フェル視点
紆余曲折あったが、とりあえずこのフロアが屋上エリアとなる
んだけども、何か赤くてゴツいのがいるんすけどねぇっ!!!
え?ガトウとおっさんとアカツキの兄さんがいたとして、勝てんのこれぇ?
帝竜視点
ふむ、何ともつまらぬ仕事と思いきや、中々どうして見れる者も居る、か。
確かにこの者どもであれば、雑魚竜共が束になったところで意味をなすまい
収穫に来たというのに、滾らせてくれるものよ
「ニンゲンドモ、ヨクキタ」
ガトウ視点
おいおい。何だこりゃ
「我が名はウォークライ
この地を落としたものよ
まずは見事な戦いぶりであった。敵手なれど、見事と言わざるを得ぬ」
喋ってるってのか、目の前のドラゴンが
「汝等人間は我らにとって取るに足らぬものであった
なれど、主らは絶望的とも言える状況にあってなお、その意思を持ちて抗うというのか?」
「勝ち目は薄い。いや極小というのもバカらしくなる程度のもんだろうさ。人類を護りたいなんて綺麗事を言うつもりはない
ただ、俺たちは明日が見たいだけだ!!」
「ググググ
見事。見事なものよ。我と汝等の実力差が分からない程愚かではあるまい?それでなおも抗うか
我はウォークライ!!この星を侵さんとするドラゴンのまとめ役が1つよ!!
強者との死合いは望むところ。準備の時をやろう。十全の準備をした汝等を討ち滅ぼしてくれようぞ!!」
フェル視点
舐めプかな?
いや、強者という自負からくる傲慢ともいえるもの、か?
とはいえど、とりあえずは退くとしようか
とりま、あのウォークライとかいうボスちっくとは和解できないだろう。恐らく俺たちが思う以上に『ヒト』と『ドラゴン』とは違うのだろう
圧倒的な戦力差。大いに結構じゃないか
『ヒト』はいつだって叶わぬ夢を追い続けて、それを叶えてきた
それは常に諦めない『意思』があったからだと思う
彼が俺たちを見下ろせる程の高みに居たとして、それで諦めれるならばハナから此処にいる訳もなし
不満はある。不快でもあるだろう
だが、この手に出来ることがあるならば、進むほかない
第三者視点
ガトウとアカツキ両名のムラクモ10班とフェル、トーコにアオイのムラクモ13班は共同でウォークライと戦う事とした
13班が討伐したドラゴンをウォークライは取るに足らぬものと断じた以上、13班独力での討伐は諦めるべきとの判断であった
即席の連携では厳しいと判断し、基本はムラクモ各班で対応し、フルバックとしてフェルが戦況を見る事も合わせて決まった
アカツキ、ガトウはトリックスター
トーコはサムライでアオイはデストロイヤー。フェルはサイキックである
しかし、このメンバーの中でクラスのフルスペックを発揮できる才能を持つのはトーコとアオイのみ
アカツキとガトウはAランク
フェルに至ってはBランクである
故に本来なら扱えるはずの異能の力をフェルは行使する事が出来なかった
正確には行使こそ出来ても威力が致命的に足りないのである
だからこそ、フェルは知恵を巡らせ、アイテムを多量に持ち込むのだ
大切な2人の足手まといにならない為に
護る為に
アカツキ、ガトウ両名は職業のフルスペックを発揮できずとも、戦えるだけの経験と知識がある
あえて、彼らが撹乱側に志願したのもその為でもあった
取るべき戦術はガトウ達が目眩しや牽制、陽動を仕掛け、トーコとアオイが一撃を叩き込む
フェルはトーコ、アオイメインで支援しながらもガトウ、アカツキにも必要に応じて指示を出す
効果は薄いとはいえ、回復の異能と火の異能だけは使えるが、その程度ではメインを張らないだろうと考えに基づいた配置である
帝竜視点
ウォークライは歓喜していた
今まで天上の『あの方』に従い、様々な星々を巡ってきたウォークライだったが、大規模な兵器や戦略級の魔法などにより対抗された事は数えきれない程にあった
だが、彼らの様に追い詰められて尚も戦う意思を維持できた戦士はそういない。しかも彼らは徒手空拳に近いのだ
彼の同胞の死体を操る外道や、劣勢に追い込まれたら逃げ出す能無しに比べて、なんと素晴らしい輝きを持つのか
