのまま、古流剣術道場の跡取り娘であるトーコ先輩の事

 

同年代は勿論、同じ高校生なら男子にも負けない技量を持つ剣の姫

 

 

 

謀刃は流亜先輩が少し前に同級生の人を助ける為に相手の不良たちを仲違いさせて、同士討ちさせた事からって聞いてる

謀(はかりごと)を持って刃と成す。だから謀刃なんだって

 

 

私から見たら、ただの優しい先輩なんだけどなぁ

 

 

 

 

 

 

この世の終わりみたいな事になって来た

 

でも、気にしないよ?

 

だって、さ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先輩達さえ居れば、あとはどうでも良いもの。私もその中に居れば更にいいけど、ね?

 

 

 

 

 

 

 

 トーコ視点

 

 

結局ムラクモの拠点には生存者は居なかったみたいだ

 

というか、一顧だにしなかった。と言う方が正しいか?

 

あの日暈棗という女性、明らかに何かを隠しているな?

副官の桐野礼文だったか?彼は人畜無害っぽいが

 

いかんいかん。フェルの口調が移ってしまったか

まぁ、幼馴染で幼稚園どころか、産まれた病院すら同じと聞いている。ある意味、すごい話ではあるのだろうが、な

 

 

「して、何か分かったか?」

 

「後で話をするから、トーコとアオイ。時間を空けといてくれよ?」

 

声のトーンがかなり低い?

うむ、危ういと言う事か

 

「はい、先輩!」

 

「分かった」

 

うむむ、アオイに比べるとやはり無愛想に見える、か?

 

だが、どうにも愛想というのは苦手、なのだがな

 

 

 

そういえば、我が不肖の兄は数ヶ月行方不明になった後、随分と精悍な顔つきで帰って来たな

 

しかも、何故か女子高生の知り合いをアホほど作っていたが

 

フェルなどは

「兄貴、アカンすよ?

下手したらブタ箱送りになるっすよー?」

 

と煽っていたが

 

 

とはいえ、そのフェルとてあの緑髪の女性と気が合っていたがな

確か、シンとか名乗っていたと思うが

 

私は金髪のキサラギと気が合っていたが

 

 

今思い返してみると妙な話だ

 

 

 

 

 

我が兄は言いたく無いが、フリーターという奴だった筈

 

更に剣術からも逃げ、何を血迷ったのか数ヶ月もの間行方知れずとなっていた

 

 

そして、ある日ひょっこりと帰ってきた

 

父と祖父母は大層怒り、母に至っては初めの方こそ必死になっていたからか、祖父母よりも怒りの程は凄まじかったな

 

 

偶々フェルが来てなければ、血を見ただろう

 

 

 

 

その後、キサラギにシン、ユコにサコ、トモエにラン。アリスにヒメカミ、そしてミウだったか?が当家に来て祖父母や両親、私にも挨拶。何故か一緒にいたフェルにも挨拶していたのが気にかかる所だが

 

 

その後、私は女性らしくありたい事からキサラギと親しくなり、フェルは何故かシンと仲良くなった

 

何故なのかは未だに良くわからんが

 

 

彼女達も無事ならば良いのだがな

 

 

 

 

 

 

 

 ナツメ視点

 

 

最悪ね。ムラクモの拠点すら、陥落していたわ

 

しかも、物資だけでも回収出来ると思っていたら、全て焼き払われていた。やむを得ず、ムラクモの設置したシェルターに向かっているのだけど、ガトウとアカツキは未だに目を覚まさない

 

現在の戦力として数えられるのは、選抜した3人のみ

 

 

 

歯痒いわね

 

 

けれど、今は仕方ないと思うほかないわね

 

 

最悪の場合は自衛隊の残存部隊を取り込むしかない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フェル視点

 

 

ムラクモのシェルターに到着した

 

で、やっとこさガトウのおっさんとアカツキとかいうあんちゃんが目を覚ました

 

寝すぎだっての!

 

 

事情はキリノとやらが説明してるし、俺たちはとりあえずシェルターの一室で待機しろだとよ

 

 

 

まぁ、構わねぇがな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アオイ視点

 

 

フェルから話があると言われた

 

でも、慣れないなぁ。元々私は2人の後輩

 

今はチームの一員だから呼び捨てで良いって言われてるけど

 

まぁ、良いと言えばいいんだけどね?

 

 

 

「状況については省略する

これから話す事は俺なりの予測だ。反論や疑問があれば幾らでも言ってくれ」

 

「うむ」

 

「はい」

 

フェルの声色がかたいうえに、表情も良くないみたい

これってかなりやばいんじゃ?

