次には届くからっ!
トーコ視点
私達は東京都庁にてドラゴン3匹を討伐した
なんでもドラゴンの死体は貴重な素材だとかで、武器防具は勿論、様々な用途に転用できるとか何とか
まぁ、私とアオイの武器を新調出来るのは素直に嬉しい。フェルも道具類の補充が出来て一安心といったところだろう
だが、ムラクモ司令部からの次のオーダーが問題だった
「つまり何ですか?
魔物を倒しつつ、ドラゴンも倒し、民間人の救助もしろ。と?」
「ええ。そうよ
これから先の事を考えるならば、今の人員でどうにか出来るレベルで無いのは明らか
人員を増やせば、出来る事は増えるはずよ」
フェルの不愉快そうな言い方など意に介さない総長の主張
「御言葉ですが、現状において総長の言われる所の人員が生産的な事に寄与しているとは到底思えないのですが?」
フェルの不満ももっともだろう
確かに私達がドラゴン討伐から帰ってきた時には人員は増えていた
だが、その殆どがシェルターから出る事もムラクモの活動に協力する事もない様に見えた
「あれですかね、雛鳥のつもりなんですか?」
あまり人に隔意を持たないアオイであっても不快さを隠せなかった
「それは、これからの見通しが立たないからで」
「見通しが立つまで何もしなくて良いのですか?
随分とお気楽なものですね」
私たちとて好んで戦場に出ている訳でもない
確かに危険であるのはわかる
誰だって怖いはず。それでもやらなければ、待つのは緩慢な死
食糧の備蓄とて余裕がある訳でない。人が生きていく為に消費され続けるのだ
既に配給制に対する不満が見え隠れしている
曰く
「ムラクモと政府のお偉いさんだけが贅沢してる」
との事
私達は死と生の狭間に身を置かなければならなくなった
空腹で鉄火場に出るなど正気の沙汰ではない
「人とは不条理は押し付け合い、幸福は独占したがるもの」
とフェルが言っていたが、正しくそうだろう
「まぁ、仮に避難民を救助したとして、どうされるのですか?
既にシェルターは満員に近い状況にあるかと。追加の人員を受け入れる場所があるので?」
「それを今貴方達が確保しようとしているのよ?」
つまり、私たちには早く都庁を取り戻せと?
魔物を倒し。ドラゴンを斃し。救助者も助けながら?
「キミ達にばかり負担をかけて申し訳ないが」
最早話をする気にもならないらしい
フェルは頭を下げて指揮所から出て行った
私達もそれに続く
「やってられないな」
都庁に向かいながらのフェルの一言である
確かにそうだ。十全の支援があるならいざ知らず、現在の支援体制はムラクモガトウ班の2人と自衛隊残存部隊のみ
しかも後者はあくまでも安全の確保された領域の保持が主任務であり、領域の拡大はこちら任せ
ガトウ班は先行偵察が主任務であり、撃破が任務ではない
つまり、私達3人にかかる負担は尋常ではないという事だ
司令部からの支援はミロク、ミイナ両名によるナビのみとなる
これで士気を上げられるのであれば、大したものだろう
アオイ視点
ドラゴン3匹を討伐したのに、私達の空気は最悪といえた
ドラゴンを討伐して、武器と防具、道具の補充が終われば、指揮所での指令
トーコ先輩はまだ良い
だが、フェル先輩の苛立ちは見てもわかるレベルだ
実際に矛を交える私とトーコ先輩は体を動かせるからまだマシ
でも指揮やサポートが主のフェル先輩からすると色々考えてしまうのだろう
勿論、機嫌が悪いからといって指揮に手ぬかりはない
ないけど、これでこれから大丈夫なのだろうか?