確かにウォークライもドラゴンである
生物としてはこの宇宙の中においても最強の地位であろう
だが、それが我らに不動の強さを与えるものであるはずもない
真に強者足り得るのは、『あの方』を始めとした天上の方達のみ
我らとて、所詮は有象無象の中で多少強いだけの存在に過ぎない
されど、彼らはそうですらない
我らの様に硬い皮膚を持つ訳でも、鋭い牙を持つ訳でもない。我らが発した毒花にその身を侵される程度の存在
しかし、それでもなお彼らは挑んでくるのだ。
強者との戦いでないと、とある同胞は言った
「所詮は有象無象。戦いになどなろう筈もない」
違うのだ。我らが持ち得ぬ強さを持つ彼らが今まさに此処にいる
そして、彼らとこれから死合うのだ
『あの方』配下一の武闘派であると自負するウォークライとしては血が滾らない訳がなかった
フェル視点
何かやる気に満ち溢れてませんかね、あのドラゴンは
「フフフ。汝等には分からぬであろうが、我とて高みを目指す者。
汝等の様な強者と死合えるというのに、滾らぬ訳もあるまいて」
[悲報]ドラゴンのボスに強者認定される
って感じやな。
油断も期待できそうにないな、これは
第三者視点
初手はウォークライの尾撃であった
ガトウ、アカツキは左右に散開。銃をメインとして戦闘を始める
フェルは屋上端部まで後退。アオイ、トーコは尾撃の効果範囲の少しだけ外に展開する
ガトウ達はウォークライの急所足り得る目や身体の端部に攻撃を集中する
如何に皮膚が硬かろうとも、それでも守れない所はあるだろうという読みからだった
ウォークライが両名に気を取られている隙を狙い、トーコとアオイは肉薄攻撃を敢行する
言うなれば、巨象対蜂の対決の様なものであった
「ちっ!どれだけしぶといんだ、こいつはよ!」
「ガトウさん!このままだと弾が!」
文字通り銃弾をばら撒いているガトウ達であるが、当然弾とて有限である
戦闘を始めて既に20分は経過している
トーコとアオイはフェルが予備の武器を用意していたが、彼らにはそこまでの余裕はない
襲い来る巨腕や尾撃。更に火球
一度は口内を狙ってみたものの、効果は然程になかった
「狙いは悪くない。が、言い忘れていたが我らが食するのは生物なれど、無機物とて噛み砕く
その口内が脆弱で思うてか」
との事であった
だが、端部や一箇所を集中する事自体には一定の効果は見られている
ウォークライの脚の爪のうち一本は失われ、翼の端部も欠損していた
「ガアッ!!」
「ブレスだ!下がれ」
ウォークライの一際巨大な火球が屋上を火の海に変えた
が、ガトウ達も無事である
「見事、見事よ!!
脆弱なる身でありながらも、ここまで追い詰めるとは!!
が、此処での決着となるとあまりにも惜しい」
ウォークライはその巨体を空中に浮かべ、そう笑う
「見逃すってか?」
消耗しているフェルが茶化すと
「この場は預けよう
此度の戦いは汝等の勝ちよ。この拠点より我は去る
なれば我が毒花とて効果が無くなろうて」
「は?んだそりゃ」
「もっと高みへ!汝等の力が更に高まった時、この死合いの続きといこうぞ!」
「我が名はウォークライ!
この地にいる我以外の6つの帝竜を下したならば、この決着をつけようぞ!!」
そう言い残し、ウォークライは西へと去って行った
ウォークライの宣言通り、都庁は元の姿を取り戻し、赤い花も消滅した
ここに人類最後の砦が奪還されたのである
???視点
ウォークライよ、何故手心を加えた
「手心?違いますな
かの者達は我らが更に高みへと至る為の礎に相応しいだけ」
よかろう。なれば貴様が見込んだ彼奴等の活躍を今暫し見守ろう
「は。ありがたき」
だが、『収穫』の時は
「必ずや、我が手で」
期待しよう
「我が主『ニアラ』様。ありがとうございます」
というわけでウォークライは生存しました
というかね、エクストラダンジョンでの扱いを見るにウォークライってあの帝竜の中で一番強いはず
流石に殺しきれませんわ