 

 

 

 

 

 

話を聞いたけど、うんやばい

 

魔物はどうか分からないが、ドラゴンには知能がある

 

 

これは私もトーコも同意する

多分、間違ってないだろう

 

 

 

問題なのは、もう一つの方

 

 

ムラクモが私達を最前線に配置する可能性が高いって事

 

無茶苦茶だよね!

私達、何の訓練も受けてないよ?

 

 

フェル曰く

 

ムラクモの本拠地が壊滅した以上、戦力低下は避けられない

加えて、ガトウとアカツキ両名での攻略には恐らくある程度のバックアップが必要である事。それに対して、私達はバックアップ無しでも活動できる事を既に証明してしまっている事

 

拒否も恐らく出来ないであろう事

ムラクモの選抜試験に来た以上は向こう側の判断で戦線投入が可能である事。このまま私達だけで現状の打破は不可能である事

 

それに加えて、このシェルター以外で安全な拠点があるように見えない。つまり選択肢はない

 

 

 

 

 

フェルとトーコは不本意そうにしてる

多分、私もそうだと思う

 

あのキリノって人はいいよ?

でも、あの総長だけはダメだと思う

 

トーコのお兄さんの知り合いのユコさんとサコさんが言っていた

 

「自分の感覚を磨いて、それで危ないと思ったら極力近付かない。

無理なら可能な限り、距離を取る」って

 

 

 

じゃあ、こうしたらどうかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キリノ視点

 

 

今試験合格の3人をムラクモの正式な隊員にする話し合いをしているんだけど、あまり状況は良くない

 

 

 

「雨瀬アオイさん?だったかしら

つまり貴女は私たちが信用できない、と?」

 

「そこまでは言いません

でも、あの試験で私たちがガトウさんとアカツキさんを救助してる間にそちらからの支援はありませんでしたよね?

なら、私とトーコさんはフェルの指示に従う。そういう事です」

 

「しかし、それではいざと言う時にうまく連携出来るか分からないんじゃないかな?」

 

「そうは言うが、桐野殿

私達はあなた方もご存知の通り、一般人だ

確かにムラクモの選抜試験に合格したのかも知れないが、あなた方の事を全く知らない

私たちが知るのは、試験と称して素人を魔物討伐の現場に送り出した。日暈総長が待遇や名誉などをちらつかせて冷静な思考を奪った様に見える事。何よりも貴重である筈の前線担当の2人を助けに来なかった事だが?

これであなた方を信用しろという方が難しくはないだろうか?」

 

うっ!

それを言われると、反論できないなぁ

 

「更に申し上げるならば、協力関係を構築しなければならない筈の自衛隊との信頼関係の未構築も問題では?」

 

「私たちムラクモは政府から認められている組織

自衛隊の協力は取り付けられるわ」

 

「ひかさ総長もおかしい事を言う

上からの指示で動いたとして、有事の際に有機的な連携が取れるとでも?」

 

「そこまでにしとけ?

2人とも

此方としても、ムラクモの指揮下に入る事に異論はないが?」

 

いや、今2人は凄く抗議していたけど?

 

「そちらが全て話をしてくれるのであれば、いざ知らず、隠し事をしたままに全面的に信用しろ。と言われて信用しますか?」

 

「分かりました。では笛吹流亜、片瀬刀子、雨瀬アオイ。あなた方をムラクモ13班に任命します

併せて笛吹流亜。貴方にムラクモ13班の班長にも任命します

宜しいですね」

 

「拝命しました」

 

 

 

 

 

 

 

彼等は部屋から出て行った

 

よろしかったのですか?総長

 

「確かに少々扱いづらくはあるでしょう

ですが、今の私たちに選択肢はない。そうでしょう?」

 

「ですね」

 

 

現状の僕たちに余裕はない

 

 

動ける実戦班はガトウ、アカツキの10班のみ

自衛隊との連絡もつかない

 

通信関係はナビ達が構築を急いでいるが、それとて未だに目処が立たない

 

 

 

そして、このシェルターとていつまで保つかすら不透明となると、手段を選べないのも事実だろう

 

 

少し前まで一般人だった彼等を巻き込むのはどうかと思うが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これより、半日後

 

東京都庁の変わり果てた姿をガトウ、アカツキ両名が報告する事になる

 

 

 

 




 ムラクモのシェルターは神田付近をイメージ

ムラクモの本部は両国くらいな感じかな?
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