ガトウ視点
「了解だ。坊主達はもうすぐ此処に来るんだな?」
「現在、その階層の一つ上の階にいますので」
「わかった」
やれやれだ
聞いたところによると、あのボウズは余程腹に据えかねているらしい
そりゃそうだろう
いきなり魔物を倒せ。と言われたと思ったらドラゴン討伐に民間人の救助。
更に増え続ける割に何もしようとしない連中まで抱えてるとなりゃ、不満しかねぇだろう
寧ろ、よく我慢したと思うくらいだ
自分達よりも力のあるだろう大人達がこぞってシェルターに引きこもって、デカイ口で食料をねだる
足りなけりゃ取りに行くなんて考えはなく、ただ喚き散らすだけ
そんな奴らの為に命をかけてるなんて馬鹿らしくもなるだろうさ
俺もアカツキも同類だな
結局のところ、一番辛い役目を押し付けている
仮に都庁を取り戻せたとして、どうなるというのか?
今は考えない
情けないが
フェル視点
色々言いたい事もあるが、とりあえず生存最優先
で、今私達は地下に向けて歩いているんすよ
「フェル?」
「あれ?どうしたんですか」
き、き、貴様らっ!
こんなん渡れる訳ないだろ!良い加減にしろ!
「あー」
おい!トーコ、そんなに残念そうな顔をするなぁっ!
トーコ視点
しまったなぁ
私は内心で頭を抱えた
「あの、フェル?」
「俺の事はほっといて!」
困惑するアオイを此方に呼んだ
「高所恐怖症ですか?」
「そこまでではない。ないのだが」
いや、なんだその
私とフェルが幼い頃に隠れ家を木の上に作っていて、だな
その、喧嘩した時にハシゴをそう
「外したんですか?」
ああ、うん。まぁそうだな
「うわぁ」
トーコの言う事は間違いではない。が真実を語っている訳でもない
正確にはフェルがハシゴで降りようとしていた時に外したのだ
そして、隠れ家のそばにはそれなりの傾斜がある切り通しがあり、フェルはそこを転がり落ちた
結果として、フェルは足場の不安定な高所での恐怖症を発症した訳である
トーコにとっての不幸はその時の記憶をフェルが失っている為に、悪ガキであったフェルの自業自得として周囲に受け入れられてしまった事であった
トーコにとってフェルとは兄よりも近しい異性であり、家族でもあった
小学校では引っ込み思案だったトーコを連れ回してくれ、人の輪の中に連れて行ってくれた恩人でもある
実のところ、トーコが武道や勉学に励むキッカケになったのも、フェルであった
フェルは視力が悪い上に矯正してもどんどん視力が下がっていってしまった。その小学校では遊び回っていたにも関わらず、徐々にインドア派になっていった
だが、生来の凝り性であったフェルは歴史や文学などに興味を示し、それに傾倒していった
トーコはその頃、フェルと遊ぶ為だけに身体作りとフェルを護れる様に武道にうちこんでいた
だが、突然のフェルの方向転換にトーコは焦ってしまう
そこで、今までは疎かにしていた勉学にも力を注ぐようになった訳である
そうこうしているうちに、中学生となり文武両道トーコちゃんとなっていたのだ
だが、トーコの中にあるものは昔と何ら変わっておらず、『フェルに見てほしい』それだけだった
高校進学とてトーコならばもっとレベルの高い高校を狙えたし、学校側もそれを薦めた
だが、トーコにとっての価値はフェルがいるかいないかのみであり、そんな物に興味は無かったのだ
依存と人はいうだろう
だからこそ、トーコにとって過去の自分の過ちをフェルに告げるのは怖かったのだ
顔色の悪いフェルとトーコにアオイは
「とりあえず行きましょ」
と声を掛けるのが精一杯だったとか何とか
と言う訳で次の帝竜戦のために暫くお休みする予定です
流石に最初の帝竜ともなると気合を入れねばなりますまい
ウォークライ「おっ、そうだな」
ジゴワット「ちょ、ま」
まぁ、残りの帝竜についての描写には責任もてなかったりするが、まぁヨシッ!(現場猫)
ウォークライ以外の帝竜ズ「?!?!」